この前の一件の翌日、フェイト達は再び旅路についた。  
ここはアリアスの総領主館。クレアは一人、仕事に追われる日々を送った。  
そして三人が去ってから一週間が過ぎようとしていた。  
 
「さて、今日は之で終わりね。ふぅ、もうこんなに遅いじゃない。今日は寝ようかしら。」  
クレアは書類をまとめて自分以外誰もいない部屋を出ようとした。と、そこに…  
「クレア様、もうお休みになるつもりですか?」  
見知らぬ男が一人入ってきた。見知らぬ男…?いや、違う。クレアが忘れているだけだ。最近頭がパンクしそうになっていたのだが、よもや人の名前まで忘れてしまうとは。  
「あの…、どちら様ですか?」  
いくら頭の中を揺さぶり起こしても名前が出てこないクレアは  
無礼を承知で訊ねる事にした。  
「おや、お忘れですか。まぁそれも仕方ないか…。エノルですよ。あなたの部下のね…。」  
『エノル』。この名前を聞いたときクレアの頭に鈍器で殴られたような鈍い痛みが走った。  
この男は確かにクレアの部下の一人だった。  
人一倍仕事に五月蝿いと言うスペックを持つ男。  
よく言えば生真面目、悪く言えば…きりが無いので言い切れない。  
「何であなたがココにいるの?確か『リアド』に派遣されたんじゃなかったっけ?」  
「呼び戻されたんですよ。ココの切り盛りがあなた一人じゃ大変だろうからって。  
 それよりあなたはもう床に着くつもりですか?まだ仕事はこんなにありますよ?」  
そう言うとエノルは大量の書類を机に叩きつけた。  
 
「いや、あのね、これは明日しようと思ってた奴なんだけど…。」  
クレアは必死に愛想笑いをするが…  
「明日?今、明日と言いましたか?何をふ抜けた事を言ってらっしゃる!今もこの大陸では我が国の民たちが  
汗を流して働いていると言うのにあなたはもう寝るつもりですか?そもそもあなたはいつもそうだ。何かあれ  
ば明日明日と口癖のように。そんなんでよく総司令官が勤まりますね。少しは他の人たちを見習った方が……」  
「わかったぁ、わかったわよ!寝なければ良いんでしょ?わかったから一人にして。」  
長い説教を続けようとするエノルを静止させるように大声をあげる。ちなみに今は真夜中。こんな時間に誰が働いていようか。  
「わかってくれたらいいんですよ。それでは…。」  
一礼をし、エノルは会議室を去っていった。  
一人残ったクレアはポツリと呟く。  
「なんでアレが来るのよぉ…。うぅぅぅ…。」  
クレアは机に伏し、呻き声を上げだした。  
『うぅ、確かあの時もこんな感じだったわ。シランドでの悪夢。あんなのが私の部下になったばっかりに…。』  
クレアは以前同じような事を経験していた。まだシランド勤務だった頃、あの男が竜巻のように現れてクレアの  
仕事ぶりにいちゃもんをつけてきた。最初のうちはクレアも多目に見ていたものも、そのねちっこさからネルの  
反感を買い田舎に送り飛ばされたのだ。  
「またあの日々が続くのね…。あの地獄のような日々が…。」  
人間と言うのは面白い物で自分の嫌な記憶はすぐに忘却への道を辿らせる。  
そうして嫌な事を忘れさせる事で自分を慰める訳だが…それがぶり返されたときの反動は大きい。  
クレアはこれからの日々を思うとどうにもやりきれない思いに襲われた。  
「ネルはいいなぁ…。私も付いて行きたかったなぁ…。そしたら、フェイトさんとも一緒に居られるし…。  
今頃あの二人は……いいなぁ…。」  
クレアの脳裏にフェイトの横顔が浮かぶ。  
「あぁぁ、フェイトさんがいるわぁ…。……フェイトさん…。」  
誰も居ない会議室。クレアは一人、自慰行為にふけることにした。  
 
         翌日  
「…これでいいんでしょう!?」  
クレアは眠い目を擦りながら、起きてきたばかりで寝癖総立ちのエノルに  
書類を叩きつけた。エノルは下がってきた眼鏡を親指で押し上げると、  
「…えぇ、十分です。これからもその調子で頼みますよ。」  
そう言い残しエノルは部屋を去っていった。  
「何…あの態度…?私を馬鹿にしてるのかしら…?」  
クレアは笑顔を保っているがそこには鬼のような邪気が犇めいていた。  
拳に力が入っていく。終いには握っていたペンをへし折った。  
「…今日のクレア様、なんか変ですねぇ〜?どうしたんですかねぇ〜?」  
「うーん、あそこまで怒ったクレア様は見た事が無いな。」  
陰に隠れながらファリンとタイネーブが様子をうかがっていた。  
「どうしたんでしょうかねぇ〜?今日は女の子の日なんですかねぇ〜?」  
「馬鹿、何を言うのファリン!もしそんな事聞かれてたら…。」  
ファリンの爆弾発言にタイネーブは慌てて口をふさがせたが、  
「何か言った…?二人とも…居るんでしょ?出てらっしゃい…。」  
流石はクリムゾンブレイド。完全に気配を消していたはずの二人をいとも  
簡単に感じ取っていた。  
『まずい、今手ぶらで出て行ったら確実に殺られる。何か、何かないのファリン?』  
『ちょ、ちょっと待ってくださいですぅ。何かないかって言われてもぅ…。』  
二人はアイコンタクトを図っていた。  
『そうよ!さっきの伝令はどうしたの?あれを届けにきたって言えば…。』  
『そ、そうですぅ!え〜と…ありましたぁ!』  
ファリンが懐から折りたたまれた伝書を出して見せた。  
『よし!これで安全だ…。』  
二人は安堵のため息を漏らす。  
 
「早く出てきなさい…。それとも…出て来れない理由でもあるのかしら?」  
クレアはゆっくりと二人が隠れているほうへと足を運ばせる。  
『まずいですぅ、早く出ないと怒られますよぅ。』  
『わ、わかってるよ。…よし、いくよ。』  
覚悟を決めた二人はクレアの前に姿を現した。  
「クレア様、私たちには何もやましい気持ちは在りません。  
今ここにいたのもあなたへの伝令を届けるためです。」  
「そうですよぉ、別に私たちはクレア様の事覗いてた訳じゃないですよぉ〜。」  
タイネーブは頭を深く下げて伝書をクレアの前に差し出した。  
「伝書?内容は?」  
「そんなの、知ってる訳ないじゃないですかぁ〜。見たら怒られますからぁ〜。」  
それもそうね、とクレアは折りたたまれた伝書を開き書かれている文を黙読する。  
「ふんふん、なるほどね、それで……えぇっ!嘘ぉ、やったわ…。」  
一人相づちを打ってたかと思うと突然クレアの顔が光り出した。  
「どうしたんですか、クレア様?」  
「何か凄い事でも書いてたんですかぁ?」  
二人が顔を覗かせてきたのでクレアは文章を読み上げる事にした。  
「今回、施術兵器サンダーアローの威力性能を高めるため、大量の銅を使用する事になった。  
そこで銅を入手するため、アーリグリフ領地であるベクレル鉱山に向かう事とする。しかし  
場所が場所なだけに、その戦力で向かう事は無謀と判断した。そこで、銅回収任務を確実な  
ものとするため、ネル・ゼルファー及びグリーテンの技術者であるフェイト・ラインゴッド、  
クリフ・フィッターをそちらに向かわせた。合流した後、銅の発掘に向かう事。それと、銅は  
数十kあるため、それに耐えうる強度の荷台と馬を用意しておく事。     以上よ。」  
文をすべて読み上げたクレアは伝書を丁寧に折りたたみ懐にしまった。  
 
「銅の発掘ですか、それはまた大仕事ですね。…でそれでどうしてやった…なんですか?」  
タイネーブが首を傾げる。  
「えっ?そ…そんな事言ったかしら?」  
「言いました。ガッツポーズまでしてましたよ。で、どうしてですか?」  
「ど…どうしてって言われても…。」  
クレアの顔が見る見るうちに熱を帯びていく。  
「馬鹿ですねぇ〜タイネーブ。決まってるじゃないですかぁ〜。フェイトさんが来るからですよぉ〜。  
そうですよねぇ〜?」  
ファリンの考えはずばり的中だった。それだけにどやされる、と二人は思ったが、  
「あぁ…フェイトさん…。」  
クレアの目は明後日の方向を見ている。ファリンの言葉にも全くの上の空だった。  
「クレア様のお目目、乙女の目になってますぅ。」  
「今更乙女って歳でもないと思うんだけど…。」  
二人は呆れ返った。しかしそんな二人とは裏腹にクレアのボルテージはウナギ登りに上昇していった。  
「フェイトさんが来る…。私に会いに来てくれるの…。いや、むしろ私の為だけに…。  
 きゃぁぁぁぁっ!フェイトさん、あなたのクレアはいつまでもお待ちしています!」  
クレアの頬がポポポっと赤くなったかと思うとその赤はすぐさま情熱の赤へと変わっていった。  
「タイネーブ!」  
「えっ?な、なんでしょうか…?」  
不意に声を掛けられてタイネーブはビクリと後ずさる。  
「三人、いえ…フェイトさんは何時ごろ着く予定なの?」  
「え…えーとそれを受け取ったのが昨日の夕刻ですから遅くても今日の日暮れまでには  
 着くかと……。」  
 
「夕方ね、夕方に着くのね?嘘だったら承知しないわよ。」  
「嘘つく必要なんかないですよぉ〜。」  
悲しいかなファリンの声は乙女の耳に届きはしなかった。  
「夕方…夕方…夕方に来る…フェイトさんが来る…。こうしちゃいられないわ!!」  
クレアは何処かへ走り去っていったかと思うと大量の書類を抱えて戻ってきた。  
「あの…クレア様…これは…?」  
「今日と明日の分の書類よ、見ればわかるでしょ?」  
クレアはイスに座り猛烈なスピードで仕事をこなし始めた。  
「今日と…明日の分って…。明日の仕事は明日すれば良いじゃないで…」  
「馬鹿言わないの!!いい?フェイトさん達が夕方に来るって事は今日は鉱山には行かないのよ?  
 と言う事は今のうちに明日の仕事を終わらせておけばそれだけフェイトさんと一緒にいられるの。わかった?わかったらこれからしばらく私に話し掛けないで!!」  
二人は会議室から追い出だされるように出て行った。二分後、ドアには立ち入り禁止と  
書かれた紙が埋め込まれていた。  
 
「終わった、終わったわ。之も愛の力なのよ…。」  
今はちょうど南中時、クレアは二日分の仕事を五時間あまりで終わらせたのだ。本人曰く愛の力、らしいが。  
「急がないとフェイトさんが着いちゃうわね。早くおめかししないと…。」  
クレアが会議室のドアを開け、埋め込まれていた張り紙を剥し自室へと戻ろうとした時、  
「おや、クレア様、どうしたのですか?まさか…今日の仕事は終わった、とか言う訳はありませんよね?」  
寝癖をワックスで固めオールバックにしているテカテカ頭のエノルが現れた。  
クレアにとってこいつが最後の鬼門だった。  
 
「えぇ、今日の仕事は終わらせたの。だから今日はもう休ませてもらうわ。」  
「そうはいきません。仕事が終わったなどと…、このご時世に我ら隠密の仕事  
 が尽きる訳無いではありませんか。」  
エノルは垂れる眼鏡を親指でクイクイと上げながら反論する。  
「しかし実際に先ほど仕事を終わらせてきたの。…ねぇエノル…、今私の心は  
 湖のように穏やかなの…。今ならまだ許してあげるから…私の邪魔をしないで。」  
クレアは腕を組みドンと構えている。  
「何を言うのですか。許してあげる等と…それはこちらの台詞で…」  
「あなた…、私が総司令官って言う事忘れてない?…つまり、ここでは私が一番偉いのよ。」  
「それでも私は引くわけには行きません!」  
クレアはフゥーっと長いため息をつくと、最後の注意を促した。  
「そういえば…さっきの書類の中に『カルバ』への派遣要請があったわね…。どうしようかしら、あれ。」  
「なっ…『カルバ』ですと!?」  
「そうよ、誰にしようか迷ったからアレだけは保留にしてあるんだけど…。誰にしようかしら…ホントに。  
 私の独断で良い、って書いてたけど…やっぱり有能な部下を送りたいわね…。」  
クレアは横目でエノルを睨みつける。  
説明しよう。『カルバ』とはゲート大陸とは程遠く離れた海上に位置する島。  
そこはあくまでもシーハーツの領土なのだが位置関係は最悪といえる。地球の日本大陸で  
表すとしたらこの大陸を北海道とする。そうすると『カルバ』は位置、大きさ共に小笠原  
諸島に当たる。したがってそこに派遣されると少なくとも十年は戻ってくる事は出来ない事から、  
『カルバ』に派遣される事=島流し→人気0の土地という図式が成り立っている。  
エノルはすぐさま頭の中に天秤をイメージした。反抗して島流し、か、言う事に従い自分の  
プライドに傷をつけるか。  
「ねぇエノル。何か良い決め方無いかしら…?」  
 
今のこの状況を表すとすれば猫に睨まれた鼠、いや、もっと酷い。そう、  
アナコンダに睨まれたアマガエルといったところだ。一般人にしてみれば答えは一つ  
しかないがエノルは仕事には五月蝿い男。追い詰められた鼠は猫にも噛み付く。  
「何を馬鹿なこと言うんだ!!そんな理不尽な決め方があってたまるか!!」  
この瞬間、彼の人生の完成型が姿を表した。  
「そう…、残念ね…。今決めたわ…。お願いねエノル、しっかり頑張ってくるのよ。」  
所詮鼠は猫に、アマガエルはアナコンダにかなうはずが無かった。クレアがパチンと  
指を鳴らす。たちまち部下の隠密が現れてエノルを気絶させ、何処かへと運び去っていった。  
「あなたが悪いのよ。そう、悪いのはあいつ。恋する乙女の邪魔をしようとした罰なのよ。  
今の私は誰にも邪魔されないわ。恋する乙女は無敵なのよ!」  
クレアは足早に自室へと戻っていった。間を置いて、影から一部始終を見ていたファリンと  
タイネーブが姿をあらわした。  
「ねぇファリン。私達は世渡り上手になろうね…。」  
「…勿論ですぅ…。」  
 
「迂闊だったわ…。」  
自室でクレアは深く悩みこんだ。  
「ネルを忘れていたわ…、私とした事が…。」  
そう、最大の鬼門はエノル等ではなくネル・ゼルファーその人だったのだ。  
クレアと違いフェイトとの旅を続けているネルは確実にフェイトと愛し合っていただろう。  
そんな女が横から来る恋敵を黙って見過ごすわけが無い。  
「うぅ…仕方ないわ、かくなる上は実力行使で…。」  
そんな時、  
「クレア様、フェイト様方がお見えになりました。」  
部下の一人がフェイトの到着を知らせに来た。  
「えっ?まだ夕方じゃ…いや、今行くわ。」  
クレアは駆け出していった、懐に短刀を忍ばせつつ。  
 
「お久しぶりですクレアさん。と言ってもまだ一週間しか経ってませんがね。」  
「元気そうで何よりだぜ。」  
クレアが会議室に入ったとき男二人がイスに掛けていた。  
「ええ、お久しぶりです。…フェイトさん、怪我などはしませんでしたか?」  
怪しまれないように、怪しまれないように、とクレアはフェイトのそばに近寄る。  
「大丈夫でしたよ。お心遣いありがとう御座います。」  
フェイトが笑いかける。たちまちクレアの顔は赤くなった。  
「そ、そんな…、こんな所で…でもフェイトさんがその気なら私は構いませんが…。」  
勝手にフィーバーを始めたクレアだが…ゴトッ。鈍い音が響き渡る。  
「ん、何か落としましたよ……クレアさん…、これは…何ですか?」  
「えっ……あーっ!!」  
クレアが落としたのは対ネル用の短刀だった。  
「その、あの、何でもないです、別にこれでネルを黙らせようとしたわけじゃ…あれ?」  
慌てふためきクレアは自分のターゲットを探してみたが部屋の中にいない事に気が付いた。  
「あの、ネルはどうしたんですか?」  
「ああ、ネルの奴なら明日着く予定だ。確かラッセルとか言う奴に呼び止められてたな。」  
「そうですか…(やった、やったわ。これもアペリスの思し召しよ)」  
クレアは握り締めていた短剣を再び懐にしまい直し、二人を客間へと案内していった。  
 
「どうしようかしら?」  
自室でクレアは再び深く考え込んでいた。今回の悩みのポイントは一つ。  
どうやってフェイトを自分の物にするか、だ。厳密に言えばネルに傾きかけている  
であろう心をどうやって一晩で自分側へ傾かせるか、になる。  
「つくづく私は抜けてるわね…。何か…何か無いかしら?」  
悩み悩んだ結果、クレアの頭が一つの結論をはじき出した。  
「そうよ、簡単な事だわ。私から攻めればいいのよ。」  
 
既にこの考えは乙女の考えとは言えないほどとんでもない発想だった。  
「でもどうしよう…。私から攻めるなんて…そんなはしたない真似…。  
…そうよ、酔えばいいのよ。酔った勢いでと言うことにすれば…。  
お酒一杯で酔える体質だったのよ、私は。」  
妄想が妄想を呼びクレアの頭はどんどん壊れていった。  
「そうと決まれば…。失敗は許されないわ。」  
 
「フェイト、どうする?明日に備えて寝るか?」  
客間でクリフがあくびをしている。  
「ん〜、特別する事も無いし…寝ようか。」  
フェイトが寝ようと布団に入ったその時。ピシュッ、  
「ひっ………!!」  
フェイトの顔を矢が掠めていった。  
「どっ、どうした?敵か?」  
クリフがすぐさま臨戦体勢を取ったが  
「……違う。これは…矢文だ。」  
「矢文ってか。ずいぶん古風だな。で、なんて書いてあるんだ?」  
「ちょっと待って…。」  
フェイトが矢に縛り付けられた手紙を取り読み上げる。  
「え〜と…、  
フェイトさん、後生ですから今すぐ私の部屋まで来てください。それと  
 間違ってもクリフさんが付いて来ないように彼にはこの事を教えないで  
ください。クレアより。…やばっ、普通にクリフにも話しちゃった。」  
クリフはあからさまに詰まらなさそうな顔をすると、  
「…モテる男はつらいなぁ。さっさと行ってこいよ。」  
ふて腐れたクリフは布団の中へと消えていった。  
 
「クレアさん、居ますか?フェイトですけど…。」  
一度ノックしてみても反応が無い。  
「クレアさん、居ますか?」  
「はぁい、どうぞお入りくらさい。」  
今度は返事が返ってきた。ろれつが回っていなかった様に聞こえたのは  
気のせいだろうと思い、フェイトは部屋の中に入っていく。  
「こんばんは〜、ふぇいとさん。ご気分はいかがれすか〜?」  
「ク、クレアさん?どうしたんですか、顔が真っ赤…もしかして酔ってます?」  
部屋に入ったフェイトの眼に飛び込んできたのは酒に酔い、千鳥足で出迎えるクレアの姿だった。  
「私、酔ってなんかいません。気のせいれすよ〜。」  
「だって、もうろれつが回ってないじゃ…クレアさん?」  
クレアは突然自分の着ていた服を脱ぎだした。露になった豊満な乳房は  
弾けんばかりに震えている。  
「ふぇいとさん……大好きです…。」  
クレアはフェイトに抱きついた。フェイトの腹に柔らかい感触が当たる。  
「ふぇいとさんは私の事、どう思ってますか?」  
クレアはフェイトの顔を見上げる。その愁いを帯びた眼には男を酔わせる魔性の  
美があった。その瞳に見つめられたフェイトの思考回路は爆発していった。  
「えっ、その、あの、いや、それはですね…勿論、ん…?」  
何か言おうとするフェイトの口を塞ぐようにクレアは口を重ねる。  
「ん……ふぁ、言わなくていいです、好きでも嫌いでも…今の私は止まりませんからぁ。」  
「止まらない…?どういうことで…」  
「そ〜れぇ〜♪」  
「うわぁ!」  
一瞬フェイトの体が宙を舞う。物凄い力でフェイトの体はベッドへと投げつけられたのだ。  
 
「な、何するんですか!?のわっ!?」  
フェイトが体を起こした時には既にクレアはフェイトの前に座りこんでいた。  
「怒らないでください、さぁびすしますからぁ。」  
そう言うとクレアはズボンの上からフェイトのナニをさすり始めた。  
「あぁ、クレアさん…止めて下さい…。」  
「くれあさんだなんて…。くれあって呼んでくらさい。」  
クレアはフェイトのナニを握ったり放したりしながら微妙な快感を与えていく。  
「そ…そんな…あっ、気持ち…良いです…クレアさん。」  
「ふぇいとさんのいけずぅ。でもそんな所も大好きれす。」  
クレアは膨らんだ股間を握るのを止め、フェイトのズボンのベルトを外し、トランクス諸  
共脱ぎ捨てさる。そうして姿を現したのは硬く硬直し激しく自己主張するフェイトの息子だった。  
「ふぇいとさんの物、こんなに硬くなってますよ。意外といやらしいんですねぇ。」  
クレアは自分が握っているナニの先をチロチロと舐め始めた。舌の少しざらざらした感触が  
フェイトのものを優しく刺激する。  
「っぅぁ…クレアさん…そんな…いい…。」  
フェイトの先から少しずつ男液が流れ出す。クレアはそれを猫が皿に入れられたミルクを  
舐めるかのように掬い取っていく。  
「…あまぁ〜い。もっと飲ませてくらさい。ヌチャ、ピチャ…。」   
クレアは大きく膨れ上がったナニを目一杯口に含み、奥まで含ませては少し抜き、また奥まで  
含んでは抜くという動作を何度も繰り返す。そうして刺激され続けたフェイトは限界に達した。  
「っっ!あぁ、飲んで下さい!」  
ドピュルルル、フェイトのナニが雄叫びをあげる。大量の白濁液はクレアの小さな口には納まり  
切らず、上半身全体を汚した。  
 
「ふぇいとさん、溜まってたんれすか?」  
自分の唇を流れる液を舌で舐め取り、不敵な笑みを漏らす。  
「ええ…その…最近ちょっと…。」  
「ふふ、いいれすよ。今日は目一杯楽しんでくらさいね。」  
クレアは自分の胸を寄せ合わせそこを垂れる液をペロリと舐める。  
そしてそのままフェイトの顔の前へと近づけた。  
「ふぇいとさん、好きなことしていいんですよ。」  
「え…?す、好きな事って…?」  
「そうれすねぇ〜、例えば…思い切り吸い付くとか。うん、それが良いれすよ。  
母親のオッパイを欲しがる赤ん坊みたいに。ほ〜ら、ふぇいとちゃん、ママれすよ〜。」  
クレアはフェイトの顔を抱きしめ、自分の胸にうずめさせる。フェイトの顔を柔らかい  
感触で包み、その一点、頬だけには硬く尖った突起物を押し付ける。  
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…。」  
フェイトは口を限界まで広げ、クレアの乳房を投入した。それはもう赤ん坊のように激しい  
吸い付きを見せる。フェイトに吸い付かれるたびに柔らかい胸は形を変える。  
「んっ…ふぇいとさん…本当に赤ちゃんみたいですね…ひゃっ、ぁぁ…。」  
クレアは柔らかい喘ぎを上げる。その度にしこった乳首がピクピクと反応する。  
フェイトは自分の口内に含んでいる乳首を舌でチロっと刺激する。  
「あ!ん!はぁ!気持ち良いれす、もっと!あ!」  
クレアの喘ぎが激しくなっていく。フェイトは次第に嬉しくなり一層力を込める。  
フェイトの息子も再び暴走してきた。が、  
「ふぇいとさん、もう駄目れす。ひとまずお預けれす。」  
不意にフェイトは体を押されベッドに押し倒される。しばしその展開に唖然としていた。  
「クレアさん、どうして止めさせるんですか?」  
「ふぇいとさんがりぃどしたら駄目なんれす。あくまでも攻めるのは私なんれすよ!」  
そう言うとクレアはフェイトの体にまたがった。そして自分の体は浮かせたままフェイトのナニを  
自分の秘所に着ける。  
 
「入れちゃいますよ、ふぇいとさん。嫌とは言わせませんよ!」  
クレアは深々と腰をおろした。そして激しく上下運動を繰り返した。  
「ああ!んぁ!ひゃ!いい!いい!ふぇいと、さんの、おっきい!ぁあ!」  
体を上下させるたびにクレアから熱を帯びた喘ぎが漏れる。成すがままに  
されているフェイトの物にも熱い物がこみ上げてきた。  
「っあ!クレアさん!出る!出る!!!」  
「いいよぉ!ふぇいとさんで私をいっぱいにしてぇ!!」  
フェイトの中で何かが弾ける音がして―――――  
「っっっ!!」  
「あああああぁぁぁぁ……!!」  
全てを開放したフェイトは自分の上で項垂れているクレアをどけようとしたが、  
「ふぇいとさん…もうちょっとこのままで居たいです…。いいですか?」  
そう言うとクレアは深い眠りに落ちていった。  
 
「はっ……!」  
クレアは目を覚ました。日が昇りかけており小鳥のさえずりが聞こえてくる。  
「あれ…私…何してたんだっけ…?」  
上手く状況を思い出せないクレアはあたりを見回してみた。自分の隣ではフェイトが  
健やかな寝息を立てていた。その寝顔を見てクレアは全てを思い出した。  
「…そうか…、私…昨日…きゃあぁぁぁ!!そうよ!私昨日フェイトさんと…きゃあぁぁ!!  
うぅ…はしたない女って思われたかしら…?」  
昨晩の事を思い返しクレアは顔を赤らめる。しかしそんなクレアとは裏腹にフェイトの顔は  
生き生きとしていた。その表情を見て、クレアはほっと胸をなでおろす。  
「心配しすぎよね。だってフェイトさんは私を受け入れてくれたんだから…きゃああ!!」  
一人興奮しながらクレアは部屋を出て行った。  
 
「まさか…本当にやるとはねぇ…。」  
総領主館に着いたネルは深いため息をついた。  
「何の話かしら?」  
クレアは笑いながら首を傾げる。  
「フェイトのことだよ。こんなに度の強い酒まで飲み干して…。馬鹿だねぇ。」  
ここはクレアの部屋。今は鉱山へ向かうまでの準備時間だ。  
「ネルだってフェイトさんに抱かれたんでしょう?お互い様よ。」  
「それは私の台詞だよね。全く、仕事までほっぽり出しちゃって。降格させられても知らないよ。」  
ネルは再び深いため息をついた。  
「いいのよネル、仕事なんて。これから私は恋に生きるのよ!そして最後はフェイトさんと……  
恥ずかしいわ〜!!!」  
赤らんだ顔を抑えながらクレアは部屋を飛び出した。  
 
「んっ、…ココは…何処だ?」  
見知らぬ海岸に打ち上げられていたエノルが目を覚ました。  
「確か俺はあの時…そうか!ってことは…ここは…。」  
エノルの顔から血の気が引いていった。ふと自分のズボンの中に何か入って  
いるのに気付き、取り出してみた。それは手紙だった。  
『エノルへ、今あなたがいる場所はカルバ。せいぜい余生を楽しんでください。  
追申  この行いは全てアペリスのお導きです。それではまた会える日を楽しみにして  
    います。                     クレアより』  
こうして、エノルがシーハーツの豊満な大地を踏みしめる事は二度と無かったという。  
          お終い 

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!