───AM00:00。それが僕とマリアの間でのみ交わされた約束の時間。
もう、これで何回目になるのだろう。
約束なんて互いの口頭でのみ交わされたもの。
破ろうと思えばすぐに破る事ができる。
それなのに今まで律儀に守っている僕はある意味で異常なのかもしれない。
だって、少なくても僕は心のどこかで楽しみにしている。
ほら、今日もその時間が来るのを待っている。
……あと僅かで約束の時間になる。
フェイトは時計を見上げ、部屋を後にした。
暗い廊下を歩く。硬質な音が耳障りな程よく反射する。
向かう先はここ最近で妙に通い慣れた一室。
ドアの前に立ち、カードキーを通す。
目の前のドアは僅かに空気を孕んだ音を立てて、スムーズに開いた。
「待ってたわよ。今日も時間通りね、申し分ないわ」
声は真っ暗な部屋の中から聞こえた。
フェイトは一歩前に進んで部屋に入る。と、同時に背後のドアが閉まる。
真っ暗な部屋を照らす光は無い。
「ちゃんと約束守ってくれてるのね。感心感心」
表情は見えないが彼女は満足そうな様子だ。
「それじゃ早速始めるわよ」
僕は無言で頷く。
そして、僕はいつも通り彼女の目前まで近づいて背を向けた。
「ふふ、すっかり縛られる事に慣れたみたいね。むしろ興奮してたりする?」
マリアはそんなことを言いながら後ろ手に組んだ僕の手を縄で縛っていく。
その動作は淀みなく、とても手際がよい。
何回も同じ動作を繰り返していれば早くなるのも当然か。
ほんの20秒程度で僕の手はしっかりと束縛された。
きつく締め付けているわけではないのに、全く縄は解ける様子が無い。
それは彼女がここ数週間で上達した証。
「さ、始めるわ。……おいで」
そう言うと、マリアはしゅるっと僅かな衣擦れの音を立ててベッドに腰掛けた。
その手には小さな布のようなものが握られている。
僕はマリアに促されるまま彼女の正面で膝をつく。
するとマリアは徐に自らの足をゆっくりと開いた。
僕の目の前には何にも包まれていないマリアの女性器がある───はずだ。
部屋の暗さに加え、大腿部に挟まれた秘部には濃い影が落ちていて、よく見えない。
「ほら、ちゃんと……見て」
そう言うマリアは僕の後頭部に手を回し、僕の顔を自らの股間に埋めた。
そこには熱い空気と蒸れた匂いが充満していた。
しかし、───嫌な匂いではない。むしろ……
「いつものように、好きなだけ舐めていいわよ。ただし私を気持ちよくさせなきゃ、ダメ」
マリアからの許可が下り、僕は舌を伸ばしてマリアの割れ目にゆっくり沿わせた。
「……あ、んっ」
マリアの性器は舐める前から熱く、十分に潤っていた。
割れ目を潤す液体を舌先で舐めとる度に、液体は次々にどこからともなく溢れてくる。
ただ舐めるだけじゃなく変化をつける。
舌の表裏を使い分け、ザラザラした感触とぬるぬるした感触を与える。
唇で大陰唇を挟んでみたり、クリトリスを舌で弾いてみたり、舐める強さやスピードにも緩急をつけて
焦らしてみたり。
その度に、マリアの身体は敏感に反応を返す。
舌のみで知覚するマリアの性器は明らかに最初と異なる反応を示していた。
その証拠に最初はほとんど無味だった愛液が今では酸味を孕んでいる。
そして糸を引くほどに粘性も増している。
「……ッ、んんっ! あ、やあっ、ん、ん……あ、はぁぁん!」
マリアの息がだんだん荒くなる。───僕も例外ではないけど。
僕は舌先を割れ目の下部に位置する膣口に侵入させた。
「ひゃああん! ……ちょっと、待っ、あ、あああんんっっ!!」
マリアは僕の頭を掴み、太ももで力一杯挟んできた。
彼女なりの抵抗だろう。
でも、それが本気の抵抗じゃないことを僕は知っている。
そして、ほとんど間を置かず顔の両側を挟む太ももに、より一層の力が加わった。
「あ! やっ、も……ダメぇぇっっ! ──────っっっ!!」
膣口に入れていた舌先が断続的に締められた。───千切れるかと思うくらい。
同時に膣奥から大量の愛液がとめどなく溢れてくる。
マリアの膣内と身体は小刻みな痙攣を繰り返している。
絶頂に達したマリアの表情は見ることができない。
マリアは一体どんな顔で絶頂を迎えているのだろうか……?
それよりも。
マリアの身体に一切触れる事ができない、この両手がもどかしくてたまらない。
マリアが何を思って自分の両手を縛めているのか、未だに理解できない。
手で触れることができないのに、舐めることは許されている。
そんな奇妙な現状。
遠いのか近いのか分からない、異常な距離感。
それがそのまま僕たちの関係を表しているようで……。
僕の股間は毎回のように破裂寸前まで膨張している。
それはマリアだって分かっているはずだ。
我慢できなくて両手を縛られたままマリアを押し倒そうとしたことも何度かある。
だが、その度に一蹴された。さすがに足技は強い。
身体は許してくれなくともせめて、せめて手とか。それくらいの配慮はあっていいと思う。
この生殺しは、はっきり言って最悪だ。
「……ふぅ。今日も気持ち良かったわよフェイト。それじゃ、お休み」
彼女はいい笑顔でそう言って用済みになった僕をさっさと部屋から追い出した。
もちろん両手を束縛していた縄はきちんと解いてくれた後で。
───今日も自らを慰める時間が始まる。
「あら、そんなことですか。簡単ですよ」
ミラージュさんはいつもの笑顔を絶やさずにそう言った。
マリアとの現状を打破すべく恥を忍んでミラージュさんに相談したわけだが。
あっさりと返ってきたその言葉に耳を疑った。
簡単? 本当に簡単なことなのか?
「マリアを服従させればいいんです」
……は?
思ったことがそのまま顔に出ていたのだろう。
「もう、信じていませんね」
ちょっとふくれっ面のミラージュさんも可愛い。
……それも表情に出ていたかどうかは知らないが。
「つまり、───」
ミラージュさんの説明はこうだった。
いつも奉仕するのは自分だけだが、今度は自分が奉仕してもらう側に回る、と。
ミラージュさんによれば女は奉仕することに悦びを感じる種族だという。
ということはマリアが自分の陰茎を舐めるということで、あわよくば……、
ちょっと想像しただけで血液が集中してきた。
しかし、問題はその過程だ。
一体どうやってその展開に持っていくのかが気になるところ───
「大丈夫です。私に任せて下さい」
善は急げとはよく言ったものだ。
まさか今夜決行とは思わなかった。さすが行動力のある方は違う。
「勘のいいマリアの事です。どんな周到に計画を練っても日が伸びれば、いずればれてしまう
でしょう。最善の方法は迅速に行動する事です。ところで、今夜もありますよね?」
ミラージュさんの説得というか、抵抗し難い空気に押されて今に至る。
その時の目が「こんな楽しいこと放っておけるわけがない」と言ってるような気がしたのは
多分、気のせいだ。気のせいだと思う。気のせいであってくれ……。
そして、今はAM00:00になるほんのちょっと前。僕たちは今、マリアの部屋の前にいる。
しかし、本当に大丈夫なのだろうか?
具体的にはどうすればいいんですか、と聞いてみたが、
「大丈夫。何とかなります。私に任せておいて下さい」
と、何となくはぐらかされたしまっていた。
まさかマリアとグルになって騙している可能性は、無いと思うが……
「さ、0時を過ぎましたよ」
いろいろと考えていると、ミラージュさんから催促された。
少し投げやりな気分で僕は慣れた手付きでカードキーを通した。
「ふふ、今日もぴったり時間通り。全く忠犬の鏡ね……って、あれ?」
人影が一つじゃないことにマリアが気付いた。
「マリア、今日はちょっと乱入させてもらいます」
「え……? って、そ、その声はミラージュっ!? な、なんでミラージュが!?」
……お?
予想外の反応だ。こんなに狼狽するとは思っていなかった。
とりあえずマリアとグルである可能性は無い、って事か。
「なんで、こんなに暗くするんですか? こんなに暗くちゃ何も見えないでしょう。ほら、
明るくしますよ」
ミラージュさんはそう言うと部屋の電灯を点けた。
一瞬目の前が真っ白になる。
暗闇に慣れた目に急な光はきつい。
それはマリアも同様で、眩しそうに目の前に手をかざしている。
予期せず無防備になったマリアの背後にいつの間にかミラージュさんがいる。そして、その
ままマリアの両手を後ろに取ってがっちりホールドした。
「なっ!? ちょっと、ミラージュ! 何するのよ!? 放して!」
マリアは何とか逃れようとその場でもがくが、ミラージュさんの力の前では敵うわけがない
んです。僕でも無理だ。
「フェイト、何ぼーっと見てるの!? 早く助けなさい!!」
「ふふ、フェイトさんは助けてくれませんよ」
「な───、どうして!?」
「マリア、今日はあなたがフェイトさんに奉仕する側だからです」
「いつも、フェイトさんにバター犬をやらせているそうですね。しかも、両手は後ろに
縛ったまま。決して触らせようとしないのは何故ですか?」
「───っ、そ、それは……。というか何故ミラージュがその事を!? フェイトっ!!」
マリアの刺すような視線を全身で感じた。正直、痛い。そんなに睨まないで欲しい。
「さ、フェイトさん、それじゃあ始めましょうか」
「は、始めるって何を……」
「いつもあなたたちがしている事ですよ。今日もそのつもりだったのでしょう? ただし、
今日はいつもとはちょっと違いますけど」
ミラージュさんはマリアに諭すように優しく言った。
「違う点はたった三つ。一つ目は、私がいること。二つ目は、部屋が明るいこと。三つ目は
マリアとフェイトさんの立場が逆転すること」
「……それ、さっきも気になってたんだけど、私がフェイトに奉仕するって……」
「はい。フェイトさんのペニスを愛撫してもらいます。主に、口で。オーラルセックスという
やつですね」
「なっ!? わ、私が、そ、そそ、そんなことできるわけないでしょ!!」
「いいえ、マリアの意思はさほど関係ありません。では、フェイトさん」
ミラージュさんの目配せに無言で頷く。意図は言わずとも伝わった。
この際、強引な展開に持っていったミラージュさんの手段に関しては不問とする。
マリアに奉仕してもらえる。その事を考えていて、この部屋に入る前から期待で股間は
膨らんでいた。それは、もう……痛いくらいに。
これは一刻も早く解放してやらなければならない。
マリアに奉仕してもらうためには、この場で自分の下半身を露出しなければならない。
この明るい部屋で、しかもマリアとミラージュさんの目の前で脱ぐというのは少し抵抗がある。
ミラージュさんはおろかマリアにすら見せたことないし。
しかし、ここで躊躇っていてはいつまでたっても現状を打破できやしない!
意を決し、ベルトを外し、ズボンを下ろし、下半身を露にさせた。
「───ッ!!」
「あらあら、これは、また……」
何だ?
何か空気が変わったぞ?
そんなに自分の性器がおかしいのか?
「……ちょ、ミラージュ、あ、あんなの、無理よ……」
「う〜ん。さすがにこれはちょっと予想外でしたね。まさかフェイトさんのペニスがこれほど
のものだとは思っていなかったので。ちょっと初心者相手には厳しいかもしれませんね」
怯える様子のマリアを余所に、ミラージュさんは平静だ。というかいつも通りだ。
自分のペニスがそれほど大きいのかどうかは知らない。
だって、男のモノなんて見ないし。……大きい、のか?
「まぁ、でも何とかなるでしょう。フェイトさんこっちに来て下さい」
ミラージュさんに促されるまま、近くに歩み寄る。
風呂上りでも無いのに下半身を外気に晒して歩いているのは、何だか変な感じだ。
これから行われるであろう行為に自然と期待が膨らんでしまう。
「さ、マリア。今からフェイトさんのペニスを口で愛撫してもらいます」
「わ、私が!? 口で、そ、そんなことを、これに!? む、無理よ……」
「ふふ、今さら後には引けさせませんよ。ほら、しゃがんで」
ミラージュさんはそう言って、マリアを半ば力づくでその場にしゃがませた。
もちろん両手は後ろで押さえたままだ。
膝立ちになったマリアの顔がちょうど自分の股間の位置にある。
マリアの両目が大きく見開かれ、自分の性器を食い入るように見つめている。
その頬が心なしかほんのり紅く染まっているような……?
「ほら、マリア。まずはキスからしてみましょう。何事も基本はキスです」
「え、あ……でも」
マリアは恥ずかしそうにキスする対象(僕の股間)から目を逸らして戸惑った。
「もうっ、じれったいですね。ほら、こうするんです」
「うわぁぁっ!?」
ミラージュさんがマリアの後頭部をぐいっと押した。
その先にあるのはもちろん僕の股間なわけで……。
「───っ!!」
反り返っていた僕の性器とマリアの口が絶妙な位置にあったらしい。
ミラージュさんに押されたマリアの口に僕の性器の先端が入った。
暖かいものに包まれる感覚に思わず声が出そうになってしまう。
「あらあら、いきなりディープキスですか。積極的ですね」
自分からやっておいてこの人は……。
マリアは身を引いて、口に入ったものから逃れようとするが───ミラージュさんがそれを許さない。
むしろ後頭部をぐいぐいと押してもっと口に奥に導こうとしている。
マリアの口が押し込まれる度に広がっていく。
「ダメですよ。せっかく捕まえたんですから。もっと奥までいきましょう」
「ん、んん───ぐっ、ん、んんっ」
やがて性器の半分程がマリアの口内に吸い込まれた。
「マリアの口ではまだ半分しか入らないですね。これだけ大きければ仕方ないですね。……私でも全部
入るかどうか。……ほら、マリアこうやってゆっくり頭を前後に動かすのです」
そう言ってミラージュさんはマリアの頭をゆっくり前後に動かしだした。
「そう、初めはゆっくりと。たっぷりと唾液を含ませて……大分コツが掴めてきたみたいですね。ふふ、
歯は立ててはいけませんよ」
やがて、ミラージュさんの補助無しでもマリアは自発的に頭をグラインドさせていた。
どういう変化だろうか。
初めはあんなに抵抗していたのに。
僕の考えていたことが伝わったのだろうか? ミラージュさんはこう解説してくれた。
「女はペニスを咥えた瞬間に牝になる……須らくそういう生き物なのですから」
ミラージュさんが言うには、ペニスを咥えた瞬間に変なプライドや貞操観念が飛ぶ。
そして、牝としての本能に素直になり異性を求める。
本人が頑なに拒んでいた場合や処女である場合にその傾向は如実に顕現するらしい。
……ホントですか?
しかし、今こうして自分のペニスを口でしごいているマリアを見ると、その理論も否定できない。
「マリア、ピストンするだけじゃなく舌も使わなければいけませんよ」
マリアは返答も頷きもしなかったが、そう言われた直後に舌の蠢く感触が伝わった。
咥えた口の奥で器用に舌を動かして、回転させるように亀頭を舐ってくる。
僕の性器は、マリアの口から溢れ出した唾液まみれだ。
おかげでぎこちない動きでもスムーズな愛撫が可能となっていた。
マリアは、すっかりおしゃぶりに夢中になっている。
それが僕の射精を促すためなのか、自身の欲望に忠実なだけなのか判断は付かないが。
ただ、目の前のマリアが頬を紅潮させ、自分の性器を愛しそうにしゃぶっている。
それだけで───。
「もう、拘束する必要も無さそうですね」
そう言うとミラージュさんは押さえていたマリアの手を解放し、そのまま僕の性器の付け根に移動させた。
「ほら、この部分はマリアの口に入っていないでしょう? かわいそうだと思いませんか? ここだって
先端と同じように気持ちよくなりたいんです。こうやって指3本で軽く握って……、そうです。後はこうや
って動かします。既にマリアの唾液でぬるぬるですから、スムーズに動きますね。上手ですよ。もう少し
強く握った方がいいかもしれませんね、どうですかフェイトさん?」
もちろんとても気持ちいいです。
「ん、んんっ、んっ、」
一心不乱に頭を動かすマリアを見下ろすのは、何かとても優越感があった。
征服感とでもいうのかもしれない。すごく、興奮した。
「マリア、男の人はここも気持ちいいんですよ」
そう言うと、ミラージュさんは僕の睾丸に手を添えてきた。
そこは男にとって最大ともいえる急所である。
そこを握られると、自分の弱みを全て握られているような錯覚に陥り、無意識に萎縮してしまう。
「ここはとっても敏感な場所です。だから、優しくしてあげないと痛みを感じてしまいます」
ミラージュさんはマリアに性のレクチャーを始めた。
あれ、この人の目的は何なんだ?
そして、マリアはおしゃぶりに夢中でミラージュさんの講義を聞く余裕は無い。
「ここを、……こうやって手のひらで包んで優しく指を動かしてやるだけでとても気持ち良いんですよ」
うああぁぁぁ……。
絶妙な力加減で刺激されると、睾丸でもこんなに気持ち良いものなのか……。
ペニスはマリアの口で。
睾丸はミラージュさんの手で。
二箇所を同時に刺激され、快感の波が一気に下半身に集中した。
「だんだん上がってきましたね。マリア、フェイトさんはそろそろ限界が近いみたいです。今までの動きを
より一層速くして下さい。分かりますね?」
ミラージュさんが言い終わると同時にマリアの口と手の動きが早くなった。
ちゅぱちゅぱと淫靡な音と荒い息が部屋の中に木霊している。
今までせっかく我慢して得ていた快感にもそろそろ別れを告げる時が近づいている。
射精を促すようなミラージュさんの指の動きも、速く、いやらしくなってくる。
───もう、限界だった。
このまま押し寄せる快楽の波に身を任せて、欲望をぶち撒けてしまおう。
それは突然に。
ひたすら襲い来る快楽の中、一瞬、ほんの一瞬油断しただけで先端からは白い粘液が射出されていた。
「───んっ……ッ!」
今までにない程甘美で悦楽な射出感。
いつもマリアの部屋から出た後にする自慰とは比べ物にならなかった。
射出されたのは精液の味も知らないマリアの可憐な口の中。
ドクドクと次々にマリアの口の中に精液が流れ込んでいく。
ふと、マリアが急に身体を離した。
当然ながら射精は急に止められない。マリアの口から解放された陰茎の先端からは、白濁液が勢いよく
吐き出され───
「きゃっ!?」
「あらあら」
障壁の無くなった精液は宙を飛び、目の前にいる二人の女の顔に放たれた。
数回大きく跳ねて大量の精液を出した後も、小さく躍動して射精を繰り返していた。
射精が完全に終わるころには、顔どころか髪や身体の至るところが白く染まっていた。
「……マリア?」
自身にかけられた精液をぽーっとした表情で見つめながら、マリアは微動だにしなかった。
口の端からは白液と唾液の混合液が、つ───と、音も無く糸を引いて重力に従った。
やがて虚ろな瞳でぽつぽつと喋りだした。
「わ、私……、イっちゃった。……精液を口に出されて、イっちゃったぁ……」
「私、咥えてるだけで、……アソコがジンジンして、もう……」
「ふふ、マリアもようやく牝になりましたね。それが女の性です。胸を張ってください」
「……ミラージュ」
「言わなくても分かりますよ。……耐えられないのでしょう?」
マリアは無言で頷く。
「ほら、それならお願いしなきゃ。ちゃんと言えますね?」
そして、マリアは潤ませた瞳を上目遣いにして、僕におねだりをする。
「お、お願い。……まだ、足りなくて……その、今度はこっちに咥えさせて欲しいの。……ダメ?」
そう言ってマリアは体育座りのような格好で、下着の履いていない性器に手を添えた。
その周囲はぬらぬらと唾液に似た液体で光っている。
本当に咥えていただけで濡れてしまったらしい。
自分の精液で汚した美女が懇願して、自分を求めている。正確には自分の性器を、か。
しかも、ついさっきまでとは態度が180°違っている。
この状況でこんなこと言われて断る男がいるならそれはガチホモ以外の何者でもない。
断る理由なんて何一つ無い。
この光景とセリフで僕のペニスは一度果てたことを忘れさせる程、隆々と天を向いている。
マリア相手なら何度だってイけそうだ。今まで散々焦らされた結果、当然の反動だ。
そして、自由な両手で思う存分マリアの身体を堪能することができる。
ちょっと今は手加減できそうにない。
───後悔するなよ?
結論から言えば後悔したのは僕だ。
その場にいたのがマリアだけでは無かったから。
「私も仲間に入れてくださいね」