深き森に囲まれしエルフの古城プリエスタ。
その一室で一人の人間が旅の支度をしている。
「ふう、準備はこれ位で十分だろ。」
そう、この国で唯一人の人間の武将であるジルだ。
「今日でここともお別れか。」
準備を終えたジルが寂しそうに窓から見える夜景を眺める。
思えば本当に色々な事があった。
遺跡泥棒と間違えられて捕まった事やそのまま武将として働いた事。
ソルティ解放軍かこの地を守り魔皇軍との和平で平和を取り戻した事。
別れを惜しむには十分すぎるほどだった。
けれどもジルはここを去らねばならない。
故郷に帰る為に。
居るべき世界に戻る為に。
長い時間感傷に浸っていたジルだったが、ドアを叩く音で現実に戻される。
「こんな夜更けに誰だろう。」
不思議に思いながらジルがドアを開けると、
そこにはマーガレットが立っていた。
「ゴモラから聞いたわ。アンタ、ここを出て行くって本当なの?」
ドアを開けるなりマーガレットがジルに問い詰める。
「あのバカ。みんなには黙ってろって言ったのに。」
ジルは自分が去る事をゴモラにしか話してなかった。
「なんで、なんで急に出て行くなんて言い出すの。」
ジルの言葉でそれが真実だと解ると、マーガレットは叫ぶように問い詰める。
「シー、声が大きい。ここじゃ周りに聞こえるからとりあえず場所を変えよう。」
このままだと他の人にもばれてしまう。そう思ったジルはマーガレットと共に
自分の部屋のテラスに移動する。
「今日は満月かぁ。森が一段と綺麗に見えるよ。」
「誤魔化さないで。」
ジルは話題を逸らそうとするがマーガレットが余りにも真剣なので覚悟を決めた。
「ゴモラの言った通りだ。俺は明日ここを出て行く。この国が平和になった今
もう俺の力は必要無いだろ。」
「なんで今まで黙ってたの。」
「別に言う必要は無いだろ。俺は元々よそ者なんだし。」
それは嘘だ。本当の理由はみんなに話すと別れるのかえって辛くなるからだ。
だがその嘘を信じたマーガレットがいきなりジルに平手打ちを食らわせる。
「えっ」
突然の出来事に驚いてマーガレットを見つめるジル。
マーガレットは怒った表情で涙を流していた。
「馬鹿馬鹿、馬鹿。アンタなんて、ひぐっ、あたしの気持ちも知らないくせに。」
その言葉でジルは、自分の強がりがあまりに軽率だった事に気付いた。」
「ごめん、マーガレット。俺が馬鹿だった。」
ジルは強くマーガレットを抱きしめる。
「ジル・・・。」
月光が二人を照らす。
満月の下の元、二つの影は一つになった。
水を打ったように静まり返った夜のプリエスタ城。
その一室で二人は愛し合っていた。
生まれたままの姿になったマーガレットの身体にジルの舌がゆっくりと這う。
「あっ、うぅ・・」
ジルの舌にマーガレットは快楽を感じながらも、未知の感覚に身体を強張わせる。
「大丈夫。全部俺に任せて。」
そんなマーガレットの様子を肌で感じたジルは、そう言ってマーガレットを
安心させ、這わせていた舌を秘所へと持って行く。
「あぁ・・・」
自分の想い人に性器を舐めらるに刺激に、マーガレットは声をあげる。
何度この事を想像して自分を慰めたことか。
精神と身体が満たされた今、マーガレットは秘所を大量の愛液で濡らす。
「そろそろ良いかな。」
そう言ってジルはマーガレットの秘所から舌を離すと自分のペニスをあてがった。
「初めてだから痛いと思うけど我慢して。」
ジルのペニスがゆっくりとマーガレットの膣に入っていく。
マーガレットの秘所から一筋の血が流れ落ちる。
それは、紛れも無い純潔の証だった。
翌日の明朝。
プリエスタ城を後にする人物がいた。
「もうここに戻る事も無いだろ。」
ジルだ。あの後ジルは一晩かけてマーガレットに最後の別れをしたあと、自分の
ベットで幸せそうに寝てるマーガレットを起こさないように、そっと部屋を出た。
たった一つ、さよならと書き置きを残して。
「さてと、まずはラトーラと合流しないと。」
そう言いながらジルは城を背に旅立っていく。
朝日が彼の背中を優しく照らしていた。
・・・ジルは知らない。キーナが昨日の出来事を覗いていた事を。
ジルは知らない。自分の後をキーナがこっそりついてきている事を。
そして、これから近い内に、姉代わりだった女盗賊頭に男にしてもらった事や
彼女の姪や赤髪の友人に教えられた夜の技を駆使していた事、更にはエルフの
王女様とも何度か夜を共にしていた事、それら全てのツケがまわってくる事を。