「お兄ちゃん」
「うっ、ゲホゴホ!!」
ペターニのオープンカフェ。マリアに真顔でいきなり「お兄ちゃん」と言われフェイトは思わず飲んでいたジュースで咽せてしまった。
「マ、マリア!一体なにを言い出すんだよ!」
フェイトが焦るのも無理はなかった。今ではすっかり恋人の二人なのにいきなり「お兄ちゃん」と言われれば誰だって焦る。
「ごめんなさい、でも私達もしかしたら本当にそうかも知れないのよ?」
急にしんみりとした話し声になるマリア。それを聞いたフェイトは気まずくなった。マリアは育ての両親トレイター夫妻に育てられ、本当の両親は知らない。
そしてムーンベースに残されたデータは二人が実の兄妹(姉弟?)である可能性を残していたのだ。
「僕は、例え本当にそうであってもマリアのことを『妹』だなんて思えない。思いたくない。僕の『愛した女性』がマリアなんだ」
「フェイト、私もよ…」
お互いしんみりとしてしまう。たとえ血縁関係にあろうとも二人の間に芽生えた愛は決して消えることはないだろう。
それだけ二人が互いを想う思いは強かった…。
〜終わり〜