人質を取られ、手出しの出来ないマリア。  
そんなマリアの身体に、男達の汚れた無数の腕が遠慮無しに伸びて来る。  
避けようにも周囲は男達の作った人壁に塞がれ、思う様に動けない……。  
蛇のように執拗に伸びてくる腕に、からめ取られ自由を拘束されるしか選択肢は無かった。  
それでも僅かに身を反らし、儚い抵抗を続ける。  
 
「ほらほら、大人しくしないとあの坊主がどうなっても知らないぞ?」  
口調からして冗談で言ったのだろうが、一人の男の言葉で、マリアの抵抗がピタリと  
止まる。  
(……耐えるしかない…どんな事があっても…)血まみれのフェイトの姿を思い出し  
自分に言い聞かせる。  
今彼を救えるのは自分しかいないのだと……。  
 
「へへっ…いい子だ…」  
ごつごつとした男の手の平の感触がマリアの全身を撫で回す。  
弄んでいるかのように、衣服が少しづつ剥ぎ取られて行き、胸元が露になる。  
白のレースの効いたブラがマリアが呼吸をする度に、僅かに上下する。  
その光景に刺激されたのか、男達の手の動きが次第に荒々しくなって来る。  
一人の男が屈み、ストッキング越しに太腿を慈しむかの様に撫で始める。  
(…この男は……)忘れもしない……マリアの局部をじっと見つめていた男だった。  
男はそのままスカート部の布を掴むと、ゆっくりと上へとずり上げた……。  
「あっ」焦らすようなその動きに、マリアが声を漏らす。  
ブラとお揃いの少々透けた生地の下着がストッキング越しに姿を現す。  
 
そして、男は顔をマリアの股間に埋め、匂いを嗅ぎ始める。  
「ああっ」(だっ、だめっ……)男の荒く、生温かい息が下着の上からでも感じ取れる。  
いくら我慢をするといっても、その変態的な行為に理性が耐えられそうには無かった。  
(それでも……)耐えるしか無い……。  
ぎゅっと、目を閉じ耐え忍ぶ……。  
 
これが、拷問などによる痛みだったら耐えられるだろう……片腕を切り取られても  
悲鳴をあげない自信がマリアには有った。  
しかし……自分でも感じていたが、こういう類の責めには耐性がまるで無かった。  
 
何故なら……。  
 
「こいつ、どうやら処女だな……」一人の男が今までのマリアの反応から推察し  
呟く。  
(…!!)男の言う事は的を射ていた。恋愛感情にも疎いし、性体験も無い。  
興味が無い訳では無い……だが、自慰にすら罪悪感を感じる自分をどうする事も  
出来ないでいた。  
男に言い当てられた事。その事実にマリアは動揺し、身体を小刻みに震わせた。  
 
「へっへっ…可愛いなぁ…」震えるマリアの神経を更に逆撫でするように、  
男が耳元で囁き、ぺロリと頬を舐める。  
 
「じゃあ、始めるか」一人の男が合図を送ると、それに従い他の男も行動に移った。  
「ああっ!!」マリアの身体が、ふわりと宙に浮く。  
数人の男が担ぎ上げたからだ……。  
「嫌ぁ…やめてっ!」予想外の行動にパニックに陥り、手足をばた付かせる。  
次の瞬間、マリアの身体は乱暴に投げ出された。  
が、その身体をふわりとクッションのようなものが受けとめる。  
何が起きたのか解らずに、慌てて周囲を見渡すマリア。  
 
そこは……。  
 
(ベッド!!)あの中央に有った大きなベッド。  
マリアはそこに投げ出されたのだった。  
「ああっ……いゃあ……」  
先程のビジュアルが現実のものなろうとしていた。  
そのことが恐怖心に更に火を付けた。  
 
…もう否定する事は出来なかった。男達の目的……それはマリアの身体なのだと…。  
いや、本当はここに連れて来られた時に気が付いていた……しかし、認めるのが  
怖かったのだ。  
 
男達の用意したステージ(ベッド)の上で丸まり、マリアは咽び泣いた。  
まるで、泣く事しか出来ない赤子のように……。  
その姿にはクオークのリーダとしての威厳と自信は無かった……。  
 
そこに居るのは、これから男達に犯される。ただのか弱い女の姿だけだった……。 

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