「ったく…キリがねぇぜ」
ディプロ艦内、クリフの私室。
中では、クリフがぶつぶつ不満をつぶやきながら、
机に詰まれた書類と格闘していた。
リーダーの座を退いたとはいえ、彼はクォークのナンバー2である。
したがって、こういうデスクワークもそれなりに回ってくるのだ。
「チッ…久々に騒げるの思ってたのによ。ミラージュの奴…」
今日はシーハーツの建国祭である。
ネルが国務のためシランドに帰ってしまった為、
その間動くことが出来ず、パーティは久々の自由時間を得た。
祭りを見物しに行く者、ここぞとばかりにクリエイトに励む者、
ディプロでゆっくり過ごす者…そしてクリフは…
酒場で飲みまくろうとペターニに付いた途端、
ミラージュによっていきなりディプロに強制転送されたのである。
そして、お説教と山積みの資料とともに、部屋に軟禁されてしまったのである。
「まぁ、仕方ねぇけどよ…」
適当に目を通しつつ、書類にサインをしていく。
そうして、八割がた仕事が片付いたとき…
トントン…
ドアをノックする音。
「おう、開いてるぞ」
どうせミラージュが様子でも見に来たのだろう。
「ちゃんとやってるぜ?そんなに俺が信用できねぇか?」
「…珍しいこともあるものね」
「ん?」
入り口に立っていたのはマリアだった。
「うるせぇな、ミラージュはどうした?」
「マリエッタと一緒に下に降りたわよ。エリクールの文化レベルを調査に行くって」
「…つまりは遊びにいったんじゃねぇか、あの野郎!人には仕事させといて…」
「自業自得よ」
「うるせぇ!大体お前は何の用だよ?」
「えっ…と…私は…」
突然マリアの表情が変わった。
「何だ?」
「・・・」
顔を真っ赤にしてうつむいている。
「あ、あの…」
「お前、熱でもあるのか?」
「ち、違うわよ!」
真っ赤な顔でこっちを睨み付ける。そのあと、再びうつむいて、
ボソボソと告白を始めた。
「…男の人の喜ばしかたを教えてほしいの」
…一瞬の間をおいて。
「ハァ?お前、マジで熱あるんじゃねぇのか?」
だが、彼女は。
「だから違うの!本気なのよ!」
マリアは真剣らしい。
クリフは困惑を隠せず…
「うーん…喜ばせるったって、一体どうやって喜ばせるんだ?」
「…それは、ほら…」
「ほら、何だよ?」
「…だから、えっと…」
「セックスか?」
ボンッ!
マリアの顔が一層真っ赤に染まる。
「…………うん」
ゆっくりと、小さくうなずく。
「…あのな。男の俺に男の『悦ばせ方』聞いてどうすんだ。
聞くならミラージュに聞いてみたらどうだ?」
「そんな!ミラージュには聞けないわよ、こんなこと…」
「…ミラージュは駄目で俺ならいいと?」
マリアがあわてて弁明する。
「…ほら!ミラージュは真面目で、あんまりそういうこと知らなそうだけど、
クリフならいろいろ経験豊富だろうし…」
勝手なことを言ってくれる。
「ハァ…まぁ、お前も年頃だしな…そういうこと興味あるのはいいんだが…」
「うん、だから教えてほしいのよ、どうすれば…」
「じゃあ実際にやってみればいいじゃねぇか。そばに手頃な相手がいるわけだし」
これもかなりの問題発言だが。
「・・・」
マリアは黙り込んでしまった。
こいつは失言だったと少し反省する。しかし…
「…もうやってみたわ」
「ハァ?」
また耳を疑うような発言が…
「昨日、フェイトと…」
「何だ、お前ら。結構いい関係に…」
「成り行きなのよ、な・り・ゆ・き!…私の部屋に誘ってね、そのまま…」
「上手い誘い方じゃねぇか。何がそんなに…」
「でもね、肝心の…アレが上手くいかなかったの」
「初めてじゃそんなもんだろ?」
「でも!」
「…どういう風に進めていったんだ?」
「えっと…まずお互いに裸になって、ベッドで抱き合ったの」
「ふんふん」
「それで、私の胸触らせて、フェイトの大事なモノ触って…」
「…ふーん」
真剣な顔で物凄い事を言うものである。
リーベルが聞いたら間違いなく精神崩壊して刻の涙を見るだろう。
「そして…入れたの」
「早ッ!」
「そしたら…」
「そしたら?」
「なかなか入らなくて、しかも痛いだけでゼンゼン気持ちよくならないの。
フェイトのも小さくなっちゃって…」
「プッ…プハハハハ!」
「わ…笑わないでよ!まだ痛いんだから!」
笑いが止まらない。初々しい…初々しすぎる。
「そりゃ当たり前だろ。初めてでロクに準備もせずいきなり入れたんだから」
「悪かったの?」
「悪いって言うかな…もうちょっとじっくりとだな…」
「じっくり…」
「ところでその時フェイトはどんな感じだったんだ?」
「…『まだ早かったみたいだね』とか言って出て行ったわ」
「今日は会ったか?」
「ううん。今日はフェイト、ソフィアと一緒に祭りを見に行ったみたい。
きっと私じゃ駄目だったからってソフィアに乗り換えて…」
むしろ途中から参加してきたのはマリアの方なのだが…
「乗り換えてってお前…フェイトに失礼だろ」
「でも!現にソフィアと一緒に…」
「幼馴染なんだし当然だろ。そのハンディは覚悟の上だろ?」
「それは…」
まだ黙り込むマリア。それを見てクリフは…
「そうだな、仕方ねぇ。この俺が一肌脱いでやるよ」
「本当?」
「ああ。じゃあ、まずは…と!」
マリアをベッドに押し倒す。
「きゃあっ!?何するのよ!」
「何って…セックスの特訓だろ?」
「ええっ?」
マリアが混乱しているうちに、クリフは慣れた手つきで服を脱がしていく。
「やっ…やだっ!やめてよ、クリフ!」
「じっとしてろ」
「うっ…」
力でクリフに勝てる訳もなく、だからと言って能力を使う訳にもいかず、
あっという間にマリアは生まれたままの姿に剥かれた。
「大体お前から言い出したんだろうが」
「やっ…私は、ただ上手くいくコツを…」
「習うより慣れろだ。…うーん」
「何言って…!どこ見てるのよ!」
「…まだまだ小っちぇえな」
「バカッ!」
枕を投げつけるが、難なく受け止められる。
「ふん…さてと、始めようか」
「な…きゃあ!」
クリフの手がマリアの小ぶりの胸へと伸びる。
「ひっ、ふあぁ!」
そして、ゆっくりと揉みしだいていく。
「やぁ…だめぇ」
「…お前、意外と可愛い声出すんだな」
「うるさいっ、このヘンタイ中年!」
「中年だとぉ!訂正しろ!せっかく褒めてやってんのに!」
「嬉しくないわよ!」
「どうせフェイトはこんなことしなかっただろ?」
「当たり前よっ!こんな恥ずかしいこと…」
その基準はどこにあるのかと問いたい。小一時間問い詰めたい。
「ったく、何にもわかってねぇんだな…お仕置きだ、我慢しろよ」
「えっ…ひああっ!」
マリアの胸を吸い上げる。
「やぁっ、痛いっ!」
もう片方の乳房への刺激も忘れない。
「ふあっ…ん…」
クリフが口を離す。
「まだ母乳は出ねぇようだな」
「あ…当たり前じゃない!」
「でもだんだん気持ち良くなって来ただろ?ホレ、ここも」
マリアの胸を指差す。
胸の大きさに見合った大きさの乳首が、頂点でピンと立っていた。
「う…」
図星らしい。
「そんでもって…ここもな」
「あっ、嫌っ!」
両手でマリアの脚を開き、その秘所を露にする。
「やだぁ!見ないでっ!」
青い茂みに守られたそこは、じっとりと何かで濡れていた。
「結構感じてたみたいだな」
「そんなことないわよっ!」
「…ったく、少しは素直になって楽しめよ」
指で秘所をクリフなりに優しくかき回す。
「ひっ、あくぅっ!」
「何だ?まだ完全に膜が破れてないじゃねぇか」
「うくっ…だからっ、途中で…」
「ああそうか。最後まで出来なかったんだっけか」
ならばあまり無茶なことは出来ない。
自分の下半身は正直だが。
(いくらなんでも、な。俺は一応コイツの保護者だし)
そう自分の体に言い聞かせる。
「じゃあそろそろイカせてやるか」
二本の指でかき回しながら空いた指でちょこんとした突起をこね回す。
「んああっ!ひぃぃ!」
「ここも初めてだろ?」
マリアが首を縦に振る。
「ったく…フェイトの奴。不勉強にも程があるぜ」
(こんな奴に娘はやれん…)と、全く関係のないことを思いついたが、
実際にマリアがフェイトとくっついてクォークから出て行ったら…などと
発想をエスカレートさせて少しブルーになる。
「…どうしたの?クリフ…」
「ん?ああ…何でもねぇよ」
指が止まっていたらしい。気を取り直して…
「あっ、あっ…あふぅ…」
「…気持ち良いか?」
「……うんっ…ひっ、あぁん!」
「そろそろキメるぜ」
指を出し入れするスピードを上げていく。
「あ、あ、あっ…ダメ、ダメぇっ!」
「よぉし、イッちまえっ!」
小さな突起を摘み上げる。
「ひゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
マリアの体が痙攣したように跳ねて、そのままベッドに崩れ落ちた。
「…ふぅ、特訓終了かね」
ベッドに腰を下ろす。
マリアはベッドでぐったりしている。
まぁ仕方ないだろう。さすがに刺激が強すぎたか。
「とにかくな、焦るこたぁねぇんだ。恋もセックスも、じっくりやるのが大事だぜ」
「…うん」
「まぁ…頑張れよってのも変だが…後悔しないようにな」
「うん…ありがとう、クリフ」
と、その時。
ピー…ピー…
ブリッジからの呼び出し音だ。
「…俺だ」
「クリフさん、そちらにリーダー来てませんか?」
「ん…マリエッタ、帰ってきたのか?」
「ええ、ついさっき。みんなにお土産買って来たんですよ」
「…調査じゃなかったのか?」
「え…あはは、まぁ…いいじゃないですか。それはそうと…」
無理やり話を逸らした。
「ああ、マリアならここに居るぜ」
「…何かしら、マリエッタ」
「ちょっと上がってきてもらえますか?少し気になることが…」
「了解。わかったわ」
「じゃあ待ってますので」
通信を切ると、急ぎ早に服を着て、部屋を後にする。
「ホント、今日はありがとう」
「ああ」
…まったく。フェイトも罪作りな男だ。
マリアには幸せになってほしいと思う。
こんな過酷な運命を背負わせるのではなく、
普通の女性として、普通の恋をして…
その為なら何でもしてやろうとも思っている。
だが…
「人がこんなシリアスな気持ちになってんのにお前は…」
男の下半身は正直別の生き物なんじゃないかと思うときがある。
「ったく…確かに俺も最近溜まってたかもな…」
今日の夜にでもミラージュを誘ってみるか。
「久しぶりに燃えてみるのもいいか…それに…今日のお返しもしないとな」
そう言って、あと少し残っていたデスクワークを再開するのであった。