今日は12月24日。  
惑星エリクールにも地球と同じで、クリスマスというものが存在した。  
いまや、伝説の人ととなったフェイト達一行はエリクールの人たちから熱烈の歓迎を受け、  
ファリン、タイネーブ企画のクリスマスパーティに参加した。  
 
「うおっ!!」  
会場となる、領主館に入ったとき、  
クリフが館内に充満する「おいしそうな」においに反応した。  
「クリフ涎…」  
思わず、クリフの口からそれが漏れていたのを、マリアがあきれた顔で突っ込む。  
 
「みなさ~ん、いらっしゃいませ~~」  
館の奥からぱたぱたと足音を鳴らしながら、独特の間延びのある口調で近づいてくる人物。  
紫の髪の少女、ファリンが彼らの到着を知り、出迎えに来たのだった。  
「寒い中…よっと、わざわざすみません」  
その後ろから、こんどは金髪の少女、  
タイネーブが湯気の立つマグカップの乗ったトレイを慎重に運びながら現れた。  
「クリスマスに作ってみた、ちょっとお酒の入ったホットレモンです」  
「これであったまってくださいね~~」  
両手がふさがってるタイネーブのかわりに、ファリンがひとつずつ手渡し、  
一行は彼女たちに一言礼を言うと、それを口にした。  
 
 
171 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:03/12/19 02:27 ID:JjrC1yW4 
「おいしい…」  
「うまぇなぁ…」  
レモンの甘酸っぱい味と少量のおそらくワインと思われるお酒の味がマッチし、  
そしてそれが心の底から暖かくしてくれる。  
ファリンとタイネーブもお互いの顔を見合わせ、  
やったね、といわんばかりの笑顔を浮かべた。  
 
「さささ、料理もできてますから、奥へどうぞどうぞ」  
全員が飲み終わるのを確認すると、ファリンが右手を屋敷の奥へと伸ばし、  
フェイト達を中へと誘う。  
「そんじゃま、お言葉に甘えさせていただくとするか」  
「クリフ…客人なんだから、失礼なことを言わないの」  
「楽しい夜になりそうだな」  
フェイト達は、カップをトレイを持っているタイネーブにお礼をいいつつ、  
一人ずつ奥の部屋へと入っていく。一人、また一人と扉の向こうに行くたびに、  
今日の集まりに来たアーリグリフ、シランドの両国の人間が彼らを拍手で出迎える。  
そして、最後に、フェイトとクリフを救い出したある意味彼らの恩人でもあり、  
シランドの誇る「クリムゾン・ブレイド」のネルが奥へ行こうとすると、  
「あ、ネルさま!」  
トレイとカップのせいで両手がふさがってるタイネーブに呼び止められた。  
 
「ん?」  
不思議そうな顔をするネルと裏腹に、タイネーブは傍にいるファリンに目配りをし、  
ファリンもその意図に気づいたのか、  
まるで電球がでてきそうなほどの何か思い出した顔をし、手をぽんとたたいた。  
「そうか、あれだね~」  
「そそ、私はこれ、片付けてくるから、あとはおねがいね」  
「???」  
ネルはまったく話の内容がつかめないでいたが、  
タイネーブはトレイに気を配りながらも、ネルに一例をすると、  
キッチンへと引っ込んでしまった。  
「うふふふふ~…ネルさま?」  
ネルがふと、ファリンの方に振り返ると、彼女はいかにも何かたくらんでそうな、  
不気味な笑顔を浮かべていた。  
「な、なんなんだ、いったい…」  
「じつは~、今日のクリスマスのイベントに~、ある趣向を入れようと思ったんですけど、  
 本来やるはずだった娘が風邪で寝込んだので…」  
「あ~、みなまで言わなくてもわかった。…その代わりをやれ、と?」  
少しうんざりしながら答えたネルと対照的に、ファリンの顔がぱぁっと明るくなる。  
「さっすが、ネルさま、お察しがいい! そこまでわかっているのであれば、さささ、  
 さっそく準備をしましょう!!」  
「準備って…って、お、おい!!」  
ネルが質問するよりも先に、ファリンがネルの手を引っ張り、  
他の仲間とは違う部屋に連れて行く。  
あまり体力はないファリンだが、こういうときの力はタイネーブ以上…かもしれない。  
 
「さぁ、ここですよ~~!」  
ファリンに案内された部屋には、さまざまな刺繍や細工の施した、  
色きらびやかなドレスや衣装が並んでる部屋であった。  
「まさか…」  
ネルの顔から血の気が引く。  
「はい! ネルさまに~、この中でも最高の衣装を着ていただきます!!」  
「やはりか!」  
思わず、額に手を当て、うつむいてしまうネル。  
もともと、あまりどんちゃん騒ぎの好まない彼女であるが、  
こういう「出し物」の衣装など、こんなときに着る羽目になるとは、想像もつかなかった。  
「はい、これに着替えてください!!」  
そんな彼女の心を知る由もないファリンが、衣装ダンスから一着の服を取り出し、  
ネルの手の上に乗せた。  
「…ファリン」  
「はい?」  
「本当にこれに着替えるのか?」  
「はい! とてもお似合いだと思いますよ~」  
ネルは渡された服を見て、さらに落ち込んだ。  
なにせ、想像以上にはっちゃけた衣装であったからである。  
(まだ間に合う…)  
断ろうと、ファリンの顔を見ると、その顔は、まるでわが子の晴れ姿を待ち望む、  
母親のように目を輝かせている彼女がいた。  
(…覚悟を決めるか)  
そんな顔の彼女に断る自信をなくしたネルはしぶしぶ自慢の黒装束を脱ぎ、  
渡された衣装に着替え始めた。 

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