ヴーン。  
シランドの町中を歩くフェイトとマリア。  
マリアは苦しそうに唇をかみしめながらフェイトに掴まっていた。  
エリクールの人たちはモーターなんて知らないだろうから何が起こっているかなんて分からないだろう。  
マリアの躯が限界に達しそうになったとき、モーターの振動は止んだ。  
マリアはおもわずフェイトの事を見る。  
「賭に負けたのはマリアだよ。それに、その賭だってマリアが持ちかけた物じゃないか。  
 負けた方は勝った方に一日何をされても逆らわないって言う約束で、ね」  
「それはそうだけど…、こんなの…」  
マリアは絶頂の波がひいていくのを感じながら昨日の事を激しく後悔していた。  
 
−前日−  
「ふう…」  
マリアは自分に割り当てられた部屋でため息を付いていた。  
悩みの種はフェイトとのことである。  
半ばはめられるような形で恋人同士の関係になったのだが、マリア自身はそのことを後悔していない。  
初めは、フェイトが同じ実験体としての、ある種仲間意識だった。  
そのため、何となくフェイトのことを意識してみていた。  
クリフに『マリアはフェイトが好き』と思わせたのはそれが原因だと思う。  
あれ以来、人目を忍んでは肌を合わせた二人だが、主導権はいつもフェイトが握っていた。  
もともと気が強いマリアである。  
なんとか自分も主導権を握りたいとは思うが、フェイトのことを見ているとどうにも積極的になれないのである。  
 
(そうだ、フェイトから行動できないようにすれば…)  
さすがに、手を出されない状況では主導権を握られることはないだろう。  
(なにか、いい方法はないかしら…)  
悩むマリアの目にテレグラフが飛び込んできた。  
(これなら…)  
マリアはテレグラフを掴むとフェイトの部屋へと向かっていった。  
 
一方フェイトは…。  
「マリアに使ってみたいけど、さすがに嫌がられそうだしな」  
ミラージュから受け取った、黒いバッグの中身を眺めていた。  
受け取ったときこそ困惑したが、マリアと肌を重ね、その感じている姿を見ていると、  
これを使ってもっと感じさせてあげたらどうなるんだろう、と言う期待が膨らんできた。  
そんなおり、廊下からマリアの声が聞こえた。  
「フェイト、いるかしら?」  
「ああ、マリア。ちょっと待って」  
フェイトは『大人の玩具』一式をベッドの下に隠すと部屋の扉を開けた。  
 
「アイテムクリエイションで勝負?」  
「そう、勝った方は一日だけその人の言うことを何でも聞くの。  
 どうかしら?」  
「おもしろそうだね。でも、どうやって勝ち負けを決めるつもりだい?」  
「くじ引きで種類をきめて、アイテムを作るの。  
 より、評価点数が高かった人の勝ち。もしも作れなかったらその時点で負けね」  
「わかった。じゃあ早速ファクトリーに行こうか」  
「ええ」 
 
−ファクトリー−  
「じゃあ始めようか。最初は僕だね…料理か」  
…小一時間後。  
「出来た」  
フェイトがクリエイトしたのはツナサラダ。  
評価点数10点の品だ。  
(勝てるかもしれない)  
マリアは内心、計画道理にことが運ぶことに喜んだ。  
「次はマリアだね」  
「そうね…えーと、鍛冶…」  
その瞬間、マリアは青くなった。  
マリアの持っているタレントの中でも最低の物である。  
「がんばって、マリア」  
「ええ」  
マリアは元々力仕事は苦手だ。  
攻撃するときはいつも銃か足だし、クォークのリーダーとなる前でも力仕事は経験していない。  
結局最後までマリアは何も作ることが出来なかった。  
 
「この勝負、僕の勝ちだね」  
「ええ、そうね」  
「僕で良かったらまたいつでも相手をしてあげるよ。  
 でも、明日一日は何でも言うことを聞いてくれるんだね」  
マリアは無言で頷いた。  
まさか、言い出しっぺの自分が嫌と言うわけには行かない。  
「じゃあ、明日の朝一で僕の部屋に来て。  
 それとも、僕の部屋で泊まっていく?」  
マリアは下を向いてきゅっとフェイトの手を握りしめた。  
「じゃあ、行こうか」  
おとなしくなったマリアの肩を抱き、フェイトは自室へと戻っていった。  
 
翌朝  
フェイトはベッドの上ですやすやと眠るマリアを起こさないように『大人の玩具』セットを取り出した。  
(まさか、これをこんなに早く試せるなんてね。マリアに感謝、だな)  
フェイトはピンク色のリモコン付きローターと鍵付きの黒い革製の下着を取り出した。  
(普通じゃおもしろくないし、ね)  
 
そして、現在に至る。  
マリアは朝から、逝けそうで逝けないもどかしさで気が狂いそうなほどに感じていた。  
また、それを誰かに見られてしまうかもしれないと言う恐怖もあった。  
「フェイト、んっ、もう許して、おかしくなってしまいそうなの…」  
「だめだよ。今日は夕方まで逝かせてあげないからね」  
「そ、そんな…」  
夕方までといえばまだ一日の半分以上が残っている。  
その間、この状態が続けば本当に気が狂ってしまうかもしれない。  
「おお、お前ら、デート中か?」  
よく知った声にマリアはどきりとする。  
「やあ、クリフ。こっちはそんなとこだよ。  
 クリフこそ何やってんの?」  
「ん、ミラージュの方はサンダーアローの最終調整中だし、やることもねぇから散歩してた」  
「んっ」  
マリアは振動が強くなったローターの刺激に思わず声を上げそうになった。  
「ん?どっか調子悪いのか?」  
俯いたままのマリアに怪訝な顔をするクリフ。  
「こんな所を見られたら誰だって恥ずかしいよ。  
 僕はもう行くね」  
「ああ、まあ、デートを楽しめよ」  
そういってクリフの元を去る。  
 
「フェイト、あなたクリフの前で…」  
マリアが先ほどのフェイトの行為に抗議の視線を送る。  
「でも、感じてたろ。気づかれるかもしれないってのに」  
「それは…」  
「かわいかったよ、さっきの感じてるマリア」  
そう言ってマリアに軽くキスする。  
絶頂が近付いてきたところでまた、振動を止められ、蛇の生殺し状態が続く。  
「おや、あんたたち」  
間の悪い出来事というのは続く物で今度はネルと出会った。  
マリアの中の振動がまた強くなる。  
「ネルじゃないか。買い出し?」  
フェイトは買い物かごをもったネルをみてそう訪ねた。  
「そうさ、戦争は終わったとはいえまだ問題はいろいろと残ってるからね。  
 備えあれば憂いなしってやつさ。  
 ところで、あんたたちは何してたのさ」  
「マリアと一緒に散歩だよ。な、マリア」  
「そ、そうよ。ネル」  
「ふうん、そうかい」  
それ以上特に聞かれることもなくネルは去っていった。  
「あなた…また」  
「ねえ、マリア。そんなに逝きたい?」  
マリアの抗議の声を聞く前にフェイトが訪ねる。  
マリアはうっと詰まった後、こくん、と頷いた。  
「じゃあこっちに来て」  
フェイトはマリアをシランドのはずれにある公園のような場所に導いた。  
 
天使の像の陰に来たフェイトは自らの物を取り出した。  
「僕を満足させてくれたら、逝かせてあげても良いよ。  
 ちゃんと出した物は全部飲んでね」  
マリアはこくんと頷くとフェイトに奉仕を開始した。  
マリアの奉仕は、一番最初の時のつたない奉仕より上手になっていた。  
フェイトの物への嫌悪感が薄れたせいもあるかもしれない。  
マリアはゆっくりとフェイトの物を舐め上げていく。  
フェイトはマリアをいい子いい子するように髪を撫でていた。  
サラサラのマリアの髪は触れているだけでも気持ちが良い。  
「う…マリア、もっと深くくわえて、そう、気持ちいいよ」  
「うん…、はむ…、ん…」  
フェイトの物をくわえたマリアはそれを吸い出すように刺激する。  
できるだけ同時に舌も動かすようにした。  
人気がないとはいえ今は真っ昼間である。  
そんななか屋外で奉仕をしてもらうというのは背徳感もあわさり、とても興奮する物だった。  
やがて…。  
「マリア、逝くよ…。もっと早く動かしてっ、そうっ、そうっ!」  
「んっ、んっ、んっ、んっっ!!」  
マリアの口内の一番奥にフェイトは欲望を解き放つ。  
マリアはおもわずむせてすべてを吐き出してしまいそうになるがなんとかこらえた。  
「マリア、すぐに飲まないで。僕の味を感じて」  
マリアは言われた通りに舌を転がして味わう。  
マリアにとってそれはとても異様な味ではあったが、フェイトの物、と言うことで我慢して味わっていた。  
「もう良いよ。飲み込んで」  
ごくん、とのどを鳴らしてフェイトの物を飲み込むマリアはどことなく淫靡だった。 
 
「よく頑張ったね。一回目のご褒美をあげるよ」  
そう言って、フェイトは皮の下着の鍵を外し、ローターを抜き取った。  
どうして、祖という顔をするマリア。  
「僕自身でマリアを逝かせてあげたいんだ。  
 それに、手を付いて」  
そういって、フェイトは天使の像を指す。  
神の使いである天使の前で聖母と同じ名をもつマリアとつながる背徳感。  
フェイトはそれを味わってみたかった。  
「わ、わかったわ…、これでいい?」  
マリアは赤くなりながらも手を付いてお尻をこっちに向けた。  
「マリア、エッチだね。あそこだけじゃなく、こっちまで丸見えだよ」  
そう言ってマリアのアナルを刺激する。  
「フェイト、あなたが……ひゃぅぅぅ」  
マリアの抗議の声は最後まで続かなかった。  
先ほど一度欲望を解き放ったにも関わらずフェイトの物はまだそそり立っていた。  
それをマリアに後ろから押し込んだのだ。  
マリアは入れられた瞬間、思いっきりのけぞっていた。  
どうやら軽く逝ったらしい。  
「入れただけで逝っちゃうなんてエッチなマリア。  
 でも、僕はそんなマリアも好きだよ」  
「やぁ、そんな風にいわないで…」  
気恥ずかしさから頬の赤みが増したマリアをフェイトは後ろから求め続けた。  
「だめ、どうして、また逝っちゃう、だめっ、やっ」  
マリアの躯がびくびくと痙攣する。 
 
フェイトは休まずに注挿をつづける。  
「そん、なっ、フェイトっ、休ませてっ、感じすぎてっ、やっ、またっ」  
また、絶頂を迎えるマリア。  
「逝かせてほしいって言ったのはマリアだろ?  
 遠慮なく逝っていいんだよ」  
フェイトは容赦なく腰を動かし続ける。  
さらに、すっかり硬くなっている乳首も刺激する。  
マリアの絶頂地獄はフェイトが欲望を解き放つまで続いた。  
 
「やりすぎたかな」  
あまりの快楽に耐えきれず気絶してしまったマリアをみてフェイトはそうつぶやいた。  
SEXをしていてマリアを気絶させてしまったのは初めての時以来かもしれない。  
あの時と違うのは、痛みか、快楽かのちがいであろう。  
とりあえず、持ってきていた蒸しタオルでマリアの躯を綺麗にしてやると、服を着せて自分に寄りかからせた。  
今日は、これ以上マリアに求めるのは酷だろう。  
そう思ったフェイトは残りの時間をのんびりと過ごすことに決めた。  
ぐぅ…とおなかが鳴ったことでお昼を食べていない事に気が付いた。  
しまったな、そう思っていると誰かがやってくる気配がした。  
「ミラージュさん?どうしてココに?」  
「あら、フェイトさん、私、いつもここでお昼を食べて居るんですよ。  
 静かで良いところですから」  
そう言われてみればたしかにそうだ。 
 
ミラージュは気を失って寝ているマリアをみて、なるほど、とつぶやいた。  
「フェイトさん、私のプレゼント使っていただけたかしら?  
 あんまり、リーダーをいじめすぎないであげてくださいね」  
「な、なにいってるんですか!?」  
すべてを見透かしたような発言にフェイトは慌てた。  
ミラージュはそんなフェイトをクスクスと笑うと、  
「これ、さしあげます。リーダーが気が付いたら一緒に食べてください」  
といってお弁当を差し出した。  
「そんな、わるいですよ」  
「いいんですよ。フェイトさんはリーダーのこと大切にしてあげてくださいね。  
 ほんとうはとても寂しがり屋なんですから…」  
真剣な表情のミラージュにフェイトは力強く頷く。  
「わかりました」  
ミラージュはほほえむと去っていった。  
残されたフェイトは目を覚ましたマリアといっしょにお昼を食べた後、そのまま、何をするでもなくのんびりとした時を過ごした。  
やがて、訪れるであろうバンデーンとの決着をつける時に備えて…。 

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