───自分は、イヤな奴だ。  
 
最近特に思う。きっと性格なのだと思う。  
いや、そう思うようにしているだけなのだろう。  
そうでもしなきゃ自分が惨めなだけだから。  
 
 
 
 
マリエッタは廊下に寄りかかっていた。  
どこかそわそわした様子で少し離れたところにある部屋の扉を見つめている。  
所在無げな指先を忙しなく遊ばせている。  
見つめる扉の先には何があるのか?  
 
創造主───ルシファーを倒し、エターナルスフィアを守る事には成功したが今その役目  
を終えようとしていた。長年に渡りこの艦に搭乗し、オペレーターとしてクォークを支え  
てきたマリエッタには積年の思いが募っているのであろう。  
クォークは今解散を目の前に控えていた。  
 
「あ、隊長。ちょっといいですか?」  
 
「なぁに、リーベル?そういえばあなたにもずいぶんとお世話になったわね。私が頑張っ  
てこれたのは、あなた達のおかげよ。ありがとう、リーベル」  
 
「あ、あの隊長───いや、マリアさん!お話があるんですけど」  
 
「どうしたの改まって。何か私に相談事?私で力になれる事ならなんでもするけど?」  
 
 
 
 
 
───ずっと、ずっと知っていた。リーベルには好きな人がいる事。  
その人には敵わないことも知っていた。だから今まで見ているだけしかできなかった。  
いや、きっと逃げていたんだと思う。  
 
 
前触れ無くドアが開き視界の端が青い髪を捕らえた。自分には無い長い髪。  
マリエッタがその方向に顔を向けるがマリアの様子に変わっている所は無い。  
普段通り颯爽とした───いや、気のせいかいつもより周囲の空気が冷たく感じられた。  
 
マリアがマリエッタに気付かないはずがなかったが、マリアは目を合わせようともせずに  
目の前を通り過ぎた。  
マリアのそんな様子にマリエッタは悪い事をしたわけでもないのにばつが悪い気分になり  
、顔を背けてしまった。  
マリアはそのまま廊下の突き当たりにある階段を上っていった。  
金属的な靴音はやがて遠くなり残響音を残して聞こえなくなった。  
 
 
 
マリエッタはマリアが出てきた部屋に入った。  
この部屋は客用の部屋で誰かが専用的に使用しているわけではない。部屋には備え付けら  
れているベッド、机、テーブル、端末など必要最低限のものしかなかった。  
全く生活感のない部屋だ。  
申し訳程度に隅に置かれている観葉植物が無機質な部屋をより一層引き立てていた。  
観葉植物が置かれている隅とは逆の位置にうずくまっているリーベルがいた。  
 
膝を抱えて背中を丸めているリーベルは小さかった。  
背中はこちらに向けているのでその表情は読み取れない。  
マリエッタは少しの逡巡の後、ためらいがちに声をかけた。  
 
「……リーベル」  
 
リーベルはマリエッタに背を向けたまま静かに口を開いた。  
 
「……オレ……オレ、すごい震えてたんだ。すごい緊張してさ……はは、膝なんかもうガ  
クガクでさ。でも、この機を逃したらもう終わりなんだって自分に言い聞かせて、必死に  
発破かけて元々無い勇気を身が擦り切れるくらい搾ったんだ。もう一生分の勇気を使った  
かもしれないや」  
 
「でもさ、それでも隊長の───マリアさんの顔を見たらまた振り出しに戻ったんだ。せ  
っかく必死でここまで来て、いざ言おうと思って正面に向き合ったら……。せっかく考え  
ていたセリフが欠片も残さずに蒸発しちゃったよ」  
 
マリエッタは何も言わずにリーベルの言葉に耳を傾けていた。  
 
「顔に血が一気に上っていくのが分かったんだ。それなのに手はすごい冷たくなって……  
なぜか汗でびっしょりになっていた。緊張しすぎで途中からずっと腹痛でさ……もう何が  
なんだか分からなくなってさ……気付いたらどうやってこの場から逃げ出そうかなんて事  
考えてたんだ。はは、おかしいだろ?自分で呼んでおいて当の本人が逃げ出そうとするな  
んて……情け無いったら自分でも腹が立つよ」  
 
「……結局、言ったの?」  
 
少しの沈黙の後、リーベルは僅かに頷いた。  
そしてすぐに首を横に振った。  
 
「……分からない。自分でも聞こえるか聞こえないくらいの声だったから。本当は声に出  
していないのかもしれない……。しかも震えてたし……」  
 
リーベルの頭がさっきよりもさらに下がった。  
 
「でも、はっきり言われたよ───ごめんなさい、って」  
 
 
“ごめんなさい”  
 
これほど明瞭簡潔で分かりやすい言葉はない。  
それゆえにリーベルの心に深く、強く突き刺さっていた。  
 
 
そんなリーベルの背後に静かに歩み寄り、マリエッタはリーベルを包み込むようにそっと  
無言で抱きしめた。  
抱きしめた瞬間、驚いたのかリーベルの身体は一瞬だけビクッとなった。が、マリエッタ  
を振り解こうとはしなかった。  
マリエッタの優しさがリーベルの背中ごしに伝わってくる。  
マリエッタの体温がリーベルの心に浸透し、融かされていく。  
リーベルの心に突き刺さっていたものがほんの少しだけ緩んだ。  
 
リーベルは顔を上げてマリエッタの方を振り向く。  
彼の目には今にも溢れんばかりの涙がなみなみと溜まって揺れていた。  
 
「ううぅ……、マリエッタぁ」  
 
 
きゅん  
 
 
リーベルの涙を見てマリエッタは不謹慎にも胸がきゅんと締め付けられた。  
胸の締め付けはさらに強くなる。  
正面を向いたリーベルはマリエッタに力一杯しがみ付き、マリエッタの胸に顔を埋めた。  
マリエッタの胸は内も外も締め付けられた───リーベルによって。  
しがみ付くリーベルの頭を細い両腕で抱きしめる。  
 
リーベルは子供のように声をあげて泣き出した。  
 
 
どのくらい時間が経ったのだろうか。永遠にも等しいくらい長い感じもしたがコンマ1秒  
よりも短い感じもした。  
リーベルが泣き続けている間、マリエッタは微動だにせずリーベルを抱きしめていた。  
その様子はまさに聖母たるものだった。マリアには成し得なかった役目をマリエッタは今  
自ら演じている。  
 
「ご、ごめんマリエッタ……もう少しこのままでいても……いい?」  
 
「いいよ。今は私のことマリアさんだと思ってくれてもいいから」  
 
「そんなこと言ったら逆に気まずくなっちゃうよ……」  
 
「ふふ、そうだよね。ごめんごめん」  
 
悪気の無いマリエッタの明るい声がリーベルの心を落ち着かせる。  
いつもそうだった。昔から。  
マリエッタには何の気遣いも身構える必要が無かった。  
マリエッタには何でも話せた。自分の弱い所も嫌な所も全て。  
何故だろう?  
今思えば、一緒に居ると落ち着いたし、楽しかった。  
何気ない自然な会話がすごく、すごく楽しかった───  
 
 
「え?」  
 
不意にマリエッタがキスする。  
唇が触れ合ったか触れないかくらいの微妙な軽いキス。  
これがリーベルの人生で初めての接吻───女性と触れ合う機会となった。  
キスは一瞬で、マリエッタはすぐに重なった唇を離した。  
リーベルの顔が放心したように固まっている。  
 
「好き。リーベル」  
 
「??????」  
 
「私、マリアさんの代わりになってあげてもいいよ」  
 
「な!?」  
 
マリエッタの顔が近づき、唇が再びリーベルの唇と重なる。  
先刻よりも長いキス。  
だが深いわけではない。  
ただ、先刻よりも力強く押し付けられている。  
そしてリーベルはそのキスの最中に自分を取り戻した。  
 
 
「だ、だめだ!だめだっ!!」  
 
リーベルはマリエッタの身体を離した。  
マリエッタは少し俯き、リーベルの顔色を伺うかのように上目遣いで言う。  
 
「やっぱり、私じゃ……ダメ?」  
 
マリエッタの瞳が僅かに揺れている。  
 
「私なんかじゃ……マリアさんみたいな大人な女性の代わりは務まらないけど、でも……っ」  
 
「いや、ダメとかそんなのじゃなくて……、その……代わりとか考えられないよ!何考えて  
んだよっ!……そんなの都合が良すぎるだろ?最低じゃんかオレ。余計に惨めになるよ。振  
られてる自分が傷ついてさ……他人に甘えるなんて。」  
 
「他人……なの?」  
 
「あ、い、いや悪かった。他人じゃない……他人じゃないけど」  
 
「小さい時から3人で一緒に育ってきたから私の事は異性として見られない?」  
 
「……」  
 
「私はずっと……ずっと前からリーベルのこと好きだった。もちろん幼なじみとしてじゃ  
なく異性として」  
 
「……」  
 
「リーベルがマリアさんのこと好きなのは知っていた。自分の気持ちよりもリーベルの気  
持ちを尊重したいと思っていたからリーベルの恋が成就すれば良いと本気で思っていた  
───だから辛かった」  
 
マリエッタはそこで言葉を区切り、たっぷりと間を取ってから泣きそうな微笑で言った。  
 
 
「だって、リーベルとマリアさんなんてどう考えても釣り合わないでしょ?」  
 
「───っ!!」  
 
「もう見てられなかったわ。結果の見えた負け試合だったもの」  
 
そこまで言われてリーベルはかぁっと頭に血が上った。  
いくら幼なじみとはいえ、マリエッタとはいえ、言って良いことと悪い事がある。  
 
「お、お前に何が」  
 
「分かるの」  
 
マリエッタはきっぱりとリーベルに言い切った。  
あまりにもはっきりと言われ、リーベルは次の言葉が口を出なかった。  
 
「だって……、だって私ずっと誰よりもリーベルの事見てきたんだから。あなたの事は私  
が一番見ていたんだから。……マリアさんが部屋から出てくるのを見て……正直、少し嬉  
しかった。私……すごい、イヤな女だね」  
 
「さっきリーベル言ったよね。他人に甘えるなんて都合が良すぎるって。それなら私も同  
じ」  
 
マリエッタは腕を回し、リーベルの胸に顔を押し付けた。  
 
「振られて傷ついているあなたの心につけ込もうとしてるんだもの」  
 
リーベルはハッとした。  
何も言えなかった。  
ただ、今はこのままマリエッタの優しさに甘えたい、そう思った。  
 
「今だけ……今だけで、いいから……」  
 
 
 
二人の唇が三度重なった。  
 
 
 
「ほら、触って……」  
 
マリエッタはリーベルの手を取り、服の上から自分の乳房に押し付けている。  
リーベルの顔は真っ赤になり、マリエッタのされるがままになっている。  
 
「どう?女の人の胸の感触。……初めてでしょ?」  
 
リーベルは否定せずに頷いただけだった。  
 
(すげぇ、柔らかい。ふにふにしてて強く握ったら千切れそうな感触だ。触るまで分から  
なかったけどマリエッタってけっこう胸あるんだな……)  
 
素直なリーベルの反応に気を良くしたのかマリエッタはリーベルの手を服の間から中に滑  
り込ませて乳房に直に触れさせた。  
 
「動かしてもっと触ってもいいんだよ。リーベルの好きなように揉んでみて」  
 
リーベルはぎこちないながらもマリエッタの柔らかい胸をゆっくり揉んでいった。  
衣服ごしでは伝わらなかった温もりが伝わる。  
マリエッタの息が荒くなり、吐息が艶を帯びてくる。  
手のひらに感じる柔らかさの中心に硬化する感触がある。  
硬くなった突起物を指先でそっとつまむとマリエッタの身体がびくっと震え、顕著な反応  
を示した。  
 
「こ、こんな感じ……?マリエッタ、気持ち良いの?」  
 
「う、うん。すごく……気持ち良いよ、リーベル。……本当に初めてなの?すごい上手だ  
よ」  
 
マリエッタは上半身の服の前面を大きく開けて、快感によってうっすら汗ばんだ双丘を外  
気に晒した。  
 
「あなたのお母さんの次ってことになるのかな?リーベルに胸を触られた女性は」  
 
マリエッタはそう言うとリーベルの頭を抱え込んだ。  
リーベルは目前に迫った乳首を舌先で舐める。  
 
授乳される赤ん坊みたいにリーベルはマリエッタの乳首を吸った。  
 
「あ、ああぁん!」  
 
(あれ?こいつこんなに可愛いかったっけ?)  
 
快感に瞳を潤ませるマリエッタを見てリーベルはマリエッタの事を素直に可愛いと思った。  
そしてそんなマリエッタをもっと見たいと思い、さらに強く吸った。  
 
「あは、リーベルのすごい硬くなってる。もう我慢できないよね?いいよ、私もさっきか  
ら準備できてるから、このまま挿入して……」  
 
「い、いいのか?」  
 
「今さらお互い止められないでしょ?」  
 
そう言うとマリエッタはスカートと下着を同時に脱いだ。  
僅かな衣擦れの音を立てただけでマリエッタの下半身は露になった。  
スタイルは決して悪くない。それよりも雪のような肌の白さに目を奪われる。  
恥丘に生えた色素の薄い翳りがマリエッタの控えめな性格を象徴しているかのようだった。  
そんな控えめな彼女が今こんなに大胆な事をしている。  
 
マリエッタは後ろに手をつき少し後ろに体重をかけ、座ったまま両足を左右に開き、中心  
にある割れ目をリーベルに晒した。  
肌より少し濃い色で形成された秘部には小さな大陰唇と控えめな陰刻があり、溢れ出した  
愛液で濡れて光沢を放っていた。  
 
リーベルはその光景───特に性器に目を奪われていた。彼が初めて見る女性器は彼が想  
像していたものよりもずっと綺麗で、そして淫猥だった。  
 
 
「そんなにじっと見ないでよ……恥ずかしくなっちゃうじゃない」  
 
「あ、ご、ごめん!つい……」  
 
マリエッタが少し顔を赤くして言うと、リーベルはそれ以上に顔を赤くして視線をマリエ  
ッタの股間から外した。  
 
「自分からこんな格好してるけどけっこう恥ずかしいんだからね。それより、リーベルも  
早く脱いで。そのままじゃできないでしょ?」  
 
「あ、う、うん……」  
 
(こいつ大人しそうな顔して経験あるんだな……。いつの間に?)  
 
さりげにリードされているマリエッタにリーベルはマリエッタが経験者である事を悟る。  
リーベルはそう言うとズボンのベルトに手をかけた。  
女性経験の無いリーベルは女性の前で裸になったことがなかった。そのため、マリエッタ  
の前で自分の性器を晒すことが躊躇われた。  
 
ベルトにかける手が震える。  
なかなかベルトが外せない。  
こんな何でもない動作が途端にできなくなるほどリーベルは緊張していた。  
極度の緊張にノドが貼り付くほどに渇いている。  
上手く動かない手をもどかしく思い、そしてさらに焦る。  
 
その様子をマリエッタは微笑んで見ていた。  
 
ようやく下半身が裸になったリーベルの股間は硬く、そそり立っていた。  
 
リーベルは充血した陰茎をマリエッタの割れ目に宛がう。  
そして挿入を試みる。  
───が、リーベルには膣穴がよく分からないため挿入しようとしてもその上を滑るだけ  
だった。マリエッタから溢れた愛液が原因でもある。  
リーベルの大きく膨れた亀頭がマリエッタの充血した陰刻を擦りあげる。  
女性経験の無いリーベルにとってその感触は刺激が強すぎて耐え難いものだった。  
自分の性器が女性の性器に触れている───  
 
 
どぴゅっ  
 
 
 
何度か擦るうちリーベルの先端から大量の白濁液が勢いよく飛び出した。  
 
「はぁ、はぁ、はぁ……」  
 
放出された白濁液はマリエッタの裸体に浴びせられた。  
素股でリーベルは絶頂に達した。  
 
マリエッタは目を丸くし、かけられた濃い精液を指先ですくう。  
 
「うわ……すごい出たね」  
 
「ご、ごめんオレ……経験が無いから良く分からなくなって……ごめん」  
 
マリエッタは首を左右に振る。  
 
「ううん、仕方ないよ。初めてなんだから」  
 
そう言って微笑み、リーベルの陰茎にキスをする。  
 
「マリエッタ!?」  
 
マリエッタはリーベルの陰茎を口で愛撫し始めた。陰茎の周りに飛んだ精液を舐め取るよ  
うに、陰茎に残っている精液をすべて吸いだそうとするかのように。  
 
「う、うぁぁっ!?」  
 
果てたばかりで敏感になっている陰茎に刺激を与えられ、リーベルは思わず声を上げて腰  
を引こうとした。だがマリエッタの口は容赦なく陰茎を襲う。  
先端を舌先で舐め、舌の裏側で亀頭全体を舐め回したかと思うと、次の瞬間にはノドの奥  
にまで竿を飲み込み強烈にバキュームをしてくる。小さな口一杯に陰茎を頬張りバキュー  
ムしながら上下に頭を動かす。  
 
(こ、こいつどこでこんな……!?う、うぁあああぁぁっ……)  
 
マリエッタの口による愛撫は今までリーベルが感じたことのない類のものだった。  
このままこんな強烈な攻めにいつまでも耐えられるはずがない。  
現に、リーベルの陰茎はいつの間にか果てる前と同じ状態になっている。  
 
「マリエッタ!!」  
 
リーベルはマリエッタの頭を掴んで無理やり陰茎から離させた。  
陰茎はマリエッタの唾液にたっぷりまみれて濡れている。  
ぬらぬらと光る陰茎は傍目から見ても淫猥だった。  
 
リーベルは止まらなかった。  
マリエッタを押し倒し半ば強引気味に陰茎を割れ目に押し付けた。  
 
「きゃっ」  
 
リーベルは膣穴の確認などしなかった。  
たださっきと同じように割れ目に陰茎を押し付け、腰を突き出しただけだった。  
しかし、幸運なことに先刻とは違いリーベルの陰茎はマリエッタの中に沈んでいった。  
 
「あっ!うぅ、ふぁ、ああぁぁ……」  
 
陰茎は遅くも無く速くも無い速度で割れ目にズブズブと飲み込まれた。  
陰茎を全部飲み込んでマリエッタの膣穴はいやらしく広がっていた。  
 
一旦挿入が完了してしまえば後は何も考えることは無い。  
行き着くところまで行くだけだ。  
腰を振って、汗を流し、息を切らし、互いに抱き合って。  
 
 
リーベルは陰茎全体でマリエッタの膣内を感じていた。  
熱くて、ぬるぬるで、柔らかくて、キツくて、ザラザラで───  
筆舌にし難い感触を味わっていた。  
つまり、言葉にならないほど気もち良い、と。  
 
(す、すげぇ……何だコレ?何なんだコレ!?女の人ってこんな凶暴なものを持っていた  
のか!!これが……これがSEXか!!)  
 
リーベルの頭はほとんど真っ白になっていた。  
もはや快感の二文字しか頭には浮かんでいない。  
そして、いつしか頭からマリアの事も消えていた。  
 
 
何もかも忘れ、無我夢中で腰を振る。  
腰を振る度、痺れるような快感が頭の先まで流れる。  
亀頭で膣奥を刺激する度に、膣壁の締め付けが強くなる。  
 
 
マリエッタの腕がリーベルに回される。突き上げる快感のためマリエッタは我知らずリー  
ベルの背中に爪を立てる。爪は肉に食い込んで赤い線を引いたが互いにその事を気にして  
はいない。  
───どちらも気付いていないのだ。目の前にある快楽に心も身体も全て注いでいるため  
気付く余裕すらない。いや、気付いたところで今の二人には何も影響もなかっただろう。  
 
 
 
 
あぁ、私、今、今やっとリーベルと……リーベルに抱かれている。ずっと、ずっとこうな  
りたいって思っていた。  
 
 
マリエッタは積年の想いを噛み締める。  
 
「あ、あああ、マリエッタ!オレ、オレいくよ!!マリエッタの膣内に出すよ!!」  
 
「いいよ来て!!私の奥にリーベルのを思いっきり注ぎ込んで私をリーベルでドロドロに  
溶かして!!」  
 
「あぁぁ、で、出るっ!!」  
 
「ああああぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!」  
 
二人は同時に声を上げ絶頂に達した。  
マリエッタの小さな身体が小刻みに震え、緩んだ口元からはだらしなく涎を垂らしていた。  
膣奥ではリーベルの熱がドクドクと注ぎ込まれていた。  
呼応するかのように膣壁も一定のリズムで収縮する。  
それは精液を膣で飲み干しているような錯覚をリーベルに感じさせた。  
 
マリエッタは強くリーベルに抱きつき、想い人と初めて結ばれた喜びと快感の余韻に浸った。  
マリエッタの目の端からは一筋の涙跡があった。  
リーベルはマリエッタの腕が緩むまでそのまま微動だにせずにいた。  
 
「オレって卑怯だな」  
 
「何が?私の事じゃなくて?」  
 
既に二人は服を着て並んで座っていた。  
昨日までただの幼なじみだった二人の関係はさっき音を立てて急に崩れた。  
互いに甘え、自分に都合が良いだけの行為だったのかもしれない。  
 
クォークが解散し、これでリーベルと一生会えなくなっても良いとマリエッタは思ってい  
た。たとえもう二度と会えなくても今日という日を思い出せば生きていける。初めて、そ  
して最後に結ばれた日を思い出せば。それは耐え難いほどに辛いことの様に思えたが今の  
マリエッタには強さになった。  
 
マリエッタは何を言われても甘受する覚悟はできていた。  
ただ、その内面は表情からは読み取れなかったが。  
 
「いや、オレってさ───」  
 
リーベルはそう言ってマリエッタから視線を外し、頭を掻きながら、  
 
「───案外、惚れっぽい性格なのかも」  
 
マリエッタは一瞬、ほんの一瞬だが泣きそうな顔になったがすぐに微笑みを作り、リーベ  
ルの指に自分の指を絡ませ───そっと握った。  
間を置かず、握り返してくる力が手のひらに伝わってきた。  
 
二人は気付かなかった。  
マリエッタがこの部屋に入った時から扉の外にいた人物の影に。  
そして音も無く立ち去った影に。  
 
───ホント、イヤな奴だなオレって。  
 
「リーベルがマリアの事を諦められないならマリエッタを慰める役目に回ろうとしたんだが。  
やはりそんな都合の良い考えが通用するのは1度だけらしいな。どうも、な……。これも傍観  
者の役目なのかな……やれやれ、仕方ない」  
 
 

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