まゆらぶ雇用君主外伝
魔導世紀997年、大魔王ジャネスの死を発端に始まりネバーランド全土を巻き込んだその大戦は、異大陸から来た一人の英雄の手によって終わりを告げた。
だが長く続いた大戦の戦火は人々の心に深い傷跡を残した。英雄とてそれは例外では無かった。
「そうか、見つからなかったか・・・・・」
いまや大戦を終わらせ英雄となったフォルトはマユラの報告を聞き深くため息を吐いた。あの日、ティナが国を去って以来フォルトはずっとティナを探し続けていた。
だが大陸全てを統一し、ネバーランド全土を探してもティナは見つからなかった。
「私が来る以前からも探していたのだろ。それだけ探しても見つからないなら・・・・冷酷な言い方で悪いがティナはもう死んでいる可能性が高い。それでもまだ探すのか?」
「ああ、僕は最後までティナを探し続けるよ。だって僕はティナのために今まで戦ってきたんだから。」
マユラの言葉にフォルトは力強くそう答えた。それはメイマイ国先代王への忠義を誓った騎士としてではなく、一人の女を愛した男としての言葉だった。
「・・・・・つまりお前にとって私達が命を懸けて勝ち取ったこの平和も、ティナが傍らに居なければ何の意味も成さないのだな。」
「えっ、急に何を言い出すんだいマユラ・・・・」
いつものマユラらしくないその言葉にフォルトはやや驚きながらそう言ってマユラの方を向いた。マユラは酷く悲しそうな顔だった。
「私では、私では駄目なのか。ティナの代わりに私がお前の傍らに居ては平和を喜ぶ事は出来ないのか。こんな・・・魔族の・・・私では・・・・・・」
とうとうマユラはその場に泣き崩れてしまう。その姿はいつもの氷のような容姿とはかけ離れ、まるで、幼い子供のようだった。
(マユラ、そこまで僕の事を・・・・・・・)
フォルトの胸に熱いものがこみ上げてくる。気がつくとフォルトはマユラを抱きしめていた。
「良いのか、フォルト・・・・・・」
答えの変わりに抱きしめる力が強くなる。
「そうか、嬉しいよフォルト。」
お互いを受け入れた二人の視線が交わりやがて・・・・・
「・・・というシリアスな展開を考えてみた。ちなみにティナは去った後直ぐにリムに捕らえられ、地下室で雌奴隷として調教されてるという設定だ。」
「えっ、ちょ、ちょっと待って。もしかして今までのって空想ネタ?」
メイマイ城深夜。そこには相も変わらずマユラとフォルトが沢山のヌイグルミに囲まれて話をしていた。
「その通りだ。最近話がマンネリ化していたから今回は少し趣向を変えようと思ってな。どうだ、斬新だったろう。」
「だからってコレは無いよ。はぁ、やっと普通の役を貰えたと思ったのに。」
「一体何度言ったら解るんだ。お前が普通の役では何も面白く無いのだ。お前は最後まで不幸で女に虐められるキャラが一番合っているんだ。」
「でも僕にだって普通の役で普通にハッピーエンドを迎える権利だってあるはずだよ。」
「そんなモノは無い。お前は永遠に身体はMだが心はノーマルというサディストにとって理想のキャラでいれば良いのだ。解ったらさっさと服を脱げ。オチに入るぞ。」
「服を脱いでオチって、それじゃいつものオチと同じじゃないか。今回はマンネリをなくすために趣向を変えるんじゃなかったの?」
「世の中には変えて良い事と変えて悪い事があるんだ。まゆらぶのオチは変えては悪い事だ。」
「言ってる事が矛盾してるよ。」
「煩い。私はお前の所為で前回と前々回でまゆらぶの主役を奪われ気が立ってるんだ。早くオチに入らせろ。」
「それは僕の所為じゃうなわやめうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
今日もいつもと変わらずフォルトの悲鳴がメイマイ城に響くのだった。
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