部屋に入るなり脱いだ上着をいすに放ると、マリアは小さくため息をついた。
敵の本拠地に乗り込むのだと思ったのに、いざ来てみればそこは苦のない未来都市。
危険がないと知るや否やバーニィレースに行ってしまった仲間さえいる。
ゲームのキャラクターだなどと知ったばかりで、
それでも遊びに行くという神経は彼女には理解できなかった。
仲間が一日休むと決めてしまったので、今日は暇を持て余すことになりそうだ。
街を回る気にさえなれなかった彼女は朝食後そのまま部屋に戻ったのであった。
「遊びたいと思う気持ちも、作られたものなのかしら……」
彼らの図太さにある意味感動しながらスカートをひきおろす。
つづいて下着に手をかけるが、彼女はふと、違和感に気がついた。
白いレースの、その奥。
忙しさと危険で忘れていた女の部分が、今日はやけに疼いている。
「私まで……彼らと一緒だというわけ?ダメね、緊張感が足りないわ」
自嘲して首を振り、両手で頬をぴしゃりとたたいた。
いくらここが一見危険がないように思えるところでも、この先創造主に命懸けで歯向かうのだ。
いまからこれではだめだ。クォークのリーダーとしても、しっかりしていなければ。
持ち前の意思で抑え付けようとするが、一度強まりはじめた欲はとまらない。
どんなに無視しようと努めてもソコの疼きは強くなってとまらなかった。
「我慢……できそうにないわね」
仕方ない、今だけ……ちょっとだけ……
強烈に襲い来る肉欲に我慢できなくなった彼女は、抗うことをすっぱり諦めてベッドに腰掛けた。
とりあえず応急的に体を慰めて、落ち着けばいい。
幸い今日はみんなそろって外に出ているのだから。
ドアロックを確認すると、今唯一体を覆い隠す布に白い指先を差し伸べた。
湿り始めたやわらかな布にゆっくりと指先が埋まっていく。
「うぅ、ん」
誰もいないはずの昼間の宿にありながらも彼女は羞恥に声を押し殺した。
指先はさらにじらすように周囲をなぞり、
核心をかすめるたびにマリアはびくん、と体を振るわせた。
羞恥にか、感じ始めた快楽にか、頬が火照る。
指先に触れる湿り気がじんわり重さを増していった。