『かぼぱん・ニーソはシャイたんの趣味なのか?』 
 
・シャイタン×ライラ(非エロ) 
・美夜子 → 焔子 衣装チェンジ時妄想 
・足ばっかり(悪魔は脚派設定) 
・口調、性格、設定、全てにおいて捏造注意 
 
 
「――あ、痛っ」 
「ライラ、ドウシタ?」 
 
 契約の後、シャイターンと共に冷雨の洞窟を出ようとしたところでライラは崩れ落ちた。 
 
「足が……」 
 
 しゃがみ込んだまま腿の辺りに手を置き、小さく答える。 
 矢に射られ倒れた時に、膝をしたたかに打ったのをすっかり忘れていた。思い出したら 
足の裏まで痛み出して、涙が浮かんでくる。 
 その様子を見たシャイターンは無言でライラを抱き上げ、近くの平たい岩の上に下ろし、 
その前に膝を付いた。 
 
「治シテヤロウ」 
「ありが――きゃあっ!?」 
 
 お礼の言葉は途中で悲鳴に変わる。唐突に長衣の裾に手がかけられたためで、ライラは 
シャイターンの手をガッと掴んで引き離した。 
 
「なな、なんでめくるの!? 胸の傷はこのままで治してくれたでしょ!?」 
「傷ヲミナイト治セナイ」 
 
 真顔でそう答えたシャイターンは、再び黒い布地に手をかける。 
 
「……うぅ」 
 
 ライラは家族以外の誰かに肌を見せるのは初めてだった。 
 シャイターンは人間ではないと解っていても、なんとなく恥ずかしくて目を閉じる。 
 ……治療だ、これは治療なんだ、と言いきかせて。 
 シャイターンはライラの戸惑いなどにまるで気付かないように、裾を腿の半ば辺りから 
左右に無造作に割り開き―― 
 
「……ホゥ」 
 
 ――小さく呟いた。 
 足裏は擦り切れて土や血で汚れていたが、その先の美しさは目を見張るものがあった。 
 先ず、白い。 
 日頃陽にさらされる機会がないためか、薄明かりの中で浮かび上がる肌は恐ろしいほど 
色素が薄く、まるで真珠のような光沢を放っている。静脈が青く透けて見える小さな甲、 
折れそうに華奢な足首、そこから先はうっすらと肉付きを増しながら曲線が描かれていく。 
 その先にある右の膝頭は丸く、傷どころか皺もほとんどない滑らかな物で、左のそれに 
開いた赤黒い傷口との対比が痛々しい。ほどよく脂肪が乗ったやわらかそうな腿と、その 
半ばから上を覆い隠す無粋な布が、ライラの呼吸に合わせて微かに震える。布と皮膚の間、 
その隙間に手を滑り込ませたい、と思わせる何とも艶かしい光景だった。 
 ……あまり長く眺めていたため不思議に思ったのか、ライラが目を開ける。 
 
「……シャイタン?」 
「エ? ア、アア、今治ス」 
 
 足首に触れ、脹脛を撫で上げるように膝の裏まで手を動かした。 
 吸いつくような瑞々しい感触が掌に伝わり、シャイターンを愉しませる。 
 薄く笑みを浮かべながらシャイターンはライラの膝に口付けた。 
 
「んっ!」 
 
 小さな悲鳴が上がり、その刺激から逃れるようにライラが身じろぎする。 
 シャイターンは当然その動きを阻んだ。――岩の上に押し倒す形で。 
 その拍子に長衣が胸の辺りまではだけて、寝巻き代わりに着ていた白い肌着が表れる。 
矢が刺さった部分に開いた穴からは、滑らかな皮膚が覗いていた。 
 腿までの長さのそれも長衣と共にずり上がったために、脚の付け根近くまで露わになる。 
 
「え、えええええ!? ちょ、しゃ、シャイタン!? な、何するの!?」 
「傷ヲ治スダケダ」 
 
 あくまで淡々と答えながら手を滑らせて腿を掴むと、ライラは息を呑んで口を閉じた。 
 やわらかく沈むと同時に抗うように指を押し返す感触に、シャイターンは溜息をつく。 
ドクドクと早鐘を打つ脈が、掴んだ指を通して伝わるのもまた心地良かった。膝に再び 
口付け赤黒い肉の裂け目を舌でなぞると、ライラは喘ぎにも似た苦鳴を上げて身悶えた。 
 
 ……暫くして傷が塞がったので、口を離した。 
 舌の上に広がる鉄の味はシャイターンにとっては不快ではなく、どこか懐かしささえ 
覚えるものだった。 
 ライラの様子をうかがうと、傷口をえぐられる痛みのためか再び目を閉じている。 
 小さく胸が上下し、雫が浮かんだ長い睫と、微かに開かれた唇が震えていた。そっと 
腿を撫で上げると、くすぐったげに小さく息をつく。 
 その皮膚がしっとりと湿っているのを感じて、シャイターンはざわりと身の内が疼いた。 
 
「ひゃっ!?」 
 
 内腿に口付けられた衝撃でライラは震えた。仄明りの中、一瞬、真っ白いつま先が翻る。 
 次いで、ちゅっ、と湿った音が響いた瞬間――ライラはがばっと起き上がった。 
 
「え、な、なに、シャイタン? そこは怪我してなっ、あ、やっ、吸わないでっ」 
「ライラ、……ライラ」 
「ひゃ、ま、ま、待って、待ってってば――」 
 
 次々とシャイターンの唇が移動し、口付け吸い上げられた部分が緋色の花となって、 
真っ白い肌に次々と咲いていく。唇に次いで舌がなぞった刹那、ライラは一気に頬が熱く 
なった。確かに、つい先程、契約として口付けをした。永遠を共に生きようとも誓った。 
 ――でも、さすがにこれはいきなり過ぎるだろう。 
 
「だめええええええっ!!」 
 
 叫びながらシャイターンの角を掴んで、力一杯引き離した。 
 みしりと音がしたが気にする余裕は無い。離れると同時に長衣の裾を掴んで掻き合わせ、 
がばっと足首まで覆い隠す。 
 引き離されたシャイターンは角の付け根の痛みで、ようやく我に返った。 
 ライラは蓑虫のようにがっちりと長衣を巻きつけ、しっかりと膝を抱き、更にその膝に 
顔をうずめて、ふるふる震えている。 
 
「ライラ……スマナカッタ」 
「シャイタンの…ばか…っ! いきなりすぎるよ! じゅ、順序ってものがあるでしょう!」 
「本当ニスマナイ。ツイ、カットナッテヤッタ、今デハ反省シテイル。許シテクレ」 
「……許してもいい、」 
「アリガトウ」 
「けど、」 
「ケド?」 
「……着替える」 
 
 消え入りそうな声でライラは呟いた。 
 腿一面に吸い痕が付いた状態で、めくれやすい前開きの長衣と短い肌着で過ごすなんて 
 ……恥ずかしすぎる。どちらにしろ靴は何とかしたいと思っていた。 
 
「解ッタ。用意シヨウ」 
「……はだけにくくて、肌の露出が少ない服がいい」 
 
 そう注文をつけると、シャイターンは暫し考えた後、こくりと頷いた。 
 
「ライラ、君ノ望ニ適ウ服ヲ用意シヨウ」 
 
 ……そう言って、シャイターンが出してくれた服は、確かにライラの注文どおりに 
《はだけにくく》て《肌の露出が少ない》服だったそうだ。 
 
 
お終い 

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