幾千万もの時を超えた星の光達が、冷たく輝く夜。
アリアス、領主の館。
自室のベッドで一人、孤独な行為に耽っている一人の女性がいた。
「んッ…、クッ…、ぁ、はぁ……ん…」
彼女の名はクレア・ラーズバード。ここアリアスの村に駐屯する光牙師団『光』の隊長にして、大陸にその名を轟かす『クリムゾンブレイド』の一人。
白銀の長い髪に、深き知性を湛えた瞳。加えて人望、指導力も兼ね揃えた逸材、である。
しかし、そんな聡明にして思慮深い彼女でも、『女』の『性』からは逃れられないようであった。
「んッ…、…ふぅ、もうこんな、に…」
右手は襦袢ごしに胸を、左手は下着の中の蜜溢れる秘密の花園を弄る。
蒼ざめた月の光が、カーテン越しにクレアを照らし出す。
その様は何よりも神聖で、何よりも淫靡だった。
「ッあ、ハぁッ…フェ、フェイトさんッ…!」
彼女の指の動きが、一段と速くなる。
…どうやら、妄想の相手は遠国グリーテンから来たという蒼い髪の若き技術者、フェイト・ラインゴッドの様だった。
つい先日、親友、ネル・ゼルファーに受けた恩を返すため、カルサア修練場に相方のクリフ・フィッターと共に赴き、ネルに助力し、
捕らわれていた二人の部下…タイネーブとファリンを救い、返す刀で敵国アーリグリフの誇る精鋭、『漆黒』の副団長、豪腕のシェルビーを倒したのだ。
ネルから事の顛末を聞いた時、クレアは驚き、喜んだ。
そして…、彼…フェイトに興味を持った。
今日の夕食の際、食事係の子が粗相をしてフェイトの服に水をぶちまけた際、上着を脱いだ彼の体に、視線が釘付けになった。
均整の取れた、一片の贅肉も無い、ほっそりとした、でもしなやかな体…。
あんな殿方に…、抱かれてみたい…、と。
「や、ヤダ…、こんな、こんなに…、硬く…なって…」
右手で自らの胸を揉みしだきながら、舌で乳首を舐めまわす。
「アッ…、はあ…、フェイトさん…、フェイトさんッ…!」
クレアはフェイトをオカズにして、自分を慰めていたのだ。
まして生理日が近い為、より性欲が増している…。
「うぅ…ん…、くぅ…ぅん…、す、スゴイ…」
前髪に巻かれた紫のリボンがハラリと解れるのも構わずに、クレアは一心不乱に自らの性器を刺激し続ける。
左手の指と下着は泉から無限に湧き出る透明の蜜で、グッショリと湿っていた。
「イイッ…も、もう…、イッ…」
クレアがもはや快楽の極みに達そうとした、まさにその時だった。
『あ、あの…』
「えっ…」
自慰に夢中になっていたクレアが顔を上げると、彼女の脳内でネタにしていた青年ーフェイト・ラインゴッドが、呆然とした表情でドアの脇に立っていた。
『…眠れなくて…、うろうろしてたら…僕を呼ぶ声が、聞こえたので…』
フェイトが顔をそらして説明を始める。
「…やだ…、嘘…、ど、どうして…」
クレアは両膝を抱きかかえ、まるで海老の様に丸まる。
『ノックしたら…、いいって言ったので…。鍵、開いてましたよ…?』
どうやら、フェイトは違う意味のイイを部屋に入ってもイイ、と捉えたらしい。
「嘘…、や、何で…?」
クレアは己の痴態をフェイトに見られた事で、まだ気が動転しているらしい。
『クレアさん…、その…、僕の事…オカズにして…、一人Hしてたんですか…?』
フェイトが目を伏せてボソリと訊ねる。
「!!! い、いえ…、そんなコト…!」
図星だった。クレアの蒸気した頬が、さらに赤みを増す。
『酷いです…』
「い、いえ、フェイトさんがクリフさんに無理やりアーーーーーーーーーーーーーーーとか、
漆黒の屈強な男達に散々まーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーなんて、考えてませんから!」
自主規制がかかる様なことをサラリと言うクレア。普段の聡明ぶりが嘘の様だ。
それだけ、動揺しているということなのだが。
『…そんな事を、クレアさんが考えてたなんて…』
フェイトは悲しそうな表情で、クレアの居るベッドに近づく。
「あっ、いえ、これは…フェ、フェイトさん?」
『僕が、今、ここにいるのに…、仮想現実の僕で満足、ですか?』
フェイトはクレアの側のベッドの渕に腰掛けた。
「え…、お、怒らないんですか…」
『別に…、それより…、続き、手伝いますよ…』
そういうと、そっとクレアの秘部に手を伸ばす。
「ふやッ…、フェ、フェイトさん…」
ビクッと、クレアは身を震わせる。
『スゴ…、洪水…、じゃないですか…』
「…やぁ…、これは…違うの…」
『よっ…と。ホラ…、僕が満足させて上げますよ…』
「えっ…アッ…」
フェイトは上着を脱ぎ捨てると、クレアを後ろから抱きかかえ、そっと襦袢を脱がしてゆく。
『暖かい…ですね、クレアさんの肌も…ここも…』
「アッ…、や、はあ…ん…、あ、フェ、フェイトさん…」
『気持ち、いいですか…?』
フェイトに背後から大事な部分を指で攻められ、クレアはあまりの快楽に声が出てしまう。
(何コレ…ッ、自分でするより…凄く気持ちいいなんて…)
『凄くトロトロになってる…。ふふ、そんなに僕の事、汚してたんですね…』
「や、やぁ…の。ちが…、ん、はあ…」
フェイトがそっとクレアの耳元で囁くたび、体が快楽を感じてビクン、と揺れる…。
そして。
「あ、もう、私…、わたし…、あ…ッ!」
ビクビクと、クレアの体が動く。どうやら、早くもフェイトの指でイってしまったらしい。
『どうです? 気持ちよかったですか?』
「はぁ…、やはあッ…」
柔らかな感覚に包まれて、クレアの体は熱を帯び、溶けてゆく。
そう、今自分の背に触れている温かみは、妄想ではなく現実のフェイトのそれなのだから。
そのフェイトの胸に体重を預けて、クレアは快楽の余韻に浸っていた。
『足、開いて…下さい。僕がもっと…、イイ事してあげますよ…』
優しく白銀の髪を撫でながら、フェイトがそっとクレアに囁く。
「え…も、もっと…いい、事…? あッ…、は、恥ずかしい…ッ」
フェイトは位置を変えると、クレアの脚をM字型に開く。
彼女の髪と同じ色の薄い毛に周りを覆われた、達したばかりの秘所が、月明かりの下で…。
『そうですよ…、ああ、施紋を足に彫ってあるんでしたね…。綺麗、ですよ…』
フェイトにまじまじと見られ、クレアの顔は真っ赤になる。
「ヤッ…そ、そんなに見ないでぇ…」
『じゃあ、これはどうです…?』
フェイトはそういうと、薄い恥毛を鼻先でかき分け、舌で秘裂をそっと撫でる。
「ひゃうん?! あ、ダメ、そんなトコ舐めちゃ…、アッ、はぁん…、くぅン…」
余りの陶酔感に、クレアは思わず口元を押さえる。
「き、汚いですよ…ッ、そんな、そんな…ああッ…!」
『クレアさんのは綺麗だから…、いい香りがします…』
「やっ、ダメ、ダメなのッ…、そんな風に舐めたら…、わ、私、お、おかしくなっちゃう…!」
『僕は構いません…。ン…、クレアさんのココ…、とても…、美味しいですよ…』
フェイトは丁寧に、舌を使ってクレアの大事な部分に奉仕を続ける。
「んっ……ああっ…ハぁッ…」
そのたびに、背筋を突き抜ける様な快楽がクレアの身体全体を侵す。
『ふふっ、もっと、もっと、気持ちよくなってください…』
濡れた二枚の衣の間を舌で分け入り、クレアのピンク色の穢されてない膣腔に舌を回すように押し入れるフェイト。
「あっ、も、もう…、ふぇ、フェイトさんッ!」
己の秘部を愛撫し続けるフェイトの頭をくい、と持ち上げるクレア。
『どうしました? 気持ちよくなかった?』
「ち、違うんです…。ほ、欲しいんです…」
欲情の光を溜めた白銀の瞳で、クレアはフェイトに哀願する。
『何が?』
「フェ、フェイトさんの…、……が」
『え?』
フェイトは理解はしていたが、意地悪く聞き返す。指を愛液にまみれたクリトリスに入れながら。
「あ、はあ…ん、お願い、欲しいの…」
『指なら今、入ってますよ…』
「ち、違…、ぺ、ぺニスが…、欲しいんです…」
もはや、クレアの身体は快楽に支配されているようだった。
『まだ、だめですよ。夜は長いんです。ゆっくり…』
「い、イジメないで…。フェイトさんのが…、欲しい、です。も、もう、我慢できない…。…お願いです…」
『ヤレヤレ…。分かりました…、では…』
フェイトは指をクレアの陰芯から引き抜くと、自身のズボンに手をかけ、全裸になる。
限界までそびえ立つ肉塔が、月明かりの下でビクビクと小刻みに揺れる。
「ああ…ッ、す、凄い…、フェイトさんのペニスぅ…」
クレアが思わず感嘆の声を漏らす。
その先端からは透明な迸りが溢れ、誇らしげに反り返っている。
『ほら…、よく見ててくださいね…。僕の性器が…、クレアさんの膣に入っていく所を…』
「あ…、はっ…」
フェイトは屹立した己のモノを、クレアの膣口に押し当てた。
じゅぷ。
肉鍵の先端が、未知の快楽を与える禁門の入り口にゆっくりと入る。
『クッ…、スゴイ…、ですね…。僕のが溶けちゃいそうですよ…」
フェイトを放すまいと、クレアの部分が収縮し、凄まじい快楽を与える。
「あ、ああッ…、入ってくる…、私の中に、フェイトさんがッ…」
幾度と無く思い描いた、フェイトとの行為。それが今、現実の事として。
クちゅ。
やがて、鍵の先端が、薄い防御膜を突破する。
「ンッ! あッ…つぅッ!」
『痛かったですか? やめますよ?』
「い、いえ…、思った程じゃ…」
『よかった。だから僕、わざと意地悪したんですよ? 僕を迎えても痛くないようにって』
「あッ…、そう、だったんですか…」
そう、フェイトはわざとゆっくり時間をかけて愛撫し、クレアの中を準備万端にしておいたのだ。
ずぷ。
そして、全てが中に入りきった。
フェイトに抱きかかえられるような体勢のクレア。
「ああ…フェイトさん…キス、して…」
クレアは潤んだ瞳でフェイトに口付けをせがむ。
『いいですよ。それと、ゆっくり動きますから…あむ』
互いの舌と舌を絡めあい、下半身をスライドさせる。
「う、ん…、うむぅ…、はぁッ…いい、いい…ですッ!」
「ッ…、僕も、ですよ…」
クチャ、クチャ…。
まるでサラウンドの様に、二人が擦れ合う音が響く。
余った部分を足りない場所に埋める行為。それは昔、一つだった体が互いを求めて繋がる、そんな…。
「いい、気持ちいいですッ…、フェイトさん…ッ! 私ッ、初めてッ、なのに、こんな…、感じて…ッ!」
『もっと気持ちよくなって下さい…。う、僕も…気持ちイイで…、すッ、い、いや、よすぎですよッ…」
もはや、フェイトもクレアが与える余りの快楽に、クールに振舞う余裕が無くなって来た。
「ンッ、クッ、ふう…んッ!」
『うぁ…、すご、凄い…、下半身だけ、別次元に転送されたくらい気持ちイイ…』
上下に揺れ動く度に、クレアの白銀の髪がほつれ、豊かな双丘が揺れる。
『クッ…、なんて、そそられる…』
「んっ…、やッ、もう、わたし、私…」
クレアがフェイトの背に爪を立てる。速くも絶頂が近いらしい。
『いいですよ、達して下さい…、僕の事はいいですから…』
そして、遂に。
「あっ…、イイ…、来るッ、来ちゃう、や、はあぁ、あっ、ああッ!」
歓喜の声と共に、クレアは快楽の極みに達した。
そのままフェイトの体にすがりつくクレア。
『…クレアさんは感じやすいんですね…。僕の体、楽しんでもらえましたか?』
「あ…、は、はい…、で、でもフェイトさんが…」
『僕はいいです。クレアさん、疲れたでしょう? 自分で…処理しますから」
「あッ…」
フェイトはクレアをそっと離すと、締まりの無くなった門の鍵穴から自身を引き抜く。
そして後ろを向き、自慰を始めようとしたが…。
「わ、私がしてあげます」
『エ…でも…』
「先ほどの意地悪のお返しです」
『うわっ、ちょ…あはっ…』
今度はクレアがフェイトの背後に回りこみ、後ろから竿を握る。
しなやかな指が奏でる刺激が、愛液塗れのフェイトのペニスを襲う。
今度はフェイトが快楽に悶える番だった。
『あっ…くぅッ…も、もっとゆっくり…、うあッ!』
「気持ちよさそうな声…。フフフ、もっと苛めてあげます…」
シュッ、シュッと、右手を使って肉棒を上下に動かし、左手で精嚢を揉み解す。
『あ、ああッ…! そ、そんなにしたらもうッ…!』
フェイトの息が荒くなり、蒼い瞳が潤んでくる。
「射精…しそうですか? 一杯出してくださいね」
『う、あッ、も、もう、ダメ…、だ! 出るッ!』
『出してッ! フェイトさんッ、私の手で、果ててッ!』
クレアの指の上下が、一層速度を増す。
『あ、あああッ!』
どくん、どくん…。
フェイトはクレアの指で果てた。
こぷこぷ、と、白い液体が、陰茎火山の頂上から止め処なく噴出してくる。
「あっ…、すごい…。これが、オスの香り、なんですね…」
『はあ、はあ、はあ…、あう…』
指に付いた精液を愛しげに舐め取るクレア。
たまらなく淫靡な瞳で、脱力しているフェイトを熱っぽく見つめる。
そして。
『エッ…、そ、そんな、くああっ!』
射精したばかりのフェイトのペニスを口にくわえるクレア。
「んっ…、んむう…んちゅ…うん…んく…」
その行為により、あっという間に海綿体に血液が集中、甦る。
『アッ…、い、イッたばかりで敏感なのに…、そんな事されたらまたでちゃ…あああッ!』
もはや攻守は完全に逆転した。攻めるクレア。防戦一方のフェイト。
「んぷ、んっふ、ちゅぱ…、フェイトさん…ッ、フェイトさんの、とってもおいひいれすよお…」
わざと劣情を誘う様な言葉をクレアは口にする。
『あ、と、蕩けちゃうよ…』
ふぅぅっ、と思わず声が出てしまうフェイト。
『アあっ…、もう、イキそうだよ…、クレアさん…ッ』
「はぷ…、ねえ、フェイトさん…?」
『な、何ですッ、か…』
「今度ね…、『クレアお姉ちゃん、僕、お姉ちゃんの口でイッちゃう!』って言ってイって欲しいな…」
興味深々といった感じで、クレアはフェイトの性器を口腔から解放すると告げる。
もうフェイトのモノは限界寸前であった。
『や、やですよ…。てか、それって、オカズのネタじゃ…』
「聞いてくれなきゃ…、寸止め続けちゃお…」
『えっ…。アあっ…かっ…』
「ふふ、フェイトさんのココ…、イキたい、イキたいって…ひくひくしてる…」
『あ、お願い、出させて…』
「ダメです。ふふっ…」
『あっ、く、クレアさん…』
快楽は拷問の手段になりうる。絶頂寸前で止められる愛撫を繰り返され、フェイトの射精の欲求はもはや限界に達していた。
『あっ…、わ、わかりま…、分かったよ…クレアお姉ちゃん…」
ついにフェイトがクレアの要求に屈した。
「いい子。そんな聞き分けのいい子には、ご褒美です」
そういうと、フェイトの性器を奥までくわえこむと、腰に両手を回し、頭を前後に揺すり始める。
『うアッ、すごッ、すごいよッ…、お姉ちゃんッ!」
「ん、んっ、あむっ、ちゅう…」
『あ、か…、はあはあっ…』
フェイトは余りの快楽に、背を思い切り仰け反らせてしまう。
「ん、ちゅ、ンンッ…あはっ、はぁんッ…」
気が付けばフェイトもクレアの頭を押さえ腰を振っていた。
「ん、ん〜っ! ん、ちゅ、ちゅぱ…、はむ、う、うんっ、は、ん、むぅん!」
『アッ、い、イッちゃうよ、クレアお姉ちゃん、僕…もう、お姉ちゃんの口でイッちゃうッ…!』
刹那、ビクン、とフェイトの腰が跳ね、性器から大量の快楽の代償が払いだされる。
「んんッ…?! ンむっ…!? ン…、んく…、んく…ん」
フェイトの精液を、クレアは一滴も残すまいと嚥下する。
『あ、はッ…、飲まなくても…いいですよぅ…』
余りの快楽に涙ぐむフェイトの懇願など聞いていないかのように。
『あああ…、く、クレアさん…』
「ちゅぅッ…、ん、ちゅっ、じゅるるッ!」
フェイトの子孫を全て飲み干すと、クレアはゆっくりとペニスを口腔から解放する。
全てを吐き出した感のある陽根は力なくだらりと垂れ下がった。
そしてフェイトはベッドにぼすり、と横たわる。
「うふふッ…ご馳走様」
クレアがフェイトの上に覆いかぶさり、その均整の取れた身体を抱きしめた。
フェイトも、その腕を背中に回して受け止める。
蒼月の光に照らされて、クレアの解れた銀糸の様な髪がきらきらと輝く。
『はあ…、ど、どうしてこんな…、展開になっちゃったのかな…』
フェイトが溜息を一つ付く。
「フフ…。もう少ししたら…、またしますか…?」
『クレアさんが望むなら…、いいですよ…』
それから二人は、夜明けの銀の光が部屋を染めるまでの間、何度も求め合った。
この戦乱が終わったらまた…という、出来そうも無い約束を交わして。
出来ない約束 希望の光
だけど、『蒼ざめた月』が必ず沈む様に、『夜明けの光』は必ず、昇るから。
ブルームーン ジルバーシュトライプ
END