魔導世紀1005年10月、熾烈を極めたネウガード攻略戦から2ヶ月半、ようやく戦傷も癒えたフラウスター本隊は大軍を持ってカイゼルオーンを急襲。  
 一目散に逃走した君主アレースを尻目に同国を蹂躙すると、返す刀でパウラス・ヌイの冥界軍先発隊を一刀両断の元に切り捨てた。  
 当面の脅威を取り除いたザーフラクは一時首都国ロギオンへの帰還を決意、同年11月、ドウム侵攻から続いた長く激しい戦旅を終え、無事祖国への凱旋を果たした。  
 お祭りムードに浸るのもそこそこに、ザーフラクはプラティセルバへ特使を派遣、ネウガード攻略戦における同国の不義を問うた。  
 君主リトル・スノーによる独断との言い訳に一切耳を貸さなかったザーフラクは、これを口実にプラティセルバ攻撃を断行。  
 ネバーランド北部のエジュー、ボルホコが雪に閉ざされるや、孤立したプラティセルバ攻略を知将チクに命じた。  
「ルネージュ公国軍はなかなかの強者揃いと聞きますが、我々総勢6個軍団で掛かれば今年中にはケリが付くでしょう」  
 チクの与力として遠征軍に加わることとなった騎兵トゥイングーの首魁ハン・デ・クルはリラックスして言った  
「上手くいけば来年の正月は久し振りに母上の手料理が食べられるというもの」  
 うなずくジャピトス王宮軍を率いるカーマ・ラ・ルーの態度にも、一向に緊張感が感じられない。  
「大君主様が我らにお命じになったのは、プラティセルバ征伐・・・」  
 しかしその言外には、奪取したプラティセルバを拠点に、エジュー、ボルホコまでを攻略しなければならないという含みがある事に気付かない副将2人を前にチクは黙り込む。  
 エジューはともかく、ボルホコ山に住むという剽悍な翼戦士達を相手にするには、6個軍団はむしろ少なすぎる数である。  
「こうなると大君主様にカミシアを取り上げられたのが痛いや・・・」  
 自分が戦術指揮官として『武』に専念する際に『智』の部分を補ってくれるブレーンとして招こうとしたカミシアは、先の戦いで戦場の露と消えたブレイクの情婦である。  
 カミシア自身の口からその事実を告げられたチクは慌てて登用を見送ろうとしたのであるが、ギャリンの告げ口からそれを知ったザーフラクは敢えて彼女を自らの副官に取り立てた。  
 そして何故かカミシアはその要請に応え、憎いはずの男に仕えることになったのである。  
 
「女の人って、よく分かんないや」  
 ともかく人魔和解を説くために、フラウスターの中での発言権を強めなければならないチクは、6個軍団を率いる北部方面軍総司令官として、頂に雪を冠する山々目指して出立していった。 
 
                               ※  
 
「ギュフィ2世殿下より、お貢ぎ物です。ナハリ復権のお礼とか・・・」  
 ザーフラクは執務室にあって、副官カミシアが淡々とした口調で読み上げる書類を心地よさそうに聞いている。  
 結局のところ酒と女にだらしのないドファンは、君主としては失格だったようであり、失政を繰り返した挙げ句、一月待たずして失脚していた。  
 一方、シルヴェスタ国内で危機的状況に陥ったランジェ隊を、ギュフィ2世の軍が救出するという勲功を上げたのは、ちょうど同君のナハリ復権が取りざたされていた時であった。  
 ナハリへと帰還したギュフィ2世は新領ヘルハンプールはそのままに、新たにネウガード、トータスブルグ、バルハラの統治権を与えられ、実に5カ国を統治する太守となった。  
 ただしこの5カ国のうちトータスブルグとバルハラは共にネウガード領内の亡国名であり、実際に新たに下賜された国はネウガード1国なのであるが、文句は勿論何処からも出なかった。  
 国などと言うものは統治する側から見れば、手狭に区切られている方が制御するのに容易いのである。  
「しかし殿下も国替えの後、短期間でよくあれだけの兵力を蓄えたもの」  
 ザーフラクもヘルハンプールの国力を頭に描いて不思議に思う。  
「おそらく復活させたモンコン大会によるものかと。一度ぜひ御前興業を開きたいとも申されております」  
 モンスター同士の一騎打ちからなるその闘獣大会のことはザーフラクも聞いたことがあった。  
「ふん。どうせシーマ・ツヴァイ辺りがギャンブルの要素を取り入れおったのであろう」  
 戦乱の去った国では、早くも娯楽を求めるゆとりが出始めている。  
「後一息か・・・」  
 ザーフラクはこれまでの戦いを反芻しながら目を細める。  
 
「時に、現在の兵力で計算しますと、メイマイ征伐に動員できる我が軍の兵力はギュフィ2世殿下の手勢を併せて約12個軍団。本国守備に4軍団駐留させるとして、渡海部隊に使えるのは8個軍団です」  
 早くもギュフィ2世の兵力を削ぎに掛かる新副官の冷徹さに、ザーフラクも寒いものを感じる。  
「ふむ。8個軍団あれば他の諸島連合、イズルヒ、ムロマチが救援に駆け付けてきても各個撃破の餌食に出来ようぞ」  
 ザーフラクは軍事同盟で結ばれた3カ国の綻びを、彼らを守るはずの海そのものに見つけた。  
「所詮は地続きではない島国の同盟など、始めからヒビが入っておるわ。海が荒れ出す1月までが勝負だ。直ぐにハネーシャ艦隊軍に繋ぎを」  
 軍師ジルオンに細かい戦術を練らせるため部屋を出ていこうとするザーフラクをカミシアが呼び止める。  
「大君主様は仇敵の情婦など、どうしてお信じになられるのです?お恨みなどしていないという私の言葉を真に受けられたのですか」  
 立ち止まったザーフラクが煩わしそうにしかめた顔で答える。  
「余が信じておるのは身上ではなく能力のみ。それに余はそなたに恨まれるようなことをした覚えはないからな。」  
「うそっ、うそです。私はあの人を・・・ブレイクを愛していました」  
 冷静なカミシアが激情に身を任せ、着ていたドレスを脱ぎ捨てる。  
「私に含むところが一切ないのなら、私を抱けるはずですっ。さぁっ、抱いてみせてください」  
 熟練の芸術家が丹誠込めて彫り上げた彫刻を思わせるカミシアのヌードは、美しいの一言であったが、血の気の無さもまた彫刻そのものだった。  
 後ろ手にドアを閉め掛けたザーフラクが背中越しに付け加える。  
「余は、死にたがっていた者を・・・土に還しただけだ」  
 それだけ言うとザーフラクはドアを閉めて廊下を歩いていった。  
 
                               ※  
 
 メイマイと連合を組む一方の島国ムロマチの城壁は一風変わっている。  
 その瓦屋根付き城壁に囲まれた本城の寝所を盗み見する4つの目があった。  
 
「うほっ。あの姫さん尻に入れてるぜ」  
 下卑た笑いを見せるのはムロマチの武将シンザン。  
 もう1人の侵入者、ソルティは不機嫌そうな顔で君主シンバの行為を見守っている。  
 寝所にあってシンバに組み伏せられ、後ろからアナルを犯されているのはメイマイ国の王女ティナであった。  
「こっ・・・こうして、ティナのお尻を愛せる日が・・・また来るなんて・・・ウソみたいだよぉ」  
 シンバは激しい息づかいをしながらティナに話し掛ける。  
「あっ・・・あたしも・・・あぁっ、そこぉっ・・・」  
 本来排泄のみに用いるはずの菊型のすぼまりはシンバの太いモノを悠々と飲み込んで大きく広がりを見せている。  
 シンバに抱え込まれたティナの白い尻がエロティックに円を描いていた。  
 偶然知り合い、密かに親しみを深めた隣国の姫との秘密の睦み合いの為に、平民シンバが考えに考えた末、思いついたのが排泄器官を利用した疑似性交行為だった。  
「これなら密通の証拠は残らないし、姫の貞操も保たれる」  
 我ながら発明の天才だと思った当時のシンバは、やはり子供であった。  
「けど・・・ティナいいのか、会議に訪れた使節が・・・こんなことしてて。ザーフラクの手の者は・・・盛んに君のこと・・・淫乱王女だなんて・・・宣伝してるしさぁ」  
 シンバのゆっくりだが深いピストン運動に、直腸壁を擦り上げられたティナは快感の余り背中を思い切り仰け反らせて悲鳴を上げる。  
「あぁんっ・・・いっ・・・言わせておけば・・・いぃっ。いっ・・・淫乱は・・・ほっ・・・ホント・・・あぁ〜っ」  
 シンバのモノが射精しそうに痙攣を始めたのを感じて、ティナのアヌスがそうはさせまいと無意識に締め付けを強くする。  
「あぁ〜っ。駄目だよっ、ティナッ。ティナァァァ〜ッ」  
 大声で隣国の姫の名を呼んで身震いしたシンバは、彼女の直腸にタップリと白い液を放った。  
「せっかく君主になったというのに・・・」  
 愛する女は既に別の男の所有物になってしまった。  
 自分の股間に顔を埋め、舌を使って汚れを清めてくれているティナを見下ろしてシンバは虚脱感に襲われた。  
 
「ねぇ、ティナ・・・」  
「黙って・・・」  
 喋り掛けようとしたシンバをティナは遮る。  
「今は何も言わないで・・・平和な日が戻る日までは・・・」  
 その意味をどう取って良いのか分からないシンバは黙り込む。  
「ねぇ・・・普通にしてみましょうか・・・」  
 いきなりの申し出に戸惑うシンバの前にティナは仰向けに寝そべる。  
 形のいい胸の2つの膨らみはそれでも崩れない。  
 股間の金の飾り毛に縁取られた秘裂にはあの男のモノが何度も出入りしたのであろう。  
 そう思うとシンバの対抗意識がムクムクと頭をもたげてくる。  
「ようしっ、行くよティナ」  
 シンバはティナの両足を乱暴に左右に開くと、いきり立ったモノを股間に押し当てた。  
「足は肩に掛けるのよ」  
 ティナの言葉に従ったシンバはメイマイスタイルを取ると、先の部分をティナの体の中に潜り込ませていった。  
「・・・ご免なさいフォルト・・・同盟を強固にするには、シンバの私に対する未練を利用するしかないのよ・・・辛いけど・・・愛するあなたのためなら、私なんだってするわ」  
 心の底でフォルトに詫びながら嬌声をあげて腰を使うティナ。  
「あぁっ・・・いいっ・・・あなたの・・・いいわぁっ。アァーッ」  
 それを盗み見しているシンザンも我慢できなくなってくる。  
「なっ・・・なんてエロい女だ。くそっ、俺・・・もう我慢・・・」  
 今にも爆発しそうな股間を擦りながら助けを求めるようにソルティを見るシンザン。  
 しかし性欲とは別の種類の興奮をソルティの目に見て取ったシンザンは絶句する。  
「殺意・・・」  
 武人であるシンザンは、今ソルティの体中から発散している、目には見えない物質の事を、その名で呼んでいた。  
 
          ※  
 
 同じ頃、イズルヒを訪れたメイマイの外交官ラトは、迫り来るフラウスター兵団に関する最新の情報を持って君主烏丸と面接していた。  
 
「よぉ、ラト。久し振りだな」  
 ラトはモンコン時代の友人烏丸に会えることを楽しみにしていたのである。  
 ラトには当時烏丸に憧れ、彼の追っかけをしていたという恥ずかしい思い出があったが、久し振りに旧友に会えた懐かしさで一杯だった。  
「いい女になったなラト・・・特に胸から腰にかけてのラインが何とも色っぽいや」  
 それだけにロマンティシズムの欠片もない烏丸の言葉にムッと来てしまった。  
「やめて下さい。今日はフラウスターの新情報を持ってきたんです」  
 ラトは不機嫌そうにわざと丁寧な言葉を使う。  
「へへっ、気取るんじゃねぇよ。俺様に抱かれたくってわざわざ来たんだろ。顔に書いてるぜ」  
 いよいよガッカリしたラトは書類だけを机に置いて退席しかける。  
「そう急かせんじゃねえよ、この好き者が」  
 烏丸はラトの手首を握って部屋に引き戻す。  
「なんでこんな人のこと好きになったんだろ・・・」  
 思い出をぶち壊されたラトは、一旦上に吊り上げた烏丸の手を肘関節で折り畳むと、全身の力を使って彼の体を地面に叩き付けた。  
「しまった。あたし外交官だったんだ・・・」  
 しかしラトが後悔するよりも早く、空中で身を翻らせた烏丸は足から地面に着くと、その勢いを使って逆にラトの体を投げ飛ばした。  
 大股開きでベッドに叩き付けられたラトは一瞬息が詰まる。  
 その足の間に割って入った烏丸は拳法衣の前を跳ね上げる。  
「色気のないの履いてんぁ」  
 舌打ちした烏丸は白い木綿のパンティをためらいなく引き千切る。  
 露出されたラトの股間はぷっくらと恥丘が高く、髪と同じ黒々とした縮れ毛は不必要なほど濃かった。  
「お前、結構濃いな。尻の穴の方までビッシリじゃないか」  
 烏丸が面白い物でも見つけたかのようにケラケラと笑う。  
「いやぁぁぁっ、見ないでっ。見ちゃ駄目ぇぇぇっ」  
 
 下半身にコンプレックスのあったラトは誰にも見せたことのない部分を大笑いされて羞恥の余り真っ赤に染まる。  
「見られてる・・・あたし全部見られてるわ・・・」  
 他人には絶対に見られたくなかった部分を、尻の穴までさらけ出した大股開きで男に見られているという異常な状況に何故か興奮してしまうラト。  
「なんだ?お前、見られてるだけでもう興奮したのかよ。おねだり汁なんか垂してんじゃねぇよ」  
 烏丸は溢れんばかりになってきたラトの蜜壷に人差し指を入れると、グルグルと掻き回して弄んだ。  
「やめてっ・・・お願い、やめてっ」  
 力では叶わないと知らされたラトが哀願口調で烏丸に訴える。  
「こんなに濡らせといてなにが止めてだ」  
 烏丸はラトの汁を指に馴染ませると、包皮を捲くって一番敏感な部分を露出させる。  
「見られただけでクリまででっかくしといて。こいつはお仕置きが必要だな」  
 烏丸は親指と人差し指の間にラトの肉芽を挟み込むと微妙な力加減でこね回し始めた。  
「あっ・・・くぅぅぅ〜っ。うぅぅぅ〜むぅぅぅ・・・」  
 全身に駆け巡る快感に必死で耐え抜こうとするラトは歯を食いしばって首を激しく振る。  
 不意に止まった責めにラトが気を抜いて脱力した瞬間を狙って烏丸の指がキリリと絞られる。  
「アヒィィィィーッ」  
 思いもしなかった快感の不意打ちに、背筋を一杯に仰け反らせて反応したラトは、股間から熱いものを迸らせてしまった。  
「良すぎて潮吹きやがったな・・・お前みたいに敏感な女は知らねぇよ」  
 半ば感心して、半ば呆れながら烏丸はラトの黄色い拳法衣を脱がせていくが、脱力状態のラトは抵抗すら出来ない。  
 やがて全裸に剥かれた上でベッドに寝かされるラト。  
「さて、それじゃ久し振りにお前の腋臭でも嗅がせて貰うぜ」  
 残酷そうに笑ったイズルヒの君主は自身も全裸になるとラトの体に飛び掛かっていった。  

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