フェイト達は創造主である『ルシファー』倒すべく、FD世界から帰還した。  
そして創造主のいる空間に向かうためのアイテム、オーパーツを手に入れるため、  
聖殿カナンへと向かった。  
多少の障害があった物のセフィラを無事に手に入れることが出来た。  
そしてモーゼルの古代遺跡に向かう前日になった。  
 
「……っ」  
シランド城の自室でネルは唇を噛み締めている。  
セフィラを入手してから数日、ずっとこの様子であった。  
特別誰と話すわけでもなく、ご飯もあまり口にせず、  
ただ部屋で深く自問自答するかの様に空白の時間を過ごしていた。  
今、ネルの頭の中には『死』という文字が浮かんでいる。  
つい最近、今まで見たことも無いような強さに襲われた。  
星の船を始め、エリクールでは拝む事のなかった強敵に襲われた。  
今まで信じていた強さがあっけなく崩れ去っていく感じがした。  
クリムゾンブレイドと称され、国のために身を削るような努力で培って来た  
己の腕を否定するかのように、強い者が現れてくる。  
今まで死線を幾つも越えてきた、追い詰められても己の腕を信じ  
切り抜いてきた、が、それがいかに井の中の蛙だったか、思い知らされたのだ。  
 
「ぁああっ!!」  
ネルは立ち上がり、ダガーを振るう。  
しかし切れる物は風だけ。  
本当に斬りたかったのは己に纏わりつく闇と弱い自分。  
しかしそれは物質で切り裂けるほど容易い物ではない。  
仲間の前では強がって入るものの、一人になればその闇に押しつぶされそうになる。  
「はぁっ…はぁ…はぁ…。」  
顔からは冷や汗が滲み出てくる。  
「…くっ…。」  
ネルは再び唇を噛み締め腰を下ろした。  
戦争が終わり、今度は自分がフェイト達の手助けがしたいと思い、  
ムーンベース、惑星ストリーム、FD世界と連いていったが、  
そこで行われた全ての戦闘が紙一重の勝利。  
何時死んでもおかしくなかった。  
むしろ、自分が居なかったほうが楽に勝てたのではないかという思いに襲われる。  
最先端の技術に囲まれてきたフェイト達に比べ、このような星に産まれた自分は  
本当に役に立っているのか?足を引っ張っているだけではないのか?  
考えたくない事が無理にでも頭をよぎってしまう。  
弱い自分を認めたくないと思う反面、認めざるを得なくなるような考え。  
このままじっとしていると頭が壊れてしまいそうで、  
ネルは久しぶりに外に出ることにした。  
 
空は快晴、気持ち良い風が吹き、風車は止まる事無く回りつづけている。  
ネルは特別行きたい場所も無かったのでいろんな所をぶらつく事にした。  
町は賑わっていた。  
何も知らない民達は、戦争が終わり、平和が訪れたと喜び勇んでいる。  
子供達ははしゃぎ回り、若い男女は腕を組み、老年者達は日の光の恩恵を受けている。  
微笑ましい光景ながらも、この者達は何も知らない、と、ネルの心に  
安らぎと深い闇を落としていった。  
「…おっと。」  
街角を曲がったところで小さな子供がネルの足にぶつかってきた。  
「大丈夫かい?」  
ネルはしゃがみ込み、子供の目線に合わせる。  
「…ごめんなさい。」  
子供は幼いながら申し訳無さそうに頭を下げた。  
「早くこいよ〜!!」  
遠くからはこの子供の遊び相手と思われる者たちの声が聞こえてきた。  
「謝る必要なんか無いよ。ほら、早く行きな。友達が待ってるよ。」  
子供の背中をポン、と叩き、立ち上がる。  
子供は声がした方へと駆けて行った。  
「……無邪気で良いね…。」  
子供が見えなくなったあと、ネルはゆっくりとその場を去っていった。  
「…ネルさん?」  
その場に偶然居合わせてしまったフェイトは物陰から隠れてみてたが、  
ネルの去り際の重い表情が嫌でも目に入ってしまった。  
 
ネルは自分の部屋へと戻ってきた。  
街を歩いた事で少しは気が晴れた。  
しかし十分な安息がもたらされる事は無かった。  
心を覆う闇の面積は光を遙に凌駕していた。  
じっとしていれば闇につぶされそうになるが、  
動いたら動いたで何が起こるか分からない。  
いっそのことこの闇と同化出来たらどれほど良い物か、等と  
道を外れた事を考えてしまう。  
そんな時、  
コンコンッ ネルの心に似つかない穏やかな音が聞こえてきた。  
「フェイトです。ネルさん…いますか?」  
フェイトだった。誰かに会いたいとは思えなく、居留守も考えたが、  
今は少しでも自分の気持ちを聞いてもらいたい、という気持ちの方が強く、  
中に入れることにした。  
「…フェイトかい?どうぞ。」  
「失礼します。」  
フェイトは丁寧に礼をして中に入ってきた。  
「…で、何の用だい?」  
ネルは適当な場所にフェイトを座らせると、  
落ち着いた振りをした。  
「えっと…その…最近、ネルさんの様子がおかしいから…どうしたのかな、と思って…。」  
フェイトとしてはあまり確信の持てない質問だけに聞くのを少しためらったが、  
先程のネルの表情で、何かあるという事は分かっていたので口を止める事は無かった。  
ネルは正直迷った。自分の弱さを見せるべきか、それとも今まで通り気丈に振舞うべきか?と。  
「言いにくいなら…別に無理しなくてもいいです。  
 ただ、力になってあげれないかなって思ってたんですが…。」  
直接的ではなくともネルにはフェイトの優しさが伝わってきた。  
目頭が熱くなってくる感じがした。  
「独り言するから…聞きたいなら聞いてな…。」  
 
ネルは自分の思いを全部ぶちまけた。  
怖いと思った事、これからの事、足を引っ張ってるのではないかという事、邪魔者ではないかという事。  
フェイトはそれを一つ一つに頷きながら真剣に聞いていた。  
ネルの話は小一時間続いた。  
「……独り言は終わったよ…。聞いてくれてありがとう。」  
全てを言い終えたネルの顔は以前よりスッキリしていた。  
こういう時、人に必要なのは口論する相手より黙ったまま寡黙に聞いてくれる相手。  
フェイトはそれを知っているから話の最中に口を挟む事は無かった。  
なにより、ネルの心情を知りたかったから。  
「…そうですか。そう思うのは仕方が無い事です。正直僕だって怖い。  
 でも…勘違いして貰いたくないのは、あなたは決して足手まといなんかには…」  
「気休めは止してくれ!!」  
ネルが割り込むように叫んだ。突然の事にフェイトはビクリとした。  
フェイトの反応を見て、しまった、と思ったネルはすぐさま頭を下げて謝った。  
「ご、ゴメンよ。急に叫んで。でも…自分で感じるんだよ…。あんたらの足を引っ張ってるっていう事が。  
 自分の腕の無さを実感してしまう…。」  
そう言うネルの顔は今にも砕けてしまいそうに悲しそうだった。  
フェイトは返す言葉が見つからなかった。  
しばらく無言の時間が続く。  
考え込んだあと、フェイトはネルを励まそうとし、口を開けた。  
「ネルさ…」  
「フェイトォ!」  
喋ろうとしたフェイトの口を塞ぐようにネルの唇が重なる。  
 
「ん…はぁっ!な、どうしたんですかネルさん!!」  
ネルの顔を引き剥がしたフェイトが大声で叫んだ。  
「もう…もう駄目なんだよ。このままだと私…押し潰されて…壊れてしまいそうだ…。」  
震える声でネルが喋った。  
「ネルさん…。」  
「壊れるなら…壊れてしまうならせめて…私はあんたに壊されたい…。」  
ネルはフェイトの股を弄り、ズボン越しにフェイトのナニを舐め、そして咥えようとする。  
「ぁぁ…、これが欲しいよぉ…。」  
股間から舌を這わせ徐々に上へと上らせていく。  
そしてネルの舌が顔に着き、再び口を重ねる。  
その時フェイトは見てしまっていた、ネルの眼から光が消えているのを。  
頭の中に先程のネルの独り言が思い浮かぶ。  
彼女がどれだけ深く考えていたのか、それを考えるとフェイトから抵抗しようという気持ちが消えた。  
ネルが舌を絡めてくる。フェイトもそれに応じ、己の舌を激しく絡ませる。  
「ん…はぁ…んんぅ…。」  
口を離していく。舌には蜘蛛の糸のように細長い唾の糸が渡る。  
「ハァ…フェイトの…フェイトのお○ン○ンが欲しいよぉ…。」  
ネルはフェイトのズボンを脱がそうとする。  
フェイトは脱がされるまでも無く、自らズボンを脱ぎ捨てた。  
そしてダランと垂れ下がった自分の物をネルの顔の前に近づけた。  
「どうぞ…。」  
「ぁぁ…これ…これよ…。」  
ネルはすぐさまフェイトの物にしゃぶりついた。  
「ん…チャプ…ぁぁ…ハァ…。」  
饐えた匂いがネルの鼻の奥を刺激する。  
 
口の中にはフェイトの先走りが流れ込んでくる。  
「あぁ…美味しいよぉ…。」  
ネルは右手でサオを擦り、舌でカリを舐める。  
「うぅっ…!」  
体中を駆け回るような快楽がフェイトを襲う。  
「ぁぁ…出るっ!!」  
フェイトから物凄い量の白濁液が放出され、ネルの綺麗な顔を汚す。  
「んぅっ…。」  
ネルは口内に入ってきたものをじっくり味わうように、ゆっくりと飲み干した。  
「フェイトの…凄く美味しかったよ…。今度は下の口におくれ…。」  
立ち上がったネルは自分の服を脱ぎ捨て、フェイトの前で横になる。  
「ネルさん…。」  
フェイトはまだ渇きが覗えるネルの秘所を人差し指で弄る。  
グチュグチュと音がたち、喘ぎ声と愛液が溢れてくる。  
「ん…ぁぁ!そこ…そこ…!」  
始めは人差し指だけだったが、じきに二本、三本と増やしていった。  
「いい…、気持ち…良いよ、ぅぁっ!!」  
ネルの股間が十分に濡れた所でフェイトは指を抜き、ベッドで横になるネルの上に乗り、自分の物を握る。  
そしてネルの秘所へと接させる。  
「フェイト…お願い…。」  
ネルは目を瞑った。その名の通り、自分の行いに目を瞑りたかったのだ。  
「…逝きます!」  
フェイトは力任せに差し込んだ。ヌルヌルした膣内は締りが良く、フェイトの物を  
すんなりと受け入れていった。  
「ぁああぁあっ!!」  
ネルの口からは張り裂けんばかりの感叫が上がる。  
「ぁあっ!フェイトの…おっきいよぉ!!」  
気持ちの良さに両者とも顔を緩ませる。 
 
フェイトの腰の動きが速くなっていく。  
男根が出入りするたびに絶え間なく愛液が溢れてきた。  
「んぁ!!ふぁ…フェ、フェイトォ!!イク…イクぅぅ!!」  
ネルは限界に達した。己の中を激しく動き回る物体に  
計り知れぬ快楽を見つけ、溜まった絶頂を放出しようとした。  
「フェイトの!!フェイトの物も出してぇ!!」  
「い、いいんですか?」  
「早く!早くぅ!!」  
ネルはフェイトの首に手を回し、フェイトの体を寄せ付ける。  
「っっ!出る!!」  
「ああ!!来る!来るぅ!!」  
同時に絶頂に達した二人はしばらく何も考えれず、動くのを止めた。  
 
落ち着きを取り戻したネルは自分の行動を悔やんだ。  
自らの為とはいえ、出すぎた真似をした事を。  
もしもこの事の所為でこれからのチームの輪が乱れ、  
最悪の事態に成って行くかもしれないという事を。  
其れより何より、行為の最中に感じてしまったのだ、  
フェイトの宇宙の中には、自分の姿が映ってなかったということを。  
ネルの心に今まで以上のしこりが膿まれた。  
『これ以上、フェイト達とは一緒に居られない。』  
「…ネルさん。泣いているんですか?」  
ネルの眼は涙で滲んでいた。その分、フェイトの事を直視できず、  
顔を合わせまいと背を向けるように立ち上がった。  
「な、泣いてなんかいないさ。」  
精一杯強がって見せた。しかし所詮強がりは強がり。それ以上になる事は無い。  
「ねぇ…フェイト。今から私が言う事…黙って了承して欲しいんだ。」  
「…何ですか?」  
震える声でネルが返事を返した。  
「しばらく…暇をもらいたいんだ…。さようなら…。」  
ネルはそのまま自分の部屋を後にした、床に涙を落としながら。  
 
    第一章 終 

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