「どうだアゼレア。軽蔑している人間の男の前で恥ずかしい格好を晒している気分は?」
アゼレアの股関節はマハラージャの怪力で脱臼寸前にまで開かれている。
「あぅぅぅ・・・」
限界を超える股裂き責めの苦痛にアゼレアの顔は激しく歪み、食いしばった歯の隙間から押し殺したような悲鳴が漏れてしまう。
「恥ずかしいか。しかしワシがお前から受けた恥はこんなもんじゃないぞ」
復讐の悦楽にマハラージャの顔に下卑た笑いが浮かぶ。
「どれ、気位の高いエルフの女王様の蜜のお味は如何なものかな」
マハラージャはアゼレアの股間に巨大な顔を近づけると、彼女の花芯にそっと唇を寄せた。
アゼレアはなんとかマハラージャの顔を近づけまいと両手で押しやろうとするが、力の差は歴然としている。
「止めなさい。不埒者っ・・・あぁっ」
そんな制止などには聞く耳も持たず、マハラージャの舌がアゼレアの敏感な部分をじっくりと味わっていく。
「うぅぅ、何という美味。勿体をつけるだけのことはあるわい。たまらんっ」
マハラージャは改めてアゼレアの股間に顔を寄せると、今度は本性を剥き出しにして激しくむしゃぶりついた。
マハラージャの熱い舌先がアゼレアの蜜壷深くを抉り、鼻先が一番敏感な肉芽にグリグリと擦りつけられる。
「あぅっ・・・やめっ・・・やめてぇ・・・はぁうぅぅぅ・・・」
女体の泣き所を知り尽くしたマハラージャの的確な責めに、お姫様育ちのアゼレアが耐えられる道理も無かった。
敏感な部分を舐め上げられることにより、好むと好まざるに関わらずアゼレアの秘密の泉がこんこんと湧き上がって来てしまう。
「ずいぶん水っぽい雌エルフだな。尻の穴までベトベトではないか」
マハラージャは一旦片手を離し、膝でアゼレアの足を固定すると、ズボンの前を開いて巨大な肉棒を引きずり出した。
「ひぃぃっ」
血管が浮き上がりドクンドクンと脈打つ野太い逸物を見せつけられたアゼレアは悲鳴を上げて目をそらせる。
血統を重んじるエルフ社会にあって、その女王が人間に契られるということは全エルフ族にとって屈辱の以外なにものでもない。
「これでお前を屈服させてやるぞい。なに、一度これを味わえばワシ無しでは生きていけなくなるわい」
グフフと笑いながらマハラージャがアゼレアの膣口に先端を押しつける。
「いやっ、こんなの嫌ぁぁぁっ」
自分の握り拳ほどもある亀頭が体内に潜り込んでくるのを感じながらアゼレアは絶叫を上げる。
「気位の高いエルフの女王といえど、やっちまえばこっちのもんよ」
アゼレアの狭い秘肉を押し割って先端を侵入させることに成功したマハラージャが、一気に貫き通そうと腰に力を入れたその時であった。
ガラガラと大きな音を立てて謁見の間へのドアが無遠慮に開かれた。
「誰だっ。今いいところだから邪魔するでない」
勢いを殺され不機嫌そうに背後を振り返ったマハラージャが見たものは金髪で髷を結った黒ずくめの男であった。
「よぉ、相変わらずあくどい商売続けているようだな」
目の前の修羅場など気にせぬそぶりで、男は微笑んだまま気軽にマハラージャに話し掛ける。
「おっ・・・お前はぁ、オロッ、オロッ・・・大蛇丸」
生唾を飲み込んで狼狽えるマハラージャの逸物が見る見る縮み上がりアゼレアの中から抜け落ちる。
「おほっ、こいつはホントにエルフのお姫さんじゃないか。お前度胸あるなぁ」
無惨な生け贄の顔を確認したその男、大蛇丸がマハラージャに向き直り、半ば呆れ半ば感心したように賞賛する。
「なっ・・・何しに来たんだ?」
ムロマチ国の君主にして『極東の飛竜』の異名も名高いネバーランド屈指のサムライを前にしてマハラージャは完全に圧倒されていた。
「そうそう、先日お前んとこの下っ端奴隷商人が、うちの国の旅行者を相手に誘拐未遂を起こしやがったとかで訴えが出てんだよ。それで今日は抗議に来たってわけでな」
あくまで笑みを絶やさない大蛇丸の言葉に、悪徳奴隷商人の親玉マハラージャの顔が気の毒なほど青ざめていき、女衒の親玉は情けなく失神する。
「お前さんがどんな商売しようたって俺様には関係ないが、以前からあれだけうちの国民だけにゃ手ぇ出すなって忠告してたんだしよ」
「そっ・・・それは済まなかった。なっ・・・何かの手違いだと思うが、いずれ償いはさせて貰う積もりだ」
下手をすれば命取りにもなりかねない女衒師の失態を呪いつつ、素直に詫びを入れるマハラージャ。
「流石は悪徳奴隷商人の王、マハラージャだ。話しが早くて助かるぜ」
褒めているのか、けなしているのか分からない言葉であったが、大蛇丸のご機嫌そうな笑顔を見たマハラージャはホッと溜息を漏らす。
「ところで話しは変わるがよ・・・」
そこで微笑みを消した大蛇丸の冷たい目がマハラージャを真っ向から見据える。
「このお嬢ちゃんを泣かせたのはお前さんの仕業だな?」
大蛇丸の細袴の後ろから姿を現せたビキニ姿のスタリナがマハラージャを睨み付ける。
「ゲェェェッ・・・」
4本の冷たい視線に気圧されてマハラージャが尻餅を付く。
「こんなちっちゃな子にまで手を出そうなんて・・・最低な奴だな」
「ワシッ・・・ワシは知らん。ワシにはそんな趣味は無いぞい」
ブルンブルンと激しく顔を横に振り、ロリータ趣味を否定してみせるマハラージャだったが、無理矢理に悩殺ビキニを着せられているスタリナを前にしては説得力がまるでない。
「お侍様、嘘です。この男は女と見ると見境の無くなる最低の悪党です」
意識を取り戻したルーチェの厳しい指摘がマハラージャだけでなく、脛に同じ傷を持つ身の大蛇丸の心臓をも深く抉った。
「ルーチェ、貴様。命を助けた上、これまで可愛がってやった恩も忘れて」
マハラージャがひとしきり激怒する間に大蛇丸は素早く心の平静を取り戻す。
「とにかく悪人の風上にも置けんお前に制裁を加えておく」
今や完全に目の据わった大蛇丸の宣告にマハラージャは壁際まで跳び下がり、窓を開けはなった。
「曲者だっ。出あえぇぇぇっ」
マハラージャはオリジナリティの欠片もない常套句を用いて城塞内の手下に助けを求める。
「グフフッ、この城の中だけで100人からの手下が詰めておるのだぞい。如何に『極東の飛竜』とて無事に帰れると思うなよ」
急に勢いを取り戻したマハラージャが反っくり返って大笑いするが、大蛇丸に動じる素振りは全く見えない。
「誰も来ねぇみたいだな」
大蛇丸の言う通り、既に駆け付けて来てもいいはずである援軍の足音は一向に聞こえてこない。
不審に思って窓から庭園を見下ろしたマハラージャの目に飛び込んできたのは、門前から目下へと続く、死体で作られた道路であった。
「ひゃっ、百人斬りぃ。おっ・・・お前、1人で・・・」
「もう少しマシな手下を持った方がいいぜ」
面白くも何ともないといった調子で大蛇丸が忠告をくれる。
「ギャアァァァッ」
レベルの差を知らされパニックに陥ったマハラージャは壁に掛かっていた戦斧をむしり取ると、絶叫を上げながら大蛇丸に突っ込んでいった。
瞬き一つせずに戦斧の横殴りを見切った大蛇丸は、右手に持った『昇陽』の業物を頭上に掲げ、鞘ごとマハラージャの脳天に叩きつけた。
「ギャッ」
鈍い音と共にマハラージャの足元の床が抜け、巨体が胸の辺りまで階下に陥没する。
同時にマハラージャの黒目が瞼の奥へと裏返り、完全に失神してしまった。
「アゼレアッ」
スタリナがアゼレアの元へ走り寄り、ルーチェは窓から引きはがしたカーテンを彼女の体に掛けてやる。
「だいじょうぶ・・・だいじょうぶです」
流石に強姦され掛かったショックから完全には立ち直れていないアゼレアだったが、心配顔のスタリナを気遣って青ざめた顔に作り笑いを浮かべる。
「ホントに大丈夫かよ。何なら俺様が確認・・・」
カーテンの裾をつまみ上げようとした大蛇丸が最後まで言い切らないうちに、アゼレアの強烈な平手打ちが彼の頬に炸裂する。
「大蛇丸っ。あなたって人は・・・本当に最低な男ですね」
痛そうに頬をさする大蛇丸を目を三角形にして睨み付けるアゼレア。
「なにしやがるんだ。それが恩人に対する態度かよっ」
「誰もあなたに助けてくれって頼んだ覚えはありませんっ」
ふくれっ面で顔をそむけてみせるアゼレア。
「ったく・・・とんだお転婆だぜ。けど、ようやくいつものお前さんの調子に戻ったな」
大蛇丸流の気遣いを理解したアゼレアは仏頂面をしたまま、繰り出し掛けた2発目の平手打ちを渋々と収める。
「ともかくあなたに変に恩に着せられるのも嫌だから、一応お礼は言っておきます」
アゼレアは不本意な態度をありありと見せながらペコリと頭を下げた。
「何だ、言葉だけかよ。俺様は全エルフの尊厳を守ってあげた英雄だぜ。ホッペにチュウくらいしてくれても罰は・・・」
不満そうな大蛇丸の頬に火の出るような2発目の平手打ちが炸裂する。
「調子に乗らないで下さいっ。あなたのふしだらな言動には全エルフの娘が迷惑しているのですよっ」
頭から湯気を上げんばかりのアゼレアの勢いに大蛇丸もたじたじとなる。
「とほっ、こんなんじゃ俺の助けなんて必要なかったんじゃないのかよ」
※
「男のくせにポニーテールなんておかしいや」
すっかり大蛇丸に懐いてしまった様子のスタリナを見てアゼレアは自分の考えを少し改める。
「喧嘩っ早くて、がさつで下品だけど、妖精に好かれる悪人なんていないし・・・」
そういう気持ちで大蛇丸を見てみると、喧嘩っ早さは彼の強さと自信の現れに、がさつで下品なところは気取らず分け隔てのない性格に見えてくるのであるから不思議であった。
「そうだっ」
いきなり叫んだ大蛇丸に注目するアゼレア。
「この機会に、ここのハーレムの女どもをそっくり頂戴しちまおう」
生き生きとした目で語り始める大蛇丸を見てアゼレアはガックリと肩を落とす。
「例え一瞬とはいえ、あなたの事を見直そうとした私が愚かでした・・・」
※
結局、大蛇丸はハーレムでしか生きる術を持たない一部の者を残して、マハラージャに捕まっていた女達を解放してやった。
「いいのですか。あの人達を残したりして」
悪の巣窟に女性を残していくことにアゼレアは一抹の不安を覚える。
「なに、自分の意志でハーレムに残ってあげるんだ。マハラージャも感激して少しは扱い方を良くするだろうよ。ところでお前さんはこれからどうするんだ」
大蛇丸の気配りに感心していたアゼレアは急に問い掛けられて言葉に詰まる。
「私・・・私は・・・」
「ドウムの噂を聞いて、エイクスに向かうんだろ」
「違いますっ」
秘密にしていた冒険の目的をズバリ言い当てられたアゼレアは真っ赤になって否定する。
「へへっ、顔にそうだって書いてあるぜ。それじゃ俺も・・・」
「えっ?」
大蛇丸の言葉にドキリとしたアゼレアが硬直する。
「・・・そろそろ行くよ。女達を無事に国境まで連れて行かなくっちゃいけないからな」
アゼレアは一瞬何かを期待しかけた自分に気付き、狼狽えて耳まで真っ赤に染まる。
「わっ・・・私も行かなくては。ルーチェさんをヘルハンプールのお友達の所まで送って行かなくてはならないのです」
アゼレアは大蛇丸に心の動揺を悟らせないよう、殊更に急いでヤギの引く車に乗り込む。
「狭い大陸のことだ、また逢うこともあるだろう。その時にゃ・・・」
「その時にはタップリとお説教して差し上げますから、覚悟してなさい」
アゼレアは思いっきり怖い顔を作ると、大蛇丸を睨み付けながらヤギに発車の合図を送った。
ゴルデン国境へ向けて進むアゼレアの車はやがて丘の向こうに見えなくなる。
「嫌われちゃったかな」
「はい」
独り言のように呟いた大蛇丸に答えるように、姿を現した不如帰が言葉少なに答える。
「全く望み無しです」
頭から決めつけて掛かる無表情な不如帰。
新たな戦乱の足音が忍び寄りつつある今、今日の友が明日の敵にならないとも限らない。
「嫌われてた方がいいんだ・・・」
ふと寂しげな表情で目を細めた大蛇丸だったが、振り返った瞬間にはいつもの微笑みを浮かべて、彼を待つ水着美女達の方に歩んでいった。
(『水の都の決闘』編につづく)