メイマイ城深夜。フォルトは憂鬱そうに廊下を歩いていた。例によってマユラに呼び出されたからだ。マユラの部屋に呼ばれる=最後には酷い目に遭う。
フォルトもその公式は頭の中では解っていた。しかし呼び出しに応じなければもっと酷い目に遭う。その事も身をもって知っているのである。
「・・・はぁ、マユラ入るよ。」
重い足取りでようやくマユラの部屋にたどり着いたフォルトはそういって扉を開ける。いつもならマユラが中央のテーブルに着いて待っているのだが今日だけは違っていた。
「随分と遅い到着ですね、フォルトさん。」
本来、マユラが座っている筈の場所にリムが座ってフォルトを待っていたのだった。
「リム、何で君がここに・・・それにマユラは何処に?」
不思議そうに辺りを見まわすフォルトだったが、目に映るのは大量のヌイグルミばかりで肝心のマユラの姿は全く見えない。
「マユラさんならここには居ませんよ。私が今回の主役になるために別の部屋で眠ってもらっています。」
リムが微笑みながらそう言った。その瞬間、フォルトの危険察知メーターはMAXを振り切った。
「じゃ、じゃあマユラが居ないんなら僕はこれで失礼するよ。」
「駄目ですフォルトさん。今回のまゆらぶは私が主役なんですから、フォルトさんには私の話を聞いてもらいます。」
自分の危険察知メーターに従って部屋から離れようとしたフォルトだったがリムがそれを許そうとしない。
「でも、マユラが怒るだろうし・・・・・」
「それなら地下室に行きましょうか。」
「ごめんなさい。話を聞かせて頂きます。」
それでもなんとか逃げようとしたフォルトだったが、リムの地下室と言う単語で態度を180度変え、音速の速さでテーブルに着いた。
地下室。それはリムがフォルトと夜の営み用に作り上げた秘密の部屋で、そこはフォルトにとって最も冥界に近い場所だった。
「人間はやっぱり素直が一番ですよね、フォルトさん。」
「はは、そうですね。・・・・あの、それで僕に話って?」
「ああ、そうでした。私、フォルトさんに大事な話があるんでした。フォルトさん、私ってもっと活躍しても良いと思いませんか。」
またこの展開か。フォルトは心の中で毒づいた。
「だってそうでしょう。私、あまりにも扱いが酷すぎだと思いませんか。まず私の初出演の愛邪を思い出してみて下さい。誰がどう見たって唯の数合わせのキャラじゃない
ですか。まあその後、外伝では優しくて家事が大好きで大人しいキャラという、恋愛ゲームで年下系の王道キャラにまで格上げされました。だけど、トゥルーエンドで
ティナ様にフォルトさんを奪われて何の救済処置も無いままそれで終わりなんていくらなんでも酷すぎます。せめて側室位の位置は欲しかったです。」
「側室って・・・・それにそんな扱いだったのは他のみんなも同じなんじゃ・・・・・・」
「甘いですフォルトさん。私は他の方と違ってメイドなんですよ。メイド服を着ているんですよ。それだけでもうヒロさん並の扱いをうけても良い位なんです。しかもこの
スペクトラルシリーズではメイドキャラは二人しかいないんですよ。レアモノですよ。」
「メイドって理由だけじゃいくらなんでも・・・・・・」
「解ってませんね。ファンタジー世界、とくに私が登場するフォースシリーズのような戦乱時代が舞台となってる世界においてのメイドの重要性が。良いですかフォルトさん、
メイドキャラというのはどのようなキャラにでもなれるマルチな存在なんです。君主への淡い想いを隠して健気に尽くす清純派のキャラやちょっとドジだけど明るくて
周りを励ます元気系のキャラといったライト系のキャラから、独自の情報とその智略で軍を勝利に導く陰の軍師系や君主の影に生き数々の黒い任務をこなす隠密系などの
戦争に直接関わるタイプ、果ては君主の夜伽や敵女性キャラを拷問したりするといったダーク系まで、メイド服は全てのタイプに似合うんです。また、ネコ耳やメガネと
いった全てのサブオプションを最大限に活かせ・・・」
「でもそれはメイド服が凄いだけで、リム自信が凄いわけじゃ・・・・」
・・・・・・・・・・・ピク。
熱弁をするリムの動きが止まった。
「今何といいましたか、フォルトさん。もう一度言ってくれませんか?」
笑顔でリムが聞き返す。だがフォルトは見逃さなかった。一瞬リムの顔が般若の形相になった事を。
「い、いやなんでもないんだ。そ、それよりメイド服の・・・いやリムの重要性をもっと知りたいなあ、はは・・」
「嘘つきは泥棒の始まりで駄目ですよ。そんな嘘つきのフォルトさんにはお仕置きが必要みたいですね。」
「ごめん。謝るから、だから地下室だけ止め・・・・・て・・・・・・・・・。」
「ご心配なく。今回ばかりは自分を抑える自信がないので私自身は手を下しません。」
それがフォルトが意識を失う前に聞いた最後の言葉だった。
メイマイ騎士団
先代王グランによって組織されたティナが率いる騎士団。構成員が全て若くて綺麗な女性であり、グランの趣味丸出しの騎士団である。しかし彼女達の腕は本物であり、
また毎日の様に辛い訓練を積んでいるため、その実力はネバーランドでもトップクラスである。
そんな彼女達がいつもの様に辛い訓練を終え、専用の兵舎に戻ったときそれは起こった。
「あー今日も疲れたって・・・・あれ?」
「ちょっとなに入り口で立ち止まってんのって・・・・・・・・なにやってんですフォルト様?」
そこには、裸で縛られ猿轡をされたフォルトが倒れていた。
「ふぉひあへひぅほふぇほおいへひぅへふぁい。(訳とりあえずコレほどいていてくれない。)」
「そうですか、放置プレイの最中なんですか。」
「ひふぁう。ほふぇふぉほおいへ。(訳違う。コレをほどいて。)」
「なるほど、放置プレイで見つかったからどんな目に遭っても仕方が無いと。」
「ホント、アタシ前々からフォルトさんを犯してみたかったの。」
「どんな事してもいいんだよね。だったらボク電気アンマしたい。」
「・・・・私、尿道責めする・・・・・」
「ふぁひふぉふぃっへ・・・(訳何を言って・・・)」
「私、他の人達も呼んでくるね。」
「あまり人数が居ると逆に犯り難いから十人ずつでお願い。それから、訓練所に行くなら訓練用の槍も持ってきて。」
「それじゃあ、まずは第一発見者の私から・・・・」
「ひょっふぉまふぇうふぁふぁめあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。(訳不要。)」
その日フォルトは3ケタを超える人間のサディズムに犠牲になり、リムの恐ろしさを改めて知った。
翌日、フォルトは人間不信に陥り部屋に引き篭もったが、出番を奪われ激怒したマユラの暴挙によって解決した事をここに記す