「あっ…んふ…ふ…っ」  
まだ幼さを残した少女の声が、廃墟を吹き抜ける風に乗って闇の中に谺する。  
その間隙を縫うように聞こえるのは、獣の吐き出す荒く短い呼吸音、そしてピチャピチャと響く水音。  
「あはぁ…っ…、き…もちぃ…」  
途切れ途切れになりながらも、少女の声は愉悦に満ちていた。  
既に衣を纏わぬ白い肌―だがたった一所、両の瞳だけは布で幾重にも覆われていた。  
瓦礫の上に身を横たえた少女は、自ら身体中にたっぷりと蜜を塗り更なる快楽を求め、黒銀の犬はそれに舌で応える。  
「っは…、ここ、も…っ」  
艶やかな笑みを浮かべたまま少女は足を大きく開き、獣の鼻先を招いた。  
とろりとした蜜壺の香に、たぎる獣は強く鼻先を押し付けながら、ざらついた舌で溢れる蜜を余す事無く舐めとる。  
そしてその行為が再び蜜を溢れさせると、獣は更に激しく水音をたてて啜った。  
少女が身を捩らせて悦ぶ度零れる蜜に、やがて獣は舌先を蜜壺へと押し挿れた。  
「ふぁ…っあ、やっ…あぁああ…っ!」  
ざらついた舌が膣壁を擦るように蠢くと、少女は一際高い矯声を響かせて頂に達した。  
「…はっ…ぁあ…ぁ…」  
少女の細い身体が、余韻に震える。  
だが尚も蜜を求める獣は、飽く事無く身体中を執拗に舐め続けた。  
「…んも…ぅ、まだ欲しい、の…?」  
うっとりと柔らかな微笑みを浮かべながら、少女の細い指が獣の鼻面を撫でる。  
その問いかけに答えるように、黒銀の毛並みを持つ犬は小さく吠えた。  
 
 
狂乱の夜は未だ終わりも知らず、ただ空には微かな星光が瞬いていた。 終  
 

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