ここはカルサアのB工房。今三人の鍛冶師達によって、新たな剣に命が吹き込まれたところだ。
「ふぅ・・・いい、出来ですね・・・」
「うむ、これ程の物にはそうそう出会えんじゃろうな」
出来上がった剣を見て、ライアスとグラッツは感嘆の言葉を吐く。
「ガスト殿が来られてから、本当に良い物が出来るようになったのう」
「えぇ、そうですね。色々と勉強になりますよ。私ももっと腕を上げなくては」
二人が盛り上がっている一方で、話の対象であるガストはただ黙々と後片付けを続ける。
その時、鍛冶場の扉が開いた。
「皆さ〜ん、差し入れですよ〜」
幾分間延びした声で入ってきたのは、結構な量のお菓子を片手にしたリジェールだった。
「は〜い今日は、ザッハトルテと、フルーツ盛り合わせと、チョコバナナデラックスと、カントリーマァムですよ〜」
手近にあった机に、とても三人分とは思えないほどのお菓子が展開される。
「おぉ、これはまた今日も豪勢ですな」
「では、急いで片付けを済ませてしまいましょうか」
その量を全く気にも留めずに、二人は鍛冶の片付けに取り掛かった。
(それにしても本当にリジェールさん、ガストさんのこと好きなんですね、もうここ最近毎日ですよ)
ライアスは、隣で炉の火を落としていたグラッツにひそひそと話しかけた。
(そうじゃのう・・・しかしまぁリジェール殿も猛烈じゃが、ガスト殿も反対の意味で猛烈じゃのう)
(そうですねぇ、気付いていないのか興味が無いのか・・・あれだけ熱烈なアピールを受けているのに・・・)
そう言ってライアスとグラッツは同じ方向に首を回す。そこでは一足先に片付けを終えたガストが、リジェールにザッハトルテを口元まで運ばれているところだった。
「はい、あ〜んして下さい」
「・・・自分で食べられる・・・」
「そんなことは分かってますよ〜?だから、はい、あ〜ん」
説得に全く応じないリジェールに、早々と諦める事を選択したガストは、小さなため息をついて大人しく口を開けた。彼女の持つフォークがガストの口に入る。
「どうですか〜?」
「・・・あぁ、うまい」
ガストの言葉を聞いたリジェールの顔から柔らかい笑顔がこぼれる。
「そうですか〜。じゃぁ、次は・・・」「・・・はぁ、それにしても毎日毎日、見せ付けてくれますねぇ・・・」
完全に別世界になっている机の反対側を見ながら、グラッツと共にライアスがこれまたもう諦めたように机上のお菓子を口に運んでいた。
「ほぅ、さてはライアス殿にも思い人がおられるのかな?」
「な、何をおっしゃるんですか!?」
「おうおう若いモンはえぇですのう・・・くぅっ、ワシも昔は・・・」
「そ、そう言えばいつ頃からでしたっけね、リジェールさんがこんなにお菓子を持ってくるようになったのは」
「ん?それは・・・確かガスト殿が来てすぐからじゃったのぉ。次の日じゃったか二日後じゃったか・・・」
話題が逸れてライアスは額の汗を拭った。
「いきなりこの量ですからね・・・大体はあの二人だけ無くなってしまいますけど。やっぱりリジェールさんの一目惚れなんでしょうか・・・」
「まぁそうじゃろうな。当のガスト殿は相変わらずあの調子じゃ、端で見る限りそうじゃろう」
「でも意外ですね、リジェールさんがガストさんのような人が好みだったなんて」
「それがの、マユ殿に聞いたところによるとじゃな、ガスト殿が来た日にリジェール殿、そこらのチンピラ連中に絡まれていたところを、助けてもらったそうなんじゃよ」
「ガストさんに、ですか?」
「うむ」
「・・・なるほど、そういった環境でなら、一目惚れも十分あり得ますね・・・」
そう言ってライアスは思案顔をした。
「どうなされた?む、もしや、意中の女性にその手を使おうと考えておられるのですかな?」
「な、何を仰るんですか!?僕はただ・・・」
「あの〜」
二人の話は、横からのリジェールの声で中断された。
「ガストさんをお借りしたいんですけど、いいですか〜?」
「おい、だから俺は仕事があると・・・」
聞いているのかいないのか、ガストの抗議にもリジェールは全く動じない。
「・・・どうしましょう?グラッツさん」
「ふむ、良い物も出来たし、今日はこのへんで終わりにしますかな」
「分かりました〜、じゃぁガストさん、行きましょ〜」
そう言うと、リジェールはガストの腕を引っ張って出て行ってしまった。
「・・・本当に良かったんでしょうか、こんなに早く仕事を切り上げて・・・」
二人の後ろ姿を見送って、ライアスは隣でフルーツを口に運んでいた老人に尋ねる。
「まぁそうお気になされるな。たまには恋の“きうぴっど”になるのもよいではないですかな。さて、ワシ等は残った菓子を頂くとしましょうかの・・・・・・うむ、実に美味じゃ」
「・・・何故仕事の邪魔をする」
工房を出たところで、ガストはリジェールに向かって問いただした。
「え?でも、もう今日は終わりにするって、グラッツさん達が言ってたじゃないですか〜」
「俺一人でも仕事はできる」
「そんなに根を詰めなくてもいいじゃないですか、たまには息抜きしても・・・」
「お前に言われる事ではないだろう!」
ガストの怒声に、リジェールの身体が強張る。
「あ・・・ごめん、なさい・・・」
しかし、一気に元気を無くした彼女の姿を見て、ガストの怒りもすぐに萎んでしまった。彼の口から軽いため息が漏れる。
「・・・済まん、少々言い過ぎた」
「・・・・・・」
リジェールは俯いたまま顔を上げない。ガストは小さくため息をついた。
「・・・で、どこに行けばいいんだ・・・」
「え、構わないんですか〜?」
今度は一気に顔を輝かせて、それでもやはり間延びした声でリジェールが問い返す。
「・・・あぁ・・・」
「ありがとうございます〜。じゃあ、ちょっとお弁当を取ってきますので、待っていて下さいね〜」
そう言ってリジェールはもう一つの工房の方へ小走りで向かっていった。
(・・・よく食う女だ・・・)
あの細い身体によくあれだけ食べ物が入るものだと、ガストは感心半分呆れ半分で彼女の後姿を見送っていた
それからしばらくして、二人はカルサアの町からいくらか離れた、岩肌が剥き出しになっている丘を登っていた。
「・・・一体どこに行くつもりだ・・・」
「私のとっておきの場所ですよ〜」
それなりに不安定な足場であるにもかかわらず、目の前の彼女は慣れた足取りで歩を進めている。大方小さい時分に遊んでいた場所なのだろうな、とガストは思った。
「もうすぐで、あっ・・・!」
その時、リジェールの足が岩の上を滑り、彼女は体のバランスを崩した。後ろを付いてきていたガストは、寸でのところでその体を受け止める。刹那、細い、とガストは感じた。
「あはは・・・済みません、いつもここでよく滑るんですよ〜」
「・・・ならもう少し気をつけろ・・・」
この女の性格はもうどうしようもないのだろうか、とぼんやり考えながら、ガストは、再び岩の間を登り始めたリジェールの後ろを歩き出した。
しばらく歩いた二人の視界が急に開ける。
「はぁ、着きましたよ〜」
そこは広々とした草原だった。一面に咲く白い花が、風に揺られている。遥か向こうには、海原が太陽の光に照り映えていた。
「・・・こんな所が・・・」
ガストはその光景に感嘆の言葉を漏らした。大部分の土地が荒れているこのカルサアで、ここまで広い草原を見られるというのはさぞ珍しい事なのだろう。
「私のお気に入りの場所なんです。この花、一年に一度、この時期に一日だけしか咲かないんですよ〜。夜になったら、種を飛ばして枯れちゃうんです」
そう言うと、リジェールはおぼつかない足取りで駆け出し、ぽつんと立っていた潅木の下まで来ると、ガストの方を向いて来い来いをした。
「ガストさ〜ん、ここに座りましょ〜」
風にさわめく白い絨毯の上に立つ彼女を見て、ガストは無意識のうちに笑みを浮かべていた。不思議な気持ちだった。ガストは言われるままに足を進め、既に木の根元で座っていたリジェールの隣に腰を下ろす。
「よくこんな場所を知っていたな」
「小さい頃によく町の周りを探検してましたからね〜。よく怪我してお母様に怒られてました〜」
そう言ってリジェールは笑ってみせた。彼女の、帽子から僅かに覗いていた金色の髪を、そよ風が梳いてゆく。
「・・・この花は何と言う・・・」
「え、花の名前ですか〜?え〜と・・・」
ガストの質問にリジェールは考え込む。その余りの真剣さに、彼は思わず頬を緩ませた。
「済みません、忘れました〜」
「・・・構わん、少し気になっただけだ・・・」
ガストはまた顔を向きなおし、遠くに広がる海を見つめた。
二人の間に静寂が訪れる。木漏れ日と、草葉のこすれ合う音が心地良い。
「・・・何故、これを俺に・・・?」
しばらくして、ガストが再び口を開いた。
「それは、私が見せたかったかからですよ〜。私、ガストさんのことが好きですから」
さらりと言うリジェールに、しかしガストの心も穏やかだった。
「・・・くくっ、俺のことが好き、か・・・おかしな女だ・・・」
ガストの台詞に、リジェールは頭の上にクエスチョンマークを浮かべていたが、すぐにつられて顔をほころばせた。
「じゃあ、お弁当にしましょうか〜」
そう言って、リジェールは持ってきた包みの紐を解いた。そこには、やはり立派に二人前と言えるだけのパンや副食が詰まっていた。
「・・・本当に良く食べる・・・」
「そうですか〜?これ位普通ですよ〜。はい、あ〜ん」
「・・・一人で食えると言っているだろう・・・」
そう言いながらもガストは口を開く。ゆったりとした時間が過ぎていった。
「ガストさん、大変です!」
その日の夕刻、ガストにあてがわれた宿屋の一室の戸が、マユの叫び声と共に激しく叩かれた。
「開いている」
ガストがそう言うと、扉が勢い良くあかれ、そこには息を荒げたマユが立っていた。
「・・・どうした・・・」
「リジェールさんが、いなくなったんです」
「・・・何・・・?」
「さっき、リジェールさんの所の使用人さんが来て、リジェールさん、門限過ぎても、全然、帰って来ないって!」
「・・・・・・」
「ライアスさん達にはもう伝えました、ガストさんも一緒に探してください!」
そう言い残して、マユは急いでロビーの方へ駆けていった。
ガストの脳裏に、チンピラに絡まれていたリジェールの姿が浮かび上がった。彼女もいい大人だが、人より緊張感というものがかなり欠けている。元々ガラの悪い連中もいる町だ。あまり楽観は出来ないかもしれない。そう思い至り、ガストは腰を上げた。
「あれ〜、皆さんお揃いでお出かけですか〜?」
が、リジェールはすぐに見つかった。宿の入り口でばったりはち合わせしたのだ。
「お出かけですか、じゃないですよリジェールさん!どこに行ってたんですか!」
先程の不安がそのまま怒りに転化したマユが、リジェールに向かって怒鳴り散らす。
「お屋敷の人が心配して訪ねてきたんですよ!?」
「ん〜、それは多分うちの執事ですね〜。彼、心配性だから。きっとお母様は心配してないと思いますよ〜。怒ってるとは思いますけど」
リジェールは事も無げにそう言ってのけた。
「色々やってたら門限が過ぎちゃったんですよ〜。で、どうせ怒られるんだったら皆さんと一緒にいようかと思って」
「・・・どうやら、こういった事は初めてではない様ですね」
彼女の反応を見てライアスが口を開いた。
「小さい頃は〜、よく遅くまで遊んでいて怒られてました〜」
「ところでその門限というのは何時なんですかの?」
グラッツの問いかけに、リジェールは少し考え込んだ。
「え〜っと、あ、7時ですね〜」
その言葉を聞き、一同は揃って手近にあった時計を見やる。
「・・・まだ、三十分しか過ぎてませんね・・・」
マユが半ば呆然と呟いた。
「ね〜、無駄に心配性なんですよ〜。あ、こんなところで立ち話もなんですし、中に入りませんか〜?」
「え、でもあの執事さん、心配してるんじゃ・・・」
「大丈夫ですよ〜。ほら、私はここにますし〜、安全ですから〜」
「え、そ、そういう問題じゃないような・・・」
マユの主張も虚しく、結局リジェールは一晩を宿で過ごす事になった。
「ガストさんって、器用なんですね〜」
「・・・それで、お前は何故ここにいる・・・」
ガストは昼間の剣の鞘を作りながら、隣で頬杖をついているリジェールに問いかけた。あれからしばらく経ち、もう寝るような時間になって何故かリジェールはガストの部屋にやって来ていた。
「え、だってここはガストさんの部屋なんですよね〜?」
リジェールは当然じゃないですかといった風に首を傾げる。
「あ・・・もしかしてここ、ガストさんの部屋じゃないんですか?」
「・・・俺の部屋だ・・・」
「じゃぁ大丈夫じゃないですか。何がダメなんですか〜?」
柄の革を締めながら、ガストは今日何度目かのため息を吐く。
「・・・夜に女が独りで男の部屋に来ること自体が間違いだろう・・・」
「そんなことないですよ〜。だって、ガストさんですから〜」
ガストは呆れて声も出ない。
「それに、好きな人と一夜を過ごすのって、私の夢だったんですよ〜」
一体どんな夢だというのか。ガストは生まれて初めて他人に突っ込みを入れたくなった。
「さぁ、もう終わりだ」
仕上がった鞘の細部をチェックし、机の上に寝かせると、ガストはリジェールの方に向き直った。
「・・・マユの部屋にでも泊めてもらえ」
「え〜、どうしてですか〜?」
「・・・さっきから言っているだろう・・・」
「ガストさんは、私のこと嫌いですか〜?」
「・・・」
「私はガストさんのこと大好きですよ〜」
そう言って、リジェールは柔らかな微笑を浮かべた。
「・・・そういう問題では無かろう・・・」
「そういう問題ですよ〜。好き合っているんなら、一緒に寝るには十分です」
やはりこの女の感覚は周りとずれているのか。リジェールの変に力強い主張を聞きながら、ぼんやりとガストはそんなことを思っていた。
「・・・こんな俺のどこがいい・・・」
自慢ではないが、恋愛に興味も無い上に鍛冶一筋な自分がこんなにもてた事は今までに無い。危ないところを助けられるだけで、そこまで違ってくるものなのだろうか。
「だってガストさんカッコいいじゃないですか〜。特にあの食べっぷりは素敵ですよ〜」
その告白を聞いたガストはしばらく無言で立ち尽くした。
確かに人より食べている自覚はあるが、まさかそんな所に惚れ込まれるとは。
「・・・くくっ・・・ははははははっ!」
ガストはこみ上げる衝動を抑えきれずに笑い声をあげた。
「くくっ・・・お前、本気か?」
「?何がですか〜?」
「いや、いい・・・お前はそういうやつだったな・・・くくっ・・・分かった、勝手にしろ」
「じゃぁ、ガストさん私のこと好きなんですね〜?」
「さあな。俺はそういうのはよく分からん」
「嫌いでなければ十分ですよ〜」
それを聞いたガストは、小さく笑い立ち上がった。と、リジェールも立ち上がりガストの両肩に手をやると、背伸びをして顔を近づけた。
「・・・何だ・・・」
「キスですよ〜」
「・・・俺に接吻は似合わんだろう・・・」
「そうですか〜?じゃぁ・・・」
そのままリジェールの唇がガストのそれと重なった。
「・・・私からすれば大丈夫ですね〜」
リジェールは唇を離してにっこりと笑った。
「・・・そうだな・・・」
ガストはリジェールの頭に手をやる。
「さぁ、もう遅い。今日は寝ろ」
は〜い、と返事をして、リジェールはベッドに横になった。ガストは明かりを消すと、床で寝ようと手近なシーツを丸め、それを床に置こうとした。そのとき
「どうして床で寝るんですか〜?」
リジェールがベッドから身を起こして問いかけた。
「・・・一緒に寝るわけにはゆくまい・・・」
「ゆきますよ〜。だってガストさん私のこと嫌いじゃないんでしょ?大丈夫ですよ〜」
一体何が大丈夫なのだとか、嫌いだったらそもそも一緒に寝ないだろうとか、もしかして自分は突っ込み派だったのかとか、色々な言葉がガストの頭の中を飛び交う。
「ガストさんがそこで寝るんだったら、私もそこで寝ますよ〜」
「・・・はぁ・・・」
仕方ない、とガストはそのシーツをしまい、リジェールの隣に身を横たえた。ベッドは、リジェールが宿の人間にこと付けて既にツインベッドになっている。
「・・・おい、本当に良いの・・・?」
ガストがリジェールのいるはずの方を向くと、月明かりに照らされたそこには誰もいない。と、彼の腰を締め付けていた紐の感触が無くなった。ガストは上半身を起こして自分の下半身を見た。
「な!?おい何をやっている!!」
そこではリジェールがガストの腰の紐を解いていた。しかもいつの間に脱いだのか、彼女は何も纏っていない。
「あ、心配は要りませんよ〜。ちゃんとこういった事も習っていますから〜」
「そういう問題では・・・」
「ほとんど独学ですけれど」
なお更よろしくない。
そもそも貴族の令嬢が、こんな一介の平民男子と閨事などしても良いのだろうか。ガストに、そんな今更ながらな疑問が浮かぶ。しかしその間にもリジェールの行為は止まらない。遂に彼女の手はガストの男根を捕まえた。
「わ、お〜き〜ですね〜」
「おい、もう・・・っ・・・!」
リジェールがガストの男根を口に含み、彼の訴えは中断される。
「ん、ん・・・はぁっ、ふふ、もっと大きくなりましたよ〜」
そう言って、彼女は身体を起こした。
「ガストさんの見てたら、私も興奮したみたいです」
先程から片方の手で弄っていたのだろう、リジェールの左手の指と、金色の茂みが濡れているのが分かった。彼女はそのまま、そそり立ったガストの男根の上にゆっくり腰を下ろした。
「んっ・・・あぅっ、はあぁぁっ・・・」
リジェールの膣の熱がガストに伝わり、彼の男根も一層硬さを増す。遂にガストのモノはリジェールの中に飲み込まれた。
「はっ・・・良かった、全部入りました〜・・・凄いですね、入っているのがお腹の上から判りますよ〜」
自分の下腹部を押さえながら、彼女は艶かしく笑ってみせた。
「・・・もうどうなっても知らんぞ・・・」
ガストは最後の忠告をした。しかし、リジェールは笑ったままガストの眼前まで顔を近づけて囁く。
「大丈夫ですよ・・・ガストさんですから・・・」
そしてそのまま口付けを落とした。
ガストはリジェールの腰を両手でしっかり掴むと、激しく上下に動かした。
「あっ・・おっ・・奥にっ・・響きっ・・ますっ・・あぅっ!」
ガストは更に下からも突き上げる。
「きゃっ!あっ、凄いっ、奥まで、当たって、ますぅっ!・・・あっ・・・?」
急にガストの動きが止まった。流石のリジェールも切ない顔をする。
「ガストさん、どうして止まっちゃうんですか〜?」
「お前の気持ちの良いように動け。そういうのがよく判らん」
「そうですか、判りました〜・・・あっ」
ガストの言葉に従って、リジェールは自ら腰を動かし始めた。
「あっ、ガスト、さんっ、あの、胸を、んっ、触って、くれませんか」
「・・・こうか・・・」
ガストの両手がリジェールの双丘を掴む。
「そのまま、んっ、揉んで、あふっ、下さい、あっ」
「・・・気持ちいいのか・・・?」
「あっ、はいぃ、気持ち、んっ、いいです・・・あっ、でも・・・」
ジェールはガストの男根から腰を引き抜いた。
「やっぱり、ガストさんの大きいので、突いてもらった方が気持ちいいですよ〜」
リジェールはそう言って四つん這いになり、臀部をガストの方に向けると自分の指で秘部を広げてみせた。
「もう一回、お願いします〜」
ガストは身体を起こして、後ろからリジェールの身体を貫いた。
「んああぁぁっ!!」
加減が判らないガストは、力の限り腰を打ち付ける。
「あっ!すごいっ、こんっ、こんなにっ、ふっ、っかいっ、ふかいですっ!っあぁっ!!」
リジェールは腰だけを高く上げてベッドにしがみ付く。
「・・・くっ・・・」
絶頂が迫り、ガストは男根を引き抜こうとした。
「あっ、待って、中で出して、下さい」
「なっ!?」
爆発寸前の彼の男根がリジェールの膣でびくびくと脈を打つ。
「構いませんから、あっ、そのまま、中に、んっ、下さい・・・」
半ば出かかっていた自分のモノを、ガストは再び勢いよく突き入れた。
「はあぁっ!」
頂上に近いガストの動きは、次第に速さを増してゆく。
「あっ、あっ、そのっ、おっ、ままっ、きてっ、あっ、くださいっ!わたしもっ、あっ、もうっ、もうっ、っ―――!!」
リジェールはぎゅっとシーツを握り締めた。
「あああっっっ!!!」
膣に熱い精子を注ぎ込まれ、リジェールは果てた。
「・・・大丈夫か・・・」
「ん〜、ちょっと腰が痛いですけど、大丈夫ですよ〜」
行為の後、二人はそのまま床に就いていた。相変わらず月の光は部屋を淡く照らしている。
「・・・済まん・・・」
「気にしないで下さい。それより、とっても気持ちよかったですよ〜。またやりましょうね〜」
そう言ってリジェールはガストの腕に擦り寄った。
何でこうも開けっぴろげなのだろうかと思っている自分に気が付き、彼女には一生適わないのかもしれないと感じるガストだった。
「好き合っているかどうか判らない男と、よくここまでやれる」
「でも〜、ガストさん私のこと嫌いじゃないんですよね?だったら私はそれで・・・」
リジェールの言葉は、ガストの口で遮られた。
「・・・嫌いでない、より上でもよかろう?」
唇を離して、ガストは軽く微笑んでみせた。
「・・・はい!」
リジェールは一杯の笑顔で答えると、ガストに抱きついて再び唇を重ねた。
昼間の草原では、月明かりを浴びた白い花達が、小さい、真綿のような種を一斉に飛ばしていた。