「おかえりなさい、アルベルさん」  
毎日、仕事で国中走りまわっている彼を、私は笑顔で迎えた。  
バンデーン艦の事や、アンインストーラーを使ったときの影響で凶暴化したモンスターの  
後始末、街の復興など色々と忙しいらしい。  
こうして、家で会うのも三日ぶりだったりする。  
「ああ……飯はできてるか?」  
─だというのにアルベルさんの反応はこんなのだ。せめて、もうちょっと喜ぶとかなんと  
かして欲しい。いや、期待しても無駄なのはわかっているのだけども。  
「はいっ、今日はクリームシチューですよ」  
『めちゃくちゃさみぃ』などと呟きながら暖炉の前に両手をかざしている彼の所へ二人分  
の食事とタオルを持っていく。  
「そのまんまじゃ風邪ひいちゃいますよ?」  
暖炉の熱で溶けてしまった雪のせいでアルベルさんの頭はびしょ濡れになっている。タオ  
ルを差し出すと『いらねぇ。ほっときゃ乾く』の一言で返された。  
「もう、駄目ですよ!」  
私はアルベルさんの頭にバサッとタオルをのせ、髪の毛を引っ張らないよう丁寧に拭きは  
じめる。  
アルベルさんは『うぜぇ』とか『いらねぇっつってるだろ、阿呆』なんて言いながらも抵  
抗はしなかった。  
「終わりましたよ。それじゃ、ご飯にしましょうか」  
 
─こうして、私は久しぶりに彼と一緒に食事を取った。  
会話は全く無いけれど、隣にアルベルさんが居るということがとても嬉しい。  
いつもみたいに一人で食べるときよりも、ずっと美味しかった。  
 
「それじゃ、後片付けしてきますね。おかわりとかはいいですか?」  
「いらねぇ。それより終わったらすぐこっちに来い、話がある」  
「え?あ、はい」  
話??  
なんだろう、と少し考えてから、私は台所に向かった。  
 
洗い物を済ませ、再び居間に戻ってくると、アルベルさんはなんだか難しい顔でソファー  
に座っていた。  
「なんですか?お話って」  
「ああ……」  
「?」  
「…………お前は……ここに残って後悔してないのか?」  
「へ?」  
多分、今の私はとても間抜けな顔をしてるだろう。まさか、アルベルさんの口からこんな  
セリフが飛び出すとは思わなかったから。  
「一昨日の夜、泣いてただろ。『パパ……ママ』っつって。それで……な。あと……」  
アルベルさんがその続きを言う前に、私は……  
『阿呆』、とアルベルさんにチョップした。  
 
「……いてぇ」  
「私の手も痛いです……」  
「今のはなんだ?」  
「アルベルさんの真似です」  
「……似てねぇ」  
「…………自分でもそう思います」  
「で、人の話を途中で止めてまでオレに言いたい事があるのか?」  
「ええ、アルベルさんは馬鹿です!阿呆です!間抜けです!プリンです!」  
「おい、なんか違うのが一つ混ざっ「混ざってません!」  
アルベルさんの抗議を却下して、私は言葉を続けた。  
「それは……確かにパパやママには会いたいです。学校の友達とか、フェイトにも会いた  
いですよ。でも……それでも、私は……アルベルさんの傍に居たかったから、ここに残っ  
たんですよ?」  
「……」  
「なのに……今更、そんな事言うなんて酷いです」  
「悪かっ「謝らなくていいです。それよりも、いつものアルベルさんらしくしてくれた方  
が私は嬉しいです」  
「…………ケッ、阿呆が」  
と、普段じゃ考えられないような優しい顔でアルベルさんは笑った。  
 
「さて、お話も終わった事ですし。アルベルさんはお風呂に入ってきて下さい。いくら暖  
炉の前だからってすぐ身体が温まる訳じゃないんですから」  
「おう。…………一緒に入るか?」  
「入りたいんですか?」  
「………………」  
「ちゃんと言ってくれないとわかりませんよ。ほらほら」  
「……っ!!」  
アルベルさんは両手を固く握り締めわなわなと震わせている。  
……そんなに言うのが恥ずかしいのか、この人は。  
「言えないんですか?」  
「クソッ!言えばいいんだろうが、言えば!一緒に入れ!!……これでいいだろ」  
「わかりました」  
こうして、私たちは一緒にお風呂へ向かった。  
 
「こうやって一緒に入るのも久しぶりですね」  
「ああ」  
今、私たちは一緒にお風呂に入っている。オイルサーディン状態で。  
何故そんな状態かというと……アルベルさんの家のお風呂は狭いのだ。  
正直、一人分の大きさしかない。二人で入っているのだからこうなるのも当然だ。  
「狭いな」  
「狭いですね」  
「ちょっと体勢変えるぞ」  
そういって、アルベルさんは私を持ち上げ、私の下にまわった。  
「ちょっ、アルベルさん何するんですかっ!」  
「この方が何かと都合がいいからな」  
「何かとって……」  
「よくも恥をかかせてくれたな阿呆。おしおきだ」  
「……ゃっ!」  
アルベルさんにいきなり後ろから胸を掴まれた。突然の事で思わず声が出た。  
そのままぐにぐにとアルベルさんは私の胸を揉みしだく。  
 
「んっ……あっ……」  
中心にある薄桃色の突起を指先でくにくにといじられる。  
容赦なく加えられる刺激で、そこは少しずつ硬度を増していった。  
「もう勃起してるな。今日は早いじゃねえか」  
「そん……なっ、くっ……」  
「三日もしてないから溜まってるのか?それとも俺が居ない間、自分でしてたのか?」  
「そんなことっ……あんっ……そんなっこと……いえ、ません」  
「そうか、ここで止めていいんだな」  
「……あっ」  
「どうした?」  
「…………やめないで、ください」  
「なら、答えるんだな?」  
「……一回、だけ」  
「どうやって?」  
「……アルベルさんの事を考えながら……指で、自分の……アソコを弄りました」  
「じゃ、やってみろよ、ここで」  
「っ!!」  
「どうした?できないのか?」  
「……やり、ます」  
そして私は浴槽のふちに座り、アルベルさんの目の前で昨日の夜した事を再現した。  
 
「はぁっ……ああっ……んっ……」  
くちゅくちゅと、左手の指で自分の太ももの奥をまさぐる。水気を含んだいやらしい音が  
自分のアソコから聞こえていた。  
そして、右手を胸へと伸ばし鷲掴みにする。  
普通の人よりも大きいバストは、自分の手の平では収まりきるはずもなく、指の隙間から  
柔肉がはみだした。  
「あああっ!やっ……だめぇ……」  
自分の声に少しずつ、熱がこもっていくのがわかる。太ももの間に這わせた指が、グチュ  
グチュと粘りのある音を出していた。  
「はっ……くぅ……んっ」  
指に自分の秘部から溢れ出した蜜を絡めとり、皮の剥けた蕾を弄くる。  
「あっ!うくっ、ひうっ……はぁっ」  
胸から指を離し、口もとに当てて必死に声をこらえる。けれど、それぐらいでは抑えられ  
なかった。  
「あっ!あっ!あっ!あっ!」  
指の動きを除々に早くしていく。第一関節あたりまで指を沈め、中を掻きまわす。  
「はっ……あんっ、あるべるさ……もう……ダメ……です」  
「んっ……はぁっ……イクっ……あっ、く……あああっ!!」  
「はぁっ……これでいいですか……アルベルさん」  
「ああ……けど、続きはちょっと待ってくれ」  
「……はぁはぁ……どうして……ですか?」  
「……ずっと風呂の中で見てたせいで……のぼせそうだ」  
「あるべるさんの……ばかぁ」  
「続きはちゃんと部屋でしてやるよ、ソフィア」  
「……こういう時だけ……名前で呼ぶなんてズルイです」  
「おら、部屋行くぞ」  
アルベルさんに抱きかかえられ、私はベッドまで連れて行かれる。  
私の身体をベッドに横たえて、アルベルさんは優しくキスをしてくれた。  
そして……私たちは朝までずっと繋がっていた。  
 
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「アルベルさん?起きてますか?」  
返事が無い。ぐっすり眠っているようだ。  
「アルベルさん、私昨日大事な事言い忘れてました」  
寝ているアルベルさんの髪を撫でながら、私は言葉を続ける。  
「私……ここに残って、ずっとアルベルさんの傍に居られて……幸せです。これからもず  
っと一緒に居させてくださいね」  

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