「貴方達はエターナルスフィアと呼ばれるゲーム内のキャラクターなの」  
 
ブレア=ランドベルトの放った言葉。  
作られた存在。  
それは恐らく"神"と呼ばれる世のシステムを構成した者以外はそうなのだろう。  
地球圏の科学の向上が凄まじかった。  
自分達が絶対的な存在であると言わんばかりに色々な物を開発し―――  
いずれは恐らく、エターナルスフィアのような物ですら作っただろう。  
 
その可能性はまず否定出来ない。  
 
そして攻められたら反撃するのは当然の事だ。  
無論反撃が可能であったらの話なのだが。  
だが、反撃が可能であるという事は既に"神"の手を離れ、次元を同一の物へと変革しきった―――  
一つの世界として独立してしまったことでもある。  
にも関わらず、FD世界の住人達はそれを認めようとはしない。  
あくまでデータなのだ、と。  
 
自分達が同じく作られた存在である可能性も否定出来ぬというのに。  
 
「でも、僕達への攻撃手段は所詮『断罪者』なんかのプログラムでやるしかないんだよね」  
 
絶対的に安全な防衛線。  
エターナルスフィア内に蔓延る魔物―――執行者などのプログラムは、  
最早フェイト達の敵ではなかった。  
それどころか、エリクール二号星の住民達もある程度ならば対抗する術を身につけ始めてさえいるのだ。  
 
一切合切完全に成す術も考えさせず消去する方法といえば、エターナルスフィア自体をリセットする事だろう。  
ならば何故アルティネイションやコネクションを使ってFD世界に現れたのを確認した後にも、  
大した行動を起こさなかったのか。  
本来なら手段を選べないはずなのだ。  
多くの民の拠り所であるエターナルスフィアを局地的にならともかく、  
全体を一旦消去するという行為は"許されない"という事になる。  
たとえ社長権限をもってしても、だ。  
そして先ほど述べたように、対抗する術を既に持ち合わせているとなれば。  
 
実際の所、「干渉不可能」なのだ。  
ならば―――  
 
「FD世界で何をしても、僕等の世界にさしたる影響はないって事だよね」  
「・・・ま、そういうこった。で、何しようってんだ?フェイト」  
エターナルスフィア端末前。  
そこに現れた"住人"達。  
フェイトにも暫く戦い詰めだった為か、ストレスが溜まっているのだろう。  
一緒に居るマリア達でさえ、ぞくりと恐怖感が走った程だ。  
「うん、まあちょっとした復讐さ。悪いかい?」  
そしてその恐怖感に上乗せするように、さらりとフェイトの口からでた"復讐"という言葉。  
「・・・フェイト・・・?」  
 
「そう、復讐さ。創世者への、ささやかな―――ね」  
 
スフィア社。  
アザゼルを倒し、ブレアを味方につけたフェイト達一行は大型エレベーターへと向かう。  
 
「侵入者・・・だな」「ああ」  
厳つい黒人の投げかけた言葉に対し、肯定の返事を即返す。  
 
「なら始末しても問題ないわよねぇ?・・・覚悟しなさいよ、お馬鹿さん達?  
 ああそれと、ブレア副社長。貴女も寝返ったなら―――」  
「いや、彼女は人質さ」  
 
剣を抜き、躊躇いなくブレアの喉元に突きつける。  
勿論この事はブレアは何も聞いちゃいない。  
目に映る恐怖の色も嘘偽りの無い物だ。  
「・・・フェイト、貴方っ・・・!!」  
この行為に驚いたのはブレアだけではない。  
裏切ったと聞かされていたが、目の前に置かれた状況は明らかにそれとは異なる。  
そして仲間達も、フェイトの強引な策に動揺を隠せずにいた。  
 
「・・・データに脅されるなんて、癪に障るけど―――」  
「社長がお前達に対する警戒態勢を解いた。・・・どこへなりとも勝手に行け」  
ベリアルとベルゼブルはエレベーターへの道を空けた。  
 
「・・・どう思う」  
一行がエレベーターに乗った後、ベルゼブルに問う。  
「如何?はっ、何を言うかと思えば・・・アタシはね、社長も副社長も大ッッッ嫌いなのよっ!  
 思う必要もないわ。勝手に妹と苦しめばいいの。分かる?いいじゃない部外者で。何か不満?」  
「俺は一向に構わんッッ」  
「・・・何でそこで気合入れた台詞言うのよ」  
「もう俺達の出番は終わりだろう」  
「・・・はっ!!あ、ちょっとっ!待ちなさいよっ!!出番少な過ぎよこれじゃ!!折角のメイクが台無しじゃないのっ!!何時間かけて―――」  
さようなら、さようならベルゼブル。ヴァルハラで会おう。さようならベルゼブル。もう出てこなくて宜しい。 
 
「・・・ブレア」  
社長室で一人、ルシファーは妹が人質に取られているのを確認していた。  
ベリアルへと指示を送り、通信を切る。  
 
「忌々しいデータ共がっ・・・!!!」  
ディスプレイを思いきり殴り付ける。  
拳が切れ、血が流れてディスプレイを汚す。  
「随分と舐めた真似をしてくれたな・・・人質だと?馬鹿が・・・自分の力を過信するなっ!!  
 所詮はデータ!生殺与奪の全てをこの私の手に委ねざるを得ないデータでしかない癖にっ!!」  
 
「・・・そういう考えを起こしているから僕等はブレアさんを人質にする他無くなったんだけど」  
聞き慣れぬ声を耳にし、扉の方を見る。  
「貴様等アアァァァッ!!!!」  
懐に忍ばせていた銃でフェイトの顔面を狙いを定める。  
「貴方が僕達の世界に干渉しなければ、僕等も何もしなかったんですよ」  
「造られた存在の癖に創造主に歯向かうかっ!!」  
「造ってもらったのは感謝するさ。確かに、真実を知った時はショックだったけどね。  
 でも、僕等は僕等だ。お互い触れて、話せて、感情も持てる。  
 ただ僕等は僕等の世界を守っているだけさ」  
あくまで自衛である。  
そう主張するが、当然聞き入れられるはずもない。  
 
「感情を持てる?笑わせるな!データの癖にそんな物を持ち合わせているはずが―――」  
「じゃあ聞くけどさ」  
ビリビリビリッ!!  
「な・・・っ!?」  
「フェイト!?」  
フェイトは突然、剣で強引にブレアの服を切り裂いた。  
ずるずると衣服が落ち、下着だけが残される。  
 
「データの分際で、ブレアに・・・・・・ッ!」  
ギリギリという歯軋りの音がフェイト達にもはっきり聞き取れる。  
「嫌だろ?目の前で実の妹が犯されるなんてのは」  
あまりに"いつものフェイトじゃない"行動に、仲間達は言葉を失っていた。  
「ちょ、ちょっと待てフェイト!ルシファーがムカつくのは分からなくもねぇがブレアを巻き込むこたぁ―――」  
「・・・黙っててくれるかな、クリフ」  
その目だ。人を人とも思わないような、ぞくりとさせられるその目。  
まるで何かにとり憑かれているようで。少なくとも芝居には見えない。  
 
「・・・嫌なんだろ?当たり前さ、家族が知らない男に汚されるのなんか誰だって見たくない。  
 僕等だって同じさ。知らない相手に村も町も山も川も森も海も、人ですら・・・蹂躙されてる」  
「・・・フェイト」  
「貴方達は実際"侵略"してるんだ。それを知ってほしかった。でも―――」  
 
「それだけで終わらせる程、僕は我慢強くはないんだ」  
ゆっくりと、さも当然のように・・・フェイトはブラのフックを外した。  
「きゃぁっ!?」  
豊満な乳房が露になり、思わず手で隠そうとするが両手とも捕まれてしまった。  
「貴様・・・何をする気だッ!?」  
「言ったろ?我慢が出来ないって。どれだけの命が消えたと思ってる?  
 どれだけの人が泣いたと思ってる?今現在どれだけの人が震えてると思ってるんだい?  
 僕等はその人達の"代表"だ。平和的に解決するにしても―――」  
 
「本当に僕等の事を理解してくれたのかどうか、保障が欲しいじゃないか。  
 僕等がここで話し合いで解決して、その後僕等が無事である保障はないんだからさ」  
確かに、その通りなのだが。  
何かが違う。  
求める物は最初と同じかもしれないが、やり方はある種―――  
 
「マリア」  
「あ・・・え?な、何?」  
「皆で一つ下の階に降りててくれないかな」  
「あ、うん・・・え?ふ、フェイトはどうするの?」  
「ここにまだ用事があるからね、大丈夫。すぐ戻るよ」  
私の心配していることはそういう事じゃない、という言葉は。  
無意識の内に塞き止められていた。  
 
「ブレアさん、安心してください。貴方の痴態を見る人は僕と貴方の兄さんだけです」  
「フェイト君・・・どうしたの一体・・・貴方に何があったの?」  
「何もないですよ。あるとしたら意識改革かな」  
「意識改革・・・?」  
「・・・殺されかけたのに、遠慮することはない。手段を選ぶ必要性なんてない。  
 そう割り切ることが出来るようになっただけです。大した事じゃないですよ」  
 
「さて、どうするんだい?ルシファー"社長"?それとも"ブレアさんの兄さん"?  
 貴方はどっちを取るんです?」  
「・・・データ如きにィッ・・・私が屈すると思うか・・・!!」  
「兄さん・・・!!」  
既に口の中から血が溢れている。  
デスクの上にぽたぽたと滴り落ちて、円を描いていく。  
「そう、それなら貴方の大事な人を貴方の目の前で汚すだけだよ」  
くすりと、特に罪の意識もないような顔で笑い―――ブレアの首を横に向けさせ、キスをする。  
「んむっ・・・ふうぅっ、んぐぅっ!!」  
「ぐ・・・ぐうぅぅうううっ!!」  
続いて右拳からも血が零れる。  
先に濡らしていた血と混ざり合う。  
妹の助けを乞う視線が痛かった。  
自らの言葉の所為で汚されつつある妹を正視できずに居た。  
 
ルシファーは最初のブレアとフェイト達の接触態度から、"グル"になって脅している可能性もあると思っていた。  
あくまで小さな可能性だが、それでも有り得ない話ではない。  
万が一そうだった時の屈辱は計り知れぬと無情な行動に出たが。  
・・・今、フェイトと口付けを交わした妹の態度を見て、その疑いは完全に晴れた気がした。  
 
この思いに整理がつくまで、何時間も考えた気さえする。  
暫くただ怒りに支配されていたから。  
そして改めて、妹に謝りたかった。  
ムシが良過ぎると人には言われるだろう、だがこれ以上このままの状況にしておくのは、  
社員を預かる一人の社長として、一人の身内として、一人の兄として、やはり出来なかった。  
非情になりきれぬ、人間であったということか。  
 
「や、やめ――ー」  
「・・・何か言ったかな?」  
「!?」  
本当に。  
「あぐっ・・・ああっ!!痛ぁ・・・!!た、助け・・・兄さぁーんっ!!」  
どれだけの間、考えていたのだろうか?  
「へぇ・・・こんなに美人なのに、あまり経験なかったみたいですね、ブレアさんって」  
ただ一人身内を救うのに、  
「あぅっ、く・・・ぁ・・・・はぅっ、ひゃああっ!!」  
私は何もせず俯いていたというのか。  
「うーん、結構具合いいなぁ。マリアには負けるけど・・・"兄さん"も使ってみます?」  
 
「やめろォ―――――オオッ!!」  
ブレアはどうも、前戯も殆ど無しに挿入されたようだ。  
涙と汗で顔が濡れて光っている。  
「やめろ・・・と言ったんですか?さっきまで―――」  
「やめろと言っているッッ!!すぐさま私の妹から薄汚い物を抜くんだァッ!!」  
「仕方ないですね・・・やめてあげますよ」  
 
やめてあげる、と言ったわりには腰の動きを止めない。  
(まだこの状態で私に見せるというのか・・・!)  
「そろそろ慣れてきたみたいですね、だいぶ滑りがよくなったですよ」  
久方振りという事もあるのだろう、彼女は暫く掻き回された事で女性の快楽を思い出しつつあった。  
「うん、いい顔してるなぁ。この顔を見れば皆嫌でも勃つだろうなぁ」  
「み・・・なぃで、はぅっ!!んぁっ、もう・・・らめぇぇっ!!」  
「さて、これで終わりです」  
「・・・え?」  
 
嫌とは思いつつももう少しで達する所であった彼女は、耳を疑った。  
その言葉通り、自分のモノを抜き、デスクに積まれていた書類で適当に拭いて服を着直す。  
「ああ、忘れる所だった」  
懐から何か液体の入った小瓶を取り出すと、蓋を開けてブレアの口の中へ無理矢理流しこんだ。  
「な・・・まさか、毒―――」  
「そんな事はしないよ、ただの媚薬ですから気にしないで。  
 ―――じゃ、僕はこれで。ああ、また僕等の世界を壊そうとした時は、  
 きっと自分から死にたくなるような事をさせてあげますからそのつもりで」  
ブレアの耳元で幾つか言葉を紡ぎ、そして後ろを向く。  
 「それじゃ、二度とこういうことが無い事を祈るよ」  
フェイトはそのままエレベーターで部屋から姿を消した。  
 
 
 
「・・・ブレア、すまなかった・・・!」  
ルシファーは自分の妹の裸体を軽く抱き、涙を流した。  
「・・・兄さん、もう・・・いいの。分かってくれたなら。  
 その代わり―――御願いを聞いてくれないかしら」  
「なんだ?・・・こうなったのも私の責任だ。出来る事なら何でも―――」  
「それなら―――」  
 
「私を犯してください、さっきから疼いて仕方ないんです・・・!!」  
ブレアは実の兄の足元に蹲り、ズボンを降ろしていった。  
 
「・・・しかし、フェイト。そこまでやるかって感じなんだが?」  
「ん?何がだい?」  
「いやほら・・・さっきのアレだよ。予め"酷いことをするけど、驚かないでくれ"とは言われてたが・・・」  
「ああ、これは実はブレアさんの発案なんだよ」  
「な、何ぃ!?」  
「『自分の兄さんだから恥ずかしいけど、あの人シスコンの気があるから・・・少し芝居すれば引っ掛かると思うわ、  
 普段は冷静だし見下されるのが大嫌いな人だけど、予想外のことが幾つも重なると理性で対処出来ないタイプだから』・・・だってさ」  
フェイトとクリフが話している所に、割って入ってくる。  
・・・勿論、先程の件である。  
「ねぇ、フェイト。・・・私が見たのはエレベーターを降りるまでだけど。  
 まさかあの後ブレアさんと"いたした"んじゃ・・・ないでしょうね?」  
「あ、うん。そ、そんな事・・・ないよ?」  
「・・・そう、それならいいんだけどね。それならよかったんだけどね」  
「な、なーんで引き金に指かけてるのかなぁ、マリア・・・?」  
「・・・これ、何でしょうね?」  
「なっ!?」  
取り出したのは、連邦特製特製の小型監視カメラである。  
昔父・ロキシに見せてもらったことがあった。  
エレベーターで上がった際、そのエレベーターの出口にマリアが取りつけたものだ。  
当然見られてないからとフェイトがブレアに手を出す事を考えてのことだ。  
「・・・『うーん、結構具合いいなぁ。マリアには負けるけど・・・"兄さん"も使ってみます?』・・・何なの?この台詞」  
母さん、ごめんなさい。  
どうも僕は、先に逝くことになりそうだ。  
 
「これからは・・・相手を選んで喧嘩を売ることねッッ!!」 

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