窓の外から明るい光が差し込み、青々とした空が広がっている。
机に向かって勉強をしていたエルフの少女、フレデリカはその景色をぼんやりと眺めていた。
最近、獣医になるための勉強にもなんとなく身が入らなくなってきた。
(今頃、どうしてるのかな…)
頭に浮かぶのはとある青年。
はじめは敵として出会い、そしてともに旅をした彼…
意思に反して見知らぬ異界に呼び寄せられ、孤独を感じながらも懸命に戦っていた青年。
(アキラさん…)
そこに主の様子が気になったのか、ペットのソルがフレデリカの肩に乗りかかる。
はっと意識をそちらに向けるとソルが心配そうに眺めていた。
「あ…ごめんねソル、ご飯にしようか」
「きゅいー」
餌をおいしそうに食べるソルの様子もフレデリカはどことなくぼんやりとした表情で見つめていた…
夜、ベッドの中に入っても考えるのはきまってあのことだ。
(どうしてもっと、積極的になれなかったのかな…)
森を守りたくて、嫌な男の言う事をきいていた私の目を覚ましてくれた彼。
親友のキュオと傷つけあわずにすんでとても嬉しかった。
そしてそんな彼の素性をしって、お礼返しの意味も込めて旅に同行する事にした。
孤独に沈みがちだった彼をなんとかしてあげたい。
そこに潜む感情に気づき始めた頃にはもう遅かったのかもしれない。
戦いのないとき、街でアキラさんはキュオと一緒にいる姿をよく見かけた。
(キュオ…そっか、そういうことだったのね)
感じたのはキュオに対する嫉妬か?それとも後悔?おそらくどちらもだろう。
身を引くといえば聞こえはいい。でもわたしは別段、なにかしたわけじゃない。
仲良くなってく二人をみてわたしは、分けて入る自信がなかった。
そんな二人の様子をみてわたしはただ見ているだけだったな…
*
二人の仲が決定的になったのは、最後の決戦前の夜のこと。
決戦前に緊張したのか、なんとなく寝付けなかったわたしに二人の声が聞こえた。
その…そういう行為の声が…
「キュ、キュオったら…そんな声…」
なにを興味津々で聞き耳立ててるんだろう。
自分でもむなしくなってきた。懸命に耳をふさごうにも二人の声はどんどん大きくなってきて、とても寝付けなかった。
わたしは何かに突き動かされるように、知らぬ間に股間に手が伸びて…
「ん…」
(こういうこと、は、初めてだったはずなのに…)
前から知ってるかのように手が動いた。まるで手自身が意思を持っているかのように。
となりの部屋に声が聞こえないように懸命に声を抑えようとするも、漏れる声をとめられなかった。
その漏れる自分の声がますます自身の興奮を煽る。
下着の上から筋にそってなぞる。
「ん、んぁ…あぁ、はぁ、んん…んぁ」
すでに下着は自身の秘所からあふれる液によって大きなしみができていた。
あいた片方の手で胸をまさぐる。
すでに乳首はビンビンに硬くなっていた。
その乳首をクリクリと人差し指でこねくり回すと、また違った快感が押し寄せる。
(いい、ア、アキラさん…そこすごく、感じちゃう…)
知らず知らず自分の秘所をいじる手をアキラの手に置き換えていた。
(ねぇ…アキラさん、わたしもうこんなになっちゃたの…そこ、もっといじって…)
下着越しではもう物足りなくなったフレデリカは直接秘所に手を這わしその濡れたクレバスに指を差し入れした。
肉壁をかきまわす手はすでに始めてとは思えなかった。
ふと、ぷっくりとしたクリトリスにふれると電流が体中を駆け回った。
「う、うぁ!…はぁはぁ、ん、んぁ…ああん、ふぁ」
そのすこし大きく漏れた声が自身の理性をほんのすこしだけ呼び戻し、あわてて声を抑えようとシーツのすそを噛んだ。
(アキラさん、アキラさん、もっとぉ、もっとして…)
すでにキュオのものになってしまったというのに…
皮肉にもその背徳感がさらなる快感をまねきよせ、指の動きがさらに激しくなる。
グチュ、グチュ、グチュ…
指と愛液のかなでる音がやけに大きく感じる。
「ン、ンンーーー」
(アキラさん、わたしも、もう…)
「ン、ン、ンアアアアア!!」
フレデリカが絶頂に達すると同時に秘所から噴水のように愛液が吹き出た。
「ふぅ、ふぅ…」
思ったよりも激しい運動のためか心臓の鼓動が激しかった。
呼吸が整うと同時に、さっきまでの自分の淫ら姿に思わず顔が真っ赤になった。
それと同時に空しさが心を支配した。
(わたしったら…どうしてこんな…)
自分の乱れぶりもそうだが、アキラに抱かれるようしていたなんて…
ふと隣の部屋の声も止んでいた。
(…おめでとうキュオ、アキラさん幸せにしてあげてくださいね)
知らないうちにわたしの頬に涙がつたっていた…
*
思い返すとまた気が重くなってきた。
(もう、吹っ切ったはずなのに…)
自分はこのままでは駄目になる。でも…どうしたらいいのかわからない。
ミュウや他のみんなならどうするのかな…
頭に浮かぶかつての同級生たち。
そうだ。ミュウだったらやらないで後悔するくらいなら玉砕覚悟で突っ走るはずだ。
わたしはやらないうちから後悔してばっかりだ。
きめた。会いに行こう、二人に。
もしかしたら、アキラさんを困らせるかもしれない。でもわたしが前に進むためにはこうするしかない。
これはわたしのわがまま、どんな結果になろうと覚悟はできてる。
明日早速、旅に出よう。
すこしだけ気が楽になったわたしは、そのまま目を閉じた。