「えっくし!」
「どうなされましたか?」
「いや、誰か噂でもしとるのかのぉ。歳を食った所為かもしれんが」
「もう、しっかりしてください母様。今はお務めの最中ですよ?」
「うむ、解っておる。あやつの冥福はしっかりと祈っておかんとのぅ……」
「そうか……逝ったか。全く節操の無い、しょうもない男だった」
「その割には、鎌で命を取らなかったね。母さん、そーいう人には厳しいのに」
「…………まぁな、これも弱み、という奴かもしれん。正直、あそこまで行き着いてしまうとは思わなかったが」
「行き着いたから私が産まれたんでしょ? 素直じゃないんだから母さんは……。
あーあ、お葬式、行きたかったな……他の兄姉と顔合わせしたかったのに」
「今回の巡察が終わったら墓参りに行くからそれで許せ……はぁ、お前の甲斐性無しは死んでも尾を引くのだなぁ……全く」