「ふぅ〜、出来ましたね」
「も〜チリコ肩凝っちゃった〜。ど〜してこんなに靴がいるのかな〜?チリコ分かんない」
ここはペターニの工房。現在、スターアニス、エヴィア、チリコの三人がラインを組んでバトルブーツの大量生産に取り組んでいる。今は製作が一段落したところだ。そこにアクアが、ハーブティーとアップルパイを持ってやって来た。
「みんさんご苦労様なのです」
「どうもありがとう、アクアちゃん」
「わぁ〜アップルパイだ!チリコ、キラキラも好きだけど、アップルパイもだ〜い好き」
「今日のは殺人シェフさんの手作りなのです」
「え〜、チリコあの人ちょっとニガテ〜」
「大丈夫なのです。怖いのは見た目だけなのです。味は一流なのですよ」
「ふふっ、それじゃあ食べましょうか」
ガタタ
突然エヴィアが席を立ち、部屋の出口に向かって歩き始めた。
「あ、エヴィアさん、どこに行くんですか?せっかくのお茶とパイが冷めちゃいますよ」
「ああ・・・済まないが、食欲が無いんだ。私の分はみなで食べてくれ」
エヴィアはそう言うと、部屋を出て行ってしまった。
「・・・エヴィアさん、どうしたんでしょう?最近元気が無いみたいですけど」
「パパの事は気にしなくて良いのです。おかしなのはいつもの事なのです。気にするだけ無駄なのですよ。後であたしが活を入れとくのです」
「そう、アクアちゃんがそう言うなら・・・」
「ねぇ〜、早く食べようよ二人とも〜。チリコもうおなかペコペコだよ〜」
「・・・そうですね、じゃあ、食べましょうか」
そう言いつつも、スターアニスは心配を隠せなかった。
エヴィアは、工房を出てすぐの低いレンガ塀の上に座って、ぼんやりと人の流れを眺めていた。
最近の自分はどこかおかしい。アクアはいつも通り、目に入れても痛くないくらい可愛いし、仕事の方は、青髪の契約主の無理な依頼で、毎日が目のまわるような忙しさだ。クリエイターとしてペターニの工房に配属されてから、ずっと変わらない日常。
ただ、自分の中で何かが変わっているらしい。しかしそれが何なのか、良く分からない。
あまりここで時間を潰している訳にもいくまい。可愛いアクアの為にも、過酷な仕事場に身を置かなければならないのだ。ああ神よ、何故私達に一生遊んで・・・・・・
「こんなところにいたのですか」
エヴィアが工房に戻ろうと立ち上がったとき、横から可愛い娘の声がした。
「また下らない事を考えていやがったのですか?全く、どうしてうちのパパはこんなにクズ人間なのですかねぇ」
「アクア・・・」
「パパのパイはチリコさんが全部食べてしまったのです。何を言ってももう無いですよ」
「・・・そうか・・・」
エヴィアはアクアの頭を優しく撫でながら、淋しいような、悲しいような微笑を浮かべていた。
「こんな事してないで、早く仕事場に戻るのです。二人とももう痺れを切らしてしまうですよ。あたしも後から行くです」
「ああ・・・」
そう言って、エヴィアは工房に戻っていった。アクアはそんな彼の後姿を、いつもと変わらない表情で見つめていた。
(・・・確かに何か変なのです)
「アニスちゃん、そっち裁断できた〜?」
「はい、こっちは終わりました。次は縫い付けですね」
「エヴィアちゃ〜ん、底革持って来て〜」
「・・・・・・」
「エヴィアちゃ〜ん?」
スターアニスは向かいの机で靴底の裁断をやっている筈のエヴィアを見やった。ところが彼の手は止まっていた。裁断も途中で止まっており、彼はチリコの呼び掛けにも反応しない。
「エ〜ヴィ〜ア〜ちゃん!!」
彼の瞳はただただ虚空を見つめている。
「も〜、アクアちゃんがいなきゃ全然ダメダメなんだから〜」
そう言えば、何故かアクアは細工部屋に戻って来ていなかった。
確かに彼は以前から娘にベタベタで、彼女がいなければ仕事に手が付かなかった。しかし、それは娘の不在に半狂乱になって騒いだり、泣き喚いたりするという事で、今の様に物思いにふけるということは今まで無かった。
いや、仕事は何とかこなしてはいたが、最近は以前よりずっと、エネルギーを感じなくなったというか、大人しくなっていた。性格が変わったとかいうのではなく、何か悩みを抱えているようだった。
心配になったスターアニスはエヴィアの方に歩み寄った。
「・・・エヴィアさん、大丈夫ですか?」
「!!・・・あ、アニス殿・・・あ、す、済まない、考え事をしていた・・・ようだ」
「エヴィアさん、最近、少し疲れているんじゃないですか?あまり、無理はしないで下さいね」
「いや、大丈夫だ・・・済まない、作業が遅れてしまったな・・・急いで作る・・・」
「エヴィアさん・・・」
「済まない・・・心配をかけてしまった・・・」
「エヴィアちゃん、さっきから済まない済まないばっかりだよ〜?疲れてるんだったら〜、無理しなくてもいいって〜。フェイトちゃんたちも解かってくれると思うよ〜?」
「・・・済まない・・・」
「・・・じゃあ、ちょっと早いですけど、今日はこの一足で終わりにしましょう」
「そうだね〜。チリコもちょっとお休みもらいたいな〜」
「じゃあエヴィアさん、私も手伝いますね」
「え、あ、いや、あ、アニス殿の手を煩わせるわけには・・・」
「いえ、気にしないで下さい。私がやりたくてやるだけですから」
「そうだよ〜、甘えときなよ〜。じゃあ〜アタシはこっちで生地の調整やってるね〜」
チリコはそう言って自分の机に戻っていった。
スターアニスはエヴィアの隣に腰を下ろし、靴底の型と生地を手元に引き寄せた。
「アニス殿・・・」
「あの、エヴィアさん・・・」
スターアニスに見つめられて、エヴィアは言葉を続けることが出来なくなった。
「何か悩んでいるんでしたら、良ければ相談して下さいね。私で力になれるんでしたら何でもしますから・・・・・・あ、私、何言ってるんだろ・・・あの、ごめんなさい、変な事言ってしまって・・・」
スターアニスは頬を染めていそいそと作業に取り掛かった。
そんな彼女を見ながら、エヴィアはまた、淋しいような悲しいような微笑を浮かべた。
「・・・済まない・・・」
(ナルホド、そういう事だったのですか)
工房の外で、窓から中を覗いている一人の少女が有った。彼女は踏み台にしていた樽から飛び降りて、通りの方に足を向けた。
アクアも、エヴィアの異変には気付いていた。
物思いにふけるというよりは、何か、葛藤をしているようだった。以前はアクアを片時も離さなかったのが、最近傍に居なくてもその事に気が付かなかったり、騒がなくなっていた。
エヴィアにべたべたくっ付かれなくなって、アクアはそれなりに自由な時間が取れるようになり、有意義な日々を送ってはいたのだが、彼の変化の原因も分からないままだったため、何か落ち着けなかった。
しかし今、エヴィアはスターアニスに、先程アクアに向けたのと同じ表情をしてみせた。それは取りも直さず彼の中で、スターアニスの存在がアクアと同じ程になっているという事である。
今までアクア一色だった心に入ってきた別の人物に戸惑っているのか、自分の娘を差し置いて他の女性を愛する事に抵抗を感じているのか。そもそも自分の気持ちに気付いていないのか。
そこまでアクアに判断することは出来なかったが、彼が彼女に好意を抱いていることは確かな様である。
(アホでクズで手がかかっても、それがホントのパパなのです。・・・・・・そう言えば、さっきの様子を見る限りアニスさんにも脈ありのようなのです。でも、二人共こういうのにはとてもニブそうなのです。)
一体どうしたものかと思案しながら、アクアは工房の入り口をくぐっていった。
一方細工部屋では、三人が最後の一足を作り終えていた。
「さ、それじゃあ片付けしましょうか」
「チリコ、久しぶりにどこか遊びに行こうかな〜」
「今日はお天気も良いですしね、エヴィアさんはどうしますか?アクアさんとお散歩にでも行くんですか?」
「・・・あ、そう言えばアクアは、娘はどこに?」
「え〜、気付いてなかったの〜?アクアちゃん、ずっといなかったんだよ〜?」
「な、そうだったのか!?」
「・・・エヴィアさん、本当に大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だとも!アクア〜!アクア〜!一体どこに行ったんだぁ〜!!」
ガンッ!!
エヴィアの眼前に星が散った。
「ここにいるのです。ギャアギャア騒ぐななのです」
後ろを振り返ると、ハンマーを片手に持った(恐!)アクアが机の上に立っていた。
「アクア〜、どこに行ってたんだ?心配したんだぞ〜」
「さっきまで忘れていたくせに良くそんな事が言えるですね」
「うっ(汗)」
「アニスさん、こんなクソ親父放っておいて一緒にお買い物に行こうなのです」
「え、私と?」
「殺人シェフさんが晩ご飯の材料を買ってきて欲しいそうなのです。あたし一人じゃちょっと重いのです。」
「でも、エヴィアさ、あ、お父さんがいるじゃ・・・」
「自分の娘の事を忘れるようなダメ親父は、部屋に戻って反省してろなのです」
「ア、アクア〜(泣)」
「さあ、アニスさん早く行こうなのです」
「え、で、でも・・・」
アクアはスターアニスの背中を押しながら、部屋の出口まで連れて行った。
扉の下をくぐる前に、アクアは立ち止まって、エヴィアの方を振り向いた。
「一度落ち着いて、自分の気持ちを良く考えるですよ、パパ」
そう言い残して、アクアは扉の向こうに姿を消した。
エヴィアは暫くその場に立ち尽くしていた。
(・・・・・・、じゃあ、アタシも出掛けてくるね〜)
チリコは、何か疎外感を感じながらも、反対側の扉から部屋を後にした。
アクアとスターアニスの二人は買い物を済ませ、大通りを食材店から工房の方に歩いていた。スターアニスには、アクアの真意が掴めないでいた。まさか本当に、ただの荷物要員として連れられてきたのだろうか?しかし、何故かそうではないような気がしていた。
「あの、アクアちゃん・・・どうして「アニスさん」
そう言ってアクアは、突然歩みを止めた。
「え、何?」
「アニスさんは、うちのパパの事を、どう思ってるですか?」
「えっ!?」
いきなりの質問にスターアニスは驚いた。
「どう思ってるって、えと、どういう意味、かな・・・?」
「そのまんまの意味なのです。アニスさんはあのクソ親父の事をどう思ってるのですか?」
「どうって、うんと、優しい人・・・、かな・・・」
「あのクズ人間を優しい人と言えるですか?」
「え、・・・そ、そんな風に言わなくても・・・」
「アタシはアニスさんがママでもいいのですよ」
「・・・・・・え、ええ!?」
またもいきなりな言葉に、スターアニスの顔は真っ赤になった。
「え、ちょっ、な、何を、え、ええ!?」
「アニスさんさえ良かったら、うちのパパなんていくらでも貰ってやっていいのです」
「ア、アクアちゃん、何でそんな、だって、私、別にそんな・・・」
「普通の人はうちのパパの事をそんなに前向きな捕らえ方で見れないですよ」
「え、・・・・・・」
スターアニスの鼓動が速くなった。
「さあ、早く戻らないと、シェフさんが包丁振り回して暴れてしまうかもですよ」
「え、あ、うん・・・」
(私、どうしちゃったんだろう・・・)
スターアニスは、自分の中に生まれた気持ちに戸惑いを隠せなかった。
アクアは先程と変わらぬ歩調で歩みを始め、スターアニスはその後を付いていった。
夕食は殺人シェフの腕が振るわれ、工房にいたクリエイターはその臭いにつられて集まってきた。ゴッサムとミレーニア、ガストにチリコ。そしてアクア&エヴィアとスターアニス、全員で七人のクリエイターがここペターニで活動している。
しかしこの日、エヴィアが夕食の席に顔を出すことはなかった。
スターアニスは心配だったが、アクアが心配する程ではない、と言うので、とりあえずその場は大人しく夕食をとった。
宿屋の部屋に戻った後も、エヴィアの事が心配だった。最近ずっと元気が無かったのも気にかかった。何より、自分の中の感情が分からなかった。アクアの言わんとすることは分かっていたが、今までそんな風に考えたことがなかったからだ。
(やっぱり、エヴィアさんに会ってみよう)
会って自分の気持ちを確かめよう。そう思い立ち、スターアニスは部屋を出た。
一方その頃、アクアはエヴィアのいる部屋に戻っていた。
「まだそんな風にウジウジしてるですか?」
「・・・アクア・・・」
エヴィアはベッドに腰を下ろし、何かを考え込んでいるようだった。
「まだ気持ちの整理が付かないですか?相変わらず優柔不断なのです」
「・・・・・・」
アクアはエヴィアの方に歩み寄った。
「アクア、私は、お前が・・・」
エヴィアの頬にアクアの手の平が触れた。
「・・・アクア・・・」
「パパはあたしの事を気にしないでいいのです」
「アクア?」
「あたしは、パパがどんな風にすることにしたって、パパの子供なのです。何があっても、パパの娘なのですよ」
「アクア・・・」
エヴィアはアクアを抱き寄せた。
アクアは父親の腕の中で、今までにないくらい優しい声で言った。
「パパはパパの好きなように行動すればいいのです。あたしはパパに付いていくですよ」
娘に心配を掛けてしまうとは、父親失格だなと思いながら、同時に娘が堪らなく愛しく思えた。
「・・・済まない・・・ありがとう、アクア・・・」
「決めたならすぐ行動するです。善は急げなのです」
「ああ・・・」
そう言って、エヴィアはアクアを部屋に残し、部屋の扉をくぐった。
スターアニスは、廊下を歩きながら困っていた。気持ちを確かめるといっても、具体的にどうすればいいのか。会っただけで分かるものなのだろうか。彼の悩みに他人の私が首を突っ込むのも酷く図々しくはないか。
そもそも今の時間、彼の部屋にはアクアがいるはずだ。たとえ着いたとして、扉の前で途方に暮れるだけではないのか。
行くのを止めようかと思い始めたとき、彼女は廊下の角から現れた人物とぶつかった。
「うわっ!」「きゃっ!」
それはエヴィアだった。
「あ、エヴィアさん、済みません、ぼーっとしてて・・・」
「い、いや、私の方こそ、急いでいて注意をしていなかった・・・」
暫く沈黙が流れた。
「アニス殿は、こんな時間に、一体どちらへ・・・?」
「エヴィアさんこそ、どちらへ・・・?」
「私は・・・貴女に会いに・・・」
「えっ・・・!?」
「貴女に会いに行くところでした」
「・・・わ、私も、貴方に、会いに行く、ところでした・・・」
再び沈黙が流れる。
「あの」「アニス殿」
「・・・・・・アニス殿」
「は、はいっ!」
「私は貴女のことが好きだ」
「・・・え・・・」
スターアニスの心臓が高鳴った。
「いきなりで貴女には迷惑かもしれないが、気持ちだけでも伝えておき・・・」
次の瞬間、スターアニスはエヴィアの胸の中に身を預けていた。
「な、ア、アニス殿!?」
(・・・暖かい・・・)
スターアニスは、エヴィアの胸の中で、今までにない暖かさと愛しさを感じていた。
(ああ、私、この人のことが好きなんだ・・・自分の気持ち、会っただけで分かっちゃったな・・・)
「・・・アニス殿・・・?」
「エヴィアさん・・・」
スターアニスはエヴィアの胸の中から、彼の顔を見上げた。
「私も貴方のことが、好きです・・・」
「アニス殿・・・」
二人はそのままお互いの唇を近づけた。
(・・・美しい・・・)
エヴィアは素直にそう思った。
今目の前には、一糸纏わぬ姿のスターアニスが立っていた。彼女の部屋の明かりは消していたので、明かりは月の光だけだったが、月の光に立つ彼女の姿は幻想的ですらあった。
純白の羽が、恥ずかしそうに彼女の四肢を包んでいた。
「あの、あんまり見ないで下さい・・・。恥ずかしいです」
「・・・恥ずかしがることはない。とても綺麗だ」
エヴィアは、彼女の体を翼ごと優しく包んだ。
「エヴィアさん・・・」
そのままベッドに寝かされたスターアニスは、躰を包んでいた羽を広げ、エヴィアの前に全てを曝け出した。
「あの・・・優しく、して下さいね・・・」
「ああ・・・」
エヴィアの手が、優しく彼女の胸を揉んでゆく。
「あっ(気持ち良い・・・)」
彼女も今まで自慰をしたことはあったが、胸だけでこれ程気持ち良くなったことは無かった。好意を寄せる異性にされるだけでこうも違うものなのか。
エヴィアは更に刺激を与え続ける。そして、桜色の小さな突起を甘噛みした。
「ひゃっ」
スターアニスの腰が僅かに宙に浮く。エヴィアはそのまま、乳首を優しく舐め上げた。
「あっ・・・、あっ・・・、あんっ、あっ・・・」
彼女の体は段々と敏感になっていった。明るい青紫の茂みが、徐々に湿り気を帯び始める。切なさに、右手の人差し指を噛み、左手はシーツを掴んだ。
それと同時に、エヴィアが舐める位置が変わり始めた。
胸から 「あっ」
鳩尾 「んんっ」
臍 「ふあっ」
太もも 「あんっ」
そして秘部 「ひゃあっ」
「あん、そんな所、あっ、舐めないで、汚いです・・・」
「汚くなど無い。貴女の体なのだから・・・」
そう言ってエヴィアは、再び陰部に顔を埋める。茂みの奥にあるヒダヒダを、丁寧に舐める。奥からは次第に大量の愛汁が溢れ出るようになってきた。
「あっ、んっ、んんっ・・・、ふぁ、あっ、ふぅん・・・、ひゃっ」
エヴィアは秘部に指を差し入れた。
「ひゃっ、あっ、ダメッ、そんな・・・、ああっ、動かしちゃ、ふぁっ」
クチュクチュという音が部屋に響く。その音で羞恥心を煽られたスターアニスの体は、更に敏感になってゆく。
「んあっ、ダメ、ダメですっ、もう、もう・・・」
エヴィアが大きくなった膨らみを口に含んだ。
「あっ、ひああああっ」
スターアニスは大きく体を仰け反らせ、一回目の絶頂を迎えた。クタリとシーツの上に体を預ける。
ベッドの上で荒く息をする彼女を見下ろし、エヴィアは一瞬動けなくなった。月明かりに照らされ、恍惚とした表情の、まるで堕ちたる天使の様なその姿は、この世のものと思えないほどに扇情的であった。
「エヴィアさん・・・」
彼女がトロンと目を開け、半身を起こした。
「私だけ気持ち良くちゃ、ずるいですよね・・・」
そう言って彼女は、エヴィアの男根を口に含んだ。
「くぁっ!」
エヴィアの全身に快感が広がる。スターアニスは彼のモノを、時には丁寧に舐め上げ、時には口内で扱き、愛しい物を愛でる様にフェラチオを続けた。羽をたたんだその姿は、やはり美しい天使に見えた。
「くっ、もういい」
エヴィアは絶頂が近づいたのを悟り、彼女に行為を止めさせる。
スターアニスは、再びベッドに体を横たえ、両の手を広げ、彼を誘った。
「エヴィアさん、来て、下さい」
「・・・スターアニス・・・」
スターアニスはエヴィアの首に手を回し、二人は深いキスをした。
エヴィアの男根が彼女の秘部に差し込まれてゆく。
ズブッ
「くっ」「んふぁっ」
「・・・あ、入りましたね。エヴィアさんが、私の中に、いますよ」
「ああ、痛くはないか?」
「はい、大丈夫です」
スターアニスの目には僅かに涙が浮かんでいた。二人は更に深い口付けを交わす。
パン、パン、パン
「あっ、あっ、あっ」
月明かりが照らす空間に、肉のぶつかる音と女性の喘ぎ声が響く。
エヴィアは腰を動かしながら、スターアニスの胸を刺激し続けていた。
「あん、エヴィア、さん、あぁっ、凄い、いい、あっ、気持ち良いですっ、んぁっ」
スターアニスは快楽に恍惚の表情を浮かべる。と、突然エヴィアが腰の動きを止めた。スターアニスは、困惑したような、切なそうな表情を浮かべる。
「あっ・・・、エヴィアさん、どうし・・・きゃっ!!」
エヴィアは自分のモノを彼女の秘部に差し入れたまま、彼女の体を180度回転させた。そして彼女の腰を持ち、先程より更に強く、速く腰を動かし始めた。
「えっ、あんっ、そんな、後ろからっ、あっ、でもっ、ああっ、すごっ、いい、んはあっ」
スターアニス自身も快楽を求め腰を動かす。
「エヴィアさんっ、私、もうっ、あっ、またっ、イキますっ!」
「私も、もう出るぞっ!」
「ああっ、中に、中に下さいっ、エヴィアさんのっ、私の中にっ!」
「ああ、分かったっ!」
二人の動きが更に速まってゆく。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あんっ、あんっ、んっ、んっ、んっ、ん、ん、あっ、あああああああっ!!」
スターアニスの膣内が急激に締まる。
「くっ、くああっ」
その快感に耐えられず、エヴィアは己の性欲を吐き出した。
スターアニスの体内に、エヴィアの精子が注ぎ込まれる。
「あぁっ、熱、い・・・」
二人は重なるようにベッドの上に倒れこんだ。
「エヴィアさんのが、私の中に・・・」
「・・・ああ・・・」
そして、二人はそのまま眠りについた・・・。
(帰ってこないということは、上手くいったようなのです)
エヴィアの部屋で、布団に潜っていたアクアは、帰りの遅い父親の事を考えていた。
(それにしてもあたしが言わなきゃ気も付かないなんて、二人とも本当におにぶサンなのです。もう少し大人の自覚を持って欲しいものなのです)
「フフッ」
アクアから、めったに見られない笑顔がこぼれた。
(これで、あたしにもお母さんができるのです)
きっと明日には、あのクズ親父も元に戻っていることだろう。
明日が楽しみなのです、と、少女は期待を胸に眠りにつくのだった。