「ねえマリアさん…」
「何?ソフィア」
宿の一室。互いに向かい合って座るマリアとソフィア。ソフィアがそっと声を掛けた。
「マリアさん、おかしいと思いませんか?」
「おかしい?何が?焦らさないではっきり言ったらどう?」
釈然としないソフィアの苛立つマリア。
「おかしいじゃないですか、『双子のお兄さんとセックス』するなんて…」
「なっ…!!」
ソフィアの言葉に愕然となるマリア。
「あなた、知っていたの、私とフェイトが…」
「ええ」
淡々と答えるソフィア。その表情はどこか勝ち誇った、そして得体の知れない邪気をはらんだモノになっていた。
「ムーンベースのデータを見ていて判ったんです。あなたとフェイトが…」
「いや!聞きたくない!」
ソフィアの言葉を聞くまいと両耳を手で塞ぎ叫び声を上げるマリア。
「どんなに耳を塞ごうと無駄ですよ、マリアさん。あなたはフェイトを自分の双子の兄を愛してしまった。その事実は変わらないんですから」
どこか嬉々とした感じもあるソフィアの声。それに対してマリアは耳を塞いだままわなわなと体を震わせていた。
フェイトとマリア。赤の他人の筈なのに容姿はそっくり、フェイトが女装すればマリアと言っても問題ないくらいだった。
そしてマリアはムーンベースのデータにダイレクトアクセスした後、そのデータを見ていて驚愕した。
『フェイト・ラインゴット&マリア・ラインゴット宇宙歴7××年○月△日誕生』
自分の愛した男フェイトが自分と双子の兄妹と知らされた瞬間、マリアの心の中で何かが崩れるモノを感じた。
近親者同士の恋愛、そして肉体関係。それを禁忌と理解していてもマリアのフェイトを想う思いを止めることは出来なくなっていた。幸いフェイトはその事実に気付いていない様子。
このままずっと自分一人の秘密にすればフェイトとの仲を裂かれないで済むとマリアは考えていた。だが目の前の女性、自分が恋人(フェイト)を奪い取った女性がその秘密を知ってしまった。その事がマリアを恐怖させた。
「マリアさん、フェイトと別れてください」
「!」
その一言にマリアはキッとソフィアを睨みつけた。
「いいんですか?そんな反抗的な態度で?あなたと自分が血縁関係だと判ればフェイトの性格だから『別れよう』って事になるのは必然です」
「もしかしたら、いたたまれなくなってあなたの側から二度といなくなるかも知れない。そうなるくらいならあなたから何らかしら理由を付けて振った方が良いんじゃないですか?そうすればずっと「良いお友達」でいられるんだから」
ソフィアの言葉一つ一つがマリアの胸に突き刺さる。
「だから、フェイトと別れてください。フェイトはわたしが幸せにします。いいでしょ?『お義姉さん』」
お義姉さん。その言葉にマリアは何も言葉が返せなかった。
「今すぐとは言いませんから、良いお返事待ってます」
そう言ってソフィアは部屋を後にした。残されたマリアはただ泣くしかなかった。
「マリア、いるのかい?」
用事を済ませたフェイトが部屋に戻ってくるとマリアがテーブルに突っ伏していた。
「マリア、大丈夫!」
慌てて抱き起こすフェイト。そしてマリアの顔を見てフェイトは驚いた。泣き続けたせいか目の周りは腫れ、かわいい顔が台無しになっていたのだ。
「一体どうしたんだ?何があったっていうんだい?」
マリアを気遣うフェイト。慰めようとそっと抱きしめようとするのだが…
「ダメ!」
マリアは思わずフェイトの手を振り払う。禁忌を犯した罪悪感、そしてフェイトに優しくされてもそれが後々壊れることを恐怖したマリアはフェイトを拒絶してしまった。
「マリア…」
突然のことに動揺するフェイト。
「ダメ、ダメなの、私達。フェイトがそんな風に優しくしちゃいけないの…」
「マリア?」
その問い掛けにマリアは答えなかった。
「もしかして、君も知っていたのか?僕たちが血が繋がっているって…」
「フェイト?」
フェイトの言葉を聞き、唖然となるマリア。そして次の瞬間、マリアは己の感情を爆発させた。
「なんで!なんで!なんで!!知っていたならなんで私に恋人として優しくしたの!なんで私を抱いたの!!私達そんなことしてはいけないのよ!!」
フェイトが真実を知っていてそれでもなお自分に恋人と知って接した。自分が苦しんでいたのに平然とそう言う態度を取ったフェイトがマリアには許せなかった。
刹那、フェイトは黙ってマリアの体をギュッと抱きしめた。
「いや、離して!」
フェイトの腕の中で暴れるマリア。それでもフェイトはマリアを離さなかった。そして
「今更『妹』だなんて思いたくない。君は僕の愛した『マリア・トレイター』、それ以上でも以下でもない。君は『マリア・ラインゴット』じゃないんだ」
フェイトのその言葉を聞いてマリアは暴れるのを止めた。
「たとえこのことで地獄に堕ちるとしても僕は構わない。今更君を妹として見る事なんてできないよ。マリアと幸せになれるならそれで良いんだ…」
「フェイト…」
そこまでいうとマリアはフェイトの胸の中で泣き出した。歓喜の涙がポロポロと落ちていく。
「マリアがそのことで悩んでいたのに、気付かなくて本当に御免」
「ううん、それだけじゃないの…」
マリアはソフィアが自分達が血縁関係であることを盾に自分達を別れさせ、フェイトを自分のモノにしようとした話をフェイトに話した。
「そうか…」
その話を最後まで聞いたフェイトは何を思ったのか右の唇の端を歪め、にやりと笑った。
「フェイト…!?」
今まで観たことのないフェイトの影の部分を垣間見てマリアは背筋に寒気を憶えた。
「ソフィアは良い子だったけど、マリアを泣かせてしまうような悪い子なら『お仕置き』が必要だね」
「良い考えがあるの?」
「ああ…」
またしてもにやりと笑うフェイト。自分の愛する者を傷つけたソフィア。例え幼なじみであってもフェイトにはそれが許せなかった。
「マリアさ〜ん。義理の妹が来ましたよ〜」
明るい声で部屋に入るソフィア。マリアに呼び出され宿の一室に来たのだ。だが部屋の中には誰もいない。
おかしいなと思いつつ部屋の中に歩を進めるソフィア。途端にドアが閉まりソフィアは後ろから羽交い締めにされた。
「!!」
突然のことに声も出せない。ソフィアが後ろを眺めると自分を羽交い締めにしているマリアの姿があった。
「マリアさん!!」
驚くと同時に体に悪寒が走った。マリアの目が怒りに満ち満ちていたからだ。
「マリアだけじゃないよ」
物陰に隠れていたフェイトが姿を現した。その事が信じられないと言うような目でフェイトを見つめるソフィア。
「ソフィア、君がマリアを傷つけたと知って凄く悲しかったよ」
憂いのある物言いでソフィアを見つめる。
「いくら君が幼なじみでも、そういう悪いことをする子にはお仕置きが必要なんだよね」
「フェイト、おかしいよ、だって二人は…」
「残念だけどフェイトも知っていたのよ。私達が兄妹だってこと」
「僕にとってのマリアは兄妹としてのマリアなんかじゃない。愛する人としてのマリアなんだ」
「そんな、なんで、おかしいよ。二人は双子なんだよ?こんなの…!!」
二人が自分達が血の繋がった家族だと判れば別れる。ソフィアはそう踏んでいた。ところが実際には全くの裏目に出てしまったことをソフィアは悔やんだ。
抗議を続けようとしたソフィアだったがフェイトのキスで口を塞がれその先が言えなかった。
舌を絡めた甘いキス。それと同時に口の中に何かが流し込まれた。
「!」
驚くソフィア。しかし抵抗の間もなくそれを飲み込んでしまった。
「今のはね、気持ちよくなれる薬なんだ。直に効果が出るよ…」
微笑むフェイト。そしてその間にマリアはソフィアを後ろ手に縛りあげて放り出した。
バランスを崩しそのままベッドに倒れ込むソフィア。
そんなソフィアを放ってフェイトとマリアはディープキスを交わし始めた。
「フェイト…」
「マリア…」
そしてゆっくりとマリアのプロテクターと服を脱がしていくフェイト。そして一糸纏わぬ姿になったマリアはかがみ込むとフェイトのモノをしゃぶりはじめた。
『フェイトのオ○ンチン、すごい。あんなに大きくなってる』
二人の行為を凝視するソフィア。ハイダで事件に巻き込まれる少し前からフェイトとソフィアは一応肉体関係は持っていた。しかし恋愛ではなく欲求不満のはけ口としての性交の意味合いが強かったのではあったが。
そして二人の行為を見せつけられ、ソフィアは体が熱くなるのを感じた。花弁から愛液があふれ出る。鎮めようにもオナニーすら出来ない状況である。
「マリア、すごくいいよ」
「うれしいわ。今日も全部飲んであげるから…」
恍惚とした声を上げるフェイトとひたすらフェラを続けるマリア。そして
「くっ!出る!!」
フェイトの肉棒が膨れあがったと思うとマリアの口の中に大量の性が放たれた。
それを美味しそうに飲むマリア。
ソフィアは性の欲求に身を焼かれながらそれを見つめるしかなかった。
「フェイト、思いっきり突いて!あなたの大きいオチ○チン、頂戴!」
壁に左手を突き、右手で自らの花弁を押し広げて誘うマリア。
フェイトはにんまりするとバックからマリアを思いっきり突いた。
「す、すごい!!フェイト、凄いの!!」
普段の生活からは伺い知れない『女』としてのマリアを見せつけられソフィアは嫉妬と欲情の炎に身を焼かれていた。
『おかしいよ…。二人は双子なんだよ…。なんで?』
ソフィアは倫理観の思考ルーチンを必死に働かせて目の前の行為を否定しようとした。しかし、それももはや限界に来ていた。
「ああん、はあん、ああ!!」
フェイトに突かれ、髪を振り乱し喘ぎ声を出すマリア。一心不乱に腰を振るフェイト。ソフィアには行為にふける二人が羨ましいとしか思えなくなっていた。
「マリア、そろそろいくよ」
マリアにそっと耳打ちするフェイト。
「いいの、きて!フェイトの、熱いザーメンを頂戴!!」
「くっ!」
そしてフェイトが深く突くと同時にマリアの中に性が放たれた。
「いいの、熱い!私、もう…イッチャウ!!」
絶頂に達し、身を震わすマリア。フェイトの精液と愛液まみれのモノがずるりとマリアの中から抜かれる。
その様子をベッドの上から呆然と眺めるソフィア。
ソフィアの股間、太股、ベッドのシーツまでもがさながらお漏らしでもしたかのように愛液で濡れていた。
「クス、こんなにぐしょぐしょにしてさ。そんなに欲しかったのかい?」
ソフィアに歩み寄ったフェイトはすかさずソフィアの秘部に手を滑り込ませた。
「ひゃっ、ああん…フェイトぉ〜」
切なさに耐えきれず涙目で好いた男の名を呼ぶことしかソフィアには出来なくなっていた。
「クス、かわいいわね」
マリアが歩み寄りキスをする。既にソフィアは抵抗するという概念を失っていた。
「僕とマリアはお互いを愛している。それ以外のなんでもないのさ。僕はあのデータを信用してもいない。全てが終わったらあのデータは消させて貰う」
フェイトの、その語りは穏やかだったが瞳には怒りの感情が垣間見えた。
「だからソフィアもマリアを泣かせるような真似はしないでくれるかい?」
優しく語り掛けるフェイト。
「…それは…」
ソフィアは返事を躊躇った。好いた人を失うことがソフィアは怖かった。だが…。
「判ってくれるわよね!」
マリアがソフィアの首根っこを掴むと今まで観たことのない怒りの目でソフィアをにらんだ。
「…はい」
ソフィアは従うしかなかった。
「ソフィア、僕の奴隷になってくれるならいつでも抱いてあげるけど、ダメかな?」
優しく微笑むフェイト。ソフィアは敵わぬ愛よりも得られる快楽を選び黙ってうなずいた。
「切なかったろ?今楽にしてあげるよ」
そう言うとフェイトはソフィアの手の綱をほどき、彼女の下着を脱がした。
「しかし、あなた本当に胸が大きいわね。焼けちゃうわ…」
背後からソフィアの胸をもみしだくマリア。
「ああん、マリアさん、気持ち良いよぉ」
甘い声を出すソフィア。既に濡れ濡れになっていたソフィアの秘部はお膳立ての必要もなかった。
今だ萎えぬ自らのモノをソフィアに突き立てるフェイト。
「えっ何、凄い!こんなの…!!」
正常位で突かれ身もだえるソフィア。薬の性なのかかつて抱かれたときとは比べ物にならない快感がソフィアの体に走る。
「ソフィア、あなた相当の淫乱ね。たかがビタミン剤ですっかりその気なんだから…」
マリアの言葉にハッとなるソフィア。
「そ、そんな…」
「否定できるかい?あんなに濡らして男を待ちわびていたんだよ?」
そういいながら腰の動きを早めるフェイト。
「ひゃあん!わたしは、わたしはフェイトのオ○ンチンが欲しくてたまらない、雌猫です…」
ソフィアは堕ちてしまっていた。
「さて、そろそろいくよ。しっかり受け止めてね、ソフィア」
フェイトは三度目だというのに大量の性をソフィアの中に流し込んだ。
「ああん、だめ!!イク、イク。イク!!」
ソフィアは絶頂に達し、意識をフェイドアウトさせた。
その様子を見て満足げに微笑むフェイト。
「ねぇフェイト、まだ私物足りないの…」
いじらしく体をフェイトにすり寄せるマリア。
「いいとも、もっと相手をしてあげるよ…。この雌猫にもね」
荒く息をするソフィアを眺め、にやりとするフェイトだった。
〜終わり〜