「殿!また酒を飲んでおられるのですか!」
蓮撃の腹から響く大きな声。
大蛇丸は寝転んだ体勢のまま顔だけを、部下である蓮撃に向けて言った。
「うるせぇな・・・」大蛇丸はけだるそうに徳利から器に酒を注ぎ、口に運ぶ。
「休戦中ってのはつまんねぇ。敵もせめてこねぇ。つまらねえ、つまらねぇ・・・」
だらしない姿をさらしながら口から吐いて出てくるのは不満ばかり。つまらない、つまらない。と。
彼は、ムロマチの君主である大蛇丸。
戦好きの彼は、こうして休戦の時期にはいってしまうと途端に活力をなくす。酒と女に溺れる自堕落な生活をすごすのだ。
「いつまでそこに立ってんだ・・・新しく酒もってこーい。」
いいかげんそんな彼を見かねてか、いつもは食い下がっていた蓮撃も今日ばかりは違っていた。
「なりません」
ピシャリと言い放ち、大蛇丸の手から徳利を奪うと、そのまま彼を肩にかつぎあげてしまう。
「だ!なにしやがる!てめえ、おろせ!」突然の部下の反抗に怒りを露にする大蛇丸。大男の彼が暴れても蓮撃は動じず、腹や頭をけられても無表情のまま彼をかつぎ歩いていった。
「後はまかせたぞ不如帰。」
大蛇丸の連れてこられたのは狭い牢だった。
不如帰とよばれたくの一は無言で頷き、蓮撃から渡された牢の鍵を首からさげると、大蛇丸にむきなおる。
「てめえ、不如帰!だせ!命令だぞ!」格子にかじりつき怒鳴り続ける彼を見て不如帰は静かに言葉を発した
「殿の命令でもそれはできません・・・。どうかお酒もほどほどに・・・」
「うるせえ!だいたい、君主がこんな所に閉じ込められてていいのかよ・・・出せ。」
「駄目です。これも殿を酒から守るためです。辛抱です。」
大蛇丸の命を守るためのくの一である不如帰。彼の命を狙う刺客などを躊躇い無く抹殺する彼女に、刺客も酒も関係無かったのかもしれない。
それから何時間かたち、やっと落ち着きを取り戻した大蛇丸は考えた。
どうしたらここから出れるか。
気分はよくない上に退屈だった。
不如帰はただ黙って牢の前に座っているだけでなにも喋らない。女もいない、酒もない、おまけに牢は寒くて少しカビ臭かった。
「おい不如帰」
「はい?」
いちかばちか試してみることにした。
「は、腹がいてぇ・・・。」
大袈裟に顔をゆがめ、前かがみにうずくまり、唸り声をあげてみる。
「えっ・・・!」
明らかに動揺したような声が頭上からふってくる。「殿!大丈夫でございますか!?」
「う・・ぐ・」
牢にかけよりうろたえる不如帰に内心笑いながら、彼はそれでも演技を続けた。
「うぅ・・・いてぇ・不如帰・・俺は・・・死ぬ・・・」
流石にここまで嘘をいったら不審がられないかと。言ったあとに思ったが。
しばしの沈黙のあと、ガチャンと牢が開く音がして、不如帰が自分にかけよってきたのに大蛇丸は驚く。
そのまま柔らかい腕に頭を抱かれ顔に彼女の胸が押し当てられる。
「死なないで下さい!殿・・・殿・・・!」
「おっ!おい!?」あまりに唐突な出来事に大蛇丸は彼女の肩をつかんで引きはがすと、はっと息を飲んだ。
「・・・」
不如帰が目に涙をためて心配そうにこちらを見ていたのだ。
「不如帰・・・」
その髪と同じ、紺色の瞳を見開いて自分をみている不如帰。触れている肩から微かに震えが伝わる。
「大丈夫ですか?あぁ・・・大蛇様・・痛いのはこの辺りですか?」
うろたえ続ける不如帰。彼を壁際まで追い込んでいるのも気ずかず、大蛇丸の剥き出しの腹直筋の上に手をあてさすりはじめた。
「おっ、おい・・・」
暖かい手のひらが龍の刺青の上を滑り、大蛇丸はその気持のよさに黙って不如帰を見ていた。
理知的な瞳、すっと通った鼻の下には桜色の唇。腕と脚が大きく出る漢字の着物から、白く美しい肌をした太股や首筋が覗く。
所々に薄茶色に走った古傷があり、そういえばそれはいつも自分を守る戦いでついた傷なのだなぁ・・・と大蛇丸は思った。
どれ位撫でられ続けただろう。大蛇丸は無理に牢を出ようという気もすっかり無くなっていた。
代わりに、不如帰に触れられている場所から、じわじわと熱い高ぶりが広がっていくのを感じていた。
「・・・おい不如帰・・・」
「はい・・・」
上目使いで見上げられ、その高ぶりが一層激しくなる。
こいつこんなに可愛かったっけ。そんな事を思いながら大蛇丸は不如帰の頭を撫でる。
「大蛇様・・・?」
怪訝な顔をしながら見上げてくる不如帰に口付けを落として、大蛇丸は彼女の手を下へ下へと持っていった。
ビクリ。不如帰の手が彼の欲望に反応した器官に触れた瞬間わなないた。
「舐めろ。」
大蛇丸は一言そう言い放つと、努張したソレを不如帰に握らせる
「え・・・っでも・・・」
頬を紅くして不如帰は彼女の主の顔を覗き込む。
「いいから」
再び口付けを落とす。今度は深く角度をつけて、舌をさし込み彼女のそれを絡め取ってやる。
「っ・ふ・・はぁ・・・っ」
不如帰の唇から溜め息のような声が漏れ、くたっと体から力がぬけていく・・・
「お・・ろち・る・・様ァ・」同時に耳から首筋を愛撫され、ヒクンと体を震わせる様子を楽しむかのように大蛇丸の口付けは続いていった。
「ほら、いい加減我慢なんねぇよ。不如帰・・・」促すように彼女を呼ぶと、おずおずとした手付きで紅い帯を外される。
「いい子だ・・・」
するすると布がとりはずされ、暖かい不如帰の口に自分のモノがねっとりと収まるのを感じると、大蛇丸は深く息をついた。
「ん・んっ・・・っむ・・」
濡れた音が牢に響く。
「不如帰・・・っ・いいぞ・・飲め。」
弾力のあるモノを一生懸命舐めている不如帰の頭の毛をくしゃりと掴み、大蛇丸は彼女の中に彼の白濁した欲望の飛沫を飛び散らせた。