「……」  
シランド城謁見の間。  
豪華に飾られたイスに腰を下ろしながら、ロメリアは手を重ねている。  
「…ラッセル、あれから何日が経ちましたか?」  
「…ちょうど一週間になります」  
横で仁王立ちしているラッセルが答える。  
しかしながら何時ものような力強さは無くどことなく弱々しかった。  
「彼女達が一週間も戻らないなんて…やはり…」  
ロメリアが嘆きの言葉を漏らそうとしたとき、  
「入るぜ」  
不意に大扉が音を立て、開け放たれた。  
そこには一人の男が立っている。  
「誰だ!?今陛下は誰との謁見も受けない!早く立ち去れ!!」  
突然の乱入者にラッセルが声を荒げるが、  
「…黙りなさいラッセル!!」  
ロメリアが負けじと声を張り上げた。  
「しかし陛下…」  
「黙りなさいと言っている!!」  
いつも通りの展開にラッセルは潔く口を閉じた。  
「貴方が来るのを待ってました」  
「俺は呼ばれたから来ただけだぞ。で…何の用だ?」  
「…人探しを頼みたいのですが…宜しいですか?」  
「ふん、お偉いさんに頼まれたら断る訳にはいかねぇだろ」  
「では…早急に…」  
 
the last days   侵食、そして堕落  
 
あれから、一週間が過ぎた。  
この時間はあっという間に過ぎ去っていったようだった。  
もはや一日と言う概念は消え、一回、二回と言う新たな秩序が生まれていた。  
一日が約三回。一回廻されるごとに二種類の試験管溶液を渡され、また時が来れば機械的に同じ事が行われる。  
違う意味での生きた心地がする。  
生の実感ではなく、むしろ性の実感。  
煉瓦造りの部屋の中、その生きた心地が二人、いや、二匹を堕としいれていった。  
 
ギィィイィ…  
油が切れ、錆付いた蝶番の音と共に、淡い日の光が部屋に差し込む。  
部屋に隅の壁に埋め込まれた蜀台の蝋燭はもはや風前の灯と言った感じに消えかかっていた。  
目を凝らし、耳を澄ませば、部屋の奥から何やら重なり合う人影と異様な音が聞こえてくる。  
ピチャピチャ…  
二人の女がお互いの秘所を愛撫している光景が目に入る。  
お互いに腰をひくつかせ、小さな花弁を目一杯に指で広げ、そこに舌を滑り込ませている。  
舌だけでは物足りないのか、時折切なそうな喘ぎが聞こえる。  
男達が連なって部屋に入る。  
「調子はどうだ…と…聞くまでも無いようだな」  
一番乗りに部屋に入ってきたクレイマンは二人の様子を見て口元を歪ませる。  
声をかけられて、二人は初めて男の存在に気付く。  
「あぁ〜…また沢山お○ン○ンが来たよぉ〜」  
「本当だ…早く…早く突いておくれ。欲しくてたまらないんだ」  
二人は互いに舌による行為を終わらせ、這い縋るような目で男達の下半身を眺める。  
その姿はまるで雌犬そのものだった。  
 
「ふむ…なかなかいい出来具合だ」  
クレイマンはしゃがみ込みネルの顎に手を当て、自分の今までの行為を脳裏に過ぎらせ悦に入る。  
「そんな事より早く挿れて下さい…」  
クレアは縋るような目で男達の方に下半身を向け股を開く。  
「今…凄く…貴方達のを締め付けたいなって…思ってるの…。絶対気持ち良くしますから…」  
自分のヒクついた秘所を指で大きく開きアピールしてみるが、  
「ゴメンなさい。今はそんな事してる場合じゃないんだ」  
しゃがみ込んだフェイトが、人差し指で開かれた秘所を刺激する。  
「ん!あん…どうしてですかぁ…?」  
顔の筋肉の力が抜けたクレアの幼げな顔から、柔らかい喘ぎが漏れてくる。  
「これからちょっと移動するんですよ。貴方方には目的地に着くまで我慢しててもらいます」  
フェイトは指を抜き、その手でポケットからアイマスクを取り出し、クレアの顔に付ける。  
隣では既にクレイマンがネルにアイマスクを付け終わったところだった。  
「じゃ、逝きましょうか」  
 
ココに来てから初めて二人は二足歩行をした。  
目隠しに手錠、首輪に手綱と付けられていたが、なぜか二人は嬉しく思っていた。  
今まではずっと四つん這いで歩かされ、突かれていた。  
突然の扱いの変動と、予想だにしなかった別所への移動に、  
二人はこの祭が終わりに近づいて来ているのだろうと悟った。  
当初は終わりを告げる鐘が鳴り響くのを待ち続けて来たが、なぜか今では体が虚しく反応してしまう。  
股間の疼きには耐える事も無く、快楽の赴くままに自らを解放していた。  
 
広い空間に出た。目を塞がれていても風の吹き方、音の反響の仕方で感じ取った。  
「何処…?」  
クレアの口が恐る恐る開いた。  
「ただの広間ですよ。ただ、沢山人が入れるだけの、ね」  
 
後ろで話すフェイトの方からジャラジャラと、音が聞こえてくる。  
どうやら鎖のようだ。  
「なにするんですか?」  
クレアはこれから起こる事に胸を躍らせながら、体の火照りを陪乗させていく。  
「縛り上げるのさ。至極簡単な事だ。と言っても縛るのは手だけだがな」  
そう言うクレイマンの前には既に後ろ手に縛られているネルが居た。  
ネルもクレアも、目隠しされているため、お互いの姿は窺えないが何となくなら感じ取れた。  
「じゃあ目隠し取りますよ」  
フェイトの合図にクレイマンも頷いた。  
「1・2の・さ〜ん!!」  
ありきたりの掛け声と共に、二人の目隠しは取られた。すると、  
ウオオオオォォォオォォォオ!!!!  
ライトアップされた眼前は全裸の男達の海と化していた。  
それぞれが声を張り上げ、自分の欲望を口に出す。  
稚拙な言葉の螺旋がこの者達の低レベルさを物語っていた。  
「凄い…太いのが沢山…」  
ネルは思わず生唾を飲む。クレアもしかり。  
その光景を見てるだけで二人の体の疼きが強まり、股間の密林を濡らしていく。  
「どうかな?名残惜しいがこれが最後だからな。ちょっと情報を流したらネギしょった鴨が群がってきた。  
 それもこれもお前らの名前が売れすぎていると言う事なのだがな。くくく…  
 クリムゾンブレイドを犯せるなど、二度と無い好機だからな、中には妻と子供を売り払ってきた奴も  
 居るぐらいだ」  
クレイマンは良く回る舌で説明した後、懐から再び試験管を取り出した。  
「最後だからな、こいつはとっておきだ」  
二人の口に液体を流し込み、クレイマンは男の海の中に紛れていった。  
 
『ガガ、ピーー…あ…あ〜あ〜…んん…ゴホン!』  
手にマイクを握り締めながら、クリフが声の調子を確かめている。  
『あ〜お前ら…溜まってんだろ!!?』  
ウオオオォォォォォ!!  
クリフのマイクパフォーマンスが始まった。  
『どうせお前ら童貞なんだろ!?ヤル相手いねぇからって  
 金ちらつかせてハイエナみてぇに群がってきやがって。  
 お前ら聞くぞ!!この女犯したいんだろ!!?』  
ウゥオオオオォォォオオォォ!!!  
『だろ!?ビンビンだもんな、お前ぇら!!』  
オオオォォォォォオォォォ!!!  
『逝くぜ!!上玉の女を、犯したぁぁぁぁい!!!』  
犯したぁぁぁい!!  
『壊したぁぁぁぁい!!!』  
壊したぁぁぁい!!  
『無限に…逝って来ぉぉぉい!!!』  
ウオオオオォォォォォォォォ!!!  
その叫びと共に変態共は二人目掛けて突進していった。  
「あぁネルゥ…凄いわ…」  
「ほんと…。あれ全部に挿されるんだよ、たまらないよ」  
ネルが言葉を言い終えた直後に、最初の一人が到着し、宴が始まる  
 
「夢みてぇだぜ!天下のクリムゾンブレイド様に挿入できるなんてな!!」  
まず一本、太く硬直した物がネルの股に吸い込まれていった。  
「っふぁあああああぁあぁ!!!」  
媚薬の効果も相まって、ネルは一瞬でその快楽の虜になる。  
次第に二人、三人、四人と群がってくる。  
ある者は胸を握り締め、ある者はバックから挿入し、又ある者は体中を舐めまわしている。  
「ぁああぁあ!!凄い!もっともっと虐めておくれぇぇえ!!!」  
ネルの軽い体は男達によって持ち上げられ、そのまま廻されている。  
 
「良いよぉ!!太いのが沢山で…凄く幸せなのぉ!!」  
クレアは前と後ろ両方から攻められ、口にも爆弾を投下され、なお喜び悶えている。  
「こいつは凄ぇや!あのクレア様が俺のチ○ポ上手そうにしゃぶってやがる!  
 くぅぁ〜、最高だぜ!!」  
「んんむぅぅ!!」  
「ダメだぁ〜!!全部飲んでくれよ!!」  
「っむんぅぅ…プハァ…もっと!もっとお○ン○ン欲しいのぉ!!  
 いやらしい雌犬にもっとお○ン○ンちょうだいぃ!!」  
 
「んんぅ!!良いよぉ!!前も後ろも凄くブチュブチュされて  
 凄く気持ち良いよぉぉ!!!」  
「ダメ!!もっといっぱいくれないと満足できないわぁ!!」  
「あん!良い!!イク!イっちゃうぅ!!んはぁああぁぁあ!!!」  
「やっ!!凄い!!太いのがいっぱいで!!私もイっちゃうぅう!!!」  
 
二匹は時を忘れて全ての男達の贄になる。  
 
「ん…ここは…?」  
ネルが目を覚ました。  
見覚えのある場所。何処までも続く一本の街道。ここは自分達が捕まった場所だと  
気付くのに時間は掛からなかった。  
「ここって…あそこよね…?」  
クレアも目を覚ました。  
「夢…だったの…?」  
クレアは寝ぼけ顔で首を傾げた。  
「!! 夢じゃないよ…」  
ネルが答える。立ち上がろうとした時、足の力が抜けていくのを感じたためである。  
「そうよね…。夢じゃ詰まんないわ。だって…まだ体が疼くんだもの」  
「私もさ。…責任とらせに行こうか」  
二人は足を引きづりながら、街道を歩いていく。 
 
「ここか……」  
吹き荒ぶ風の中、男は大屋敷の門前で立ち尽くす。  
「…行くか」  
男は力強く大門を押し開き、中へと入っていった。  
 
after…  
 
「ん…ヌチャ…」  
シランドまでの道中、二人は何度も唇を重ね、下半身を擦り合わせた。  
普通に歩いても丸二日は掛かるであろう道程を超低速で進む二人は道中、何度も高潮していた。  
「はぁ…」  
二人の舌が唾の糸で結ばれている。  
離れた唇を再び繋ぎ合わせ、それに合わせてお互いの胸を揉み合う。  
「あっ…良い…の…」  
あれ以降の二人の体は熱しやすく終わりやすい、という様になっていた。  
二人はここで一旦行為を終え、再び歩き始める。  
「…あいつら見つけたら…何してやろうか…?」  
ネルがクレアに訊ねる。  
「そうね…とりあえず、勘弁してって言うまで止めさせてあげないわ」  
「それは当然の事だろ?」  
「ふふ、タンパク質抜き取ってあげるわ」  
陰魔の笑みを浮かべながら、二人は足を前に運ぶ。  
 
半日歩き、二人は見慣れた道に出た。  
カルサアとアリアスを結ぶ、国境を含む道。二人は底知れぬ安心感と激しい性欲に見舞われた。  
「多分…もう少しであいつら見つかると思うよ…。私の勘は良く当たるんだ」  
その言葉を半信半疑にクレアは辺りを見回してみた。  
「……誰もいないわ」  
「すぐに見つかるなんて誰が言った?」  
「私が」  
「何時?」  
「…今」  
クレアが遠くを眺め、そして指を指す。  
指の先200m辺りの場所に、青い髪を靡かせて走ってくる男の姿が見えた。  
「あれは…。私の勘はやはり当たるね」  
ネルは頭を掻きながらほくそ笑む。  
「丁度こっちに向かって来てくれてるみたいだし…探す手間が省けたわね」  
二人はニヤニヤと口元をゆがめながらその場で立ち止まった。  
 
「ハァ…ハァ…」  
フェイトが息を切らしながら走っている。  
辺りをキョロキョロと見回しながら走る姿は一言で怪しいと言えよう。  
「二人とも…何処行ったんだ?一週間も音沙汰なしなんて…」  
同じ一人事を繰り返しながら、フェイトは昨日から走り続けていた。  
「二人に限って…まさか…」  
考えたくない事が頭を過ぎり、フェイトは頭を横に振り雑念を取り払おうとする。  
「信じなきゃ始まらないよな!」  
頭をスッキリさせてフェイトが顔を上げると、坂の上に二人の女性が佇んでいるのが目に入った。  
一人は紅、もう一人は銀の髪を持っており、一目で誰だか分かった。  
「ネル!クレアさん!やっと見つけました!!」  
フェイトは全速力で坂を駆け上り二人の目の前で足を止める。  
顔筋を伝る汗を服で拭き、手を膝に当て前かがみになって体を休めている。  
「二人とも…何処行ってたんですか…?探したんですよ」  
「探す?何言ってんだい。私達とあんた達はずっと一緒に居たじゃないか」  
フェイトの言葉にネルは首を傾げた。  
「は?一緒に居たって?居るわけ無いじゃないですか。それに僕達って…」  
「誤魔化したって無駄ですよ。私達の体がちゃぁんと覚えてるんだから」  
そう言うとクレアはフェイトの体をその場に押し倒した。  
そして倒れこんだフェイトの上に跨り、ナニをズボン越しに擦る。  
「ぅぁ…っ。ど、どうしたんですか!?止めて下さいよ!!」  
突然の事態に戸惑う事しか出来ないフェイトだったがとりあえず口先だけでも停止させようとした、が、  
「私達をこんなにしたのは…あんたじゃないか」  
叫びつづけるフェイトの口を塞ぐかのように、ネルの柔らかい唇が重なる。  
「!!!」  
フェイトは声に為らない叫びをあげる。  
「そうよ。責任…取らせてあげるんだから」  
クレアはフェイトのズボンをゆっくりと脱がし始めた。  
そしてトランクスも一緒に捨て去り、出てきたいちもつを口の奥深くまで、ゆっくりと沈めさせて行く。  
 
根元を握り、自分の顔を上下させナニを上手に刺激する。  
「ふふ、またこんなに大きくさせちゃって…」  
クレアは一旦口を離し、先端の皮剥けの部分を指で弾く。  
「節操無しですね」  
再び口を大きく開き、今度は素早く出し入れさせる。  
「あっ…ダメだ!出るっ!!」  
フェイトは渾身の力を込め体を振り、クレアとネルを自分の周りから引き離し、それと同時に射精した。  
体を振っていたため、おかげで辺り一面が白い液溜まりが出来ていた。  
「ハァ…ハァ…ハァ…」  
「あ〜あ、勿体無いことするな、フェイトは」  
フェイトの体から離されたネルは、自分の体にかかった濁液を舌でペロリと舐める。  
「言っとくけど、休みは無いよ」  
ネルは一瞬でフェイトの真横に座り、お互いの衣服を切り裂いた。  
「な、何してるんだネル!!?」  
「見ての通りさ」  
ネルは地べたに倒れるフェイトの顔の上に、自分の股間が来るような  
微調整を繰り返した後、腰を下ろした。  
「んんぅ!!?」  
「ぁあ…フェイトの鼻息…ゾクゾクするよ…」  
ネルは自分の下半身を走る衝撃に悦っていた。  
抵抗を見せて居たフェイトだったが理性とは裏腹に体が勝手に動いてしまった。  
頭で止めようとしても、勝手に舌が出てしまう。飛び出た舌はそのまま昇り、  
ネルの秘所へと入っていく。  
 
「ふぁっ…んぅ…そこ、良い…!」  
ネルは体を垂直に保ったまま、快楽にふける。  
「ネルばかりはずるいわよ」  
クレアもいつの間にか服を脱いでおり、参戦してきた。  
ネルとは逆に、フェイトの下半身辺りに目標を定めた。  
そそり立つフェイトのナニを握り締め、自分の物と結合させた後、腰をゆっくりと下ろしていった。  
「んんぅ!!良いわぁ!!いつやっても最高に気持ち良いのぉ!!」  
「ン…はぁ…ピチャピチャ」  
フェイトはネルの尻を揉みながら丹念にネルの秘所を舐め上げる。  
「あふぅ…き、気持ち良いよぉ!!」  
その隣ではクレアが自らピストン運動を繰りかえしていた  
「凄いよぉ、フェイトさんのペ○スが私の中にジュブジュブ入ってくのぉ!!」  
 
「くくく…」  
机の上に積み上げられた大量の札束を眺めながら、クレイマンはおかしそうに笑っている。  
「私はやはり頭が良い。実に愉快だ…」  
クレイマンが顔を手で覆いながら笑っていると、  
「……何が愉快だって?」  
ドゴォ!!  
ドアが吹き飛び、クレイマンの頬をかすめる。  
クレイマンはしばらく唖然としていたが、  
「何が愉快かって聞いたんだよ!」  
「き…貴様は…アルベル=ノックス!?」  
扉の向こうに立っていたのは刀を構えたアルベルだった。  
「ふん、女二人を見つけて来てくれとお偉いさんに頼まれたんでな…。 …ほぉ……」  
アルベルは辺りを見回し、微笑する。  
「こんな陰気な部屋で自慢のお人形と一緒に女遊びか…良い御身分じゃねぇか、クレイマンよぉ…!!」  
「な…何故俺の事を…!?」  
「阿呆、漆黒団長の俺が貴様の事を知らぬとでも思ったか?てめぇの事ならよく知ってるぜ。  
 年齢27、出生地アーリグリフ城下町、餓鬼の頃から小動物虐待の理由で異端審問官に目をつけられてたな。  
 そして昨年、戦争のゴタゴタに紛れて違法にも国を飛び出した。ふん、野垂れ死んでいれば良かったものを。  
 クレイマンと言うのは正式名称じゃねぇな?確かてめぇは国内きっての肉粘土の人形師だったな。  
 それで一部の熱狂的な奴らから粘土男という意味でクレイマンと呼ばれ始めた…だろ、クソ虫?」  
アルベルは前もって憶えといていたかの様にすらすらと言いのける。  
「…俺の事を良く知っているようだが…俺に何の用なんだ?」   
「惚けてんじゃねぇ、クソ虫が!…同盟国の要人に手を出した。貴様は国家反逆罪その他諸々に問われている。  
 ったく、ココまで嗅ぎ付けるのに苦労したぜ。この場所知ってる奴なんか一人もいなかったからなぁ」  
アルベルはクレイマンの隣に立ち並ぶ三人、いや、三体を見据え、微笑した。  
「ほう…外見はなかなか上手く出来ているなぁ…」  
「そうだろ。ゴッドハンドとでも呼んでくれ」  
 
クレイマンは目一杯虚勢を張って見せるが、  
「クソ虫が!何が神の手だ?神と外道をはき違えるんじゃねぇ!!  
 俺は神や仏みてぇな、くだらねぇ脆弱な阿呆どもが作り出した精神論は信じねぇが、  
 てめぇみてぇなクソ虫とは月と鼈程の違いがある事ぐらい知ってるぜ!!」  
アルベルは顔に太い血管を浮かび上がらせながら一歩ずつ歩み寄る。  
足を前に出す度に襲い掛かる極度なまでのプレッシャー、この空間に居るだけで魂を根こそぎ  
奪われてしまいそうな恐怖感、全てがアルベルの怒り具合と恐ろしさを物語っていた。  
『くっ…何だこの重圧感は?これが…これがあのヴォックスと対等とまで言われた  
 『歪みのアルベル』か……?』  
空間が揺れている。亀裂の入っている壁は音を立てて剥がれ始めた。  
右手に持たれたカタナからは恐ろしいまでのオーラが窺えた。  
殺られる!クレイマンの動物的本能が生命の危険を感じた。  
「ちッ…殺れ!てめぇら!!」  
命令を受けた三匹はアルベルに飛びかかるが、  
「…こんな土人形如きで俺を倒せるとでも思ったか?」  
一閃。アルベルの義手と刀がフェイトとクリフを切り裂く。  
斬られた二匹は、土の塊となりボロボロと崩れ去っていった。  
「いくら形が似てようが、所詮ただの木偶人形か…」  
残ったアルベル?がアルベルに飛びかかってくる。  
「コピーがオリジナルに勝てる訳ねぇだろ…!」  
アルベルは握り締めた拳で人形の顔を吹き飛ばす。  
「ふっ…。自分を殺すってのも悪かねぇな」  
「ちぃっ!!」  
手下を全て失ったクレイマンは、右手を何やら動かし始めたが、  
「おっと」  
アルベルの刀が一瞬の内にクレイマンの右腕を切り落とした。  
 
「ぎにゃぁぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!!」  
激しい痛みに襲われ、クレイマンは地面を転げまわる。  
その隣にある、無残にも切り捨てられた右腕が生々しかった。  
「確か、この右手で創られた土人形は意志を持ち、イメージした人間クリソツに出来上がるんだろ?  
 少々厄介だが、つまりその癖の悪い手さえ切り落としゃあ、てめぇはクソ虫以下のクソ虫、  
キング・オブ・クソ虫って訳だ。よくよく考えてみれば、貴様は自分で作った人形に話し掛けていた  
 って言う事だろ?こいつは傑作だ!そんなんだから審問官に目ぇつけられるんだ。お人形ごっこは  
 ガキの遊びだぜ、阿呆?」  
そう、ココに居たフェイトもクリフもアルベル、全てはクレイマンが創り上げた虚像物に過ぎなかった。  
逆に言えばネルもクレアも人形ごときに快楽を求めていたという事。本人が知れば  
どれだけプライドが傷つけられる事か。いや、どちらにしても既に手遅れである。  
床を転げまわるクレイマンの腹を右足で踏みつけ、鼻先に刀を突き付ける。  
「おい、女はどうした?何処に居る?」  
「…んだよ…」  
「あ?何だって?」  
よく聞き取れなかったアルベルが聞き直すと、  
「遅かったなぁって言ったんだよ!!!」  
アルベルが一発腹に蹴りを入れ、さらに問いただす  
 
「どういう意味だ?」  
「ココにあの二人は居ねぇよ…。更に言えば、ゼルファーとラーズバードって女自体この世には居やしねぇ」  
「この世には居ねぇって…まさか殺しやがったのか!?」  
「俺は女には手をかけねぇ主義なんだ…そういう事じゃねぇ…」  
「じゃぁどういう意味だ?言ってみろ」  
「知りたいか?はぁっはっはっはっはっはぁ!!!」  
クレイマンの生意気な態度にアルベルが切れた。死んでいないのならば問題ないと判断し、  
鼻先に当てた刀を深く差し込む。仮面は真っ二つに割れ、そこからはおぞましい形相が見えた。  
今際の際まで叫びし、腐り果てた口は二度と開く事は無かった。  
「ちっ…胸糞悪いぜ」  
アルベルはカタナを引き抜き、付いた血を振り払い、鞘に収め部屋を後にする。  
『ククク…あいつらはな……既に…』  
 
「ぁあ!!イク!!フェイトの舌が!!イクぅぅ!!」  
「あぁん!!いい!!私の奥に!フェイトさんのがぶつかって!気持ち良い!!イク!イっちゃうぅぅ!!」  
「っぁあ…!出る!」  
「ふぁあ!!出して!!フェイトさんのいっぱい出してぇ!!」  
「んぁああ!!次は!私の番だからねぇ!!」  
三人は絶頂を越え、激しく漏叫し合った。  
「「「あああああぁああぁぁぁぁ!!!」」」  
宴は何時までも続く  
 
『・・・・・・ただの…雌犬だ……』 

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