一足先に帰宅していたエレフの部屋の扉を、ミーシャはノックした。
「エレフ、開けて……」
掠れる声に、机に向かい宿題をしていたエレフは一人で微笑み、「開いてるよ」と声をあげた。
数秒の沈黙のあと、静かに、そしてゆっくり扉が開く。
「エレフ……」
その声に、エレフがくるりと振り返ると、俯き髪に隠されて表情の見えないミーシャが扉に半ば寄りかかるようにして立っていた。
「おかえりミーシャ、大丈夫?」
「大丈夫も何もっ……!っ!」
がくがくとミーシャの細い膝が震えるのを、目を細めて楽しそうにエレフが眺める。
「エレフ……!これ、はずしっ……あぅっ」
「ん?」
「あ、あぁ、やっ」
ミーシャはとうとう床に膝をつく。
エレフは立ち上がり、今すぐベットに引きずり込みたい気持ちを抑えながら陶然と笑む。
細いミーシャの足の付け根には、今日の昼休みに取り付けた、小さなおもちゃが入っている。
ほんの遊戯心で取り付けたそれは、思いも寄らないほどの効果をあげ、いつもかっちり制服を纏いスカートも膝丈からは変わらない姿からは想像できないほどにミーシャの理性を取り払っていた。
「じゃあほら、とりやすいようにスカートを捲って?」
「っ……!や、やだっ」
「じゃあミーシャはそんなもの入れられたままでいいんだ」
椅子にすわったまま、飽くまでも此方は余裕だという素振りを崩さない。
「そ、そんな訳……」
「早くして?」
ぎゅっと下唇を噛み締めて目元を快楽に赤くさせながら、膝立ちになったミーシャは自分のスカートを両手でおなかの位置まで上げた。
「っん……っ」
うすいピンク色のパンツから太ももに、細いコードが伸びて、一瞬だけ、こんなひどいことをたった一人の妹に強いている罪悪感が去来したけれど、それも背筋を走り抜ける程の快楽へ形を変える。
こんな姿を見せてくれるのは『エレフ』だから。
その事実に気をよくしたエレフは、椅子から立ち上がらずに、扉のすぐ前でスカートをまくりあげるミーシャを一瞥してふいと視線をそらして見せた。
「なんだかよく見えないから、ベットに座ってくれる?」
「や、ぅ……あし、が」
「立てないの?」
大きな瞳一杯に涙を溜めながらミーシャはこくこくと頷く。
「エレ、フッ!」
キッと睨みつけてくるのは牽制しているつもりなのだろうが、エレフからしたら涙目で自らスカートをたくしあげている姿でそんなことをされても煽られているようにしか見えない。
しかし拗ねられても困る。
拗ねるミーシャもとてもかわいいのだけれど、今はこのままミーシャの泣き顔を見ていたい。
さて、どんな風にいじめてやろうかとエレフは椅子から立ち上がった。
「ミーシャ、ごめんね」
涙に濡れた頬を舐める。
「ん……」
震えながら反応する様が愛おしい。
「ミーシャが可愛いからさ、つい」
「つい、じゃな……あ!?」
エレフはミーシャの膝の裏に腕を差し入れて、抱え上げ、俗に言う"お姫様だっこ"の形を作った。
「ぁあ、やっ……ちょっ!」
「これならミーシャが辛くないよね?」
腕はすかさずエレフの首に回ったが、持ち上げられた瞬間にまくれあがっていたスカートはうまくミーシャのお腹で折れてめくれたままになっている。
「やだ、お、おろしてっ!」
「大丈夫だよ、落とさないから」
優しく、額にキスを落とすとミーシャは激しく首を左右に振る。
「ちが、……ゃ、あた……るのっ……!」
びくんと大きく腕の中で震えるミーシャ。
エレフはたまらなく愛しく思い、また唇を落とす。
ミーシャの、その細い足の奥にはエレフが入れた小さな、機械音をたてるローターが潜んでいる。
学校の昼休み、滅多に人のこない離れた第二校舎(実験室などがあるところだ)にまで手を引き、男子トイレまで引きずり込んで、無理やりに入れさせた。
足を開かせ、ローターを入れるまでは暴れていたミーシャも、やがて行為に流されるにつれおとなしく、快楽によって目に涙の膜をはった。
しかしローターの挿入だけでエレフ自身は何もしていない。
そのかわりに、エレフは、ミーシャからローターを抜くこともなく、放課後一人で先に帰った。
ミーシャは生徒会の準備があると言っていたのだから(それは朝の話だが)先に帰ったのは平素からすれば当然のこと。
しかし散々中を弄ばれ、それでも達するほどの刺激も与えられず、静かな雰囲気を保つ生徒会定例会の中で、どれほどミーシャの体が応えたかは考えに容易い。
だからこそエレフは、いつも以上にミーシャをことさらたっぷり愛撫した。
ベッドに横たえた後、シャツもボタンをはずしすべらかな乳房に口を付け、つうとなぞる。
緩やかな快楽でも今のミーシャからすれば相当辛いだろう。ベットの上で腰を揺らしながら悲鳴をあげるミーシャの艶めかしさは頭がくらくらしてくる程だ。
それでもエレフはローターを外さなかった。
獲物を捕まえた肉食獣のように、意識が朦朧としてきたミーシャにのし掛かると、そのほっそりとした白い首筋に歯を立てた。勿論、血が出るようなものではなく、歯形が残るか残らないかという程の甘噛みだったが。
しかし焦らしに焦らされた肢体はその痛みさえ絶大な快楽として享受する。
「っあぁ!!」
足の爪先がシーツを掻き、薄く柔らかな唇が大きく開く。
それでも決定打が与えられないもどかしさに、ミーシャはその体を震えさせながらエレフの髪に手を差し込んだ。
「や、も、いやぁ……エレフ!」
甘えるような喘ぎがエレフの脳天を揺さぶる。
既にその雄ははっきりと形をなし、ミーシャの太ももにあたっている。
それでもエレフはミーシャの下肢には触らずに、ミーシャの首筋を断続的に、強弱をつけて噛み続けた。
それがまるで、ミーシャの中で意識をかき乱すローターと連動しているようで、やがてエレフの髪を掴むミーシャの指が弱々しくシーツの海に落ちた。