鉱山の町、カルサア。
シーハーツの隠密ネル=ゼルファーの手引きと、彼女の部下たちのかく乱により
フェイト=ラインゴッドとクリフ=フィッターの二人はこの町へ身を寄せること
になった。
宿屋に入るなりネルは『定時連絡』を取りに部屋を出て行く。
フェイトと二人になったのを見計らうとクリフは独り言のように言う、窓の外
をつまらなそうに眺めながら。
「俺に大人しくしろってのは表へ出るなってのと同義だからな。ココでジッと
してるぜ」
町の入り口で不調な所を見せた手前、彼といると体調のことに気を遣われそう
だと思い、フェイトは宿屋を出て気を紛らわせる事に決めた。
偶然が重なって流れ着いた辺境惑星の、通りすがりに過ぎない町を歩くのは今
日一日きり、今回が最後だと考えたからだ。
今回はたまたま敵性戦闘艦が銀河連邦のリゾート惑星まで紛れ込んできたもの
の、本来宇宙戦争なんてニュースで見る話題でしかない。
はぐれた両親やソフィアともすぐに再会できるだろう…。そんな風に考えなが
らカルサアの町並み、そしてそこで暮らす人々を眺めて歩く。
建築物の壁越しに歩いていくと、その向こうに墓地が広がっているのに気付い
た。
一瞬自分が誰かの墓参りに来たような錯覚がして、『縁起でもない』と頭を振
る。
もう一度墓場に目をやった時、知っている人影を見た。
一人はネル=ゼルファーだ。もう一人の初めて見る人と何かを話している。
恐らくコレが定時連絡なのだろう。
思わず壁際に身を潜め空を見上げる。
『ネルさんはボランティアで僕達を助けてくれたワケじゃない、そんなコト
判ってたはずだろ…』
彼女もまた戦場で生きる者、今まで自分の身柄を拘束していたアーリグリフの
軍人と大して変わらないのだ。
その事実に軽い衝撃を覚えている自身に半ば驚きながら立ち尽くす。
『それを言ったらクリフだって…何か目的が在って僕を助けてるんだ…』
急に孤独感を感じて自分を抱き締めるように胸の前で腕を組み、そこへあごを
埋める。
ふと目の前を一人の女性が通り過ぎた。先程までネルと墓地で会話していた相
手だ。
すれ違いざまこちらを見ていた気がするが、通り過ぎてしまった今では確認す
る事もできない。
「どうしたんだい?フェイト。一人かい?」
そこへネルが声をかけてよこした。
壁から背を離して彼女に向き直ると、ネルが笑顔で歩み寄ってきた。
「あ…はい。まだ休むには日が高いから…」
「そうかい。でもあんたで良かったよ。二人で話がしたいと思っていたから
ねぇ」
思わぬ台詞にフェイトの心臓が一つ、大きく跳ねた。
「クリフは少々…お邪魔なんだよね…」
いたずらを思い付いたようなネルの笑顔。
彼女はフェイトの手首をつかみ、墓地の奥へと引っ張って歩み出す。
「えっ?いったい何を?…」
墓地の最奥に来た時、ネルはフェイトを手近な墓石に押し付け唇を重ねた。
ロマンティックさのかけらもない、まるでレイプのような乱暴なキス。
ネルは無理矢理に舌でフェイトの唇を剥くように開くと同時に、大量のだ液と
小さな固形物を流し込んできた。
彼女は自分のだ液ごとすべてがフェイトの口内におさまったのを期に顔を離し
て、吐き出さないように手で彼の口をおおう。
「んぐっ!んぶっ!ゲホっゲホっ!」
むせ返っても何も出てこないのを確認すると、ネルは彼の口から手を離した。
彼女は喉元を押さえるフェイトの右手をつかんで自らのマフラーを取り払い、
それで彼の腕を墓石の上の十字架の部分へ縛り付ける。
それでもまだ長く余っているマフラーの反対の裾で左手も同じように括り付け
た。
墓石の上に付いた飾りの十字架に張り付けの形になる。
「ネルさん?…何を?…」
フェイトは完全に腕が固定されているのを確認してみせるように体を揺すっ
た。
「悪いねぇ…こっちも戦争中だからね、あんた達の素性を聞いたまま鵜呑みに
もできないんだよ…」
「えっ?それって…一体…?」
ネルは当然のコトを聞くなと言いたげに肩をすくめる。
「あんた達が本当にグリーテンの技術者かどうか、体に聞くと言うわけさ」
彼女は右手を振りかぶると、ぴしゃりとフェイトの左ほほを殴る。
「飲んでもらったのは『自白剤』…血の巡りを良くするほど効果は高くなるん
だよ」
かえす腕で右のほほも殴った。
「やっ…やめて下さい!僕達があなたを騙して何の得が在るんですか?」
その言葉を聞きネルは呆れたような表情をした。
「あたしのコトはどうでも良い…あたしが心配してるのは仕えている国のコト
さ!」
言うと同時にもう一度フェイトの横っ面を張る。
「おやおや…」
フェイトはその言葉を聞いて、瞑っていた目を開けた。
ネルがあざ笑うように視線を下に向けているのを見て、その視線の先を追う。
フェイトのズボンの前の部分が通常よりも明らかに持ち上がっていた。
彼自身もまだ自覚していない、いわゆる『半勃ち』と言う状態だ。
「女に殴られて勃てちまってるのかい?フェイト」
「ちっ!…違います!」
答えた瞬間、またネルの平手が飛んできた。
「この口は嘘を付く口だね!」
ぱん!ぱん!と乾いた音が、墓地に響く。
やがて殴る手を休め、ネルが考え込んだ表情になった。
「そう言えば…アーリグリフの拷問も耐え貫いたって…話じゃないか?」
ネルはおもむろにヒザをつくと、フェイトのズボンの飾りや金具を外しはじめ
る。
「ならばコッチはどれぐらい我慢強いのかねぇ?」
言いながら一息にズボンを足首までずり降ろす。
ネルの目の前に姿をあらわしたソレは膨らみかけているものの、未だ硬度は得
ずダラリと下を向いていた。
フェイトの特徴を見て取ると彼女は顔を上げて訊ねる。
「剥いても大丈夫かい?」
彼女の言葉通りソレは先端のみを外気にさらし、亀頭の大部分を包皮の中に収
めたまま。
ネルはその肉棒を人さし指と親指で摘んで揺らして見せた。
フェイトは屈辱と羞恥心で、どう言葉を発するべきか答えが出せない。
ネルはつまらなそうに鼻を鳴らすと、彼の包皮を根元まで引き剥いた。
本人の心とは裏腹にかなりの体温を集めていたらしく、その瞬間亀頭からかす
かに湯気が舞う。
「少し匂いがキツイんじゃないか?風呂上がりを狙えば良かったかもね…」
そう言って眉をひそめながらも、顔をフェイトの股間へ近付けていく。
やがて小さく『はぷっ』と音が聞こえた瞬間、フェイトは股間に衝撃を受けた
ように腰を退いた。
しかし退いた先にはもちろん墓石があってさほど下げる事もできず、彼女の唇
の攻撃をソコへ受ける。
狂ったようなステップを2・3踏んだのちに短く「漏れる!」とうめいた。
その言葉の違和感に気付いた瞬間、特有の瞬発力でネルがフェイトから身を離
す。
すると同時にフェイトの先端からダラダラとだらしなく小便が流れ出た。
初めて他者から亀頭に受けた快感が強烈すぎて、性感を呼び起こす前に下半身
の締まりを緩くしてしまったのだ。
「服を汚すと後で面倒だ…」
足下のズボンに小便がかからないように、ネルは刀を伝わらせて小便を誘導す
る。
「…でもまさか、お漏らしとはね…じゃ、お子さまに相応しい刺激を与えてや
るとしようか…」
剥いた皮を元の状態に戻すと、かぶせたまましごき立てた。
「んはっ…ぅ!…」
フェイトの口から出るのは、切ないリズムを刻む荒い息だけ。
思いがけずソレは、普段のフェイトの自慰の方法と同じだった。
「おやおや…さぞかし立派な銘の在る刀なんだろうね。サヤも立派なもんだ」
ネルは心底楽しいといった表情でフェイトの股間を見つめている。
そこでは彼女のひとしごき毎に『肉の刀』が鍛えられて、上を向いていく光景
があった。
「今度は漏らすんじゃないよ!」
忠告してから再度ネルの頭がフェイトの股間に埋められる。
口でカリの部分を包むと包皮の上から自分のよだれをまぶし、先端のシワに
なった部分を甘噛みする。
そのまま唇をすぼめて、カリの形に沿うように深くくわえこむと、包皮の先端
が開いたところへ舌を滑り込ませた。
「んふあぁー!」
瞬間フェイトの間延びした悲鳴が墓地に響いた。
ガクガクと震えているフェイトのヒザを両手で押さえ付け、ネルは舌に力を加
え包皮の中で踊らせる。
ネルのよだれが絡み付いて緩衝剤がわりになり、しかもフェイト自身が充分に
勃起していた事も相まって尿意は催さなかった。
そのままカリのエラの部分を丹念に舌でしごき、包皮がマフラーのようにカリ
首の部分へたくしあげられる。
ネルが自分のよだれとフェイトの先走りが混ざりあった粘液をこぼさないよう
に、口をすぼめたままゆっくりと肉棒を抜き取った。
フェイトが上からその様を見つめているのに気付くと、ネルは上目遣いに視線
を受けながら『ごくり』と音を立てて飲み込む。
妖しい笑顔を浮かべたままサオの中程に手を添えると、ゆっくりと根元に向
かって包皮を剥き下ろした。
そして彼女は自分の髪の毛を数本抜くと、指でこよりを作ってフェイトのソレ
の根元に巻き付ける。
「道具の用意が無いからさ、今日はこのハチマキでもう少しがんばっておくれ
よ」
包皮が戻るのを防ぐと同時に陰茎に集まり始めた血液の逃げ場を無くし、ひと
きわ怒張を際立たせる。
普段はカリ首と密着しているカリのエラがこわばり、立ち上がって、まるで威
嚇しているように見える程だ。
ネルは立ち上がりフェイトの右側に並んで立つと、右手で彼の股間をしごき始
める。
「これからが本番だよ?」
フェイトは自白剤と快感で白くなりかけた意識を、ネルの唇に集中する事でな
んとか保っていた。
そして黙ったままうなずきで答えてみせる。口を開けば喘ぎと一緒に股間から
ほとばしりそうだったから。
その間も下半身の方からは粘液の放出を促し、ソレをまぶしてはさらなる放出
を促す『くっちゃ、くっちゃ』という音が続いている。
「じゃ、試してみようか…最初の質問は聞かれなくてもわかるだろ?言ってご
らん…」
「ぅ…うぁ…」
股間の快楽を抑えるのに必死で、マトモに口が利けない状態になっているフェ
イト。
「言ってごらんよ!」
熱の帯びた声を出して、ネルが怒張を包む手に力を込めた。
「ほらぁ!!」
かけ声とともに一気に根元までこぶしを引き降ろす。
その瞬間、フェイトの体が大きく波打ち、股間から突き出たものが絞り出すよ
うに『ぎゅんっ!』と一際こわばった。
その後も余韻のように『びくん、びくん』とサオが脈をうつ。
「ぁ…ぁかっ…かはっ」
フェイトは自分の先端から放出されるべきものが出されないのを見て驚きの表
情になる。
「さっきの『こより』だよ…」
先程ネルがフェイトの根元に縛った髪の毛が、彼のほとばしりをせき止めてい
るのだ。
それでも全てを止めているわけではなく、ヌラヌラと先端からこぼれてきてる
ものは在るが。
「男なんて一回出しちゃうとおしまいだからねぇ…こうでもしないと拷問なん
て出来たモンじゃないよ」
懇願するような目でネルを見るフェイトを、彼女は逆に睨みかえす。
「さぁ!本当のコトを言わないといつまでもこのままだよ?」
彼女の手は単純な愛撫をくり返し、フェイトに絶頂をくり返し味あわせようと
する。
「ひあ!…僕らはぁ!…うぅ…敵じゃ…なっい!」
股間のうずきに堪えても仕方のない事を宣告され、フェイトの口がやっと言葉
を紡いだ。
「ハん?味方だってかい?まぁ良い。アーリグリフのスパイじゃあ無いんだ
ね?」
ネルの言葉を聞き、フェイトの首が操り人形のようにガクガクとうなずく。
「じゃぁ本題だ。どこから来たんだい?」
再びフェイトは黙りこくって快感の中へ耽溺していった。
ネルが空かさず右手に力を込めると、再度彼の体は反り返り股間のモノが
『ビーン!』と張り詰める。
裏腹に先端から白い粘液がひと固まり、チュル…と流れ出る。
彼は喉の渇きを空気中の水分で癒そうとするように、あごを突き出して呼吸を
荒げた。
「かはっ…ぁはっ…グ…リーテン…」
「それはあたしの話にのって合わせてるだけなんじゃ無いのかい?」
フェイトに休みを与えないように彼女の右手はますます早く擦りだした。
「んかっ…ぁ本当!…ホントぉう!…」
「さぁ?それはどうかね…!、3回目!…ホラ!4回!」
フェイトが絶頂を迎えるのを彼女の手の中に感じると、ネルはそれをカウント
し始めた。
「…また!8回!…全く、こんなに早いんじゃ危なくてハメられやしないよ…」
「ぃ言います!…言いますっかぁら!…」
フェイトの悲鳴にも似たその言葉を聞いてネルは満足そうな顔になる。
「あぁ、吐いちまいな」
彼女は握っていた手を離すと、先端を指で『ピン!』と弾いた。ビクンと身震
いするフェイト。
「…そしたら全部出させてあげるよ?」
ネルは熱の退いた普段の口調に戻り、フェイトの右肩に左手を乗せると彼の瞳
を覗き込んだ。
涙で縁取られ快楽に淀み、潤んだその瞳を。
「ぼ…僕は地球人で…」
それからフェイトは全てを告白する。
ハイダで襲撃に合い、脱出した事。宇宙船の事や未開惑星保護条約など、彼が
知りうる全てを。
全部語り終えると、フェイトはうなだれて腰を突き出した。
その無言での要求は、射精させてくれ、という印だ。
ネルの方は聞いた話が全く理解できずにいた。背を向けたまま肩をすくめて頭
を振る。
「やれやれ…ちょっと薬が効き過ぎちまったかねぇ…技術者の頭の中ってのは
わかんないよ」
中世の人間に惑星間航法を説いたところで、後に宗教へと変化する事もありえ
なくはないだろう。
しかし彼女にとってフェイトの話は、まさに科学者の妄想以外の何ものでも無
かった。
ネルはフェイトの方へ向き直ると、最後の確認をする事に決めた。
「とにかく…あんたはアーリグリフに与する者じゃ無いんだよね?」
問われた者の首が小さくうなずく。
ネルはため息を吐いて、つかつかとフェイトに近付いた。
彼の頬に優しく手を差し伸べる。続いて手の甲で額にかかった前髪を除けてや
り、汗を拭ってやる。
「すまなかったねぇ…戦争のせいにするわけじゃ無いけど…」
顔を近付けると、今度は優しく口づけをした。
唇を離すとネルの頬は少し上気して紅色に染まり、表情は柔らかく微笑んでい
た。
「おわびだよ。避妊具でもあればヤラセてあげるトコなんだろうけどさ…」
フェイトはもう何も聞こえていないようだったが、視線だけがネルの顔を追っ
ている。
ネルはひざまずき、紅の髪がフェイトの股間へと落ちていく。
「最後に言っとくけど。あんた、この事は忘れちゃうんだよ?」
視線を上げ、上と下でフェイトとネルが短く見つめあう。
「薬の効果でね…。…ホント、済まなかったね…」
そう言ってからネルはフェイトの先端を口に含むと、小刀で手早くこよりを切
る。
それ以上促す事をしなくても、せき止められていた精液がネルの口の中へ一杯
に吹き出す。
そのまま唇を離さずに、鼻腔からくぐもった息を逃がしながら全てを飲み干し
た。
フェイトは上からその様子に見とれていた。
最高の開放感と、快感の絶頂の中で意識が遠のいて行く。
「なんだ?一緒だったのか?」
クリフの声にハッと我に帰ると、そこはカルサアの宿屋の中だった。
声の主はベッドに腰を下ろし、にやけた表情でこちらを見ている。
いつの間に戻ってきたのか自分でも理解できず、思わず周囲を見渡すフェイ
ト。
彼の後ろではネルが微笑んで立っていた。
彼女と並んで帰ってきた事を、クリフは言っているのだろうことは理解でき
た。
「あ…あぁ、入り口の所で偶然…」
ネルに問いただすわけにも行かず、思わずごまかしたが、クリフもネルも納得
したようだ。
「明日は早くにここを出るよ。今のうちに充分に休んでおくんだね」
ネルの言葉がクリフの邪推を遮ると、フェイトは違和感を感じながら休む事に
した。
『まさか、表を散策している間の記憶が無いなんて…誰にも言えないよな』
その横顔を見つめてるネルの視線が今までに無く優しかった気もするが、確認
できないまま眠りに落ちていくフェイトだった。