フェイトは夢ごこちのようだった。  
「ちゅっ、ちゅむ、ちゅむ―――」  
「ああ、イイよ・・・もう少し強く吸って・・・」  
「こう・・・?」  
「そう、そうだよ・・・うわぁ感じる・・・」  
「ちゅうぅぅぅぅ・・・んふふ」  
 二人きりの花園の世界。愛しい恋人がフェイトの分身を可愛がっている。  
柔和な表情で、先を舐めたり、奥まで銜えこんだりと。  
「気持ちいいよ、マリア―――ひぐぅっ!?」  
 不意に分身に鋭い痛みが。どうやら噛まれたみたいだ。  
「痛たたたた・・・、あれっ?」  
気がつくと視界には天井が映っていた。  
しょっちゅう見ているぺターニのホテルの天井だ。  
「なんだ、夢だったのか・・・」  
 残念に思ったが、すぐに顔がにやける。  
「でも生々しかったよなあ、本当にしゃぶられいるみたいですごく良かった」  
「んちゅ、ちゅく・・・」  
「そうそう、こんな風につたなく舐めてるのが新鮮で気持ち―――?」  
 おかしい、まだ分身が心地よい刺激のままだ。フェイトは顔を下に向けた。  
「エ、エリザァァッァァァ!?」  
「あっ、マスター起きたんですか?別の女の人の名前を言うから、つい噛んじゃいました。うふっ♪」  
 分身から口を離して微笑むエリザ、今度は手でしごき始めた。  
「な、何してるんだよ、こんなこと止め―――!?」  
 身体を起こそうとするが、思うように反応しない。  
「ごめんなさい、ちょっと拘束しちゃってます。きつかったら言ってくださいね」  
 フェイトは両手足を縛られ、布団の上にバツの字になって動けない状態だった。しかも裸で。  
「マスターって身体鍛えられてますよね・・・あぁ、いい肌触りぃ♪」  
 フェイトの胸を頬で擦りながら、エリザはうっとりとした表情になる。  
 
「どうしてこうなったんだろ、いったい・・・?」  
「教えて欲しいですか?」  
「是非とも頼むよ・・・そ、そんなに顔を近づけるなよ」  
「駄目です、あたしがこうしたいんです」  
 フェイトに覆い被さって顔を近づけたエリザが、説明していく。  
「あたし、昨日見たんです。マスターが昨日リジェールさんとエッチしているのを」  
「え゛っ、うそっ!?」  
「あたし興奮してその場でオナニーしちゃいました。  
でも、やるせなかったんです。あたしの好きな人が、ほかの人とエッチをしているのを見ると」  
 フェイトに告白をした後、寂しい表情になるエリザ。だが次の瞬間、小悪魔な表情へと変わる。  
「でもいいんです、こうやってあたしもフェイトさんを感じればいいわけですから」  
 そう言って、フェイトの唇を塞ぐ。舌を吸い寄せ、唾液を奪い取る。  
「んっ・・・んんっ・・・!?」  
「んぅ・・・、ぷはぁ、マスターの唾液とっても美味しかった♪」  
 満足に微笑んだエリザは、今度は舌を胸に這わせていく。  
「き、気持ちいい・・・。だ、駄目だエリザ、僕には彼女がいるんだ!  
だからもうこんなことは止めてくれ!」  
「それって、さっき寝言で言ってたマリアって人ですか?  
だったらその人に、浮気してたこと言っちゃおうかなぁ」  
 コロコロと笑ったエリザはフェイトの乳首を吸った、ツンとたっている彼の突起を。  
「あうぅぅぅ、イイ・・・。はっ、思い出した!  
さっきリジェールとのことがばれて、マリアに半殺しにされたんだ」  
「そうだったんですか?ファクトリーに来てみたら、  
ボロボロの状態で気絶してましたから、びっくりしちゃいました。  
せっかく睡眠薬入りのジュースを作ったのに、意味が無かったですね」  
「頼むよエリザ!エリザの気持ちは受け取れない!  
今度浮気したのがばれたら、本当に殺されてしまうかもしれないんだ!  
死にたくないからやめてくれよ!」  
 
「マスター、質問です。マリアさんは初恋の相手ですか?」  
 唐突に話題を変えるエリザ。フェイトは困惑しながらも答える。  
「い、いいや、違うよ」  
「では次の質問です。前の彼女を振ってまで、マリアさんと付き合ってるんですか?」  
「う、うん。そういうことになるかな」  
 いったい僕に何を言わせる気なんだ。フェイトは困惑した。  
「でしたらマスターがあたしを、マリアさんより好きにしてあげます」  
「ちょっと待てよ、そういう問題じゃないだろ!?」  
「このあたしにお任せあれ。大船に乗った気持ちでいて下さいね、うふっ♪」  
 エリザは立ち上がると、何やら呪文を唱え始めた。  
「ありおりはべりいまそかり、まいっちぃぃんぐ、メェェク・アァァップ!」  
 するとエリザの身体が、某大作コスプレRPGのキャラのように変身し始めたではないか。  
足元から徐々に上方向に変わっていったその姿に、フェイトは驚きを隠せなかった。  
「ボ、ボンテージ衣装!?」  
「どうですマスター、女王様にジョブチェンジしちゃいました。  
この前、変身の施術を覚えたんですよ。もちろんムチもついてますからね。うふっ♪」  
「うわぁ・・・」  
「似合います、マスター?」  
「素晴らしいよ、最高だよ、神の御使いだよ!  
幼児体型にSM衣装だなんて、ミスマッチ過ぎて萌え死にそうだよ!」  
 狂喜乱舞の雄叫びをあげるフェイト。だがエリザは頬をぷくっと膨らませる。  
「ひどいですよマスター、この体型気にしてるんですよ」  
「ご、ごめん」  
 
「そんなことを言うマスターにはお仕置きです、えいっ!」  
 そう言うとムチを振り下ろし、ピシィッと音を鳴らし、  
フェイトの身体にピンクの傷を浮かび上がらせる。  
「うぐぅ!?」  
「マスターの苦痛の表情可愛い・・・、もっと虐めたくなっちゃいます」  
 再びムチの音が部屋に響く。フェイトはうめき声をあげるがそんなことはお構い無しだ。  
「うがあっ!痛いよ、止めてくれエリザ!」  
「当然止めませんよマスター、続けていきますからね。うふっ♪」  
 1コンボ2コンボ3コンボ―――、フェイトの身体に次々と無双乱舞が叩きつけられる。  
フェイトはただただ悲痛の叫びをあげ続けるだけだった―――はずだが。  
「あっ、んはあっ!んぐうぅぅっぅん!」  
「あれ?マスター、感じちゃってるんですか?」  
「ええっとそれは・・・」  
「あっ、でも聞かなくてもわかりました。フェイトさんのオチ○チンがこんなに膨れてますもの」  
「いやあ、エリザに叩かれてると思うとつい・・・」  
 普段から戦闘の場数をこなしているフェイトは、痛みに対して人一倍耐性がついている。  
 そのため、初めてのSMプレイもすぐに順応できたのだ。  
「ムチで叩かれて悦ぶなんて、マスターって変態です。  
もうあたしにメロメロになっちゃってますね、うふっ♪」  
「ち、違う!例え身体は快楽に染まっても、僕の心はマリアにしか染めることが出来ないんだ!」  
「まだそんなことを言うんですか、えいっ!」  
 エリザはムチを振り下ろしたが、フェイトは耐えた。  
「くっ!」  
「ほらほら、喘ぎ声を出してくださいよ!」  
 エリザがムチの打撃を重ねるが、痛みよりフェイトの気力が勝った。  
「んぅ・・・もう慣れた!こんなもので僕とマリアの愛は打ち砕かれないぞ!」  
 フェイトがカッと眼を見開く。その瞳には、マリアに殺されたくないという怯えも、  
弱冠見え隠れしてはいたが。  
 
「しかたないですね・・・、ならこうしてあげます」  
 エリザは立った状態のまま、フェイトの分身を柔らかく踏みつけた。  
「うああぁぁぁぁ・・・」  
 フェイトの身体が軽く痙攣した。  
「マスター、気持ちいいみたいですね。オチ○チンが脈打っているのが、足の感覚でわかりますよ♪」  
「気持ちいい・・・良すぎるよ」  
「ではこのまま足の裏でイッちゃってください」  
 エリザは足の裏を上下に動かして、分身を擦るようにする。  
「そ、それだけは嫌だ!足の裏でイクなんて、人として尊厳が無くなる!」  
「では、マリアさんよりあたしが好きって言ってくれれば止めます」  
「無理だよそんなこと!」  
「だったら踏み続けますね。うふっ♪」  
 エリザは踏みつけに強弱を加えて、分身を刺激し続ける。  
もはやフェイトの分身は破裂寸前だった。  
「エリザ、郷に入っては郷に従えってことわざを知ってるかな?」  
 唐突にフェイトが話題を口にした。  
「どういう意味なんです?」  
「例えば、新しくエリザに快楽を受けた人は、エリザの快楽にすべて従うって意味なんだ」  
「え〜と、いまいちよくわからないんですけど」  
「あの・・・まずは愛人からってことで許してもらえるかな・・・?」  
 もうここまで我慢したんだ、エリザに心を許しても誰も文句は言わないだろう、  
むしろ言わせない。フェイトは心の中の第三者を説得した。  
 
「愛人からでもかまいません、でもあたしのことを好きって言ってください」  
 エリザは真剣な表情でフェイトを見つめた。  
そんな彼女の表情を見て、フェイトはときめいた。  
「大好きだよエリザ。初めて会ったときからずっと気になっていたんだ。  
エリザが好きだからこそ、僕は大金を惜しげもなく、プレゼントできたんだ」  
 これはでまかせではない。他に思い人がいなければ、フェイトは告白しようと思っていたのだ。  
「嬉しい・・・、マスターにそんなこと言われるなんて・・・!」  
 エリザは感激のあまり、涙を流した。  
「これで心置きなくあたしのバージンを捧げられます」  
「え、バージンって―――」  
 フェイトの問いかけは無視して、エリザはフェイトの分身を自分の秘穴にあてがった。  
「マスター、あたしのすべてを受け取ってください―――」  
 エリザはフェイトにそう告げると、ゆっくりと腰を沈めていった。  
「ひぐっ・・・、ぃつぅぅぅ・・・!」  
 処女膜が破れる音とともに、エリザの顔が苦痛に歪む。  
「大丈夫かい、エリザ?」  
「平気ですマスター・・・。だめですよね、あたしって。  
せっかくマスターと一緒になれたんだから、もっと嬉しい顔をしないと」  
 そう言って微笑もうとするエリザ。しかし痛みでなかなかうまくできない。  
結合部から流れる紅い血が痛々しい。  
 
「エリザ・・・」  
 この時フェイトは、エリザと一緒になりたいという気持ちでいっぱいだった。  
マリアのことは片隅にも無い。  
「はぁっ、はぁっ・・・動きますねマスター・・・」  
 痛みにひと段落ついたのか、エリザが自分から腰を動かした。  
「ああ、マスターがあたしの中で擦れてる・・・」  
「うあぁっ、もう出そう・・・!」  
「駄目ですよマスター、あたしが感じるまで待っててくださいね・・・」  
 エリザは、ゆっくりと大きく腰の出し入れを繰り返していく。そのうち彼女に変化が訪れた。  
「あ、あ、ああ・・・感じる・・・感じるよぉ・・・」  
 大好きな人と繋がっているという思いが、処女の痛みを上回ったのだ。  
「よかった・・・、くっ、エリザ、もうイキそうだよ!」  
 フェイトが腰を動かし、エリザが跳ねるように突き上げる。  
「あんっ、あっ、はい、中に、中に、お願いします、あんっ!」  
 エリザもペースを速めようと、積極的に腰を動かす。  
「く、うぅぅっ!!!」  
「マスター、マスター、マスタァァァァッ!!!」  
 2人は同時に絶頂に達し、結合部から紅白の液が混じって湧き出た。  
 
 その後、しばらく余韻を楽しんだ後、エリザが言う。  
「マスター・・・、素敵な思い出をありがとうございます」  
「僕こそ礼を言うよ・・・」  
「マスター、これからもずっとここにいてくださいね」  
「え・・・。駄目だよエリザ、僕には行くところがあるんだ」  
 アイテムクリエーションでアイテムもあらかた作った。  
そろそろ、次の目的地へ行かなければならない。  
「そうですか・・・、あたしはいつまでも待ってますから」  
「わかった・・・」  
もうこれっきりだ、エリザとはひと夏の思い出に終わっておこう。  
フェイトは口に出さず決心した。  
「そうだマスター、ひとつ言い忘れてました」  
「なんだい、エリザ?」  
 最後にもう一度キスするのかな、とフェイトは甘い妄想をした。  
「実は今日はアノ日なんですよ」  
「へっ?」  
「赤ちゃんが出来る日なんですよ、マスター」  
「あかちゃん?」  
 フェイトは状況が飲み込めなかった。いや、飲み込みたくなかったのか。  
「あたしとマスターの子供ですよ。一緒に愛情をもって育てましょうね」  
「え、あの、その、えぇと、つまり―――」  
 フェイトの顔から、あっというまに血の気がひく。  
「子供が生まれるまでには戻ってきてくださいね。うふっ♪」  
 どうやら、ひと夏の思い出には終わりそうも無かった。  

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