「フェイトさん…居ますか?」
「ん…?ああ、いる。用があるなら入っていい。」
はい、と言う返事と共に入ってきたのはレナスだった。フェイトさんなんて呼び方をするのは彼女かミラージュぐらいなものだが。
「どうしたレナス。何かあったのか…?」
「はい……実は、私…………ったんです」
その言葉がどういう意味か認識できなかったらしい。
「……なんだって?もう一回言ってくれ」
「だから…フェイトさんが抱いてくれたときに中へ出すように御願いしましたよね…。」
「……あぁ…。」
「それで…妊娠……しちゃったみたいなんです…。」
しばし、沈黙
「ちょ、ちょっとまて!お前肉体年齢いくつだ!?」
「……7,8才くらい…ですね」
「……………。」
遥か昔、8才で子供を産んだ子が居たという…だがそのようなことが自分に起ころうとはフェイトも思っていなかった…。
「それで…フェイトさん。」
「……………あ…あぁ、なんだ…?」
「この子を…産みたいんです…」
その言葉に、フェイトの視線が冷たくなる。
「………もし、反対だと言ったら…?」
「え…。」予期せぬ返答にショックを受けるレナス。だが、彼女にも覚悟はあった。
「で、でも…私は貴方のことが好きです。その貴方の子のためなら…何でも出来る、だから…。」
どもりながらも必死で気持ちを伝える。そして…。
「…冗談だ。」とたんに破顔するフェイト。
「お前の思いを聞きたかっただけさ。」
「…じゃぁ…」
「無論賛成だ。まぁ、多少問題はあるかもしれないが…俺だって、お前が好きなんだからな。」
その言葉に安心したのだろう。レナスは
「フェイトさん…ありがとうございます!」というと、甘えるようにしがみついてきた。
この約1年後、2人に新しい家族が生まれることになるが、それは未だ先の話である。