スターオーシャン  

プリシスとレオンが最近よく一緒に出かける。  
そしてよくボーマンがつける。  
それをクロードとレナはつける。  
「暇人ですわね」  
セリーヌは言う。  

「生きた教科書の俺が手本を見せてやらねばなるまい。セリーヌちゃんとかで」  

「・・・うーん」  
やまとや。いつものところだ。  
あの件があってから二人はよくここに来るが、《愛のときめき》を頼むことは一度も無かった。  
そりゃそうだ、ボーマンは納得している。間に置かれると恥ずかしいことこの上ない《愛のときめき》は  
まぁ、例えばアリーアの新婚くらいしか頼みそうに無い代物である。  
しかしここに来る、ということは二人とも飲みたいという思いがどこかにあるということだろう。そう  
と考えれば中々に面白い。  
実はクロードとレナも彼と同じ席に座っていて、その度にクロードが《愛のときめき》を飲みたがっているのが笑えた。  
レナはてんで相手にしていないというのに。  
「・・・ん?」  
ボーマンの唸りが疑問に変わる。そして思考、確信へと徐々に変わっていく。  
「そーか」  
二人が振り返った。  
「なんですか?」  
「レオンの野郎、やりかた知らないんだな」  
「やりかた?」  
ボーマンはおう、と言って、  
「セックスの」  
二階席の客が全員、食い物を噴き出した。  

「・・・もう僕たち行けないですよ、やまとや」  
「レオンたちが気づかなかっただけ良かったですけど」  
「いや・・・・・・すまん」  
容赦なく殴られたボーマンの顔は誰が見ても苦笑せんばかりの変形をしていたが、彼が  
薄く笑っているために、誰が見ても青くなって失神せんばかりとなっていた。  
そう、笑っていた。  
ホテルで紅茶を飲んでいるセリーヌに、微かに悪寒が走った。  

 
 

いつの間にか寝ていたらしい。  
レオンは中々動かない体を起こし、白衣を着た。  
最近は、もうなれた。  
目をこすりながら出口へと向かうと、先ほどから少し感じていた違和感に具体的に気づく。  
振り返った。  
プリシスが寝ていた。  
「・・・・・・・!」  
顔が赤くなるのがわかる。  
「レオン」  
だから、外からの声にとても驚いた。  
ボーマンの声だった。  
「な、なにさ・・・・」  
「開けろ」  
「い、嫌だ」  
「開けろって」  
焦った。  
「力ずくで開けるぞ」  
全体重を乗せて、ドアをふさぐ。勘弁して、ホントに。  
「用なら・・・そこだって言えるだろ」  
「・・・隠し事か?」  
「そ、そんなわけないだろ!」  
「怪しい」  
「怪しくないっ!」  
「フム」  
しばらく、反応が無い。  
「ま、いいや」  
「え」  
足音がした。遠ざかっていく足音。  
レオンはゆっくりとドアを開けた。ダミーかもしれない。  
恐る恐る顔を覗かせると、ボーマンはいなかった。レオンは廊下に出てしまうと、頭を掻く。  
いったい、どうしたと言うのか。  
「あれ」  
声がした。振り返ると、レナが階段を上がってきた所だった。  
「レオン」  
「え?」  
「プリシス見なかった?」  
耳が張る、のがわかる。  
「ちょっと用があるんだけど」  
「し・・・しら、ない」  
「そぅ」  
と、レナはプリシスの部屋の前まで歩いていって、ドアを叩く。やっぱりいない、とつぶやいた。  
レオンは急いで部屋に入ってドアを閉めた。鍵も。  
今ベッドで寝ているプリシスを、どうにかしなければならない。今のところ、起きそうに無い。  

 

結局、ボーマンの考えに誰も気づかないまま夕食。  
ノエルに傷を治療してもらった彼は、いつもと違い黙々と料理を口に運ぶ。  
ひやかし役がいないのでセリーヌもクロードも話題を見つけられないまま、妙に静かな食事が進んでいった。  
全員がチラチラとボーマンを見る。病気?  
薬剤師が病気、というかこの男が病気、ありえない。  
その視線に気づいてかいないか、彼はただただ食べる。  
そして、彼の腹の内ではヤバい計画が進行中であった。  

「大事な話が」  
「お断りしますわ」  
即答。  
「いや、ホントに」  
「今日は少し体がだるくて」  
「それだよ」  
「え?」  
その日は、一つのダンジョンを攻略した。そのときにセリーヌは魔物の毒を浴びていた。  
つけ込むならそこ。  
「あいつの毒は厄介だって言われてる。アンチドートでも抜けていないかもしれないんだ」  
「・・・それで?」  
薬剤師の特権。  
「昼にいろいろ調べて、ちゃんとした薬を作ったから、後で俺の部屋に来てくれ」  
「持ってきてくださいな」  
「無理だ」  
「何故」  
「面倒くさいから省く」  
「・・・・」  
セリーヌは怪訝そうに眉をひそめ、  
「怪しいですわね」  
「んなこたない」  
空目でボーマン。  
セリーヌはひとしきり彼の表情をなめると、  
「わかりましたわ、後で、行きます」  

レオンがボーマンの部屋の前を通りかかったのは決して偶然ではないわけで。  
微かに開かれていたドア(それがボーマンの手によるかは知る由もないが)に目を当て、  
フェルプール特有の便利のいい場所についた耳を二人が居るであろう方に向け、  
これから始まるかもしれない、とても興味深い事象を余すところなく吸収する準備を整えた。  

あくまでレオンのためと心の声でセリーヌに言い聞かせ、自身は弛緩しきっただらしのない顔で  
薬湯を飲み干す彼女を見ている。  
一応、毒の話は本当なので彼女には本物の薬を飲ませた。  
媚薬を期待していた人、ん? 誰がそんな安直な薬を使うか。  
自力で落とさねば面白くない。  
「具合は?」  
「私から一メートル離れていてくださればいつまでも良好ですわ」  
「ふむ」  
据え付けられた一人用テーブルの椅子に座っているセリーヌは、宿の中だからかいつも浮いている  
リングが無い。好都合好都合。  
「それでは」  
「え、もう出るのか?」  
「明日は出発でしょう? もう眠らないと」  
「まだ早いだろ。話したいこともないこたないだろうし」  
「言い方変じゃありませんこと?」  
「んなーこたない。俺が話したいことがあるのは確定事項だよ」  
セリーヌは右手の人差し指を額に当て少し考えると、  
「回りくどい言い方を。話したいならそう言えばいいのに」  
「わかってくれて嬉しいよ」  
立ち上がりかけていた彼女はまた腰掛けると、  
「で? 何の用ですの?」  

 

もどかしい。  
レオンはいちいち廊下に注意を向けていなければならず、しかも  
中では淡々と二人の会話が続くのみで期待した展開はあまり無い。  
というかボーマンがそれとなく誘っても、知ってか知らずかセリーヌが受け流してしまうのだ。  
レオンはイライラしていた。というかこの深夜だ。大部分がセリーヌの言った理由で寝てしまっているだろう。  
気が抜けたレオンはその一瞬、レオンは注意を配り損ねた。  
だから、プリシスに気づかなかった。  

そろそろ本気で攻めてもいいと思った。殆どの薬の効果として睡眠効果があるが、  
小一時間彼と話しているうちにセリーヌにもその症状が出始めたようで、すこし気怠げにテーブルに肘をついている。  
瞼も少し重そうだった。  
「風邪、ひくぞ」  
「わかってますわ」  
声がかすれている。瞼をこすり始めるのも時間の問題だろう。  
「で、レオンのことなんだが」  
ピク、と彼女が反応した。やれやれ、ことレオンのことに関して彼女は敏感だ。  
「・・・なんですの?」  
部屋の外でも何か気配が動いた。  
ボーマンはそれを察知すると、ベッドを立つ。  
「あいつも思春期だしな」  
大丈夫か、とセリーヌの脇下を持って立たせた。  
「ホントに風邪ひくぞ」  
ホレ、と入り口に連れていこうとする。と、彼女は重たげな体を揺らして、ボーマンの呪縛から逃れようとした。  
「を」  
腕を放すと、ポテッとベッドに倒れ込むセリーヌ。  
(・・・強すぎたかな)  
薬が案外と効いているようで、セリーヌは瞼を完全に閉じてしまって、軽い寝息さえかいている始末。  
なんというか・・・いいシチュエーションではないか。  
ボーマンはドアの向こうに心の声で忠告した。鼻血出すなよ。  

セリーヌの服は少々特異で、胸の谷間からベルトと交差して股の間を通る布が  
留め具として機能しているらしい。バストの部分も、やけにはだけやすい物となっていた。  
上乳とワンポイントのマーク、生足。十分にイヤらしい。しかも、半分寝ている。  
ボーマンは早速と行動に移った。起こしてしまっては意味がないので少しずつ。  
ゆっくり、本当にゆっくりセリーヌの上半身を起こしたボーマンは(時たま、艶やかな寝言が漏れる)  
壁に彼女をもたれかからせると、入り口に見えるように胸の部分をずりおろした。  

レオンの顔が赤く染まった。  
セリーヌの豊満なバストが、あっさりと布の抑圧から解放されて揺れた。  
初めて見た。着ている白衣を握りしめていたが、その力が幾分か強くなる。  
レオンは見入っていた。ボーマンが彼女の胸に手の平を近づけていくのを。  
見入っていたものだから、当然忍び足で近づいて、レオンのすぐ後ろで同じく  
情事を覗いて(もちろん、見るのは初めてなわけで)いるプリシスに気づけと言う方が無理であった。  

貞操は堅いようだった。張りのいい胸の先に乗っている乳首は色素が集まりすぎている、といった感はなく、  
綺麗な桃色で二つ並んでいる。  
彼は背中から腕を回して両手で軽く胸をつかむと、柔らかい感触を楽しんだ。セリーヌが起きる様子はあまりない。  
強く握ってみる。ん、発育良好。ところで外のガキはどうなっているだろうか。  
ひとしきり楽しんだ後、ボーマンは親指と人差し指で乳首をつまんでみた。とたん、セリーヌの体が小さく跳ねる。  
「ん」  
嬌声が漏れた。起きたか? と顔を見たが、相変わらず寝ているようだ。  
転がした。彼女はこれが好きだった。いつもグン、と堅くして悦ぶ。  
そして、口に含んでやると一層、綺麗な声で喘ぐのだった。  

レオンの下半身は、この時点で臨界点を突破しそうだった。今まで殆ど興味の無かったと言っていい  
光景が、こんなにも背徳的で、扇情的な物だったとは。  
セリーヌの胸の所にボーマンの顔があった。何をしているかはわからないが、だいたいの予想はつく。  
つくからこそ、彼は目が離せず、興奮は際限なく高まっていった。  

グリ、と左手で押さえてやれば、セリーヌの声は明らかに悦気を帯びて口から漏れる。  
染まった頬は口で弄んでいる賜か。どちらにしろ、セリーヌがいわゆる「感じて」いるのは確かなようだった。  
丁寧に舌で転がすと、そのたびに体が僅かに震える。  
吸えば、もっと、もっとというように胸を突きだしてくる。  
初々しい、反応だった。寝ているせいでもあるだろうが、少し控えめなのがまたいい。  
ふと彼は思い立って、右を柔らかく噛んだ。ほんのいたずら心だった。  
駄目だった。彼女は  
「ひっ」  
と大げさに感じると、うっすらと目を開けた。  
(・・・やべ)  
もう少し興奮させてからの方がよかったかもしれない。だが、後には引けない。  
少し早いようだが、彼はまだ虚ろな目をしているセリーヌの顔に、近づいた。  
「ぇ?」  
と僅かに漏れた声が、口がふさがることによって消える。  
壁からずれて、押し倒した形になってようやく、セリーヌは気づいたようだ。キスを、それもディープキスをされているということに。  
「んっ?」  
ボーマンの舌が彼女の口内に進入していく。同時に、右手はくびれを通って腰へと下がっていった。  
嫌がっているのがわかる。ただし、体の中でも感度のいい方の舌を刺激されて、  
気持ちよく感じているのも事実だろう。抵抗はさほど強くない。  

「ん、ん」  
何をされているかがわかっていても理解できていないセリーヌの口を、  
容赦なくかき回す。左手は彼女の右手を封じて、そして左手が、  
彼女の服の縦線を定めている布を引っ張った。  
「んぅっ」  
来た。彼女の股に布が食い込んだ、というか食い込ませたのが声でわかる。  
大きめの瞳が丸くなるのが、至近距離で見えた。  
グイッ、と強めにひいてみる。  
「いっ」  
反応がいい。つられて腰を上げるのも適度に興奮する。  
唇を離すと、荒くなったセリーヌの息が顔にかかった。  
「いいね」  
「ぁ、あ貴方っ。一体・・・」  
笑みで流して、また引いた。  
「ひっ」  
と、今度はちゃんと子音を伴って声が出る。裏返っている、いい。  
「かんど良好。気持ちいいだろ?」  
「い、いゃっ」  
「イヤじゃないね、ホレ」  
引いていた手をゆるめて、セリーヌの下半身を覆う紫色の布地の下に指を入れた。  
「あ、」  
自覚したようだ。ボーマンは指を引き抜くと、少してかっている中指をセリーヌに見せる。  
「喜んでる」  

クロードがボーマンの部屋に続く廊下を通った理由は言うまでもない、彼がボーマンと相部屋だったからだ。  
夕食後部屋から追い出された彼はやはりというかレナをどこかに誘おうとしたのだが、軽く流されて会話が終わった。  
アシュトンを捕まえて飲んだ(アシュトンはまだ酒場で潰れているが)、その帰りである。  
当たり前だが、部屋の前で二人して立っているレオンとプリシスに気づいた。  
(・・・?)  
何をしているのだろう。  

相も変わらずボーマンはセリーヌの胸を責め続けていた。ただし、入り口にはちゃんと見えるように、だが。  
セリーヌは完璧に覚醒するまでにはまだ時間がかかりそうだ。瞼に力が入っていないのは別の理由もあるだろうが、  
今のところ彼の思惑通りに行ってることは間違いない。  
「ほれほれ、気持ちいいだろ?」  
口で右の乳房を吸いながら、左手は彼女の股の間へとしっかり伸びている。  
既に湿って、変色がはっきりとわかる。特に、外の二人には。  
「そ・・・んな」  
気怠げな嬌声。感じてはいるだろうが、実感はしていないようだ。  
肢体にポツポツと汗が浮かんできた。顔は上気がはっきりとわかり、体全体が火照っているのが、どうしようもなく  
感じられる。  
ボーマンは彼女の秘部をゆっくりと擦った。  
「ぃゃっ」  
反射的に言いつつも、体は止められなかったようだ。一瞬引きつったように身を震わせる。  
指先に着いた、先ほど彼女に見せた液体を今度は自分で見て、思う。  
そろそろ頃合いか。  

なので、外でクロードの声がしたときはとても驚いた。  

「なにやってんだ、二人とも」  
ゴンッ。  
レオンとプリシスが派手にドアに顔をぶつけた。  
ひとしきり痛がった後、真っ赤な顔でクロードを見る。  
「に、にに兄ちゃん?」  
「ク、クロード、あのえーとね、その」  
いいわけの嵐、が来ると思ったが、それは不思議な沈黙で防がれた。  
レオンが、はてという表情で隣の少女を見上げたのだ。  
「ね・・・」  
「・・・」  
「ねねねねねね」  
「・・・」  
「うわあぁっ!」  

セリーヌが体を硬直させた。クロードの声、レオンの声。そしてプリシスの声。  
外に3人が!?  
「うそっ」  
ガバ、ど上半身を起こす。完全に目は覚めていた。  
「をっ」  
いきなりで、ベッドからおちるボーマン。  
「うそうそうそうそ、何で」  
慌ててはだけた胸を服の中へとしまう。顔は赤くて、青くて、羞恥と困惑でまだら模様になっていた。  
「ってー」  
どうやら派手に後頭部をぶつけたようで、頭をさすりながら身を起こすボーマン。  
目があった。  
「・・・」  
「・・・」  
「ば、馬鹿っ!」  
ベッドから立ち上がると、出口へと歩こうとする。  
だが、後ろから羽交い締めに、ソフトで正確に言えば抱きつかれて、それは中止をやむなくされた。  
ボーマンの腕が後ろから回っていた。  
「ち、ちょっと!!」  
「まーだ終わってないぞ、まだまだ」  
彼はうっすらと笑みを浮かべていた。  

何事かわめき散らしていたレオン。何事か弁明しようとしたプリシス。  
そして何事か言及しようとしていたクロード達3人の動きがピタッと止まった。  
中から声が聞こえたからである。  

「う、うそっ。だって外に」  
「かんけーない。俺とセリーヌちゃんの関係とは全然かんけーない」  
首筋に舌を這わせながら、ボーマン。  
くすぐったい、セリーヌの正直な感想。  
「・・・は、放して下さいな」  
「やだね、こーする」  
そして・・・半ば強引に、彼女の左太股から紋章を通って、ボーマンの左手が服の下へと進入した。  
少しきついが、あっさりと秘部に到達する。  
セリーヌの両手が反射的に股間を覆った。  
「ゃ、やめ」  
今度は、入ってきた。  
「あぁっ!」  
気づく。今、とてつもなく大きい声が。  
「ただ今第二関節。順調に進んでおりまぁす」  
耳元でボーマンのささやく声。吐息が耳の奥にかかって、なんだか。  
「あ、あ、ああぁぁっ!」  
ボーマンの指は、今までのいつよりも激しく動いた。  
思わずのけぞってしまい、突き出された形になった彼女の胸の先を、ボーマンの右手が責める。  
中に何か、いや、指が入っている。それは自分の敏感な部分をかき回し続けている。  
覚めが消え、目の前がかすんでいった。知らず、あえぎ声が出るのが、止められない。  

3人は相変わらず止まったまま、しかし耳だけは部屋の中を向いていた。  
クロードは一瞬で何が起こっているかを理解してしまった。ボーマンが彼を追い出したわけも、  
レオンが、プリシスが部屋の前にいたわけも。  
で、どうすればいいのだ?  
初めてガークと対峙したとき以上の緊張がクロードを支配していた。  

「ひ、ひと、がっ」  
呂律の回らないセリーヌ。勿論背後から愛撫を与えているボーマンには何が言いたいのか分かっていたが、  
無視。当たり前だ、わざとなのだから。  
(クロードが来るのは少し早かったけどな)  
止めに来ないならいい。セリーヌも言いつつ気持ちよさそうなことだし。  
どうやらレオン達も見ているようだし。自分も楽しいことだし。  
「よし」  
耳元で囁いてから、ボーマンは指の動きを早くした。無論、上も下も。  
「ひあぁぁっ」  
字面にすると大層間抜けだが、とてつもなく細い、艶やかな悲鳴が上がる。  
顔を見ると、なかなかに具合の良い表情。  
先程のような抵抗も無くなり、少し痙攣気味の体が、絶頂の近いことを知らせる。  
「イってみようか。久しぶりに」  

その時の外の反応といったら。  

やばい、やばい、やばい。  
子供達の前で(無論、自分が含まれていないこともない)二人が最後まで行ってしまったら。  
非常にやばい。どうやばいかは分からないが。  
クロードは考えた。どうにかして、この羞恥の連鎖から脱する方法は無いか。  

 

ボーマンのセリフが体の芯まで響いた。  
無意識に奥歯を噛みしめ、体を緊張させる。  
下から何かがはい上がってくる。熱くて、色で言えば白で、存在が無くなるようで、  
エクスタシーと呼ばれるもの。  
「ほれほれほれほれ」  
ボーマンの指の動きが更に激しくなる。体の痺れが酷くなる。  
口は開いても出るのは嗚咽ばかり。抵抗するなどと言った感覚は既に飛んでいた。  
そしてしばらくの後、来る物が来た。  

「あああああっ!」  
部屋の中から今までで最大の声が漏れた。同時に、レオンが口。否、鼻を押さえた。  
クロードの体は汗で濡れていた。どうする? どうする?  
どさ、とベッドに倒れる音。セリーヌか。  
「よし」  
ボーマンの、更に先を匂わせる声。  
今しかない。  
クロードは咄嗟に叫んだ。  
「ストーーーーォォップ!!」  
おかげで、宿中の人間が起きた。  

 

その一件の後も、別段ボーマンとセリーヌ、及びクロード達3人の関係が劇的に変わることはなかった。  
もしかしたらレオンとプリシスには何らかの進展があったのだろうが、  
それよりも、セリーヌには気になっていることがあった。  
後で締め上げたボーマンの自供によって、あの行動はレオンに見せることを意識していた物であったのは  
分かったが、それよりも。  
ボーマンには、コトに及ぶつもりは無かったようである。  
それはクロードがもしかしたら戻ってくるかも、というアヤフヤな状態にして置いたのもそうだし、  
薬剤師の特権を使えばいくらでもやりようはあったはずなのだから。  
ただ  
(・・・訊けるはずないですわ、そんなこと)  

 

もし彼女が訊いていたらきっとボーマンはこう返しただろう。  
「そりゃ、ニーネがいるしな」  

了  

 
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