まだ、彼女は何も知らない。
セリーヌは、レナのことを考えていた。
*
レナは、宿屋のセリーヌの部屋に呼び出されていた。
無理やりパーティーに加入して間もないセリーヌのことを、正直、彼女はよく思っていない。
扉をノックする。
「入ってもいいですわよー」
返事がある。
がちゃ。
扉をあける。
中には誰もいない。
「セリーヌさん?」
呼びかけながら、彼女の名を呼ぶ。
「いないんですか?」
よく考えれば滑稽な質問を繰り返しながら、中に入る。
五歩ほど進んだところで、声がした。
「いますわよ」
振り向く前に、後ろから抱きつかれた。
「セリーヌさん!? いたんですか!?」
レナは慌てた。
「そのさん付け、やめてくださいな。セリーヌ、でいいですわ」
「あ、はあ、そうですか、セリーヌさん」
2.3秒の沈黙。
「まあ…いいわ」
いいながら、セリーヌはその手をレナの胸へもっていった。
「ちょっと! 何するんですか!!」
「いいじゃないの…」
「いいわけないでしょう!?」
セリーヌのそれよりわずかに小さいが、形のよい胸。
とりあえず、乳首をつねってみる。
「…っ、ちょっと…」
わずかに覇気がなくなっていくのがわかる。感度はいいようだ。
「感じているんじゃないの?」
「…大声出しますよ…」
意外と抵抗する。
乳首から指を離し、揉む。
「…あっ、んっ、ちょっと、本当に…」
「黙ってて」
「…」
頃合を見計らって、右手だけを下半身へ。
すらりと伸びた脚の、その根元。
そこに、わずかに手を触れる。
「…!」
服の上からでも、その突起は確認できた。
擦る。
「…っ」
わずかに声が漏れる。
楽しい。非常に楽しい。
首元にキス。わずかに震える。
ものすごく、楽しい。
左手を胸に置いたまま、右手をさらに移動する。服の中に、侵入する。
「…」
もう、抵抗しない。
肌を感じる。
先ほどの位置に、生地の上から、改めて触れる。
「…んんっ…」
先ほどより、感じているようだ。
指を動かす。
「んあ、ああ」
速度が上がる。
じきに、指先に液体が付く。一旦、指を離して、顔のあたりに持っていく。
「感じていない…なんて、言いませんよね?」
答えない。
感覚が途絶える―――
しばらくして―――
感覚が戻る―――
目を開ける。
宿屋の天井が見える。
そうか…ベッドに寝かされているんだ。
身体がまだじくじくする。
私は…
感覚が、正常に戻りかけたとき、再び、快感が襲う。
それで、目がさめる。
気づけば、何も、着ていない。
ぐちゅぐちゅと、音がする。
声が、漏れる。
「いやああ…ん」
もう、自分が自分でないような感覚。
どのくらい経っただろう。
時間の感覚がない。
ふと、扉をノックする音がした。
「セリーヌ? どうしたの? なんか五月蝿いよ、入っていい?」
クロードの声。
一瞬、二人の動きが止まる。
だが、セリーヌは再び妖しく微笑して、
「いいわよ、入ってきて」
レナは固まった。
扉の開く音。