「…っ! ちょっとエッジ!!」
「だめだ」
「いきなりなんて嫌っ! どうしたのよ!」
カルナスに備え付けてあるベッドはそれほど硬くはないが、二人分の体重でスプリングが軋む。
レイミは自分に覆い被さっているエッジの下から這い出ようとするも、彼の太腿にがっつりと身体を抑えられている。エッジの身体はびくともせず、レイミはただ愛撫を一方的に受けていた。
エッジはレイミの胸を布越しに揉みしだく。たまったもんじゃないとレイミは制止を呼びかけるが、必死の嘆願も空しくエッジの動きは止まらない。
「やめてって! ひあっ!?」
ざらりとした感触にレイミは甲高い悲鳴を上がる。エッジはレイミの部屋着の裾をまくって彼女の胸の突起を舐め上げたのだ。
エッジの唾液の付いた突起は寒くもないのにぶるりと震える。齧り付くように彼はそれを口に含んだ。空いた右手でもう一方の乳房をいじり続ける。
以前、事の最中に恥ずかしげもなくレイミの胸の先端を「赤く熟れた苺のようだ」と喩えた本人に弄ばれると、更に羞恥心が増してくる。
(なんで今になって思い出すのよ…!)
レイミは胸中で己を罵った。手元に鏡はないが、今の自分の顔はさぞかし赤くなっているのだろうと思った。
それにしても、この状況は非常にまずい。エッジと、セックス独特のこの空気に流されかけている。朦朧としてきた意識の片隅でレイミはそう思った。
与えられる快感に抗い、腕の力を振り絞る。そして、
「エッジ…の、えっちぃぃぃっ」
埋めていたレイミの胸から顔を上げた瞬間を狙い、エッジの両頬をぎゅぅぅぅっとつねる。伸ばせる限界まで頬を引っ張ってやった。
頬の肉がこれほどかというくらいまで引っ張られ、エッジの動きが止まる。頬の痛みに彼は眉を顰めた。
「いひゃいいひゃいよ。フェイミいひゃい(痛い痛いよ。レイミ痛い)」
「何故盛(さか)ってるのよ」
「ひゃかってなんかにゃい(盛ってなんかいない)」
「じゃあ、何で嫌だって言っているのにやめてくれないの?」
押し倒された状態のまま、下からエッジを見据える。一瞬、エッジが答えに詰まったように見えて、レイミはつねっていた頬を放した。
真っ直ぐな視線を逸らさないレイミに、エッジは気まずそうに目を逸らせた。それに加えていつもは凛々しいエッジの眉が今はハの字になっている。何かやましい考えでもあるのかとレイミはむっとしたが、黙ったまま彼の返答を待った。
暫らく「あー」だの「うー」だの呻きながら思考を逡巡していたようだが、観念したようにエッジは口を開いた。
「レイミも、いなくなるかと思って」
「私も、いなくなる?」
「…そう。今日はかなり心配したんだぞ」
鸚鵡返しに訊くと、エッジはゆっくりとレイミの肩口に顔を寄せてくる。エッジの表情がよく見えない。眼前で彼の金髪がさらさらと揺れて、レイミの視界を覆った。
エッジは何もしてこなかった。そのままの体勢で暫らく身じろぎすらしなった。
そんな彼の頭を撫で続け、レイミは今日の一部始終を思い出した。
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