カードを差し込む。ディスプレイの表示が赤から緑に変わり音も無く金属製の扉が左右
に開いた。
そこには生活感のない───よくいえば、洗練された───部屋が現れた。
ぱっと見ただけでは男性の部屋なのか女性の部屋なのか区別がつかない。この艦に設置
されている部屋の造りはどこも同じなので妙な既視感と違和感を感じる。違和感を感じる
のは部屋の主によって内装が異なるからだ。
部屋に足を踏み入れる。と、開いた時と同様にドアが音も無く閉まった。同時に目の前
には外界からは切り離された空間が生まれた。この空間には今自分だけが存在する。まる
で自分がこの空間では創造主のような気分になれる。
───この部屋の本当の主は不在である。
フェイトはこの部屋の主がいない事を見計らって忍び込んだのだ。
部屋の主が異なれば部屋の空気までもが違う。この部屋の空気は何だか甘い。それは微
かに香るハーブのせいだけではないかもしれない。
(いつ来てもここの空気はおいしいな)
フェイトは大自然の山頂に上った後のようなことを思った。まるでここが汚れのない澄
んだ空気でもあるかのような物言いだ。
しばらく甘美な空気を楽しんだ後、ふと部屋に設置されているテーブルに目を向けた。
そこには飲みかけのコーヒーが入ったカップがあった。手に取ってみると大分冷めてい
ることがわかった。カップ内をよく見ると黒い跡が三角型になっていた。それは中の液体
が一定方向に流れていたことを表している。
つまり三角形の頂点は───
フェイトは迷わずその部分に唇を押し付け黒い液体を一気に飲み干した。冷めているは
ずのコーヒーがなぜこんなにおいしいのだろうか。艦内で飲めるコーヒーなどたかが知れ
ている。しかも今飲んだコーヒーは砂糖もミルクも入っていないブラックなのだ。
「か、間接キス……」
そう小声で呟いた。言わずにはいられなかった。呟いたとたんにその事実が強くフェイ
トの脳に叩きつけられ、この感動を大声で叫びたい衝動に駆られた。しかし、叫ぶわけに
はいかない。叫べば忍び込んでいたことがばれてしまう。フェイトは何とか自制し、心の
中で叫ぶに留めておいた。
コーヒーを飲み干したカップを元の場所に戻そうとし、ふと手を止めた。
飲み終えたカップをそのままにしておくような性格とは思えないからだ。空のカップを
置いたままにしていたら遅かれ早かればれてしまうだろう。元の場所には戻さず、すぐ足
元にあるゴミ箱に捨てた。これならばれるはずがない。
「さて……」
今日は思わぬ収穫があった。まさかマリアの飲みかけのコーヒーがあるなんて思わなか
った。思わぬ僥倖に、にやついた顔が元に戻らない。
慣れた足取りでクローゼットに向い、クローゼットの扉を何の躊躇もなく開く。そこに
ある引き出しに手をかける。
───上から2段目、
それが下着が収納されているスペースだった。
この部屋に忍び込むのはこれでもう5回目になる。
最初はほんの出来心だった。
ブリッジで偶然マリアが落としたカードキーを拾った。マリアが落し物をするなんて珍
しいと感じ、拾ってすぐにマリアに渡そうとした。が、ふと魔が差した。
以前からマリアには特別な感情を抱いていた。それは男女間に芽生えるものではなく同
じ境遇に立たされたものが共有できる拙い支えだったのかもしれない。
(それでも僕は、その感情に性的な想いを乗せていたんだ)
何度も自分の中で葛藤した。
───こんなことするべきじゃない、と。
しかし、マリアに抱いた想いは不純ゆえに純粋な強い想いだった。
そして、意を決し、マリアの部屋に忍び込んだ。
それが事の始まりだ。
人間という生き物は不思議なもので一旦手を染めてしまうと感覚が麻痺してしまうらし
い。それ以来、フェイトはマリアが不在だと分かると何の躊躇いもなく部屋に忍び込んで
いた。罪悪感を感じたのは最初だけだった。2回目からはごく自然に忍び込んでいる。も
ちろん人には会わないように細心の注意を払った上での行動だ。
拾ったオリジナルのカードキーはすぐマリアに返した。複製した後に。
初めて忍び込み、マリアの部屋から逃げるように飛び出た後、自分の手はマリアの下着
を握っていた。
フェイトはいつものように引き出しを手前に引く。そこには綺麗に整頓された下着の群
れが現われた。こんなとこにもマリアのきちんとした性格が垣間見える。
下着を選ぶ基準は特に無い。
強いて言うならば目立たない下着が良い。
もし派手な勝負パンツ的なものを盗めば、盗まれたことにすぐ気付かれてしまう。
そして、なるべく手前からは盗らないようにしている。
最も重要なのは何事も迅速に判断し行動することだ。
今日はどれにしようか、とフェイトは鼻歌交じりに物色していた。
ふと後ろを振り返ると目の端に何かが映った。特に気になったわけでもないが映ったも
のを追って何気なく視線をベッドに向けた。
───!!
フェイトは我が目を疑った。
そこには黒いストッキングがあった。
フェイトは黒いストッキングに手招きされてるような錯覚を覚えた(危ない人だなぁ)。
すぐさまベッドに走り寄りストッキングを凝視するように観察した。
「こ、これは……」
ストッキングはまさに脱ぎ捨てたという状態だった。マリアが脱いだものを片付けもせ
ずに部屋を出るというのは考え難かったが、とっさにそんなことまでに頭は回らなかった。
この黒のストッキングはマリアのシンボルと言っても過言ではない物だ。
おずおずと手を伸ばし、黒いストッキングを両手で持ってみる。
フェイトはまず最初にストッキングの匂いを嗅いだ。
汗の匂いがする。その奥にマリアの匂いを感じた。
次にほお擦り。
上質な物なのか肌心地は最高だった。
この段階でフェイトの性欲ゲージは満タンになった。
そしてズボンのファスナーを下ろし、膨張した肉棒を取り出す。肉棒の先端からは待ち
きれないと言わんばかりに透明なカウパー液が亀頭を濡らしていた。硬くなっている肉棒
にストッキングをコンドームさながらに被せる。さすがにコンドームとは大きさが違うの
で陰茎にジャストフィットするわけではない。余っている部分はぐるぐると陰茎に巻きつ
けた。フェイトの陰茎はすっかりストッキングに覆われた。
フェイトはベッドに座り、おもむろに膨張した陰茎を握る。
そしてストッキングごしに肉棒を擦りだした。
傍から見ればフェイトはただの変態である。
女性の部屋に忍び込み脱ぎ捨ててあったストッキングで自身の性器をしごいているのだ
から。しかし、彼は元からそんな性癖があったわけではない。つまり昔から変態だったエ
リート変態ではないのだ。
フェイトが初めてマリアの部屋に忍び込んだ後、自分の部屋に戻った時、手にはマリア
の下着が握られていた。
初めはその匂いを嗅ぎながらオナニーをしていた。
そのうち下着ごしに陰茎を擦ったり、下着を身に着けて興奮したりしていた。
それがマリアの下着の使い方になった。
マリアの下着を使ってのオナニーは他にも変え難い快楽をフェイトに与えた。もちろん
下着なんかではなくマリア本人と快楽を貪れれば一番なのだが今の彼は下着オナニーの快
楽で十分だった。
フェイトはストッキングに巻きつけられた陰茎を激しく上下に擦る。
今までストッキングを盗んだことはなかったがストッキングが与える快楽は格別だった。
ストッキングは伸縮性に優れているため、激しいフェイトの動きに何ら支障は無い。
ストッキングを犯す。
自身の欲望のためだけに、
ただ犯す。
目を閉じて想像する。
このストッキングを履いていたマリアの足を。
マリアを。
頭の中でフェイトはマリアを裸にし、欲望の赴くままマリアを犯していた。フェイトの
想像の中でマリアは快楽に乱れ、激しく喘いだまま後背位でフェイトに犯されていた。普
段の凛とした態度からは想像も付かないくらいに“メス”になったマリア。肉孔に陰茎を
ねじ込ませる度に大量の愛液が溢れぐちゅぐちゅという音を立てる。マリアの瞳は潤み、
顔は紅潮している。綺麗な肢体がうっすらと汗ばんでいた。マリアは髪が乱れるのも気に
せず自ら腰を振って自身に更なる快楽を与えていた。膣内に収まりきらなくなった愛液が
糸を引いて地面に落ちる。追い討ちをかけるようにフェイトはマリアの臀部をがっしりと
鷲掴みにして一気に到達しようとした。マリアの声がより一層大きくなり膣内が収縮した。
陰茎の中の精液を1滴残らず搾り出そうとするかのように。
フェイトは荒い息をつきながら必死で陰茎をしごいた。
想像の中のマリアとフェイトが到達すると同時に声を上げた。
「マリ、アぁっ……」
「何?」
ふと目を開けると想像の中と同じ顔があった。
一瞬、夢か現か分からなかった。
ただし、快楽による紅潮はない。瞳も潤んでなどいない。
どこか冷めた目で自分を見下ろしている青髪の美女がいた。
と、同時に膨らんだ男根は先端から大量の精液を吐き出していた。
ストッキングが射出された精液を吸収し、染みがじんわりと広がっていく。
沈黙が流れた。
(精液を出した後の虚しさは一体何なのだろうか?オナニーした後はいつもそう思う。
こんな気持ちになるならオナニーなんてしなければよかった。もうオナニーなんてしない。
いつもそう思う。でも繰り返すのだ。多分明日も)
精液を出したフェイトは頭が急激に冷えて冷静になっていく自分を感じた。
僅かな時間だけ現実逃避を敢行した。
そしてこの危機的状況を把握するのにも時間は掛からなかった。
状況を把握したゆえに動けなかった。
マリアは口の両端を上げた。
「ねぇ、そんなに私のストッキング気持ち良いの?」
「……」
フェイトは答えられるはずがなく沈黙した。
もちろん気持ちよかった。今までの下着オナニーにも勝るほどに。だが、そんな正直な
本音をこの場で言えたら大したものだ。
「最近よく私の下着が無くなるんだけど……、心当りある?」
フェイトは無言のまま首を左右に振った。
「ふうん。なら、いいわ」
マリアは微笑を浮かべたままフェイトの陰茎に犯されたストッキングに視線を落とした。
ストッキングは未だ陰茎に巻きついたままである。
「わざとよ」
「……は?」
フェイトはマリアの言葉を理解しかねて間抜けな声を出した。何がわざとなのだろうか?
少しの間を置いてマリアが話しだした。
「知ってるのよ。あなたが度々私の部屋に忍び込んでは下着を盗っていた事」
───!!
ばれていた。
誰にも見られていないのに、痕跡も残していないはずなのに、完璧なのに何故かばれて
いた。フェイトは頭の中が真っ白になった。頭の中にいた裸のマリアはお互いが絶頂に達
した時に跡形も無く霧散していた。
「なんで知ってるのか?って顔してるわね。理解し難いものかもしれないけど女には分
かるものなのよ。それで今日は現場を押さえようと思ってわざとストッキングをベッドの
上に置いておいたの。でもまさかストッキングでこんな簡単に釣れるとは思わなかったわ。
一本釣りってやつかしら?」
マリアはくすくす笑いながら話していたがフェイトは絶句していた。
微かに動く口で尋ねる。
「い、いつから……ばれてたんだ……?」
「多分最初からよ」
マリアは事もなくさらっと告げた。
フェイトは言葉で言い表せないほどのショックを受けた。つまり自分はほとんどマリア
の手の上で遊ばれていたということだ。
「いつもこんな事してるの?」
「マ、マリアの部屋で、したのは……今日が初めてだ……」
フェイトが口ごもりながら正直に答えた。
「じゃあいつもは自分の部屋でしてるのね。毎晩私の下着を精液で汚してるんだ?」
「……」
フェイトは答えなかったが沈黙がそのまま答えになっていた。
「まぁ下着の1つや2つくらい無くなっても何ともないけど」
自分の下着を盗まれてオナニーに使われていたマリアはけろっとしていたが、対照的に
フェイトはがっくりと肩を落として意気消沈している。フェイトの周りだけ空気が淀み、
黒ずんで見えた。フェイト曰く澄んだこの部屋の空気を彼自身が汚したためだろうか。
「ねぇ」
マリアが俯いたフェイトの顔を覗き込んだ。長い青髪が地面に付きそうなくらいに垂れ
下がる。悪戯を思いついた子供のような表情でマリアは微笑を浮かべ、甘い声でそっとフ
ェイトに囁いた。
「私男の人が一人エッチしてるの見たことないんだ」
マリアは聖母のような顔をして続けた。
「私にオナニーしているとこを見せてくれたら許してあげる」
フェイトは再びストッキングに包まれたままの肉棒をしごきだす。
1回出したばかりにもかかわらず陰茎はストッキングの中で硬く反り立っている。
それもそのはず。
「うわぁ、すご……」
マリアはフェイトの正面に膝立ちになり、息がかかりそうなくらい近くでストッキング
ごしにしごかれている陰茎を興味津々に観察している。フェイトが手を動かすたびにスト
ッキングが伸び縮みする。今更だがこれはストッキング本来の使い方ではない。
「そんなに強く擦って痛くないの?」
マリアが素朴な疑問をフェイトにぶつける。
だがフェイトはそれどころではない。今は射精に向けて加速している最中なのだ。
「あぁ、うっ、出るっ……!」
フェイトは
2回目にも関わらず1回目よりも短時間で精液が発射された。
それはマリアが間近で見ているせいだ。
陰茎がストッキングに覆われていなければ確実に発射された精液はマリアの顔にかかっ
ていただろう。ストッキングはドクドク射精されたフェイトの精液を1滴もこぼすことな
く吸収した。
さすが上質のストッキングというべきか。
荒く息をしながらフェイトは2回目の射精を終え、マリアの顔を見た。
「も、もういいだろ……?許してくれよ」
「だめよ」
マリアは頑として言い放った。
「まだ見たりないわ」
これ以上見てどうするのか分からないが、それがマリアの意向なのだから仕方ない。決
定権は全てマリアにあるわけだし、フェイトが逆らえるわけがない。
フェイトはマリアに聞こえない程度に溜め息をついた。
「少し休憩させてくれ」
フェイトはそう言うと身体を後ろ向きに倒し、ベッドに仰向けになった。
あとどのくらいの時間が経てば陰茎が復活するのかは分からない。時と場合、体調によ
っても異なるが連続で3回する時、2回目と3回目のインターバルは平均して15分間だ
った。その事をマリアに言おうとした。
───と、
おもむろにマリアがしゃがみだした。
そして何かを投げて渡した。
手の中には暖かい布。
「男の人って“おかず”が必要なんでしょ?」
マリアはにっこりと笑顔でそう言った。
手の中にある布はマリアのパンツだ。そして手のひらに伝わる人肌よりも少し暖かいこ
の温もり……。
フェイトは確信する。
これは今しがたマリアが身に着けていたパンツなのだと。
マリアはついさっきまで自分が履いていたパンツを使ってオナニーをしろ、とそう言っ
てるのだ。
その匂いを嗅いだだけでフェイトの萎れていたモノは復活した。
むしろ今まで一番勃ちがいいかもしれない。
パンツを顔に当てて匂いを嗅ぎながら再度ストッキングオナニーを開始した。
パンツは先ほどまでマリアが身に着けていたものだ。
今までも盗んだパンツの匂いを嗅いだことはあったがこれまでのとは格が違う。今まで
盗んだパンツは洗濯された後なので洗剤によってマリアの匂いが希薄になっていた。しか
し、今嗅いでいるモノは違った。匂いどころか熱まで直接伝わってくる。
───最高だった。
ベッドに身体を預けた姿勢のままフェイトは再三復活した陰茎を必死にストッキングで
擦っている。パンツのにおいを嗅ぎながら。フェイトはマリアの脱ぎたてパンツに夢中で
当の本人がノーパンである事には全く頭が回っていない。まぁマリアはスカートの中を見
せる気はさらさら無いんだが。
ベッドの上に乗り、そんなフェイトの(主に陰茎の)様子を見ながらマリアは呟いた。
「な〜んか、蚊帳の外って感じね」
どこか面白くないという表情をする。
目の前に本人がいるのに全くスルーされているのだ。
何か納得できない感情が沸々と湧き上がる。
(私よりもストッキングの方が魅力的って事?)
「それってどういう事!?」
マリアは憮然とした口調で独りごちた。
マリアは必死でしごいているフェイトの右手を掴んで動きを止めさせた。マリアがオナ
ニーする事を強要させたはずなのに。
「マリア?」
荒い息のままフェイトは怪訝な表情をマリアに向ける。マリアはフェイトの言葉と視線
を無視してフェイトの手を陰茎から離させた。
そして、陰茎を包んでいたストッキングを一気に剥ぎ取る。
「うわぁ……」
ストッキングの中には大量の精液が発射されていたため、ストッキングを取ると幾筋も
の糸が引いた。同時にストッキング内に蓄積された精液特有の生臭い臭いが鼻腔をついた。
マリアは思わず顔をしかめた。
「すごい、臭い。こんな臭いがするんだ……」
マリアは気が引けそうになったが気を取り戻した。
右手を伸ばして目の前でそそり立つ陰茎を握った。
「え!?ちょっ、マリアっ!?」
いきなり陰茎を握られフェイトは狼狽した。
フェイトの焦った様子に気を良くしたのかマリアは笑みを浮かべた。そして、初めて触
る男性器の感触を堪能していた。
「うわ……これってこんな熱いんだ。それに何か変な感触。もっと柔らかいと思ったら
すごく硬いし。脈が、ドクドクしてるのが伝わってくる。……あ、何か今びくって動いた
!!」
「へぇ、おちんちんって裏から見たらこんな風になってるんだぁ。毛は付け根にだけし
か生えてないんだね。皮ってすごい伸びるんでしょ?」
陰茎を握ったままマリアはしげしげと男性器を観察していた。このままだとアナルのし
わの数までも数えられそうな勢いである。
と、唐突に。
「男の人ってこうやってオナニーするんでしょ?」
いきなりマリアが陰茎を握った手をゆっくり上下に動かしだした。
フェイトは柔らかいマリアの手のひらの感触を陰茎全体で感じていた。
男のごつごつした手と違い、すべすべで柔らかい手のひらの感触にフェイトは少なから
ず感動した。
「ねぇ気持ち良い?これ、気持ち良い?」
「う、うん。それ……すごいっ、気持ち良い、よ」
ぎこちない感じがまた良かったりする。どこを刺激されるのかが分からないから予測し
ない快感がフェイトの陰茎を襲う。
「ここでしょ?男の人って先っぽが気持ち良いんだよね」
マリアは左手で亀頭をすっぽり包み、撫でるようにこねくり回した。
一番敏感な亀頭を攻められてフェイトは思わず情けない声を上げた。
「うぅ、うああぁぁ……ッ……」
意識せずに腰が浮いてしまう。
そんな様子を見てマリアは妖艶な微笑でフェイトに言った。
「もうイキそう?私が良いって言うまでイッちゃダメよ」
マリアの動きが加速した。
右手が幹を擦る速度も上がり、左手が亀頭を擦る速度も上がる。
「も、もうダメだぁぁっっ!!」
「きゃっ!?」
快感にこれ以上耐えられなったフェイトの陰茎から大量の精液が射出された。
「う、うああぁぁッ……」
「うわ、すご……」
精液は亀頭を包んでいたマリアの左手に発射された。精液が一定間隔で出るのをマリア
は左手で感じていた。熱いものが左手のひらをノックしているのが分かる。
やがて射精が終わるとマリアは自分の手に出された精液を観察した。指先で精液をこね
くり回したりして遊んでいる。3回目の射精にもかかわらず粘性の高い精液は強烈な牡の
臭いがした。
「すごいたくさん出たね。そんなに気持ちよかった?」
フェイトは肩で息をしながら無言で頷いた。
「そう」
マリアは満足げに答えた。
───と、次の瞬間にはその表情が変わった。
「私が良いって言うまでイッちゃダメって言ったわよね」
マリアが舌なめずりするような表情で言った。
フェイトの目が死んでいた。
結局その後マリアに4回抜かれたフェイトは瀕死状態だった。
「これに懲りたらもう下着なんて盗まないことね」
マリアは勝ち誇ったように言った。
しかし次の日にもフェイトは下着を盗みに行って捕まった(わざと)。
フェイトは知らなかった。
少し前から自分の下着類も減っていたことに。