ある晴れた日の昼休み。突然校内放送が掛かった。
そしてミーシャは放送で呼び出され、何故か勝手に着いて来た双子の兄・エレフ、そして彼に引きずられて来た二人の兄・レオンを伴に 由緒正しきエスパー学園・ミラ校 校長室の、重厚な扉を叩いた。
ギィ、と戸が軋み、部屋が開く。
「ヤァ 我ノ愛シキ花嫁!!‥‥ト何カト雷神域ノ仔ョ。」
此処の制服である学ランを着たタナトスが、とても無表情且つ上機嫌で腕を広げていた。
しかも校長席+紅茶セットで。
「あら、タナトス。元気そうね。」
にっこり柔らかく微笑むミーシャ。二人が腕を回すと、一人身でなくても居たたまれなくなる キラキラした空気が広がる。
授業はどうしたの、という問いに、ミーシャがいなくて等しくつまらないと真顔で答えるタナトス。
学校は勉学に励む所です、お忘れなく。
間髪置かず、半ば所か全力で空気ブローカーに励むエレフ。
「ミーシャに触るな、この変態副校長!しかも何かじゃねぇよ、何かじゃ!!」
正に独り身の、妹を完璧に取られた 可哀想な兄の模範例だった。カップが二セットしかない辺り、明らかに自分達を数に入れてない事がヒシヒシと伝わってくる。
「その様な言い方をするのは良くないぞ、エレフ。」
ツッコもうと隣を振り返れば、
レオンはそれはもう自然な動作でタナトスから新しく出したカップを貰い、紅茶を飲んでいた。
というか隣にタナトス、移動してるし。
「ソゥダゾー。息仔ョ、口ガ悪ィゾー。」
圧倒的にツッコミが足りなかった。
自分の妹なのにこの天然キラキラ野郎は、何故セルフ暗幕なタナトスと付き合う事を容認出来るかとエレフは頭を抱えた。(しかも超年の差
やはり隣クラスに押し掛け嫁を持つだけに思考回路が違うのか。
「ホントよ、エレフ。」
ミーシャが至極困った表情で溜め息を吐く。
「ねえ、そう思わない、ミラ?」
ミーシャの言葉に全員の視線が一カ所に集まる。
其処には何時の間にか校長席で微笑む女性。
その姿にエレフは二人を殴ろうとした剣を取り落とし、
レオンはマグカップを粉々にし、
タナトスは既に白い顔を更に真っ青にした。
「「「ギャアアアアアア!!!」」」
阿鼻叫喚の地獄絵図。
レオンは遠くから駈けつけてくるアレクサンドロの足音を聞きながら、呟いた。
「嗚呼…運命よ‥‥‥保守。」