最初は興味本意だった。君のことを知ったのもロキシ博士の息子だからとい  
う理由だった。でも、君が遺伝子操作をされていた被験者ということを知っ  
てから私の貴方への関心が大きく変わった。そう、只の興味ではなく自分と  
同じ境遇の人間として見るようになったのだ。それからというものの君の写  
真やプロフィール、君のありとあらゆる資料を集めた。任務や重要な会議に  
も彼の写真を持っていくほどの執着心を持っていた、と自分でも言える。そ  
して自分の彼に対する恋心にきずいたのは彼に会う少し前のことだった。そ  
こにはリーダーとしての自分ではなく、一人の恋する乙女の姿があった。彼  
の写真を見ると当たり前のように顔が赤くなる自分に情けなさすら覚えた。  
彼の名前はフェイト。私の恋する人。  
 
「ちょっといいかしら?」  
 
唐突に話しかけられたので、話しかけられた男性フェイトは少し驚いたよう  
な顔をしたが、すぐにまた普通の顔に戻った。  
「なんだい?マリア」  
 
話しかけて話しかけられた女性マリアも心なしか顔が赤くなっている気がし  
た。少し沈黙が続けられるとマリアの口が開いた。  
「あっ、あの・・・ちょっと一緒に来てほしいの・・・」  
今にも消え入りそうな声でフェイトにたずねた。するとフェイトは考える間  
もなく、「いいよ」と言った。  
 
見渡す限りの大草原。そこに二人はいた。どちらも口を開かないので  
男の僕がなんとかしなきゃと思い、フェイトは思い切って話しかけた。  
「あ、あのさ・・・空が・・・きれい・・・だ・・ね・・・」  
夜空の星々を見てこれぐらいしか思いつかなかった。だがマリアの横  
顔を見て言葉が詰まってしまった。その横顔が月明かりに照らされて  
あまりにも美しかったのである。それにきずいたマリアが口を開いた。  
「ど、どうしたの・・・?私の顔に何かついてる?」  
顔を赤くしてマリアは言った。焦ったフェイトは、  
「い、いや、マリアの横顔があまりにもきれいだったからさ」  
おもわず本音が出てしまった。二人は赤面してその場にしばらく立ち  
尽くしていた。ようやく落ち着くとマリアは口を開いた。  
「あ、あのフェイト・・・フェイトは・・・私のことどう思う?」  
 
フェイトは答えに迷った。本当のことを言うべきか。  
「えっと・・・きれいだなって・・・」  
こう答えた。だがマリアは、  
「違うの!私のことが好きか訊いてるの・・・私は君のことが好き・  
 ・・出会う前からずっと好きだったの・・・」  
マリアは勇気を振り絞ってフェイトに告白した。その告白に対してフ  
ェイトは考えていた。  
(マリア・・・そうだったんだ・・・なら・・・もう迷うことはない)  
「マリア・・・実は僕も君のことが好きだったんだ。君とであったと  
きからずっと・・・」  
フェイトはそういうと華奢なマリアの体を抱きしめた。マリアはあま  
りの嬉しさに涙を流していた。 

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