暑い。  
汗ばんで気持ちが悪い。  
 
青い髪の青年が独り、憂鬱そうに歩いていた。  
 
呼吸さえ億劫なここ、ウルザ溶岩洞には一人(匹)のクリエイターが工房を構えている。青い髪の青年、フェイト・ラインゴッドはそのクリエイターと契約を結びに来たのだった。  
「皆本当は興味があるくせに・・・なんで僕だけが・・・」  
などと愚痴っていると、突然に工房の扉が目に入った。こんな暑いのはうんざりだ。さっさと契約を済ませてサーフェリオに戻ろう。フェイトはそう思いながら扉を開いた。  
 
 
昨日の事だった。  
「これを蘇らせるんだ」  
「これを・・・直すの?」大きい目の少女が言う。  
「直すってお前、面倒だぜ?何だって今・・・」マッチョな男は不平そうだ。  
「クリフの言う通りよ。今修復してどうしようって言うの?」フェイトと同じ様な青い髪の少女はマッチョに同意しているようだ。  
「爆弾を作らなきゃいけないんだ。それもたくさん」「どっか襲撃でもするのか?」「いや?ちょっとね・・・それよりも、これを蘇らせるにはバニラと契約する必要があるんだ。それで・・・」  
「いってらっしゃい」マリアが言う。  
「え・・・皆で」「行って来い」マッチョが遮る。  
「・・・・・・ソフィア!」「お菓子作って待ってるからね」  
「ネルさん!」「気をつけるんだよ」  
「ロジャー!」「ルシオと約束の男勝負が」  
「ミラージュさん!」「おや?マリエッタから通信が」  
「ならワシが」「・・・行くのは僕だけか・・・・・・」暑苦しいオヤジとの旅は回避した。  
てなわけで単独行動である。  
 
 
「バニラは毛皮で暑いだろうに、よくこんな所で頑張ってたなあ・・・町じゃあ風邪を引いちゃうのかな?」  
フェイトはそんな事を考えつつ、溶岩洞を出た。  
空気が涼しくなり、呼吸の度に気持ちがいい。足取り軽く、バール山脈の中腹部に出た。  
 
既に日が傾き、風景は夕日で染まっていた。  
日が沈んでしまえば、魔物が出没する地域は危険になる。フェイトは足を早めてアリアスへと向かった。  
 
辺りが殆ど闇に包まれた時、やっと町の入口が見えた。一人の女性が立っていた。  
「お帰りなさい、フェイトさん」人影が言った。「クレアさん!?」フェイトは驚き、駆け寄った。  
表情が伺える程に近付いた時、クレアはその美しい顔を険しくした。  
「フェイトさん!一人でバール山脈に向かうなんて無茶ですよ!ケガでもしたらどうするんですか!?」クレアはフェイトを叱責した。  
 
本気で心配していたらしいクレアの声に、フェイトは胸を打たれた。  
ああ、いつも一緒に戦っている仲間には突き放されたのに。クレアさんはいつでも僕に優しい。  
「貴方は・・・あの時も危険で・・・・・・・・・・・・それで、今日はアリアスで一泊して行かれるのでしょう?」現実に引き戻された。  
「あっ、ええ、そのつもりです」慌てて答えると、「なら早く行きましょう、夕食の準備は出来ていますから」  
本当に目頭が熱くなりそうだった。  
 
 
フェイトはクレアを含め、館に駐屯している数人と夕食を共にした。  
しばし談笑した後、溶岩洞での汗を流して、早々に床に就いた。  
 
 
深夜、何となくフェイトは目が覚めてしまった。  
夜風にあたろうと館を出た。  
清涼な空気を吸っていた所、気配を感じて後ろを振り返る。クレアだった。  
微笑みつつ、フェイトの隣に並ぶ。どうしたんですか?とフェイトは尋ねようとしたが、先にクレアが口を開いた。  
「今日は心配しましたよ?」フェイトが口を開くのを遮り、クレアは続けた。  
「フェイトさん・・・今日は私に逢いに来てくれたんですよね?」  
 
は?  
 
「一人で来てくれるなんて、嬉しいです・・・」  
クレアはフェイトの左腕に抱き付く。伝わるふくよかな感触に、フェイトは赤面した。  
 
「え、いや!あのですね!?」クレアの顔を覗き込むフェイト。その瞬間、唇を唇で塞がれた。  
柔らかい・・・そして、甘い匂いがする。脳が蕩けるようだ。  
フェイトは完全に思考停止した。  
それが何秒交わされたかも分からなくなった頃、ようやく唇が離れた。  
「続きは中で・・・・・・」クレアはそれだけ言うと、館へ入った。フェイトもそれに従った。もうクレアしか見えなかった。  
 
静かな廊下を抜け、クレアが一つの部屋に入る。淡い光で照らされていたそこは、異世界のような印象を受けた。  
フェイトが中に入るとクレアは扉を閉め、「フェイトさん・・・」フェイトに向き合い目を閉じる。  
今度はフェイトが応えた。  
 
突然、クレアが舌を絡めてくる。丁寧、かつ大胆なそれにフェイトの口腔が蹂躙される。  
フェイトも応戦しようとしたが、普段のクレアから考えられない程強引な舌の動きには降伏するしかなかった。  
二人はたっぷりと唾液を交換し、味わった。  
やがて、服を脱ぎ始める。フェイトの最後の一枚は、先に全裸になっていたクレアに剥ぎ取られた。  
既に、その下のモノは雄々しく存在を誇示していた。  
「フフ、もうこんなに元気にしているんですか?いやらしいんですね、フェイトさんは」両手の指先で弄びながら言う。  
「それは、クレアさんが・・・その・・・・・・」「まあ、いいんですけどね・・・・・・嬉しいですから」  
 
フェイトはベッドに腰掛けさせられると、唐突にクレアに咥えられた。  
「うっ!・・・!・・・あ・・・・・・ああ!」  
生暖かく蠢く口腔内で、フェイトは手を変え品を変え責められる。  
吸われる。舌で殴打される。喉の奥まで飲み込んだかと思うと、身体ごと動かす。時にはたおやかな指でしごかれる。  
舐められるなんて優しいもんじゃない。激しい。破裂しそうだ。  
「クレアさん・・・!もう・・・・・・限界」そこまで言った瞬間、フェイトはベッドに押し倒され、更に激しく擦られ、吸われる。  
これまでにも増して堪え難い快感。「あっ、あ・・・うう!うあっ・・・・・・!」  
呻き、吐き出した。  
 
笑みを浮かべ、クレアは喉を鳴らして飲み込んだ。それから二人は荒くなった息を整えた。  
「・・・・・・溜まってたんでしょう?こんなにいっぱい出して・・・・・・」放心状態だったフェイトに語りかける。  
「ええ・・・・・・機会がないものですから」  
「私も、満足させて下さいね・・・・・・」  
そう言い、フェイトにしなだれかかった。  
優美な顔立ち。  
大き過ぎない美乳。  
くびれた腰。  
張りを持った尻。  
この魅惑的な肢体を堪能する為に、フェイトはクレアに重なっていった。  
それから暫く、主導権はフェイトに有った。唇を、鎖骨を、乳房を、乳首を、腰を、尻を、脚を、そして秘部の感触を確かめていく。  
その度、クレアは身をくねらせ嬌声を上げる。  
 
しかし、フェイト自身が力を取り戻した時、再び主導権はクレアに移った。  
「フェイトさん、私、もう我慢出来ません・・・・・・!」フェイトを仰向けにするクレア。  
天を仰いでいる大樹に手をあてがい、一気に飲み込んだ。  
ヌルリという感触がした。  
「は・・・ああ!」  
「ああんッ!!いい!フェイトさんの・・・硬くて・・・大きい・・・!あっ、ああ!」  
フェイトは一瞬だけ、クレアと繋がって一体になったように感じた。  
しかし、クレアが殺人的に腰を前後左右に振る事による快感の爆発に、それどころではなくなった。  
騎乗位とはよく言ったものだ。フェイトはそう思った。完全に征服されている。  
 
部屋に喘ぎ声とベッドが軋む音、肌が打ち合わされる音、そして湿った粘膜が擦れる音が響く。  
フェイトはこんな音をさせて大丈夫なのかと思ったが、クレアが意に介していない様子なのと、目の前で揺れる美しい乳房に心を奪われ、次第に忘れていった。  
「ああっ!もっと突き上げて下さい・・・・・・私、もう少しで!」  
「クレアさん・・・・・・僕もっ・・・!」  
フェイトは、今迄より強く腰を掴み、渾身の力で突き上げ続ける。クレアは、今迄より更に激しく腰を振る。その行為は、快楽の頂点へ向けられていた。  
「ん・・・ああ・・・ああ!イクッ・・・・・・あっ!イクッ!!」  
「うっ!!出る・・・・・・!」  
 
とうとう、クレアは二人が繋がるそこを収縮させる。フェイトはそれに耐え切れず、欲望をクレアの中に出し切った。  
二人はそのまま抱き合い、眠りに落ちた。  
 
 
「ネル達によろしくね」  
「ええ、それじゃ、お世話になりました」  
背を向けたフェイトにクレアが駆け寄った。  
「今度は・・・・・・いつ?」  
「すぐに来ますよ。すぐ・・・・・・」  
言うと、フェイトは仲間の待つサーフェリオに向かった。  
 
 
後日、青い髪の青年が一人、アリアスを二泊したらしい。  
多数の爆弾をバール山脈方面で使用するらしく、出発前に一泊、帰って来て一泊したという事だ。  
 

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