───時間を少し戻す。  
ビウィグの策略によるピンチを救ったのはネルだった。背後から忍びより転送妨害装  
置を破壊してくれたのだ。その代償に彼女は生死の境を彷徨うほどの重傷を負うこと  
になってしまったのだが、おかげでビウィグを滅することができた。彼女の功績は大  
きい。ディプロは比較的小さいとは言え医療設備はエリクールとは比べ物にならない  
。おかげでネルは一命を取り留めた。医者も驚くほどの回復力で今ではすっかり以前  
と同じ状態にまで回復している。そして成り行きで彼女も同行する事になっている。  
現メンバー:フェイト、クリフ、マリア、ソフィア、ネル、(スフレ)  
 
 
ムーンベースにて自分達の出生を知ったフェイト、マリア、そしてソフィアは驚きの  
表情を隠しきれなかった。世界の危機だの何だの何やらとてつもなく大きな事に首を  
突っ込んでしまったと自覚するクリフとネル。ムーンベースで一時的に仲間になった  
スフレには何のことだかよくわかっておらず首を傾げるだけだった。  
そして一向はアクアエリーで惑星ストリームに向かっている。スフレとはムーンベー  
スで別れることにした。いくらなんでもまだ小さい子供を連れていくわけにはいかな  
いじゃないか。  
 
───そして今。  
アクアエリーは戦闘艦の中でもかなり大きな部類に入る。艦の中には何でも揃ってい  
てまるで一つの小さな町がそのまま移動しているような感じだ。特にネルにとっては  
理解できない事が多すぎた。最初は頭が追いついていかなかったが今ではもう理解す  
る事を諦めている。どうせ理解できないのだから考えるのも無駄だと判断し、「そう  
いうもの」なんだと思うことにしている。そう思うと進んだ文明の利器は実に便利な  
ものだった。アクアエリーに滞在している間はいろいろな所を徘徊してけっこう楽し  
んでいた。そしてふとフェイトへの用事を思い出しフェイトがいる部屋の前まで来た。  
部屋の前まで来てネルは足を止めた。部屋の中から女の声がする。話し声ではない。  
明らかに艶を帯びた女の喘ぎ声だ。アクアエリーの部屋は防音設備が整っていて部屋  
の音などあまり聞こえてくるはずがないのだが聞こえるのはネルの聴覚が常人よりも  
優れているから……だと思う。さすがにこれでは部屋に入るわけにはいかない。自分  
に何の権利があって「仕事中」のフェイトを止める事ができようか。  
 
(しかしフェイトも盛んだな……。若い証拠か……)  
 
ネルはそう思う。が、ネルだって十分若い。  
ネル出直すことにして踵を返そうとした。その時、  
 
────!!  
 
ネルは気付いた。というかなぜ今まで気付かなかったのか。聞こえてくる嬌声はマリ  
アのものではない。これは………ソフィアの声だ!!  
ネルにはわけがわからなくなっていた。フェイトはマリアと付き合っている。この事  
実は揺ぎ無い。でも今フェイトの部屋からはソフィアの嬌声が聞こえる。これらの事  
象が示すことは…………。  
ネルは想像しただけで腹が立っていた。あれだけマリア一辺倒だったのにソフィアが  
現れた途端にソフィアに乗り換える、または二股をかける。その事にただならぬ怒り  
を感じていた。もう深い事は考えずネルは戦場に乗り込んだ。  
 
「ちょっとフェイト!!あんた、一体どういうつもりなんだいっっ!!!」  
 
ネルの形相は鬼神そのものだった。  
 
「はっ!?え、いや、その………ってキャァァーーーーー!!!」  
 
ソフィアは前触れもなく現れたネルに驚いて叫び声を上げる。ソフィアは裸でベッド  
に横たわっていた。フェイトの姿は……無い!?  
 
「何ですか!?出てってくださいーー!!」  
 
ソフィアに枕やら何やら手近にあったものを力一杯投げられてネルは事情がわからな  
いまま足早に部屋の外へ出た。降臨した鬼神はソフィアの剣幕にあっさり追い出され  
た。  
 
しばらく廊下に背中を預けたままの姿勢でネルは呆然と今自分が見た光景について考  
えを巡らせていた。  
 
(ここは確かにフェイトの部屋だよな…。うん、間違いない)  
 
改めて確認する必要もない。ここは確かにフェイトの部屋だ。  
となると、思いあたる事としては一つくらいしかない。  
 
「よぉネル、フェイトに何か用か?」  
 
たまたま通りかかったクリフに気の抜けた声をかけられる。  
 
「あぁ、そのつもりだったんだけど何だか状況が掴めなくてね」  
 
「は?」  
 
ネルの言ってる意味がわからずクリフは怪訝な表情をする。ネルが簡単な状況説明を  
しようとした時、目の前のドアが開いた。そこにはちゃんと服を着たソフィアが立っ  
ていた。  
 
「あ、え〜と、フェイトに用事ですか?」  
 
先程の慌てぶりは微塵も見せないような言い方だった。ネルは、あぁ、と頷くとソフ  
ィアはネルを部屋に招き入れた。横に居たクリフにも部屋に入るように促した。クリ  
フは状況を何一つ知らないがとりあえず促されるまま部屋に入った。ソフィアはベッ  
ドに腰掛けると話し始めた。  
 
「見ての通りフェイトは今居ないんです。マリアさんの所に行ってるからです」  
 
ソフィアの言葉は簡潔で明瞭なものだった。  
しかし、それだけの言葉で理解できる。フェイトは愛する恋人の所へ赴きそこで愛を  
育んでいる、もしくは育もうとしている、そういうことだった。  
ネルの用事というのは最近マリアとの仲はどうなっているのか、とフェイトに聞く事  
だったのでソフィアの言葉でもう用事は済んだと言って良い。マリアとの恋が順調な  
らば何も言うことはない。それを見守ることにしたのだから。  
それはさておき、何故主のいない部屋にソフィアがいるんだ?と、ネルは聞こうとし  
たがクリフの手前だから聞くのは止めておいた。  
理由なんて決まっている。  
自慰だ。  
つまり、ソフィアはフェイトに想いを寄せているがマリアという恋人がいることを知  
ってしまい、どうすることもできなくてフェイトが不在の部屋に侵入して自らを慰め  
るいじらしい行為をしていた、ネルはそう結論付けた。  
その推論は決定的に間違っている点がある。  
真相はこうだ。  
 
ソフィアの破瓜の時から数日。すっかり痛みは引いた。痛みが無いのを自覚すると膣  
にフェイトを受け入れたいという思いがふつふつと沸いてきた。ムーンベースを出発  
した直後にソフィアはフェイトの元にやってきた。フェイトは寝ていたので逆レイプ  
同然に寝込みを襲った。フェイトはまた抵抗したが空気に流されて遂に最後まで事を  
済ませてしまった。  
───男ってそんなもんなんだろう。  
それが昨日のことだ。  
そして今日、またソフィアがフェイトの元を訪れた。  
用意した決めセリフ。  
 
「フェイトの好きにしていいよ」  
 
今度はためらうことなくフェイトはソフィアを抱く。一回してしまったんだから何回  
しても同じだろうと半ば投げやりに行為に及ぶ。背徳感はすでに透明なほど薄れてい  
た。ソフィアから誘ってきたんだし。  
───男ってそんなもんなんだろう。  
そして合体中にマリアからフェイトに連絡が入り、フェイトはマリアの元へと急いだ。 
さすがにマリアとソフィアを天秤にかけるとマリアが下に下がるのは仕方無い。そ  
のことはソフィアも理解している。部屋に一人残されたソフィアは消化不良だったた  
めに寂しく自分を慰める行為にふけっていた。と、そういうわけだ。  
紋章遺伝子改造を施されていたって、世界の危機が迫っていたって性欲は確かにそこ  
にある。人間の生存本能だから仕方無い。  
 
その自慰もネルが怒鳴りこんできたせいで中途半端に終わっている。ソフィアのフラ  
ストレーションは上がる一方だ。  
ソフィアはこの事をネルに話す気など(もちろん)毛頭無い。ただ視線には「用がない  
ならもう出て行ってくれませんか」という思いを混ぜていた。が、当のネルはその  
視線の意味する真意に気付かずソフィアと雑談を始めることにした。  
 
「ソフィア知ってるかい?エリクールで一番紅茶がおいしいのはね………」  
 
ソフィアの目がだんだん怖くなっていく。  
ネルはまだ気付かない。どうでもいい紅茶の話を延々と続ける。  
さて、クリフが部屋に居る意味は微塵もない。所在無げな様子で腰に手をあてて立っ  
ているだけだ。  
 
(オレなんでここに居るんだ?)  
 
────さあ?  
 
マリアの部屋に来たときにすでに息は切れていた。全速力で走ってきたからだ。こん  
なに急ぐ必要もないのだが何かに急かされた様に走ってきたのはマリアからの連絡を  
受けた時にソフィアと性交中だったという後ろめたさもあるはずだ……多分。  
フェイトがマリアの部屋に転がり込んできた時マリアはコンピューターに向かってキ  
ーボードを叩いていた。フェイトの来室に気付いて声をかけようとしたがフェイトは  
無言でマリアの傍まで近寄ってきて強引にキスをした。そしてマリアの身体を引き寄  
せてベッドに押し倒す。マリアはいつもと違うフェイトの態度にさすがに驚いた。  
そしてフェイトはマリアの下半身を脱がして強引に愛撫を始めた。それは愛撫と言え  
るような優しいものではなく欲望をぶつけるだけの強引なものだった。ただ秘部のあ  
る辺りを力まかせに擦るような行動。しかしマリアはそんな愛撫でも敏感に感じてし  
まう。マリアはもちろんするためにフェイトを呼んだので予めシャワーを済ませベッ  
ドを整えていた。今のフェイトにはどうでもいい事だが。  
声には出さないがこんなマリアは思う。  
 
(こんな強引なフェイトもいいかも……)  
 
 
濡れ始めるとフェイトはマリアを無理やり四つん這いにさせた。  
 
「きゃあぁっ」  
 
そして膣の奥まで見えそうなくらいに秘部を左右に広げる。  
フェイトのペニスは部屋に来る前からパンパンに膨れ上がっていた。なんたってさっ  
きまで性交中だったんだから当然だ。それを膣口にあてがう。マリアの腰を両手で掴  
むと一呼吸入れる間もなく一気に根元まで挿入された。  
にゅぷという卑猥な音とともにマリアの声が漏れる。  
 
「ひゃううんっっ!!」  
 
子宮の奥にまで当たるような感触が身体を痺れさせる。  
 
───と、そこまではよかったがどういうわけかフェイトは一向に動く気配を見せな  
い。両手は腰を掴み、ペニスは深々と突き刺さっていているのに。  
奥まで入っているのに微動だにしないという感覚が何とも表現し難い気分にさせる。  
エサを目の前にしておあずけをさせられている犬と同じ胸中だった。怪訝な表情で自  
分の背後に居るフェイトを見る。  
 
「フェイト……?」  
 
(動かさないの?)  
 
と言外に含ませてフェイトに尋ねる。  
 
ふとフェイトはマリアの腰から手を離し、意地悪そうな笑みを浮かべてこう言った。  
 
「マリアが自分で動いて」  
 
マリアは「そんな恥ずかしい事できるわけないじゃない」と言おうとした。だがマリ  
アの身体はそんな脳の伝令を受付けなかった。まるでフェイトの言葉が魔法の呪文の  
ようにマリアの身体は前後に動きだした。本当に呪文だったわけじゃない。マリアの  
身体が細胞レベルでフェイトを求めているだけの事だった。  
 
「……っんん、……あっ…あぁぁ……」  
 
ゆっくり身体を動かしていく。入ってるのはフェイトのペニスに相違ないがフェイト  
は背後にいるためマリアの視界にはいない。心境としてはフェイトのペニスでオナニ  
ーしてるのと大差なかった。それでも快感は届く。  
フェイトは愛液を垂れ流し必死に腰を動かしているマリアを見下ろしている。  
マリアはすでに自分で動いて快感を得る術を身に付けている。だがやはりフェイトに  
も動いて欲しい。その思いを込めてフェイトの方を振り返る。  
 
「……フェイト、お願い……動いて、激しく……突いて…。フェイトの好きにして…  
…」  
 
頬を紅く染め、潤んだ瞳のマリアにそこまで懇願されたらフェイトも我慢できない。  
フェイトはマリアの懇願に言葉を返すことなく行動で示す。  
再度、マリアの腰を両手でがっしり掴む。そしてマリアを貫くような勢いで激しくペ  
ニスを膣の奥まで何度も突く。その度にフェイトの下腹部とマリアの臀部が激しくぶ  
つかってパンッパンッという乾いた音が部屋に響き渡る。  
 
「あんっ、んん、あっあっあっ!!」  
 
結合部の真下に当たるシーツは愛液で大きな染みを作っていた。  
 
ソフィアはまだ開通したばかりで締まりは良かったが膣は硬かった。それはそれで気  
持ちが良い。マリアはソフィアよりもずっと経験があるためにだいぶ成熟していた。  
締まり具合ではソフィアに敵わないがマリアの膣の内壁は精液を搾りとるようにペニ  
スに絡んで吸いついてくる。その感覚がたまらなく気持ち良い。  
フェイトは夢中で腰を動かした。動かした分だけマリアは従順に反応する。それだけ  
は間違いなかった。  
 
「はあっあっあっああぁぁぁーー!!」  
 
マリアは何回もイッていた。  
そしてフェイトは何の予告も無く唐突にマリアの中で白い欲望を吐き出す。  
その射出を身体の内で感じてマリアは全身をのけぞらせて至福の瞬間を味わう。  
フェイトが出し終えるのがわかるとマリアは全身の力を抜いてシーツに顔を埋める。  
だが違った。  
今日のフェイトは違った。  
まだ繋がったままのペニスは大きさも硬さも衰えていない。  
フェイトはマリアの腰を掴んだまま何の前触れも無くまた急に動きだした。  
さすがにこれにはマリアは驚いて変な声をだす。すでに何回もイッているため膣の中  
は敏感になっていた。敏感になり過ぎて痛いくらいの感覚が伝わる。だけど気持ち良  
い。マリアは再度動き出したフェイトに身体を委ねる。そして今度はバックじゃなく  
て正常位でしたいと訴える。その訴えはあっさり承諾されてマリアは繋がったまま仰  
向けにさせられた。  
 
(今度はフェイトの顔が見れる)  
 
バックはフェイトの顔が見えないので多少不安になっていた。もちろん途中でフェイ  
トが誰かと入れ替わるなんてはずが無いのだがそれでも不安は拭いきれなかった。正  
常位だと安心する。手を繋げる。抱き合える。キスもできる。吐息も聞こえる。フェ  
イトが全身で自分を愛してくれている。そんな気分にさせる。  
 
二人は汗を拭おうともせず、乱れたシーツも気にせず、声が部屋の外に漏れるのも気  
にせずただ夢中になっていた。  
フェイトが動くたびに先程膣内に射出された自身の濃い精液が泡になって愛液と混ざ  
って溢れてくる。それらはすでにペニスの根元に付着していて動かすたびに糸を引い  
ていた。実に卑猥な光景だと思う。  
 
───やがて二回目も終わった時には文字通り精も根も尽き果てていた。  
 
二人はシャワーを浴びることもなくそのまま眠りに落ちていった。  
 
 
マリアとソフィア。二人はフェイトのことを純粋に好きでフェイトと関係している。  
かく言うフェイトはマリアに想いを寄せてはいるがソフィアを放っておけないという  
微妙な心境の中にいた。このままではいけないと思うのだが、いざ行為に及ぶとそん  
な事はすっかり忘れて夢中になって励んでしまう。男が下半身だけの生き物というの  
もあながち間違いではない気がする。何とかこの状況を打破しないといけない。  
「フェイトの好きにして」  
二人して同じこと言わなくたっていいのに……。  
 
そして、とうとうマリアにフェイトとソフィアの関係がばれてしまう。  
 
 
 
惑星ストリームのタイムゲートを通ってFD世界に到達した。丁寧にも出迎えてくれた  
のは自分達を排除しようとするセキュリティサービスの方々だった。お話にもならな  
いほど弱かったが。  
 
FD世界で得た情報によると地球、エリクールどころか自分達の居た世界の全てがゲー  
ムの中のプログラムであると発覚した。誰もが耳を疑った。自分がプログラムだと聞  
かされて信じられる人間なんていない。  
そして今はそのゲーム、エターナルスフィアが体験できるジェミティに来ている。  
ジェミティはいわば巨大なテーマパークで昼夜問わずたくさんの人で賑わっていた。  
周りの人は自分達の格好をゲームのコスプレだと勘違いしてくれるので目立つことも  
なく行動することが出来る。  
今日は激戦続きだったのでジェミティに設置されているホテルに泊まることにした。  
通貨が使用できるのかが不安だったがFD世界でも使われている通貨は同じだったので  
一向は少し安堵した。それはもともとFD世界の通貨をベースにしてエターナルスフィ  
アを作ったからか、マリアの能力によるものかはわからないが。  
 
フェイトが部屋で一息ついているとソフィアがやってきた。  
せっかくテーマパークに来たことだし息抜きも兼ねて遊んでこないか?という事だっ  
た。表現は少しおかしいが自分達はいわば異世界の人間だからなるべく外出は控える  
ようにマリアに言われていた。そのことをソフィアに改めて話してやると「つまんな  
いの〜」と頬を膨らませてふてくされた。そしてソフィアはベッドに腰掛けていたフ  
ェイトの隣りに座る。  
数秒もしない内にソフィアは子猫みたいにフェイトに抱きついておねだりしてきた。  
 
「ねぇ、フェイト〜……しよっ」  
 
多分最初からこれが目的で来たんだろうな、とフェイトは思う。半分正解である。  
疲れてると言うと、どうせエッチしたら疲れるんだから一緒だと言われた。  
身体が汚れてると言うと、どうせエッチしたら汚れるんだから一緒だと言われた。  
これは引き下がってくれないなと思って諦めた。  
とはいえせめてシャワーくらいには行かせて欲しい。  
ソフィアは今すぐしたい様子だったが何とか言いくるめてシャワーに行く承諾を得た。  
 
(ソフィアってこんなに積極的な性格だったっけなぁ?)  
 
そんなことを考えながらシャワーの蛇口を捻る。  
適度な温度で勢いよく当たるシャワーの水圧と胸の感触が心地良い。  
 
(胸?)  
 
背中にあたるふにふにした二つの感触。  
フェイトはそのままの姿勢で背後に居るソフィアに話しかける。  
 
「……ソフィア、いつ入ってきた?」  
 
「さっき」  
 
ソフィアはどこも隠す様子も無くフェイトの背中に豊満な胸を密着させている。  
まぁ、これからするんだから今さら隠す必要なんて無いんだが……。しかし何という  
か女として多少の恥じらいを見せてくれた方が燃えるというか……。  
そんな事を考えているとソフィアが動きだしてフェイトは一瞬ビクッとした。  
ソフィアの胸はすでにボディソープで泡だらけになっている。  
 
「背中洗ってあ〜げる」  
 
そう言うと両手をフェイトの肩にかけて円を描くように動く。背中を這い回る柔肉の  
感触。乳首が擦れるたびに少しづつ硬さを帯びてソフィアは気持ち良さそうな吐息を  
漏らす。泡だらけの胸が淫靡だ。なんだか背中を洗ってるというよりは胸を押し付け  
たソフィアが自分で快感を得ている感じだった。  
もちろんフェイトも気持ち良かった。  
 
「ねぇ、フェイト『ぱいずり』してあげようか?」  
 
ソフィアは唐突にこんな事を言いだした。  
女の恥じらいもクソもない。  
 
「胸ですると男の人はすっごい気持ち良いんだってぇ〜。知ってた?」  
 
「それ何の情報?」  
 
「クリフさんが言ってたよ」  
 
クリフか……(納得)。  
確かにパイズリに興味が無いといえばウソになる。マリアで挑戦したことがあるが少  
し胸が足りなくて失敗に終わっている。ソフィアの豊満な胸なら間違いなくできるだ  
ろう。フェイトは少し想像して勃起してしまった。疲れていたため反応しやすくなっ  
ていたのだろう。ソフィアはそれを目ざとく見逃さなかった。  
そして素早くフェイトの正面に回る。  
ロックオン。  
二つの胸の間にフェイトのペニスは挟まれて完全に包まれてしまった。ソフィアは左  
右から胸を圧迫させる。何もしていないがすでにそれだけで気持ち良い。そして胸で  
ペニスをこねくりまわすように動かす。まるでペニスがどこか遠くに行ってしまった  
ような錯覚に囚われた。  
 
パイズリがこんなに気持ち良いものだとは知らなかった。  
ソフィアは今度は胸を上下に動かしてペニスをしごきだした。  
───これはやばい!!  
柔らかな胸に包まれてしごかれる。胸とペニスはすでに泡だらけだ。泡のおかげで滑  
りのよくなった胸はぬるぬると弾力のある締め付けの同居を完成させていた。  
ひょっとするとセックスよりも気持ち良いかもしれない、フェイトがそう思った時に  
ソフィアの追撃が襲う。  
胸を上下に動かした時だけ姿を現す亀頭の先を舌でチロチロと刺激し始めた。  
フェイトはその刺激に耐え切れなかった。  
 
「……ッう、……あ、あぁぁ!!」  
 
堪え切れなかった声と共に精液が勢いよく何回も大量に発射された。ソフィアは精液  
を胸と顔で受け止めながら胸の中でビクビクするペニスの鼓動を感じた。  
はぁはぁ、と肩で息をしながらフェイトは「顔にかけてゴメン」と謝る。  
ソフィアは首を横に振る。  
 
「私のぱいずり気持ち良かった?たくさん出たけど……まだ大丈夫だよね。ちゃんと  
私も気持ち良くしてよ」  
 
精液にまみれた顔でそう言うソフィアがなぜかいつもより魅力的に見えた。  
胸に付いた精液を指ですくって指先でこねくりまわす。そして糸を引く精液を舌の上  
に運ぶ。  
 
「フェイト、すごい濃いのが出たね〜。こっちまで興奮しちゃうよ」  
 
その動作の一つ一つがまたフェイトの性欲を掻き立てる。  
ソフィアの身体に付いた泡と精液を素早く洗い流して二人は舞台をベッドに移した。  
 
ベッドに来る間にフェイトは完全復活していた。むしろさっきよりも硬く大きくなっ  
ている気がする。  
ソフィアへの愛撫はクンニから始まった。ソフィアはさっきのパイズリと精液の味と  
臭いに興奮を覚えたらしくすでに幾らか濡れている。舌先を硬くして割れ目を掻き分  
けるように何度もなぞる。それだけで次々にトロトロした透明な愛液が細胞から溢れ  
てくるのがわかる。少し甘い感じのするソフィアの愛液。  
まだ皮に覆われている陰刻を指で広げてやって外気に触れさす。それだけでも強い刺  
激がソフィアを伝う。さらに舌先でつついたり周辺一帯を口に含んで吸引したりする。 
そのたびに身体は仰け反り膣口は我慢できないという風にヒクヒクする。ペニスの  
代わりに中指を挿入する。この前処女を失ったばかりとは思えないほどすんなり中指  
を丸ごと飲み込んだ。ソフィアが嬉しそうな声を上げる。中指を動かすとヒダの感触  
が直に伝わる。絡み付いてくる感触ではないが締まりが良くて今すぐにもペニスを挿  
入したい衝動にかられる。その衝動を抑えて口と中指とでさらなる愛撫を続ける。  
口では陰刻を刺激し続け、中指は出し入れしながら執拗に上壁を擦るように刺激する。 
中指だけでは物足りなくなって今度は薬指も同時に挿入する。それだけでイキそう  
な様子だ。秘部から流れる愛液がだんだん白く粘性の高い液になっていった。ソフィ  
アの目は潤み顔は紅く上気している。目がもう限界だと訴えていた。もちろんそれは  
フェイト自身にも言えることだった。  
 
足を広げさせて付け根に狙いを定める。フェイトは上を向くペニスを無理やり下に向  
けさせて挿入を試みる。濡れそぼった部分に亀頭の先っぽが消える。少し力を入れて  
腰を動かすとわずかな抵抗感の後ペニスは膣の奥にまで到達した。  
 
「ひゃあああんっ!!」  
 
開通して間もないのに奥まで一気に挿入されてソフィアは少し痛みを感じた。が、そ  
の痛みはすぐに快感に変わってソフィアの身体に溶けた。  
パイズリで一回果てたのにそれを感じさせないフェイトのペニスは容赦なくソフィア  
の膣を激しく擦った。  
フェイトが動くたびにソフィアの豊満な乳房が動きに合わせてリズムを刻む。フェイ  
トは流れる汗も気にしないで腰を振り続ける。ソフィアも夢中で快感の渦に身を委ね  
る。  
 
「あっ、あっ、あっ、あんんっ!!」  
 
規則正しいリズムのフェイトの動きに合わせてソフィアも規則正しいリズムで声を出  
していた。ソフィアはフェイトの首に手を回してキスをする。そして「もっとちょう  
だい」という潤んだ目でフェイトを見つめる。その思いが伝わったのかフェイトはさ  
らに動きを激しくさせていった。今までで一番夢中になったセックスだったかもしれ  
ない。  
 
「あっ、あん……フェイト、フェイト、私フェイトが好き!!」  
 
フェイトの激しい動きは一向に変わらないペースを保っている。  
目に映るのは快楽に身を任せて喘いでいるソフィアとソフィアが脱ぎ捨てた猫のプリ  
ントが施されたパンツ、顔に似合わない大きな胸を覆うためのブラジャー、乱れるシ  
ーツと滴る汗、  
 
────!!  
 
フェイトがふと顔を上げるとそこには居るはずのない人物の姿が目に映った。  
それからはあまり記憶が無い。  
覚えていないというより脳が記憶するのを拒否したような感じだ。  
 
何の前触れも無く部屋に入ってきたマリアに思い切り左頬を叩かれた。  
覚えているのはその事ととマリアが泣きながら怒っていた事ぐらいだ。  
何て言っていたのかはわからない。  
ただ尋常ではないくらい怒っていたのはわかった。  
その後はどうなったのだろう?  
僕はソフィアと最後までしたのか?  
マリアとソフィアは喧嘩したのか?  
何もわからない。ただ、  
───マリアにばれた。  
ソフィアとセックスしてるのがマリアにばれた。  
気付くと一人で暗い部屋に居た。  
 
 
ここはホテルの一室。  
時計は夜の三時を回ったところだ。  
フェイトはベッドの上で膝を抱えてうずくまっている。  
両目と左の頬が赤い。  
時おり嗚咽交じりのため息が聞こえてくる。  
 
 

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