スパイラル  

「やっだ……っ、なる……ふぇっ!」  
 押し殺したようなあえぎ声は部屋中に広がって、甘い香りを漂わせた。  
 歩の指で捻るようにつかまれたひよのの乳首はとうに突起して、ふるふると、刺激を待つように震えている。  
「あんたっていつもそうだな。嫌だ、嫌だって」  
 歩はその手を緩めて、不満を言う子供のように、ひよのに講義した。  
「ぅん……だって、恥ずかしいんですよぅ」  
「恥ずかしいって、今更だな。もう、何度寝たんだ、俺たち」  
 歩はそう言うと同時にひよのの口に自分の指を差し込んだ。  
「はふぅっ……ぅわかんないっ……れふぅ」  
 毎日のように逢瀬を繰り返していれば、数える気も無くなるだろう。ひよのは窓辺にあるカーテンをつかんで、歩の愛撫に耐えた。  
「あっふう……ひゃうぅぅ」  
 幾度も甘い声を出して、ひよのは歩にすがりつく。涙をためたその瞳は一直線に歩を捕らえた。  
 限界だ、と歩が思ったところで、思わぬ声が二人の耳に入った。  
 玄関の開け閉めする音と、  
「歩ー……帰ったわよ」  
 いつに無く元気の無い義姉の声だ。  
「やっだ、鳴海さん……」  
「ちょっと出てくる。静かにしてろよ」  

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