エターナルスフィアを破壊しようとしていたルシファーは倒れ、フェイト達の戦いは終わった。
それに従い、役目を終えたクォークもまた、解散することとなった…。
ディプロ・ブリッジ。
解散に伴う多くの処理作業の合間に、フェイトとマリアは
二人でこれまでの戦いを振り返り、そしてこれからのことを話していた。
「クォークは解散して…これからマリアはどうするつもりなんだい?」
「…もう争い事はこりごり。どこか遠くで、静かに暮らしたいわ。
もちろん誰かステキな人と二人で…ね」
「そうなんだ…でもさ、その相手ってのはまだ決まっていないんだろ?」
「ふふ…あなたになら話してもいいかな?実は2人程アテはあるのよ」
「そ、そりゃ驚いたな…。それって、僕とかが知っている人なのかい?」
「ええ…そのうちの一人が、今、この私の目の前に居てくれている人で、もう一人が、私が選ばなかった人よ。」
「・・・・・・」
フェイトはしばらく黙ったのち…
「え、目の前!?」
そう言って後ろを振り返る。
「誰も…いないみたいだけど」
「もうバカ!何ボケてんのよ…」
「・・・・・・僕なんかでいいの?」
フェイトが真剣な眼差しで訊く。
「『僕なんか』なんて言わないで。私だって見る目はあるつもりよ」
「じゃあ…ホントに…」
「あたりまえじゃない…好きよ、フェイト」
二人は自然に抱き合う。そして…
ガタッ…プシュン…
突然、ドアが開閉する音がした。
二人はとっさに体を離す。
「…見られちゃったかな」
「多分…」
『私が選ばなかった人』…そして何よりも『好きよ、フェイト』…
そうマリアは言った。
盗み聞きする気はなかった。
作業の途中で、サボろうとブリッジに寄っただけだったのだ。
そこで…聞いてしまった。
最初から勝ち目はなかったのかも知れない。
あの二人の出会いは、最初から運命付けらていたのだ。
そう思っても、それと直面するのは辛かった。
涙が出てくる。惨めな自分が悔しかった。
廊下を全力で走る。今はとにかく泣きたかった。
「きゃあっ!」
曲がり角で誰かにぶつかる。
「危ないじゃないっ!」
「マリエッタか…ごめん」
相手の顔を見て詫びるべきだが、泣き顔は見られたくないと思った。
そのまま走っていく。
「おい!リーベル!」
兄、スティングの声が後ろから聞こえた。
「ったくあいつは…大丈夫か、マリエッタ?」
倒れたマリエッタに手をさしのべる。
「ねぇスティング…今…リーベル、泣いてなかった?」
「え?気付かなかったけど…気のせいじゃないか?」
「ううん、泣いてた…顔、くしゃくしゃにして…何かあったのかな」
「どうせリーダー絡みだろ?いつものことさ」
スティングの予想は当たっていた。しかし…
ブリッジの入り口まで来た二人は、ブリッジから出てきたフェイトとマリアとはちあわせた。
「あ…リーダー。フェイトさんも」
「え!マリエッタ!?スティング!?」
あわててつないでいた手を離す。
「あ…」
状況を理解したマリエッタが顔をそむける。
「え…っと、二人とも、仕事頑張ってね」
そう言ってフェイトとマリアは逃げるように消えていった。
「リーダー…そういうことかよ」
スティングがつぶやく。
「え…じゃあリーベルは…」
マリエッタも状況を理解した。
「ああ…あいつ、やっちまったな」
「リーベル…あんなに追いかけてたのに…」
長い沈黙が流れる。二人とも言葉が見つからない。
「はは…さぁ、仕事仕事。こんなトコでぼーっとしててもどうにも…」
「…行ってやれよ、マリエッタ」
「え?」
「いいから」
「な…何いってんのよスティング…大丈夫?」
「好きなんだろ?あいつのこと。だったら…」
「バーカ、いつの話よ。言ったでしょ?もう気持ちの整理はついてるって」
「あいつこのままじゃ自殺とかしかねないからな」
「・・・・・・」
「支えてやってくれ…お前じゃなきゃ出来ないと思う」
「今さら…今さらそんなこと出来る訳無いじゃない!リーベルは私のことなんてなんとも…」
「お前はどうなんだよ、マリエッタ。お前の気持ちは…」
「そんな…そんな偉そうな事言わないで!スティング…あなたに…あなたに何がわかるのよ!」
「わかるさ…俺だって恋ぐらいしてる…だからあいつの気持ちが痛いほどわかるんだ」
「スティング…」
「だから…頼む、マリエッタ。あいつのこと…」
「…ありがとう、スティング…ゴメンね、ひどい事言って」
マリエッタが駆け出す。
黙ってその後ろ姿を見送ったスティングは、窓の外を見つめてつぶやいた。
「…つくづく兄貴ってのは損な役回りだな…まったく」
クーラーの中に入っていた缶ビールを一気に飲み干し、リーベルはベッドにうずくまっていた。
そのとき、コンコン…とドアをノックする音が響いた。
「リーベル…私だけど…ちょっといいかな」
マリエッタだ。
正直、今は会いたくないが来てしまったものは仕方が無い。
リーベルはドアを開けマリエッタを迎え入れる。
「ごめんね…あ、お酒飲んでたの?あなた、飲めたっけ…」
「別にいいだろ…何の用だよ」
リーベルがふてくされた顔で言う。
「あ、あのね…リーベル…」
「何だよ」
「・・・・・・」
その後が続かない。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
時間だけが過ぎていく。
「…何だか知らないけど、用事が無いなら出てってくれよ。…今はそんな気分じゃないんだ」
「ごめん…その、見ちゃったんだ…私」
「だから何をだよ」
「リー…いやマリアがフェイトさんと手をつないでるとこ」
「!」
「あの…その…」
「そうかよ、そうなのかよ!お前…俺のこと笑いに来たのかよ!からかいにきたんだな!?そうなんだろ!?」
「ち…違うよ!リーベル…」
「うるさい!みんなして俺をバカにして…出てってくれ!早く!」
「リーベル…だから聞いて!」
「・・・・・・」
「あの…はっきり言うね…私、あなたのことが好き…好きなの!だから…」
「ハァ!?…何だよ…何だよそりゃ!」
「え…リーベル!?」
「俺を慰めようってのか?そんなに俺は惨めかよ?俺をバカにしてそんなに楽しいのかよ!?」
「リーベル!ひどい…私は本気で…!」
「余計なお世話だよ!出てけ!出てけよ!」
バシッ!
「きゃあっ!」
怒り狂って振り回した手がマリエッタの顔に当たってしまった。
その衝撃でマリエッタは床に倒される。
「うっ…リーベル…」
リーベルの中で何かが弾けた。
両手でマリエッタの胸をわしづかみにする。
「ひぐっ…痛いよ!リーベル!」
「あぁ?痛い?このくらい大したことないだろうが?」
「ひ…ひどいよ…こんな…」
「ひどいのはどっちだよ!人の気も…人の気も知らないで勝手なこと言いやがって!」
一気にマリエッタの服をはぎとる。
ピンクの飾り気のない下着が露になる。
「嫌ぁ!やめてリーベル!お願いだからぁ!」
マリエッタの絶叫にふと我に戻るリーベル。
「…あ…俺は…俺は何を…」
自分の足元には、服を剥ぎ取られ、恐怖に泣きじゃくる無惨なマリエッタの姿があった。
「え…マリエッタ…まさか…俺…」
怯えるマリエッタの瞳。リーベルは、床に倒れこんだ。
(俺は…最低だ!一人で暴走して、一人で落ち込んで…しかも慰めてくれようとしたマリエッタに
こんな…こんな酷い事を…)
「マ…マリエッタ…俺、俺…うぉぉぉぉぉぉぉっ!!
泣きわめくリーベル。
「ご…ごめん、マリエッタ…俺、何て…何て事を…」
マリエッタはそんなリーベルを抱きしめた。
「マリエッタ…?」
「いいの。いいのよ、リーベル…それであなたの気が済むなら」
「で、でも…」
「だけど…これだけは信じて…私はあなたがかわいそうだから好きだなんていったワケじゃないよ?
ホントに…ホントに好きだったから言ったんだよ?」
「じゃあ…じゃあどうしてもっと早く…」
「私たちって幼なじみだから…どうしても恋愛対象にはならないって思ってた。いつもそばにいる気がしたから…。
だけど、あなたがマリアにアプローチするのを見て私、胸が苦しくなったの。あなたがいなくなっちゃう気がして…」
「マリエッタ…」
「それでもあなたがマリアと結ばれるのなら私、心から祝福しようと思った。…そう、決めてた。
だけど…あなたがフラれたって知ったとき、封印してた感情が…もう捨てたはずの気持ちがよみがえってきて…」
「・・・・・・」
「私、自分のこの気持ちを隠すことはできない。追いかけ続けるのは辛いけど、自分に嘘をつくのはもっと辛いもの…」
「でも…」
(兄貴は…スティングは…)
スティングがマリエッタのことが好きなのは知っていた。よく一緒にいるし、酔っ払って愚痴を聞かされたこともある。
『マリエッタはどうしてはっきりしてくれないんだろうな…俺は逃げたりしない。いつでも両手を広げて待ってんのに…』
『あいつはなぁ…けっこうおっちょこちょいなトコがあるんだ。ま、そこがまた可愛いんだけどな』
(・・・・・・)
(やっぱり、兄貴を裏切ることなんて…)
「スティングがね、行けって言ってくれたの」
「!」
「『あいつを支えてやってくれ』って…」
(兄貴…そうか)
スティングもマリエッタの気持ちはわかっていた。だからこそ…自ら身を引いて…
俺は本当にバカだ。最低だ。
だけど、俺の目の前にはこんな俺でも好きだと言ってくれる女性がいる…。
その思いに…応えたい。
「でも…もしリーベルが私のコト嫌いっていうなら諦めるよ?だから…あなたの気持ちが聞きたい。
あなたの本当の気持ちが。もし、嫌いなら正直に言って…」
「もういい」
「え?」
答えは決まっている。
もう、言葉は要らなかった。
リーベルは、力いっぱいマリエッタを抱きしめた。無言で、ただ抱きしめた。
涙が、溢れた……
「い…痛いよ…リーベル…力…入れすぎ…」
「じゃあ、行くよ?マリエッタ」
「うん、いいよ…今度はやさしくしてね」
リーベルの唇がマリエッタの乳首に触れる。
「あふ…」
舌で乳首を転がし、反応を楽しむ。
「だんだん固くなってきたよ…感じてるの?」
「言えないよ…そんな恥ずかしいこと」
「素直に言わないとやめちゃうぞ?」
「うぅ…リーベルのイジワル…ひぅっ!?」
リーベルの手が下に伸び、マリエッタの秘部を刺激する。
「もうこんなになってる…やっぱり感じてるんだ?」
指でかき回す。愛液が溢れてきた。
「ふあぅっ…いい…いいよ…」
「可愛いよ、マリエッタ」
指でクリトリスに刺激を与える。
「やはぁぁっ!ソコだめぇ!」
「もっと…声聞かせて」
「ひぁっ、あふっ…いい、気持ち、いい…」
「そろそろ…入れていい?」
「うん…任せる」
「じゃあ…」
リーベルは自分のモノをマリエッタの秘穴に近づける。
そして、ゆっくりと中に進入していく…その時。
「うっ!」
ドピュッ…
「ええ?ちょっと!」
「あ…出ちゃった…」
「もう、何やってんのよ…」
「あ…いや、マリエッタの中が気持ちよすぎてつい…ゴメン」
「中っていうか入り口じゃない…早すぎ〜」
「だって俺は『早撃ちのリーベル』だし」
「何がだってよ…もう、しょうがないなぁ」
そう言うとマリエッタはリーベルのペニスを口に咥えた。
「マ、マリエッタ…!何を…」
「ひゃひっふぇ…ふぇんひにひふぇあふぇふも」
「元気にしてあげるって…そんなことされたらまた…」
いつもディプロのオペレーター席で情報を的確かつ迅速に伝えているマリエッタ。
しかし今はその口で自分のモノを咥えているのである。
それだけでも十分興奮するシチュエーションだ。
「ひもひひぃ?」
「うん、気持ちいい…気持ちいいけど…」
このままではまた発射してしまう。
さすがに3発はエネルギーが足りない。
こんなことなら秘蔵のマムシドリンクを飲んでおくんだったとリーベルは後悔した。
ぴちゃ…ぴちゃ…
いつも早口に慣れているからだろうか。マリエッタの舌使いはすばらしく上手い。
もう限界が近づきつつあった。
「ちょ…ちょっとマリエッタ…もう、いいから…」
そう言うと、マリエッタは名残惜しそうにペニスを離した。
「あ〜あ残念。最後までやりたかったな」
「んなこと言われても体がもたねぇよ」
「だらしないなぁ…男でしょ?」
「…おっと、元気なうちにもう一回行こうぜ」
「今度はちゃんと入れてよね」
「わかってるよ」
ちゅぷっ…
トロトロの秘所は、比較的スムーズにそれを飲み込んだ。
「あはぁっ…リーベル…」
リーベルは腰を動かす。
「どう?マリエッタ」
「うん…はぁっ…いい…あんっ…」
「うっ…はぁ…もう…ダメだ…」
「出して…いいよ…だから…一緒に…」
「うっ!イク…マリエッタ!」
「わ…たしもっ!イクぅっ!」
二人は同時にフィニッシュを迎えた…。
「ねぇ…リーベル?ホントに良かったの?」
「何がだよ?」
「私と…こういうことになって」
「今さら何言ってんだか」
「でも…」
「少なくとも俺がお前を抱いたのはその場の勢いなんかじゃないし、
この気持ちも本物だ。これで十分だろ?」
「…うん」
「それにな…今考えると思うんだよ。最初から勝ち目は無かったんだってな」
「え…それって…」
ピリリリリリリリ…
呼び出しのアラームが鳴った。
「おい!いるのかリーベル!さっさと返事をせんか!」
「あ、やべ…ランカーさん…」
「いつまで油売ってんだ!こっちは猫の手も借りたいぐらいなのに…さっさと上がって来い!」
「は…はい!今行きます!」
「それと…マリエッタどこにいるか知らんか?ミラージュさんがカンカンに怒ってるぜ」
「え…と、わかんないですね…見つけたら伝えときます。はい」
「じゃあな、早く来いよ!」
そう言うと通信は切られた。
「やばいな…すっかり忘れてたよ…」
「ああ…どうしよう…ミラージュさん怒ってるって…ねぇリーベル、何とかして!」
「何とかって…ああ、制服がしわくちゃに…」
「私のも…あぁ〜ここなんか破れてるし…もう最悪〜!」
「これでよかったのか、スティング?」
「…ええ。あの二人なら上手くやれますよ」
「…辛いな?兄貴ってヤツは」
「ですね…本当に」
「ふふ…『狙撃のスティング』も仕留め損なうことがあるんだな」
「逃した獲物は大きいですけどね」
スティングは苦笑いしながら答える。
(…マリエッタを泣かせたら承知しないからな、リーベル…)
「ほら、急がなきゃ…ランカーさんにどやされるよ」
「あの人は早かろうが遅かろうがうるさいけどなぁ…」
「ぶつぶつ言わないの!」
マリエッタの背中を見つめながらリーベルは思った。
(そうだな…最初から勝ち目は無かった。あのヤローに負けたなんて思いたくはないけど
俺はそれ以前の問題だったんだよな…)
いつも自分のそばにいて、自分に一番近い娘…彼女の思いに気付いてやれなかったのだから。
今ならはっきり言える。
俺の一番大事な人は、俺のすぐそばにいる……