「さて、着いたよ。ココがアリアスの村、アーリグリフとの国境に一番近い村さ。と言ってもココは
もうシーハーツ領内だからね、安全さ。」
町の門の下に立ちネルが安堵のため息を漏らしながらフェイト達を眺める。流石のフェイトとクリフにも
疲れの色が見え隠れしている。無理もない、カルサアの村を出たのが太陽が見え始めた早朝、そして
今は既に夕日が地平線の彼方に沈みかけていた。その間ろくに休みもせず走りつづけた。魔物にも何度も
襲われた。しかし止まる暇はなく邪魔をするものは容赦なくなぎ倒しながらこの町を目指していたのだ。
「やっと着いたのかよ。ったく、流石の俺様もちょいとばかり疲れちまったぜ。」
「確かに…僕ももう足が棒だよ。早く休ませてほしいかも…。」
二人の呼吸速度は物凄く速く、体を休ませるために地べたに尻をついている。
「なんだい、二人とも情けないねぇ。すぐに休むこともできるけど、その前に少しする事があるから
もうちょっと頑張ってもらうよ。」
ネルが息切れ一つせずしゃがみこんだ二人を見下ろしている。これも訓練の賜物なのだろうか?等と思いながら
二人は立ち上がりネルの後についていった。
「クレア、いるかい?」
ネルが屋敷の奥の豪華な扉を開け放つ。その中には女性が数人イスに座り仕事をしていた。
「ネル?帰ってきてたの?」
銀色の髪の綺麗な女性がネルの下へ駆け寄ってきた。
「あぁ、今帰ってきたところだよ。ただいま。」
「おかえりなさい。」
二人の無事を確かめ合うように抱き付き合った。おもわず赤面してしまいそうな場面でもあるが
いやらしさなぞ微塵も感じさせることはなかった。
「大丈夫だった?怪我はしなかった?」
「大丈夫だったよ。まったく心配性だね、クレアは。」
「…でこの人たちが例の?」
銀髪の女性は忙しなく訊ねてくる。
「あぁ。予想通りグリーテンの技術者だったよ。」
ネルが急に自分達に話しをふってきたのでとりあえず自己紹介することにした。
「あっ、僕はフェイト、フェイト・ラインゴッドです。」
「クリフ・フィッターだ。」
「そう、私も自己紹介しとくわね。私はクレア・ラーズバード。一応ここで総司令官をしてるわ。」
クレアはぺこりと頭を下げた。この物腰の穏やかな女性にフェイトは見惚れていた。
『綺麗な人だな。ネルさんも美人だけど、この人も凄い美人だ。』
フェイトの目は逝っていたがクリフに怪しまれそうになったのですぐさま気を取り戻した。
「それじゃあみんな、会議を始めるわよ。」
「じゃあ今日はこれにて解散。みんな、後は自由にしていいわよ。」
クレアの終わりの合図と共に兵士達はぞろぞろと部屋から出て行った。
「じゃあフェイト達は二階に部屋を取ったから…ゆっくり休んでおくれ。私はまだクレアと話すことがあるから。」
体がぐったりと垂れているフェイトとクリフは使いの者に誘導されるがまま自室へと入っていった。
「ふぃい、やっと休めるぜ。さてと、ミラージュに連絡しようとも思ったが眠いから俺は寝るぜ。お前はどうする?」
クリフはベッドに横たわり眠い目をこすりながらあくびをしている。
「そうだな、僕も疲れたから寝るとするよ。」
蝋燭の火を消し二人は眠ることにした。
「ふぁぁあ…あれ?まだ夜か…。」
真夜中にフェイトは目を覚ました。隣ではクリフが馬鹿でかいいびきをかきながら爆睡している。
フェイトはもう一眠りしようと布団に潜ったが、
「…寝れない、なんでだ?疲れてるはずなのに…。」
とりあえずフェイトは眠気に迫られるまで散歩することにした。
「風が気持ちいいや。」
屋敷の外に出たフェイトは噴水の縁に腰をかけながらほのかに吹いてくる風を体全体で感じていた。
村全体が寝静まり明かりが点いている家がなければ出歩く人もいない。ただ噴水の水飛沫と
風に吹かれて擦れ合う葉の音だけがあたりに充満している。
「こういうのもたまにはいいかもな…。」
最近気が滅入っているフェイトにとってはこの空間は癒しそのものだった。そもそもこういう空間自体保養惑星に行かなければ
滅多に味わえる物ではないのでこの空気を十分に堪能する事にした。
不意に後ろのほうから草を踏む音とともに人の気配を感じた。
「誰だ?」
フェイトが振り返れどもそこには誰もいなかった。気のせいかと思いながら立ち上がり
屋敷の中へ戻ろうとすると視線の奥に人影が飛び込んできた。
「あれ、フェイトさん、どうしたんですか?眠れないんですか?」
人影の正体はクレアだった。彼女は私服に着替えていた。ノースリーブの白いワンピース、いかにもかわいらしい服装だった。
彼女の腕は白く細く、足もしまっていた。その非の打ち所のないスタイルと、男を引き付ける彼女の容姿。
例えるなら地上に舞い降りた天使、といったところだ。それほどフェイトの目には彼女が光って見えた。
「えっ、ええ。寝つこうものにもなかなか眠れなくて…。それで眠たくなるまで散歩しようかな、って思ってたんです。
ところで、クレアさんはどうして?」
彼女に見入っていたフェイトが怪しまれないよう落ち着いて答える。
「ええ…あなたと同じ理由です…。それよりどうです?寝つけないなら少し私と散歩がてらお話しませんか?」
フェイトは軽くうなずき差し出された彼女の手を取り立ち上がった。
「ふふ、フェイトさんって面白い方ですね。グリーテンの技術者っていうからどれだけ頭の固い人かなって思ってたら
私よりぜんぜん若いし。」
フェイトの話に所々笑ってくれるクレアはとても楽しそうだった。こうしてみるとクレアはただの女の子だった。
とても戦争の最前線に立つものとはおもえない。
「そんなことありませんよ。あなただってとても若いし…それにとても可愛い方ですよ。」
「えっ?」
フェイトの口から思いもよらない事を言われたのでクレアの顔はポッと赤くなった。
「そっ、そんなことないわ…。フェイトさんってお世辞も上手なんですね。」
「ふふっ、そういうところが可愛いって言うんです。」
クレアは恥ずかしさのあまりもじもじしている。
二人の間にしばしの沈黙が流れる。『まずいこと言っちゃったかな?』とフェイトはバツ悪そうに頭を掻いている。
「きゃあっ!」
クレアが大きな音を立てながら倒れこんだ。どうやら石に躓いたらしい。
「大丈夫ですか?」
フェイトが手を差し伸べる。
「ええ、大丈夫です…。ふぅ、私ってどじですね。よく今まで生き延びられたなって思っちゃいます。」
起き上がったクレアはペロっと舌を出しながらひざに付いた砂を払っている。
『生き延びられた…か。』
フェイトはちょうどいい機会だと思い、クレアに質問することにした。
「あの、ちょっと質問していいですか?どうしてクレアさんは、その、戦いに参加するんですか?」
クレアの顔が曇った。
「…どうしてそんなこと聞くんですか?」
「いや、あの…あなたみたいな人が戦争に出るって…なんだか不思議で…。」
フェイトは正直しまった、と思ったがこの質問の回答を望んだ。
「…もしも…それがアペリスの教えだから、と言ったら…あなたは信じますか?」
なぜ彼女はこんなに悲しい眼をしているのだろう、さっきとは一変した暗い表情。
フェイトはどのように返事を返したらいいのかわからなくなった。
「もちろん信じますよ!それがこの国の最優先事項なのでしょう?だったらそれ以上の答えはありませんよ。」
フェイトはなるべく明るい口調で話すように心がけた。彼女がなぜ伏せてしまったかわからない以上
そうするのが一番だと思ったから。
「それもそうよね。ごめんなさいね、なんだかしんみりさせちゃって。」
クレアの顔に笑顔が戻った。が、それは作り物だ、無理をした結果そうせざるを得なかった、とわかるほど
口調とのちぐはぐさが残っている。
「クレアさん、いったいどうしたんですか?僕でよかったら…相談に乗ってあげれると思います。」
フェイトが精一杯の気遣いをみせる。いや、見せなければならなかったのか…。
「…フェイトさん…私についてきてもらえますか…?」
クレアにまぬかれるままフェイトは彼女の後ろを歩いていく。
「ココは…?」
フェイトが連れてこられた先は屋敷の裏手にある日の当たらないところだった。
「ここは志半ばに死んでいった者達が眠る場所…。本当は日の当たる場所に置いてあげたかったんだけどね…。」
クレアは数多にある墓石一つ一つを丁寧に拝んでいく。
「この村は少し前に戦争の舞台になってしまったって話したわよね?その時に犠牲になった人たちのお墓なの。」
クレアが最後の墓の礼拝を終え、体を起こした。
「どうして人は争うのかしらね?地位のため、名誉のため、尽きることのない欲望のため…。そんな野心を持つ
者達の愚の行いの最たる物が戦争という形になるの…。その先に自分達の望む物があると思ってね…。でも結局
それはただの偶像。戦争によってもたらされる物は破壊と殺戮と悲しみに打ちひしがれ涙を流す人たちだけ…。求められる
ものなど何一つない。本当は人間は争いはしたくないの、皆そう思ってるはず。人々が平和を望むからその希望の光は
強く明るくなっていくの…。でもそこに一つでも汚物が生まれれば影が生まれる…。その影は希望の光が輝きを増せば増すほど
色濃く、そして大きくなっていくの…。そうして大きくなった影が光の中に波紋を投げつける。だから世の中は光だけで
創造することが出来なくなっていくのよ…。別に光が正義で闇が悪だと言うつもりはないわ。正義と悪っていうのは
人々の心の中にあって価値観の違いが二つをまったく別のものにするの。」
クレアは天を仰いでいる。星は雲に隠れているがそういうことは問題じゃない。
「クレアさん…。」
フェイトはかける言葉が見つからなかった。頭の中にアペリスの聖女、という言葉が浮かぶ。
「さっき、私が戦う理由を聞きましたよね。それに対して私はアペリスの教えだから、と答えた。
あれはまったくの本心よ。宗教国家であるわが国にとってはアペリスの教えが絶対。だから私は戦うの、国を守るために。
…でもね、私の場合それだけじゃないの。戦争が起こる度にたくさんの人が死んでいく。私がいくら頑張ったところで
全ての人を守りきることは出来ない。そして戦跡で思うの、この人たちの敵を討つんだ、ってね…。
アペリスの教えでは復讐心を持つ事は率先して禁じられている最も恥ずべきことなのに。そしてまた戦が起こって
たくさんの人が死んで…また復讐するという気持ちが起こって…。私って…弱いわね…。またネルに怒られちゃうかな?
任務に私情を挟むな、って…。」
彼女の目は涙で濡れていた。その眼からは時折大粒の涙が流れ落ちる。
「クレアさん…。」
フェイトは何も言うことが出来なかった。今自分がいえる慰めの言葉全てが張りぼてのように思えるから。
「ごめんなさいね。せっかく相談に乗るって言ってくれたのに私が一方的に話すだけだったわ。
さて、話はココまでにしてもう寝ることにしましょう。」
クレアの声はか細かった。震えていた。空元気だけが伝わってきた…。クレアはフェイトに背を向けその場を去ろうとする。
震える小さな背中は少し叩けばもろく崩れ去っていくようだった。
「クレアさん!」
突然フェイトがクレアを呼び止める。
「どうしたんですか、フェイトさ…」
クレアが振り向くと同時にフェイトは彼女の唇に自分の物を重ねる。そして覆い被さるように優しくクレアを抱きしめた。
「ちょっと…フェイトさん…急に何を…。」
クレアが軽くフェイトの体を押すがフェイトは離れようとしなかった。
「ごめんなさいクレアさん、こんな急に…。でも、でも僕は今あなたを一人で帰すわけには、いや、一人でいさせるわけには
いかないんです。男として…。」
「ど、どうして?」
「どうしてもです。」
「そんな…回答になってな…」
再びフェイトはクレアの唇を奪う。
しばらくの静寂が流れる。
「今あなたを一人で帰してしまうと、あなたが一人で辛い気持ちを抱え込んでしまいます。そんな事、僕には耐えられません。」
フェイトのクレアを抱く手に力がこもる。
「そんな、これは私の問題なの…。あなたが深く考える必要はないわ。」
「でも僕は相談に乗ると言いました。だから僕はあなたの力になってあげたいんです。あなたの背中は、復讐という二文字を
抱え込むには、早すぎるし、小さすぎるから…。人が死ぬのは世の常、こればかりはどれだけ技術が発達しようとも変えられません…。
だから、あなたが負い目を持つ理由は何一つないんです…。」
フェイトはクレアを抱く手によりいっそう力を込める。いつの間にかクレアもフェイトのことを抱きしめていた。
「私の部屋に…来てもらえますか?」
クレアはフェイトにしがみ付きながら自室へと足を運べた。
クレアの部屋に来たフェイトはとりあえずベッドに腰をかけた。クレアもその隣に腰をおろす。
「…クレアさん、あの、本当にいいんですか?」
フェイトはぎこちなく訊ねた。特別理由はないがきっかけがほしかったのだ。
「ええ…。それに私もフェイトさんの力になってあげたいから…。」
「僕の…力に?どういうことですか?」
意外な言葉に首を傾げた。
「ネルから聞きました…。お父さんが敵に捕まってるって。それなのに無理をしてこんなところまで来てしまって…。
あまつさえ見知らぬ地の戦争に力を貸してくれだなんて…。本当にすみません。」
クレアは深く頭を下げた。
「そ、そんな…。あなたが謝ることじゃないですよ。それにここへ来たのだって僕の意思であって…。」
「いいんです。フェイトさんは本当に優しい方ですね。こんな女にまで優しく接してくれて…。
だから私もあなたの力になってあげたい。私にはあなたのお父さんを助け出してあげることは出来ませんが、
その、あの、なんと言うか…あなたを慰めてあげることが…出来ると思います…。」
クレアは目を閉じた。そして唇を向ける。二人はお互いの唇を深くかみ締め合った。
先ほどとは打って変わった力任せの激しいディープキスだった。お互いの傷を舐めあうかのように激しく舌を絡ませる。
何分が過ぎただろう。二人は尽きることなくお互いの口を欲しあった。
「ふぅぁっ、フェイトさん…、疲れましたね…。」
クレアははにかんだ笑いを見せた。
「そうだね。」
「…じゃあフェイトさんは休んでてください。」
そういうとクレアはおもむろにフェイトのズボンを脱がし始めた。トランクスまで脱がし終わるとクレアの視線は一箇所に注がれる。
フェイトのものは大きくそそり立っていた。
「…じゃあ始めますね。」
クレアはその細い指で優しく包むようにフェイトへの奉仕を始めた。まだぎこちなさは残るが渾身的だった。
その舌と指を上手く使いフェイトの敏感な部分を愛撫する。
「うっ、クレ…クレアさん…凄くいいです…。」
その渾身さにフェイトも身を跳ね上がらせるように感じ始める。フェイトの声が聞こえているのかいないのか、クレアは
その行為に没頭していく。次第に、情熱的へと…。激しさを増すクレアの行為に痛烈な快楽を覚える。
「ぅあっ、くるっ!全部飲み込んで!」
フェイトは彼女の顔を押さえつけ自分の身の丈を開放した。
「ふぁぁっ。」
口の中に射精されるも全てを口内に押さえ込むことが出来なかったクレアの口から白い液が漏れる。クレアは
溢れた物を自分の指でふき取り口の中に入れる。
「フェイトさんの物…おいしかったです…。」
「クレアさんも…凄い気持ちよかった。今度は僕があなたを慰める番ですね。」
「…お願いします…。」
クレアは目を閉じた。好きにしていいという合図なのだろう。フェイトはクレアの服を脱がせにかかった。
「…、これで、よしと。」
クレアの服を脱がせ終わり綺麗に畳み床に置く。フェイトの目の前には美しい肢体が横たわっている。そこには
男をひきつける魔性の美があった。昔ミロのビーナスがルイ14世を虜にしたという話があるが多分それはこういう感じなんだろう、
と思いながらその美しく整った体をいじり始めた。フェイトは最初に彼女の胸を責め始めた。やわらかい。その一言に尽きる。
胸を攻められてクレアは激しく身を反らせる。胸を握られるたびに感度の良い胸がフェイトを感じてしまう。
それは次第に感じてしまう、から感じていたい、へと変わっていった。
「…フェイ、フェイトさん…、あそこ、あそこもいじってください…。」
クレアの顔は赤く染め上げられている。仕方がないなというようにフェイトの手が秘部へと伸びていく。
フェイトがそれをいじるたびにイヤラシイ音が聞こえてき、豆をつまめばクレアの体が跳ね上がる。
「クレアさん、気持ちいいですか?…僕もクレアさんみたいにあそこ舐めてあげますね…。」
そう言い、フェイトはクレアの秘所に舌を這わせた。舌が動くたびにクレアの体は熱く疼く。秘部と舌が奏でるいやらしいコンチェルトは
静かな室内に響き渡る。
「あっ、フェ…さん…イク…イっちゃう!」
フェイトは舐めるのを止めた。イキそこねたクレアは不服そうな顔を浮かべている。
「…フェイトさん…どうして…止めちゃうん…ですか?」
クレアの言葉には力がない。既に体に力を込め動くことすらままならないだろう。
「やっぱり、イクときは一緒がいいじゃないですか。だから、僕の物であなたをイカせてあげます。」
フェイトは彼女の股を大きく開く。そしてその付け根へと一気に差し込んだ。クレアの華奢な体を貫くような痛みと快楽は
彼女の頭の中を真っ白にしていった。
「あっ…あぁっ…んっ、あぁあ…!」
フェイトが体を動かすたびにそれに呼応するかのようにクレアは喘ぎをあげる。クレアの足を抑えたままフェイトは
ピストン運動を続ける。
「フェ、フェイトさん…フェイトさんフェイトさん!」
クレアはフェイトの名を呼ぶことしか出来なくなっていた。
「クレアさん…イキそうなんですか?うっ、僕も…っ、出る!」
フェイトは自分の雄液を止めることなく開放した。
「ああああああぁぁ…!」
どうやらクレアもイッたようだ。彼女の体はぐったりと垂れている。
「…フェイトさん…。」
「…クレアさん…。」
二人は再び長い口付けを交わす。
「クレアさん、僕は部屋へ戻ります。」
服を着直したフェイトは立ち上がった。
「…戻っちゃうんですか、フェイトさん。」
クレアは裸のまま布団にくるまさっていた。
「ええ、早く戻らないとクリフにばれそうですから。」
「そうですか…。おやすみなさい、フェイトさん。」
「おやすみ、クレアさん。」
軽く口付けした後フェイトは部屋を去っていった。
「よう、フェイト。遅かったじゃねぇか。」
「なっ、ク、クリフ?」
フェイトが部屋に戻ってみると酒をがぶ飲みしているクリフの姿があった。
「何でお前起きてんだよ?」
「いや、なに、急に目が冴えちまってな。それよりお前…ハハーン、なかなか上手くやるもんだな。
どうやってたらし込んだんだ?」
クリフはずばり核心を突いてきた。
「なっ、何の話だよ?何言ってんだお前は?」
「ごまかしたって無駄だ。あんよが千鳥足だぜ?」
クリフは酒を飲みながらにやついている。
「うっ…さっさと寝ろよ、おっさん!」
フェイトはクリフの腹を一発殴り逃げるように布団に潜った。
布団の外ではクリフがゲラゲラと笑っている。
翌日
「ファリンとタイネーブを助けにいったんだろ?それしか考えられねぇ。」
「取引場所を教えてください。」
「…彼女達をお願いします。」
「クリフ、急ごう!」
駆け出していくフェイトの背中。その姿にクレアは胸をときめかせる。昨晩のことはお互いの同情の
産物だったかもしれない。しかし今クレアが感じている気持ちは今までにない始めて感じる物だった。
そしてそれが産まれて始めて感じる恋心だと気付くのにそう時間はかからなかった。