「そもそも急造の仮エインフェリアで、あの者達を倒すことに、無理があるのか」  
 
遥か高き天空に、独り。  
少女が呟く。眼下には試練の遺跡から今まさに生還した星の勇者達の姿があった。  
 
「フェイト・ラインゴット」  
 
そして、その仲間達。忌々しい、というわけではない。彼らのことは尊敬さえする。  
私とは違ったレベル・次元の創造主であったが、自身の創造主を倒すという偉業に成功し、  
存在の自由を得た戦士達。それが如何に困難なことであったか。   だが、  
……なんという脅威な存在だろうか。彼らは、やもすると私自身の脅威になりえるということ。  
その可能性と力を持っている。彼らの強さは既に神の域にまで達している。  
事実、私でさえ手を焼く対の天使、その片割れを倒してしまった上に、彼らの中には  
次元移動を可能とする者もいる。しかも人間の成長は凄まじい。前に送った刺客、急造の  
エインフェリアは決して愚図ではなかった筈。私の能力による力の水増しもあったというのに  
あの勇者達は難なく倒してしまった。しかも、その戦闘で更なる高みに達したようにも  
思われる。早く。早く、殺してしまわなくてはいつか取り返しのつかないことになる。  
あの人間…ルシファーは失敗したようだが、真の創造主たるこの私は敗れない。  
 
必ず、倒す――――       
 
 
……しかし。既に、二敗。直接少女が戦ったわけではない。だから正確には敗北ではない  
のかもしれない。だが、誇り高き少女はこの失態に怒りを禁じえなかった。  
焦燥の色を隠しきれない顔で物騒なことを思案するこの少女。  
 
小さな体躯。深く蒼い瞳。淡く紫に輝く銀髪。端正な形をした唇と眉。第二次性徴が  
始まるかどうかというぐらいの12歳程度の少女にして、愛らしいと言うより美しいと  
形容するに足るその美貌。少女には神秘的とさえ言える魅力がある。表情はその外見が  
示す子供のそれではない。そう、彼女が本当に『少女』であるならこの表情はありえない。  
彼女の瞳には悠久を過ごした者にだけ備わる深い光がある。思案するその閉じられた瞼の  
裏に浮かべる情景には確かな経験がある。誰に見せるわけでもない、しかし、独り天に  
浮かぶ立ち振る舞いには神格がある。故に、あの『少女』は『少女』ではない。  
そして何より、その『少女』が手にしている、あまりに不釣合いな―――  
 
巨大な槍と甲冑――――と、猫耳(犬耳?)。  
 
そう、彼女はこの世界において規格外の存在。この神秘的とさえ言える美しさと、最萌の  
耳とロリ属性を備えた少女。その名を (?)レナス・ヴァルキュリア といった。  
 
「…………何で『?』が必要なのか 何で幼女なのか 耳は製作者の趣味なのか」  
 
(?)レナスは天空にて更に天を仰ぎ、この世界における自分の存在定義に、  
独り自嘲的にごちる…。  
 
「じゃなくて! そんなことはどうでもよくはないけど今はどうでもいいことで!」  
 
一人ボケに一人ツッコミ。しかもなんかムチャクチャ。かの創造主の焦りはかくあらん。   
それもその筈。この姿になってからというもの、どこからともなく「これは驚きました。  
貴方様のその姿、私の愛を受けいれてくれた、とさせてもらってよろしいですね?  
フフフフフ……!」とか言う変態メガネの声が聞こえてくるようで(否、本当に聞こえる)  
レナス(?)は気が気でなかった。  
 
それ故に発想も、  
 
(……しかし、どうしたものか。この世界における私の力ではアリューゼ達を呼び出すのは  
難しい。次元が離れている故か、私はこの世界では力に大きな制限がかかってしまう。  
既存のエインフェリア達を呼び出したところで今の私と同じく体が幼児化するということも  
あり得る。……………そ…それはそれで見てみたい気もするが………。真面目な話、  
やはり使うならこの世界の人間になる。それもシェルビーやヴォックスよりも強く、  
もっと勇者としての資格を持ち、……できればフェイトらが相対した際に油断してくれる  
ような………都合の…良すぎる存在が…いいなぁ…とか。  無理か。  
………確かこのあたりは先日の人間達の戦争の中心地で、多くの戦士たちが散ったと聞く。  
ヴォックスとかいう将はハズレだったが…まだ逝き遅れた魂の中に兵がいることも……  
………ショタルシオ………きゃっ!)  
 
調子良すぎるものだったり現実逃避してたり脱線したり。そうした無為な長考の末、  
レナスはアリアスの村上空にて次なるエインフェリアを探すため、精神を集中し始めた。  
自身の失敗をなぞるような行為。それは彼女らしくない判断だったが心身共に追いつめ  
られている(←主にメガネの幻聴のせい)彼女が仲間を欲したのは無理もなからぬところ  
だった。結局、戦ロリ乙女レナス・ヴァルキュリア(?)が出した結論は新たなる僕を  
得ること。  
 
どーでもいいが…………割と他力本願な神様でいらっしゃる。  
 
 
 
〜〜〜アリアスの館〜〜〜  
 
 
「は………   ぁ      ぁぁ…   あっ…」  
 
悩ましげな、男の脳と理性を融かしてしまうような甘い声。  
 
「う………ん …ぁ    駄目…なの……に  こんな…こ…と……」  
 
チュクリ、という卑猥なメスの音。己の秘裂から発せられた雌の音に体を震わせる一人の牝。  
ベッドに横たわる肢体は一糸も纏っておらずその紅く火照った白い肌が惜しげもなく  
晒されていた。男に抱かれたら折れてしまうのではないかと危惧してしまうような細い腰。  
痛いほどに天に向かって勃起している乳首と体の震えに合わせてぷるんと揺れる張りの  
よい乳房。こんもりと茂った銀の恥丘は更なる滑りを求めた自分の指によって陵辱されて  
いる。クリムゾンブレイドの証たる紋章をその肢体に刻ませた女性の秘め事だった。この  
ベッドは彼女が普段使っているものではなかった。これは来客用の物で、この部屋自体、  
彼女の私室ではなく客間にあたる。そんな、誰にばれるとも知らないこの部屋で彼女は  
きまって自慰にふける。このベッドの上こそがクレア・ラーズバードの慰めの場だった。  
さっきから自身の秘部を弄っている右手とは別に、左手でこのベッドに使われている枕を  
必死に抱きしめていた。  
 
「フェイトさ…んの…香、り………」  
 
顔を枕に押し付ける。必死になって想い人の残した僅かな匂いを辿るそのクレアの姿は  
クリムゾンブレイドの名を汚すものだったのかもしれない。それは、誰よりクレア本人が  
理解していた。が、腕が止まることは、永久にない。少なくとも達するまでは。  
 
「ダ……メ。  ダ…メェ……!!  ぁ  」  
 
ちっぽけな理性から言葉が紡がれる。だが、クレアが本当の意味で罪悪感や自己嫌悪を  
感じるようになるのは快楽の波が過ぎ去ってからのこと。今はただ、自身の指と、雄の  
匂いにだけ神経をやる。行為の終焉が近いのか、彼女の指の動きが加速されていく。  
いまだ男を知らず、腔に膜を残しているクレアは深い挿入を恐れていつも入り口周辺と  
クリトリスを中心に弄っていた。中指と薬指で肉芽を挟み、擦る、擦る、擦る。  
溢れ出す蜜が後ろの窄まりにながれていき皺一つ一つが解きほぐされていくのに身震いをし、  
紅く充血した肉芽から全身に波打つような快楽が広がっていく。同時に、子宮の奥に熱い  
溜まりが―――――  
 
 
いつもフェイトさんに犯される様をイメージする。  
 
私は肌着を引き剥かれ、このベッドに押し倒される。腕を縛られて、身動きがとれなくて。  
私のソレよりごつごつした男らしい指が執拗に私のを攻め抜いて。そう。執拗に、執拗に。  
どんなに泣き喚いても、哀願しても、フェイトさんは冷たい笑顔のまま余計に攻め続けて。  
アソコが壊れるから、お願い、と。でも、壊したいんだよ、って。そうして何度も何度も  
イカされて。それでも指の動きを更に速めていって、またイカされて。快楽の上に快楽が  
覆いかぶさって。汗と涙と涎と愛蜜で、グショグショになって。何度も、何度も。  
でも、最後には放心して消耗しきった私の戒めを解いてくれて、ゆっくり、全身を舐めて  
くれて。私は本当に幸せな顔で。フェイトさんの胸に抱かれて―――  
 
「…っっああああ!!!」  
 
決壊の瞬間にクリトリスを引っ掻いてトドメとなる。3度、4度、大きく体を痙攣させて  
仰向けの体が弓なりに反り返る。しばらくの余韻に浸るクレアの目には快楽によるものとは  
別の涙が溢れていた。  
 
………寂しい。  寂しい、寂しい、寂しい寂しい寂しい!!  
どうして、なの……? どうして……どうして……フェイトさん。どうして、私は今、  
あなたのそばにいないの?私は、あなたのそばにいられないのですか?  
抱かれたい…フェイトさんに抱かれたい……。体が疼いてしまうんです。いけないことだ  
とわかっていても、寂しくて、切なくて………!! 会いたい…会いたいです。  
私だって、ネルと同じクリムゾンブレイドです。皆さんの力になれる筈です!なのに……  
 
「う…… ううぅ…… ひっく…… う…」  
 
…悔しい。悔しいです、フェイトさん。DCが出ると決まったときにどんなに私の出番が  
ユーザーに期待されたのかご存知でしょう?ユーザーは私の勇士を期待してハァハァして  
いたはずなんです。なのに!なのにぃ!なんでミラージュさんは出れて私の方はお父さん  
が出るんですか!?理解できません!私、需要すごいんですよ!?黒豆みたいな顔した  
幼馴染より、ブラコン改造ペタより、筋肉年増女より、黒鷹旋よりぃぃ!!あと、  
「そう言えばいたっけ?」って程度のガキより!!(テキトーです。気にしないで下さい)  
指揮官だからクレアはアリアスにいればいいンだよ、とか、実は腹黒そうじゃね?とか  
言う人は敵です!えぇ、仇です!  
せめてアドレーEndに期待を寄せたのもあんな形で……うううううううぅぅぅぅ。  
 
己の自慰に恥じることもなく、言ってはならない世界に対する不満をぶちまける銀髪の  
レズキャラ、クレア。髪だってありがちな緑とかじゃなくて銀なのに〜〜とか言ってたり。  
 
「ぐすん………えぐ…  フェイト、さん 会いたいです…」  
 
このままでは、一生日に当たることのないキャラ位置にたってしまう……。  
しかし、だからといってどうしようもない。できることならアリアスはおろかシランドの民  
全員を犠牲にしてでもフェイトと結ばれたいと願っても、目下最大の障害であろう相方の  
ネル抹殺を企もうとも、クレア一人では限界がある。フェイトにくっついて第一線で活躍  
中のネルと軍全体の指揮をとるか、民の保護、あとはせいぜい護符を作る程度のクレアでは  
勝負にならないし、民を守る母性と敬虔さが自分の魅力な、所謂お嬢様キャラなクレア  
はヤケを起こしても逆効果。第一どうしようもないサブキャラの力。  
 
結局、  
 
「……わぁぁぁぁあぁあああああん!!!」  
 
涙を呑むしかない、わけですね。アペリスの神よ。私は、あなたを恨みます…  
 
 
 
〜〜〜アリアス上空〜〜〜  
 
「…………何か、とんでもない怨嗟の声が……」  
 
こめかみを押さえながら、何とも言えない表情でレナスはクレアの声を捉えていた。  
 
そもそも私が精神を集中させて捉えれる声とは『死に逝く者』か『不死者』の筈なのだが。  
彼女はどちらにも当てはまりそうもないが……。つまり、あの慟哭そのものが同じレベル  
にまで達しているということ…なのか。まぁ、そんなことはどうでもいい。  
クレア・ラーズバード、か。  
 
「つかえる、な」  
 
僥倖。恐らく、これがラストチャンス。先程フェイト・ラインゴット達が  
スフィア社の上層部に関することを突き止めたとの情報がブレアから入った。  
もう、時間はあまりない。  
失敗は許されない。この女を引き込んで私はフェイトを倒してみせる―――!  
 
………………ただ、名前が少し、気になるというか。ムカつくことを思い出させるが。  
 
 
 
〜〜〜おまけな部下二人の会話〜〜〜  
 
 
 
「はぁ〜〜〜〜〜、またですかァ」  
 
「そう、みたいね。クレア様………  ここのところ多いね」  
 
「本人、バレてないつもりなんでしょうけどォ〜」  
 
「オナニー疲れと泣き疲れが重なって、いつもあのまま朝まで寝ちゃうからね…嫌でも気付くよ」  
 
「もし、私達が気付いてるコト、本人にバレたら私達どうなっちゃうと思います?」  
 
「………………」  
 
「………………」  
 
「………………………………迷惑な話だよね」  
 
「ね〜〜〜〜〜〜」  
 
 
 
(つづく)  
 

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