〜シランド城下町にて〜  
「やぁ、マリア。」  
「あら、どこぞの石ころだと思ったらフェイトじゃない。」  
「い、石ころ!?頭からヒド!てかどう考えても間違えないよ!それ!」  
「何いってるのよ。フェイトが正に石ころの如き存在って比喩していっただけよ。で、何?」  
「成る程・・・石ころその物ッて訳じゃなくて比喩して用いてたわけか・・・さすがマリアだなぁ・・って全然慰めになってないよ。むしろ深く傷を抉ってるよ!」  
この時初めてフェイトはスキル「乗り突っ込み」を覚えた。彼が宇宙1の突っ込み芸人と言われた始まりは正にここだったのである。蛇足ではあるが友人間での間でのボケ突っ込みは沈黙を買うことが多くあまりオススメはできない。  
やはりボケ突っ込みなどと言う上級技術はプロに任せるべきである。むしろやるな。寒い。  
「まぁ、いいや。丁度施術兵器の開発が一段落着いたんだ。一緒に草原でも行って休憩しないかい?」  
「どうして?それならこの街でも十分休養できると思うのだけど・・。」  
「それは・・やっぱり人が沢山いる所じゃあ、落ち着けないだろ?」  
この時点で思春期の少年が何を求めているのかマリアには用意に想像できたが敢えて知らぬフリをして反応を見てみることにした。  
(どうせ施術兵器って言っても実質働いてるのミラージュだけだしね・・。それに何より暇だし)  
「へぇ・・。それじゃフェイトはそこらのヒューマンに見られるよりは魔物に見られてる方が落ち着くって言うのね。さすがに考える事違うわね、石コロットは。」  
「う・・。それは・・・。てか石コロットって何だよ!?妙なあだ名をつけるな!呼びにくい上トしかあってないよ!」  
「そう。じゃあコロちゃんね。」  
「あげくキ○レツかよ!?てか余計に遠くなってるよ!もはや誰のあだ名かわかんないよ!」  
「黙れ小僧。」  
「!?」  
 
マリアのあしらう様な反応に目に見えて慌て出すフェイト。  
(やっぱりね・・。単純すぎるのよね。まぁ・・・だからこそ遊びがいがあるんだけど)  
「まぁいいわ。コロちゃんの言う通り確かに休養は欲しいかもしれないわね・・。その話乗ってあげるわ。」  
「コロちゃんで落ち着くな!!・・・て、ええ!?本当?一緒に行ってくれるんだね。ワーイワーイ。」  
喜びのあまり子供の様にはしゃぎ出すフェイト。余談ではあるが街の隅の方でギャル系の女性が馬鹿みたいに笑い声を上げるのは処罰すべきではないか?聴音兵器か。貴様等は。  
「それじゃ、行きましょうか。」  
「ああ、じゃあ行こうか。」  
そそくさとマリアの手を引くフェイト。どうやら心変わりする前に・・・と思っているらしい。  
(さーて、どういう手で来るのかしら。考えただけで血沸き肉踊るわねぇ。)  
 
パルミラ平原は今日も寥々とした風が吹いていた。フェイトの気持ちを掻き乱して遊んでやろうと言う不純な理由でついてきたマリアだったが確かに彼の言う通り街中よりは疲れを癒すにはいいかもしれない。  
平原に出てからフェイトは終始無言だった。おそらくは今後の事を考えて辺りとマリアの様子を探っているのだろうが。  
(平原に出た途端押し倒すぐらいすると踏んでたんだけど・・。しょうがない、少し仕掛けてあげましょうか・・・。)  
マリアは辺りを見回しおそらくフェイトが考えてるであろうソレをしかけるのに適す場所を見つけた。  
「フェイト、あそこに妙に丈の長い草が生えてて人目につき難いかつ寝転ぶには最適な場所があるわ。あそこで休みましょう。」  
「えらく説明的だね・・でも別に草原に出てるんだしそうまで人の目に付かない場所じゃなくてもいいんだけ・・ゴブゥ!」  
マリアのミドルが素早くフェイトの脇腹に打ち込まれ、肋骨を軋ませる。  
「そう。賛同してくれてうれしいわ。あんな所に連れ込むなんてだてにナリナリ語尾をつけてないわね。」  
「な・・ナリと語尾をつけた覚えは・・・それに連れ込んでるのはマリアの方で・・・ゴバフゥ!」  
「さ、私歩きつかれたわ。早く行きましょう。」  
「ほ・・骨が折れたナリ・・・もしくは著しく曲がった・・」  
なかば引きずられる様な形で草むらに入ったフェイト。意識はもうろうとしていたがここまで来て何もしないなんてアホらしいし何より殴られ損だ。それになぜかマリアの方から積極的に応対してきているのも事実だ。  
フェイトはマリアの横に腰を降ろした。  
 
施術兵器やバンデーンの動きなど今後のことをひとしきり話した後、フェイトはしばらく黙り込むとやがて口火を切ったように話し始めた。  
「あのさ、マリア。ここからはとても個人的な話題になるんだけどいいかな?」  
「ん、何?」  
(キタキター!!)  
胸の内ではどうフェイトが迫ってくるかばかりを考えていたので危うく表情に露骨に期待が出そうになるのを必死に堪えながらフェイトの顔を覗く。  
「君に初めて会ったとき話したことがあったじゃないか。そう・・・僕達の素性についてと君についての事。」  
「ええ、覚えてるわ。何?今になって質問でもできたの?」  
「いや、違う・・。もっと個人的・・というより僕の気持ちの問題なんだけど。」  
フェイトはマリアの両肩に自らの両腕をのせる。そして何かを確かめる様にマリアの目を見つめ口を開いた。  
「僕は君の力になりたいんだよ。他の誰にもできない部分で。君は僕よりもずっと以前に自分が実験体だという事を知ったんだろう?僕は君やクリフに聞くまでそれを全く知らなかった。普通の人間だと思い込んで・・・と言うより疑うわけもなかったんだけど・・生活してきた。  
でも・・自分が遺伝子改造された人間だと聞いてからは周りが変わって見え始めた・・。他人との間に見えない壁ができた様な気さえもするんだ。自分は・・平たく言えば化け物だったとわかってしまったんだから。  
そしてもっと以前からそれを知って君は生きてきた。おそらく真に心を打ち明ける相手なんていなかっただろう?自分がどんな風に周りを見ているか。自分がどんなに回りの目を恐れているのか・・。  
だからこそ君と同様な立場に立っている僕は君の役に立ちたい他の人にはできない様なようなこともしてあげたいんだ。」  
フェイトがさっきまでとはまるで違う真剣な表情を見てマリアは暫く微動だにできなかった。予想通りではあったが何か大きく違う。まさかフェイトがこんなに自分を思っているとは思ってもみなかったのだ。  
マリアは心の整理ができなかった。先ほどまでの心の余裕はフェイトの一言で消え去り、素の反応しか出来ない自分に気づいた。  
 
「フェイト・・・。」  
「・・・・。」  
フェイトは無言でマリアの顔を見続ける。思わず顔が熱くなるのを感じてマリアは顔をそむける。  
(な、何で私が顔をそむけてるの・・・。これじゃあ完全に主導権がフェイト側じゃない・・。)  
思わぬ感情の高ぶりに焦るマリア。何度か大きく息を吸って心を落ち着かせようとする。  
(そうよ・・。主導権はこちらで握らないと。こっちがあせっててどうすんのよ・・。)  
長い間互いの沈黙が続き、いくぶんか冷静さを取り戻し落ち着いてくるとマリアはここで不可思議な事に気づいた。自分でいうのも何だがこちらがハッキリと少なからず好意を抱いているという反応を見せたのにあちらが動きを見せなくなっていたのだ。  
先ほどからフェイトの両手はずっと彼女の肩に置いてはあるものの特に思い切って押し倒そうと力が込められる訳でもない。かといって今回の事をフェイトが全く下心無しに今のことが言う為だけにしたとすれば今の長すぎる沈黙は何なのか・・・。  
(これらのことから考えると・・・もしかしてこいつ・・。)  
マリアはもう一度顔をあげ、正面からフェイトの顔を見る。  
「フェイト・・あなたこれ以上何も考えてこなかったでしょ・・・。」  
ギクッとなって肩が上下した振動が掴まれている肩越しに伝わってくる。ああ、やっぱり。  
「おそらくこれ以上はアドリブで繋げばどうにかなると思ってたのね・・・。でも本番になってみると意外に言葉は浮かんでこないし押し倒すあと一歩も踏み出せなくなった。そうでしょ?」  
ギクギク。先ほどよりも激しく肩が上下する。図星かよとマリアは顔に手を当て頭を振る。  
 
「全く・・・・興ざめだ!このクソ虫!!」  
「ゴバアァ!また・・同じ所を・・・しかも・・どこかで聞いたような言葉を付属して・・」  
脇腹を押さえて悶えるフェイト見てマリアは深くため息をつく。  
「ほんと肝心な所が駄目ね・・。だからコロちゃんなのよ。」  
「で、でも・・さっきの事は本心だよ・・。自分やマリアについて考えた事も力になりたいってことも。」  
「そんなのわかってるわ・・。嘘や造りではあんな事いえない。それに・・正直うれしかった。」  
ここに来て初めてマリアはフェイトに向かって微笑んだ。  
「確かに私も周りの人たちに壁のようなものを感じていたわ。そう・・・同じクォークの仲間にさえも・・ね。」  
「マリア・・・。」  
「でも・・おかげで少し気が楽になったわ。少なくともあなたは私の本心を語る相手としては十分だってわかったし。そう・・・例えあなたがコロ○だったとしても・・。」  
もはや突っ込む気力がわかないフェイトだった。  
「それじゃ・・・そろそろ戻ろうか。シランドへ。」  
これ以上は話せる事はないしマリアに見抜けれた以上もうアチラの事ももう無理だろうと思いフェイトは立ち上がろうとした。  
「待って。例えチンケ並の事であっても今日のあなたには感謝してるわ。本当は散々誘いまくった後に何もさせずに草原に転がしといてやろうと思ったんだけど少しばかりご褒美をあげるわ。」  
「転がしとくって・・・ング!!?」  
 
突然の事にフェイトははじめ何が起こったのか認識できなかった。唇にとても柔らかい何かが重なっている事を感じてやっとマリアが唇を重ねてきたのだとわかった。  
軽く触れる程度のキスを何度か繰り返し行いマリアは顔を離した。  
「マ・・マリア・・。い、いいのかい?」  
「いいのかいはこちらの台詞よ。あなたに幼馴染がいると聞いたのを思い出したものだから一応確認しようと思って。どうする?続けますか?終わりますか?」  
ニヤニヤ笑いながらマリアはコンピューターのアナウンスの様に尋ねる。フェイトに選択の余地はなかった。  
「も、もちろん・・・」  
「続けるのね。」  
「うわ!?」  
返答を待たずしてマリアは覆い被さり、草のベッドにフェイトを組み敷く。そして先ほどより少し強くついばむ様にフェイトの唇吸い上げる。フェイトはまだ形ばかりの抵抗をしていたもののマリアのキスが段々と深くなるにつれ抵抗を緩め始める。  
そこを見計らってマリアはゆっくりと熱く湿った舌でフェイトの唇をなぞりあげる。  
(う、嘘だろ・・。何でマリアがこんなに上手いんだよ・・・。今までそんな事する相手だってなかったろうに・・)  
フェイトが抱いた疑問も行為を続けられるうちにどうでもよくなってくる。今やフェイトの唇はマリアの唾液で濡れ光り、フェイトも今まで感じた事のないキスでの快感に理性をとかされはじめたいた。  
(気持ちいい・・ソフィアじゃこうはいかなかったしなぁ・・・)  
やがて唇をなぞっていたマリアの舌が口腔内へと入ろうとする。もはやマリアのなすがままとなっているフェイトは唇を軽く開け快楽の使者の侵入を受け入れる。それを感じてマリアは目だけで満足そうに微笑むと一気に舌を口腔内に打ち込む。  
すぐにマリアは侵入した舌をフェイトの舌へと絡ませる。  
「う・・あ!」  
思った以上の快感に思わず声にならない声を上げるフェイト。こうなったらもはや幼馴染など彼の欲望を止める壁の役割を果たせない。フェイトは自分から舌を動かしマリアの舌に絡め始める。  
 
「んぁ・・んん・・・。」  
思わぬフェイトの動きに今度は逆に声をあげさせられるマリア。気をよくしたフェイトはさらに積極的に舌を絡め、互いの唾液を交換し合う。  
「んあぁ・・ちゅぷ・・・ちゅぴっ・・・ちゅぴっ・・・くちゅっ・・・」  
フェイトはそれまで大人しくさせていた自分の舌を今度は逆に一気にマリアの口腔内に入れると甘い喘ぎを漏らす彼女の口腔内をかき回す。  
「ふあ・・・んん・・ぴちゃぴちゃ・・」  
(フェイトの奴・・思ったよりやるじゃない。それじゃそろそろ攻め方を変えましょうか・・)  
マリアは互いの滑りあった舌を軽く擦り合わせた後、縦横無尽に口腔内を動き回っていたフェイトの舌を軽く歯で押さえた。  
「!?」  
動きを無理矢理止められ怪訝そうなフェイトにマリアはまた目だけで微笑むと押さえていたフェイトの舌を強く吸い上げた。一度焦らされてからの大きな快感で頭に電気が走ったようジーンと震える。快楽により制御がきかなくなった唾液を  
溢れ出さないようにマリアが丹念に吸い上げ飲み干してやる。ちゅうちゅうと吸い上げる音が鳴りそれが止むとまた舌を吸い上げられる・・。  
反復して繰り返される快感に暫く酔いしれた後フェイトは一度重なり合った口をはずす。  
「どうしたの・・?」  
「僕ばかり気持ちよくても不公平だろ。マリアにも同じ事をしてあげるよ・・。」  
フェイトはそう言って再びキスをするとさっきマリアがした様に今度はマリアの舌を思い切り吸い上げてやる。  
 
「んんんあぁぁ・・」  
マリアから甘美の声が漏れ、それに答えるようにフェイトも強く強く彼女の舌を吸い、絡め上げ愛する。そしてまるで泉の様に湧き出てくるマリアの唾液を先ほど彼女がした様に音を立てながら飲み干してやる。  
ちゅう・・ぴちゃ・・・ちゅう・・・  
幾度となくそれを繰り返されるうちやがてマリアの方から舌を激しく突き出し快感を欲求してくる。フェイトはそれに応じてとどめとばかりに一気に舌を吸引してやる。  
「んん!んんんん!!!」  
マリアの体はそれに呼応する様に仰け反りまるで達してしまったかの様にビクビクと震えた。  
二人は今まで絡めていた舌を離し今度は貪る様に何度もキスをしては唇をはなした。離すたび二人の口には何本もの唾液の橋がかかり、それが切れてはまたキスをし橋をかけなおす。  
「んふぅ・・・チュパチュパ・クチュ」  
もはやどちらの声と分からない喘ぎ声があがり、嫌らしく鳴る唾液の音が静かな草原に響いた。  
 
「どう。満足したかしら。」  
「満足って・・・これからが本番だろう?」  
「何いってるのよ。あれだけ人を興ざめさせといてこれ以上続きをやらせるわけないでしょう。」  
「な!?」  
これからだとベルトに手をかけていたフェイトにマリアは冷たく言い放つ。  
「そ、そんな・・・。そ、それじゃあコイツどうするんだよ。こんだけ期待もたせちゃったら時間が経てばもどるってもんでもないんだぞ!」  
フェイトはそう言って自分の股間部に・・息子に目を落とす。  
「自分でやってあげればいいじゃない。得意分野でしょ?」  
「ななな!?」  
マリアはそれだけ言うと立ち上がり、シランドへと歩きだした。  
「お、おい!ホントにこれでおいてくのかよ!?」  
「皆には君はチョウチョを追いかけながら「「待て待て僕のブリーフ!!」」と叫びながら草原で虫取り網を振り回していると言っておくけどできるだけ早く済ませて帰ってくるのね。もう時間も時間だしね。」  
そう言われてみればもう既に日は落ちかけている。キスに没頭しすぎていて全く気づかなかった。  
「ちょ、ちょっと待て!そんな事より何無茶苦茶訳わからない脚色入れてるんだよ!?それじゃとんだ変態だ!!」  
「大丈夫よ。あなたはここでの戦争や自分の出生を知って少なからず心が病んでると皆思ってるわ。そのぐらいの現実逃避誰だってしてもおかしくないはずよ。」  
「そ、そんなもんかな・・。」  
「まぁ・・・そんな前例は聞いたことないけどね。」  
マリアはそう言うと小走りして行ってしまった。  
「!?それじゃ、やっぱし変態もしくはすんごい可哀想な子じゃないか!」  
マリアを引きとめようとして追いかけようとしたフェイトであったが街中にこのままのビンビンの状態でいける訳もなかった。  
こうしてフェイトは自分で自分を慰めさせられた後、急いでシランドに戻ったが時すでに遅く皆に可哀想なモノを見る目でさらに慰められとさ。  
チャンチャン(jyojyo風で終わりでふ 

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