聖王都シランドの片隅にあるバー「魔の巣」
その片隅でクレア・ラーズバードが一人寂しく酒を飲んでいた。
「ミラージュ、あなたは良いわよね、フェイトやネルと一緒に旅に出れて…」
旧友のミラージュのことを愚痴るクレア。
「あの娘は活躍できるのに、私はまた日陰の存在…」
クレアは、自分もそれ相応の実力があるのにフェイトやネルと旅に出ることが出来ないのを悔やんでいた。
その一方で友であるミラージュが活躍することが憎たらしくもあった。
やけになってオンザロックを口に流し込む。
「うっゴホ、ゴホ」
「ダメですよ、無理をなされたら…」
むせるクレアに女性が声をかけた。
「…あなたは?」
「お隣、よろしいかしら?」
黒のマントを羽織り、フードで素顔を隠したその女性はクレアの隣に腰を下ろした。
顔ははっきりとしないが口元だけ見ると結構な美人のようである。
「ずいぶん荒れてますね」
「…」
「あなたの望み、叶えられますよ?」
「えっ!?」
「フェイトさん達と一緒に旅に出たいのでしょ?」
初めてあった女性に図星を突かれ、さすがのクレアも酔いが一気に醒めた。
「いい加減な事を言わないでください!」
クレアはそのマントの女性の言うことが信じられず怒った。
「信じる信じないはあなたの勝手ですが、私なら可能ですよ?」
「…仮に可能だとして、何があなたの望みなの?」
クレアが女性に問いただす。
「金銭の報酬は望みません。ただ一つだけ条件があります」
「条件?」
「私も一緒に連れて行って下さい」
「連れて行く?あなた一体何者なの?」
「そうですね…」
女性はフードを取り、一つの名刺を取り出した。
『ブレア・ランドベルド〜心の隙間お埋めします〜』
そう名刺には書かれていた。
〜END〜