「えーとぉ、やっぱりぃ、寝込みを襲うのが一番だと思うんですよぉ?」
いきなり物騒な台詞が飛び出した。
暗い、暗い、闇に包まれた部屋。
月の光を遮断する黒いカーテンを背にして、やけに甲高い声の女が小さな声でささやいた。
「これだとやっぱり暗いね。ちょっと待って。今蝋燭つけるから」
今度は先ほどのものよりはやや低めの、やはり女の声だ。
ぽぅっ……と、灯りが燈り、寝巻きを着た2人の女の姿が橙色に照らされる。
「いくらフェイト様でもぉ、寝ている時は隙だらけだと思いますぅ」
と、紫髪の女。
「だよね。救国の英雄って言ったって、人間である事に変わりは無い訳だし」
と、ショートカットの女。
女2人の密談。
その標的は、一人の男。
その名を、フェイト=ラインゴッドという。
かつて戦争状態にあった聖王国シーハーツ、軍事国家アーリグリフの両国を同盟に導き、
異世界より襲来せし星の船を撃退した、救国の英雄。
「ふふふふふふ……」
その英雄に、2人の女の魔の手が伸びようとは、今はまだ誰も知らない……。
事の発端は、数時間前に遡る──。
━━聖王国シーハーツ領内・旧防衛前線アリアス━━
「では、行きますですよ」
晴れ渡る青空の下、周囲とは明らかに違う空気を作り出している、三つの影。
2人組の女性隠密と、もうひとり。
「どっからでもかかって来な」
2人の隠密と対峙しているのは、やはり女。
すらりと伸びた脚線美と、短く切った赤髪が美しい22、3の女。
「ネル様、お覚悟」
「ああ」
ネル=ゼルファー。
シーハーツ最高の隠密と謳われた、かの高名なクリムゾンブレイドの片割れ、ネーベル=ゼルファー
の娘にして、現クリムゾンブレイド。それに対するは、部下の隠密。
「桜花! 八卦掌!!」
先に動いたのは、ショートカットの女──タイネーブである。
その後方で施術の詠唱を始める紫髪の隠密、ファリン。
(タイネーブが時間を稼ぎ、後方のファリンの詠唱を支援する──か。悪くない。悪くない作戦だけど──)
「それは前衛の戦力が伴ってこその作戦さ」
「なっ──」
一瞬。
瞬きよりも短い、ほんの一瞬。
タイネーブの視界からネルの姿が消える。
「どっ──かはっ」
まるで、鈍器に殴られたような衝撃が、タイネーブの後頭部を襲った。
頭蓋に守られた脳が揺さぶられ、ぐわんと世界が歪む。
「う……ぁ」
どさ。
地に膝を突くタイネーブ。
平衡感覚を失った為か、体制を立て直すことも出来ずにそのまま倒れこむ。
「ファ……リ……」
「タイ──」
「余所見してる余裕なんてないだろう?」
「ねひゃあああっ!?」
奇妙な叫び声を上げて飛び退るファリン。
いつの間にか、すぐ横にネルが立っていた。
「さて、どうするんだい?」
ネルが、余裕たっぷりといった視線で問いかける。
「えーとぉ、とりあえず、詠唱が終わるまで待ってて欲しかったりしなかったりですぅ」
「なるほど。……却下」
「うにゃっ!?」
頚椎に右の一撃。
バランスを崩し、前に傾いたファリンの腹部にとどめの膝蹴り。
こうして、「訓練」はあっけなく幕を下ろした。
「はあ……なんだいなんだい、あんたら。そろいもそろって情けない……」
右手を額に当て、足元で正座させた2人を見下ろしながら深く落胆するネル。
「そ、そうは言いましても。だいたいネル様が強すぎるんですよ。あの旅から帰られてからのネル様
の強さは、以前とは比べ物になりませんっ」
事実、フェイトと共に旅立ってからのネルの成長ぶりは凄まじいものだった。
クリムゾンブレイドとして、これまで以上の修練、戦闘を重ね、遂には創造主すら倒せる程に
強くなっていった。
「わたしたちなんか、もう足元にも及びませんよ」
「そうですよぅ」
タイネーブの言葉に、ファリンが相槌をうつ。
「ネル様ったら、こんな化け物じみた強さなのに、勝てる訳無いですよぉ」
「あ、馬鹿」
「…………ほぅ、化け物」
ネルは不自然な程口元に笑みを湛えている。
「つまりはですねぇ、少しは手加減して欲しいわけですよ」
「馬鹿、ファリン、少し黙って──」
ネルの異変をいち早く察知したタイネーブがファリンを制止しようと試みるも、先ほどの訓練
の影響か、身体がイマイチ言うことを聞かない。
「タイネーブこそ黙っててくださいですぅ。……で、ですねぇ。せめて私が詠唱する程度の時間は
与えて欲しいですよ」
「…………ほぅ……」
「あわわわわわわわ……」
ファリンが口を開く度に、タイネーブの身体は言い知れぬ恐怖に震えた。
見上げたネルは、顔こそ笑っているものの、その瞳には明らかな怒りの感情が見て取れる。
(怒り? いや、違う……これは、殺気。うん、殺気だ。間違いなく)
ファリンは、いまだしゃべり続けている。
(ああー殺されるかなあ、私。死ぬ前にアレを……アレを片付けておきたかったなぁ)
震える身体で、妙に冷静にそんな事を考える。
「…………と、いう訳なのですよ、ネル様ぁ」
どうやら、ファリンの言い訳が終わったらしい。
「…………」
「ネル様ぁ?」
「…………」
返事は、無い。
「……ええ、と」
ここに来てやっと異変を察知したのか、ファリンの顔から一気に血の気が引いていく。
「今のは無しです。そんな事、欠片も思ってなかったりしますような感じですぅ」
(……遅い。遅いよ。遅すぎるよ、ファリン)
心の中で涙を流すタイネーブ。
「…………」
「…………」
「…………」
嵐の前の静けさ、というのはこういう事を言うのだろうか。
いっそ死んだ方が楽なのではないかと思う程に、重苦しい沈黙が場を支配する。
「……ねえ、タイネーブ?」
達観した表情を浮かべ、ネルが口を開く。
「は、はい」
「死後の世界って、どんなものなんだろうね」
ネルの視線は、どこか遠くへ向けられていた。
(フェイト様、早く来てください……)
「……では、特に問題はないんですね。フェイトさん」
アリアス領主の館の応接間では、丁度クレアがフェイトからの報告を受けている所だった。
「ええ。あとは最後の調節をして……営力の流れをもう少しだけ操作できれば」
最後の決戦の後。
フェイトは惑星エリクールに残る事にした。
今までの慌しい生活から逃れ、自然の豊かなエリクールで骨休めをしようと考えたのだ。
が……英雄という輝かしい功績がそれを許さず、結局今はシーハーツで施術技術者として働いていた。
「施術に頼らず、機械的に生み出される営力のみを利用して、エネルギーを作る……。実現も近いのですね」
「はい。……それが、少しでも人々の生活の役に立てばいいのですが」
「そうですね……私もそう願います」
報告を終え館から出ると、裏手の方から甲高い女の声が聞こえてくる。
「今のは無しです。そんな事、欠片も思ってなかったりしますような感じですぅ」
(ファリンさんかな?)
なんとなく壁に手をつきながら、館の裏手へと回る。
「ねえ、タイネーブ?」
ネルの姿が見えた。
「は、はい」
その足元を見ると、タイネーブとファリンが正座させられていた。
「どうしたんだろう」
フェイトは少し離れた場所から様子を見守る。
「……死後の世界って、どんなものなんだろうね」
なんだか怖いことを、さらっと言ってくれるネル。
「冗談……だろうけど、ちょっと2人が可哀想かな?」
フェイトはゆっくり3人に近づいた。
「ネル。よくわからないけど、もうそのくらいにしてあげなよ」
「フェイト様」
「フェイト様ぁ」
今の2人にとって、フェイトはまさに助け舟だった。
「……なんだ、フェイトか」
対照的に、ネルの反応はなんだか冷ややかだ。
「なんだって……まあ、いいか。こんな所で訓練かい?」
「あ、はぁい。そーなんですよぅ」
「うう、全然敵いませんでしたけどね」
「あはは。……あれ、タイネーブさん?」
フェイトの右手がタイネーブの眼前に迫る。
「な……なんでしょうか……?」
「いや。顔に泥がついてるよ……ちょっとじっとしてて」
フェイトは、親指を使ってタイネーブの目尻を撫でるように拭く。
「あう」
「フ、フェイトっ!? なにしてんだいっ」
ネルが顔を真っ赤にして声を荒らげる。
「え……あ、ごめん! 女の人の顔に触るなんて……失礼だったかな?」
「あ、い、いえ……ありがとうございます、フェイト様」
心臓が高鳴る。
戦場で死の危機に直面したあの感じとは違う、胸の高鳴り。
それはタイネーブにとって、生まれて初めて感じる感覚だった。
「……タイネーブさん? 顔、赤いよ?」
「へっ? あ、あやや、いえ、あの」
「大丈夫かい? ……熱、あるのかな」
こつん、とフェイトとタイネーブの額が合わさる。
「はうっ」
「フェイト!? ……っもういいっ。勝手にしなっ!!」
怒りながらその場を後にするネル。
「あぁー、ネル様怒っちゃいましたねぇー」
ファリンが気の抜けた声で言いながら、ネルの後姿を目で追う。
ネルはそのまま領主の館へと入っていった。
タイネーブは、これは明日が大変そうだな、と心の隅で思いながらも目の前のフェイトから視線を外せずにいた。
「……うーん、熱は無さそうだけど。念のため、今日はもう休んだ方がいいよ」
額を離し、タイネーブのクセのある髪を、軽く指で梳きながら忠告する。
「は、はい」
「じゃあ、おやすみ。……僕も、ネルに弁解したら、今日はもう休むから。……シランドからここまで
来るので結構疲れたからね」
「はーい。おやすみなさいですぅ」
「おやすみなさい」
その夜。女隠密2人の部屋──。
黄色い寝巻き姿のタイネーブと、ピンク色の、同じく寝巻き姿のファリンはちょこんと
ベッドの上に座って、いつもの様に今日の出来事を雑談していた。
話の内容は、当然、昼間の訓練について。
「フェイト様が来てくれなかったらぁ、危なかったですねぇ」
フェイトの名前が出てきたところで、タイネーブの様子に変化が生じた。
「フェイト……さま……」
枕をぎゅっと抱きしめ、頬を赤らめてその名を呟く。
それはまさしく、恋する乙女の反応。
「あー、タイネーブが恋する乙女になってますぅ」
ファリンの指摘は激しく的確だった。
「な、な、な」
反論しようとするも、あまりに図星だった為に気が動転して言葉が続かない。
そしてこの時、自分が感じていた胸の高鳴りの正体が「恋」であった事を自覚した。
「でも、駄目ですよぉ。フェイト様の事はぁ、私だって気にかけてたんですからぁ」
思いがけない告白。
(ファリンがフェイト様を好き?)
タイネーブは混乱した。
もしもそれが事実だとすれば、自分の上司であるネルと、同僚であるファリン。2人は恋のライバル
という事になる。もしかすると、クレアもその中に入っているのかもしれない。
中でも、特に危険なのはネルだ。
スタイルも抜群だし、なにより長い間苦楽を共にしてきた旅の仲間である。
(……どうしよう)
実力でネルを戦線離脱させる事も考えたが、いかんせん、力の差が大きすぎる。
第一、そんな力があれば昼間の訓練試合にだって負けていないハズだ。
となれば、残る手段は一つしかない。
「……フェイト様の方をなんとかしよう」
それが結論だった。
そして、それを実行に移す為には、悲しきかな色気の少ない自分一人では心細い。
「ファリン」
つまりは迅速に、かつ確実にフェイトの心を掴む必要があるのだ。
「共同戦線、ですねぇ」
タイネーブの意思を汲み取って発したファリンの言葉に、彼女は静かに頷いた。
「うーん……」
深夜、フェイトの寝室に忍び込む影がふたつ。むろん、タイネーブとファリンである。
さすがは隠密というところだろうか。
明かりの無い部屋の中、僅かな物音すらも立てずに、確実にベッドへと近づく。
その瞳には貪欲な光すら宿っており、野生の肉食獣が獲物を捕らえる瞬間を思い起こさせる。
覗き込むと、フェイトは長旅で疲れ果ててぐっすり眠っていた。
腰までしか掛かっていない布団を、そーっと横に退ける。
フェイトは、黒のTシャツにハーフパンツを寝巻き代わりに着ていた。
「わー、かわいいですねぇ」
フェイトの寝顔を見てファリンが小さく呟いた。
ごくり、と生唾を飲み込むタイネーブ。
「…………」
そのまま顔を近づけると、そっと自らの唇をフェイトの唇に重ねる。
「んっ」
心臓の鼓動が最大限まで早く、大きくなる。
「んっ、むっ」
そのまま少しだけ唇を吸って、顔を離す。
既にタイネーブの瞳は虚ろで、焦点が定まらない。
「あーっ、ずるいですよぉ」
ファリンが拗ねるような声を上げた。そして、今度は自分が顔を近づける。
「……ん」
タイネーブよりは軽めに、唇を触れ合わせる。
「……うーん」
「!!」
(まさか、起きた!?)
「…………」
一瞬ドキリとするが、どうやらまだ起きてはいない。
2人は顔を見合わせ、安堵の息を漏らした。
「……ファリンは、手をお願い。私が足の方をやるから」
少しだけ冷静さを取り戻したタイネーブが、懐から数本の短いロープを取り出す。
「はぁい」
ファリンはロープを受け取ると、手馴れた様子でフェイトの両腕をベッドに縛り付けた。
タイネーブも、同じように両足を縛り付ける。
フェイトの四肢を大の字の状態に固定して、一切の行動を束縛する。
「う、ううん……?」
これにはさすがのフェイトも目を覚ました。
「あ、おはようございますぅ」
ファリンが屈託の無い笑顔を向ける。
「なん……えっ、ええっ!?」
自分の置かれている状況を理解して、フェイトは驚愕した。
「なっ、なにをしてるんだよっ」
「まあまあ、リラックスですよぅ。はーい、深呼吸ー」
「できるかっ」
あくまでマイペースなファリン。
「ええと、イライラしている時は運動するのがいいのですよ?」
「運動させる気があるなら、これを解いてくれないかな」
「そんな、わがまま言わないでくださいよぉ」
何が我侭だというのだろうか。
そんなフェイトの疑問はお構いなしに、ファリンはてきぱきとフェイトの寝巻きを脱がし──もとい、
切り裂いていく。
「あっ、こら、やめ」
「それにぃ、運動だったら、今からたぁーっぷりと出来ますからぁ」
ファリンが妖しく微笑む。
ヤバイ。
フェイトは直感的にそう思った。
「それっ」
ファリンが、破いたフェイトのTシャツを投げ捨てる。
「うわわ、ちょ、たいっ、タイネーブっ!! 助け──」
「ごめんなさいっ」
フェイトの言葉を遮るように、タイネーブは再びフェイトの唇を奪った。
今度は強く強く吸い付き、フェイトの口腔に舌を潜らせる。
「んむっ!? ……むあ、んぅぅ」
「んっ、ふあっ……はぁ……んんん」
舌先から歯の裏側まで、舌を巧みに動かして丹念に蹂躙していく。
「タイネーブ……ずるいですよぅ」
その様子を物欲しそうに見つめるファリン。やがて、
「……あ、そうだぁ……うふふ」
何を思ったか、突然フェイトの股間へと手を伸ばした。
「あっ、うっ」
いつしかタイネーブとの深い口付けに興じていたフェイトだったが、突然股間を襲った刺激に、
意識が引き戻される。
「むっ……ぷぁ。ファ、ファリンっ!? なにしてるんだよっ」
「うふふふぅ……どーですかぁ? フェイト様ぁ」
ファリンはハーフパンツの上から、フェイトのソレを何度も撫で上げる。
「くっぅ……や、やめ」
「わあ……フェイト様ぁ? こんなに硬くなってますよぅ」
ファリンが股間の膨らみを軽く握り締める。
「ひっ、あ!?」
瞬間、フェイトの身体が硬直した。
そしてすぐに、全身から緊張感が抜けていく。
「あ……フェイト様ぁ、もしかしてぇ」
「う、うあっ、言わないで」
「……えへへ」
ファリンの手のひらには、ハーフパンツの生地越しになにか生暖かい感触が広がっていた。
「フェイト様……」
タイネーブは、フェイトのハーフパンツとトランクスに同時に手をかけた。
「だ、駄目だってば……」
フェイトとしては、それだけは絶対に避けねばならなかった。
なにせ、その中は自身の白濁液でぐしょぐしょになっているハズなのだ。
そんなものを女の人に……それも、2人になんて見られたら、恥ずかしさで死んでしまうかもしれない。
だが、手足を拘束されているフェイトには、何を出来る訳でもなく。
そんなフェイトの思いを知ってか知らずか、タイネーブは非情にも、フェイトを守る最後の防壁を一気に取り去った。
「ああ……」
フェイトは、あまりの恥ずかしさに顔を背ける。
「フェイト様……凄い……こんな」
恍惚の表情を浮かべたタイネーブが、一度射精したばかりだというのにあまりにも元気な、フェイト
のそれを凝視する。
「凄いですぅ……」
フェイトのソレは先ほどのファリンの責めによって、既に白濁液まみれになっていた。
「私がぁ……綺麗にしてあげますねぇ……」
ファリンはおもむろにフェイトのソレに顔を近づけると、舌先でぺろっと舐める。
「ひっあ」
フェイトの竿が、ビクンと痙攣する。
「あ……気持ち良かったですかぁ? もっとしてあげますねぇ……」
まるで犬のように、ぴちゃぴちゃと音を立ててフェイトのソレを舐め始めるファリン。
「ぁん……ファリン……ずるいよ」
負けじとタイネーブもフェイトの竿に舌を這わせる。
「ふぁ……フェイト様の……美味しいですぅ」
「んぁっ……んぅ……フェイト様……」
本来ならば宵闇の静寂が支配していたはずの部屋に、淫靡な水音が鳴り響く。
「く……ぁぁ、だ、駄目だ……ま、またぁ……」
「んむぅ……いいですよぉ、フェイト様ぁ」
「いつでも……我慢、なさらずに……んっ……」
そう言うと2人は、竿の両側から、その先端を強く吸った。
「ふっ……ぁぁぁぁあっ!?」
突然今まで以上の刺激を与えられた為か、フェイトが再び絶頂を迎える。
「んっ……ぷぁ、あああっ」
「ひあぁん……」
フェイトの先端から放たれた大量の白濁液が、2人の顔を汚していく。
「フェイト様ぁ……また、いっぱい出ましたねぇ……」
「んっ……ふぁ……」
顔の汚れなど全く気にせず、ファリンもタイネーブも再び竿を、フェイトが放った白濁液の残滓を舐め取っていく。
「うぁぁ……ファリン……タイネーブ……」
フェイトが泣きそうな表情で二人を見る。
「はぁっ……ふ……フェイト様ぁ、可愛いですぅ……」
ファリンは汚れたままの顔で、今度はフェイトの唇を貪った。
「んっ……ぷ……ぁ」
「フェイト様……そろそろ……」
「……?」
虚ろな瞳でファリンの向こうを見ると、タイネーブが一糸纏わぬ姿で、フェイトを跨ぐようにしゃがんでいた。
「ん……ふぁ、た、タイネーブ……」
フェイトの竿に右手を沿え、自らの秘部に導くようにしながら腰を沈めていく。
「く……あ、う、あっ」
膣は狭く、生まれて初めて侵入して来る異物を必死に押し返そうとする。
「ふぁん……う、ああっ」
タイネーブは一気に腰を落とした。
「くあああああああああああああっ!!」
内腑が爆ぜるような激痛を感じ、タイネーブが絶叫する。
「ひっ……ぐ……あ、う、あ……は、入り、まし……た……」
タイネーブは、目に涙を溜めながらそれだけ言うと、しばらくじっとして痛みに耐えた。
結合部からは一筋の鮮血が流れ、フェイトの腰を伝ってシーツを赤く染めている。
「大丈夫ですかぁ……?」
フェイトの唇を貪り続けていたファリンも、さすがにタイネーブの身体を心配した。
「だっ……大丈、夫。今……動きますからね……」
そう言うと、タイネーブは腰を浮かせた。
「ひっ、う、あぐ」
フェイトのモノが擦れる度に、タイネーブの身体を激痛が襲う。
だがそれ以上に、タイネーブはフェイトに気持ち良くなってもらおうと必死だった。
幸い血が潤滑油の役割を果たし、最初に挿入した時よりかはずっと滑りが良い。
「ひ……あああんっ!!」
ゆっくり引き抜き、抜ききる前に一気に腰を沈める。
「はっ……あっ、う……んぁう」
何度か繰り返す内に、タイネーブの様子に変化が生じ始めた。
喘ぎに艶かしい色が混じり、腰の動きも、より深くフェイトのモノを咥え込もうと激しさを増す。
「ふっ、あっ、ふぁっ、あっ、ぅん」
「くっ……ぁあ……タイネーブ……」
「ふぇっ、フェイト様ぁ!! こ、こんなっ、ひっあ、き、気持ち良いですっ!!」
快楽に狂った淫魔の如く乱れるタイネーブ。
その様子に、置いてけぼりを食らっていたファリンも、遂に欲望を抑えきれなくなった。
「フェイト様ぁ……ふ、ファリンも気持ち良くなりたいですぅ……!」
がばっ、と可愛らしい寝巻きを脱ぎ捨て、フェイトの顔の上に馬乗りになる。
ちょうどタイネーブと向かい合う形だ。
「くぁん……フェイト様ぁ? 舐めてくださぁい……」
女性の秘部を舐めるという行為に、一瞬躊躇したものの、フェイトは目の前の甘い誘惑を断る事は出来なかった。
濡れそぼったファリンの陰唇にキスし、舌を挿し込み、強く吸い付く。
「ひっ、ああああああああぅ」
ファリンの身体ががくがくと震える。
「ふぁぁぁんっ……フェイト様ぁ……もっと、もっと吸ってくださぁい……」
フェイトはファリンの秘部からとめどなく溢れ出る愛液を、少しも零さないように丁寧に嚥下する。
「ひっはぅ、うぁん……ふ、ふあああっ、た、タイネーブぅ」
ファリンは目の前で激しく腰を振るタイネーブの胸元に顔を近づけると、硬くなった乳首に吸い付いた。
「ひあああっ」
新たな快楽が加わったことで、タイネーブが歓喜の悲鳴を上げる。
ファリンはまるで赤ん坊のように、小さな胸の先端を吸ったり、軽く噛んだりした。
その痛みすらも、タイネーブにとっては快楽に変わる。
「んっ、はぁっ、ファ、ファリンっ……もっと、もっと私の胸……弄ってっ」
「んっ、あむぅ……ひ、あっ、はむ……むぅ」
しばらくそんな事を続けていると、やがてタイネーブの膣内の締め付けが強くなっていった。
そろそろ限界が近い──。
そしてそれは、フェイトも、ファリンも同じだった。
「はっ、あっ、あっ、ふっ、フェイト様っ、私、も、もうっ」
「くぁぁんっ、わ、私もぉ、もう、イキますぅ……ひ、ああああっ」
「んっ、僕も……く、ああああっ!!」
一気に絶頂の階段を駆け上がる3人。
「フェイト様、ファイト様あぁぁぁっ!!」
「ふあああああああああああんっ!!」
「……っ!」
その瞬間、3人は同時に極みに達した。
フェイトは身動きも取れぬまま、タイネーブの子宮に大量の精を放つ。
「んああああっ、あっ、熱いよぉっ」
フェイトの精をその身体で全て受け止め、タイネーブはそのまま力無く倒れこんだ。
事を終え、ファリンとタイネーブはフェイトを解放した。
ベッドに腰掛けるフェイトの手足には、くっきりとロープの食い込んだ痕が残っている。
「どうして、こんな事」
解放されたフェイトの第一声は、それだった。
「その、私たち、ネル様にフェイト様を取られちゃうんじゃないかって思って……それで」
タイネーブが申し訳無さそうに頭を下げる。
「ごめんなさいですぅ……」
ファリンもぺこりと頭を下げた。
「……まったく、どうしてくれるんだよ」
「…………」
「怒りたくても、怒れないじゃないか」
「え?」
2人が顔を上げる。
フェイトは照れくさそうにそっぽを向いている。
「フェイト、様?」
「…………あ」
ファリンはフェイトの股間を見て、その意味を理解した。
「……フェイト様ぁ? コレって……そういう事ですよねぇ?」
タイネーブも、ああ、といった具合に納得する。
「……まだまだ若輩ではありますが、よろしくお願いします」
フェイトが頭を下げる番だった。
「フェイト様……もう、離しませんからね?」
「うふふぅ……それではぁ、もう一回ぃ、いきますよぉ?」
3人は互いに頷き合うと、再びベッドに倒れこんだ。
翌日から、毎晩のように2人の隠密がフェイトの部屋に足を運ぶようになったのは、言うまでもない。