朝日が昇り、一日が始まる。
シランドの客間を貸してもらい、そこで休憩を取った
フェイトは、小鳥のさえずりと、窓から漏れるまぶしい光で目を覚ました。
「ふぅ・・・」
フェイトはダルそうに体を起こし、ベッドのそばにあるイスに座り、
紅茶を淹れると、窓の外を眺めた。
「おはようございます。フェイトさん」
ドアの開く音ともに、燐とした声が聞こえた。
「おはようございます。ミラージュさん」
フェイトは、カップを置き、立ち上がると、その声の主のほうに振り返った。
「昨晩はよく眠れましたか?」
ミラージュが笑顔で尋ねると、
「ああ・・・なんとか・・・ね」
なぜか、フェイトの声の調子が落ちた。
ミラージュは、やはり、と思うと昨日の出来事を思い出した。
アーリグリフとの全面戦争で、技術者ディオンとともに、
アリアス近辺の戦場に向かったフェイト達。
シーハーツ軍の総司令官を務めるクレアから
敵司令官、すなわち疾風軍団長ヴォックスを倒す役目を受けたフェイトは、
期待通り、ヴォックスと対等に渡り合っていたが、
突如現れたバンテーン艦の出現により、目の前のヴォックスを含め、
両軍に数え切れないほどの死傷者が出た。
そして、施術兵器による後方支援の指揮にあたっていたディオンも、
バンテーン艦の閃光を浴び、倒れてしまった。
ディオンの様態が思わしくないと聞かされたフェイトは、
彼のために、無理をしてシランドまで来ていたアミーナを彼に合わせたが、
ディオンは息を引き取り、さらに彼を追うように、アミーナも2度と目を覚ます
ことはなかった。
彼らに、自分とソフィアを重ねていたフェイトは、この出来事に深く傷ついていた。
そして、クリフ達に彼らの目的が自分だと知らされると、
悔しさで胸がいっぱいになっていた。
「ミラージュさん・・・やはり、僕なんかがいるから・・・」
フェイトが悔しさをこらえるように言った。
ミラージュの予想通り、フェイトの心のなかはまだ昨日のことでいっぱいだった。
「フェイトさん、そんなに自分を責めるものではありません。
バンテーンはたしかにあなたを追ってましたが、
それはあなたの責任ではないのです。」
ミラージュが優しくあやす様に言ったが、フェイトは気持ちをかみ締めるように、
「でも!でも!僕がここに来たから・・・
僕がここに来たから、二人をあんな目に・・・
いや、二人だけじゃない。大勢の人間を死に追いやってしまった。
みんな僕が殺したようなものだ!」
と、怒鳴り散らした。ミラージュにあたっても、彼女は悪くないし、
どうしようもないことはわかっている。
さらには、彼女を含め、みんな自分を慰めているのもわかっていた。
しかし、フェイトは自分が許せなかった。
「フェイトさん・・・」
「くそ!僕なんて、とっととつかまればよかったんだ!!」
フェイトが怒りに任せ、そう叫ぶと、
パシン!!
乾いた音が、部屋の中に響いた。
「ミ、ミラージュさん・・・」
赤くなった頬を押さえ、ミラージュの顔をみると、
彼女は珍しく怒っていた。
「本気でそう思っているんですか?」
「え・・・」
「フェイトさん。あなたはここに来る前に、様々な人の助力があったのを
お忘れですか?」
フェイトの頭に記憶がよみがえる。ハイダを脱出する際、自ら囮になった父。
バンテーンからの戦火から逃すため、自分達の命を犠牲にしてまで
逃してくれた輸送艦の船長達・・・。
自分のために多くの命が失われたのを思い出した。
「あ・・・」
「あなたがここまで生きているのは、自分を犠牲にしてまで、
あなたに生きて欲しいと思ってくれた人たちがいるからです。
今、バンテーンに進んで捕まるということは、彼らの気持ちを
無駄にすることになるんですよ?」
「そうか・・・そう、だったね」
「それに、あなたの父も、幼馴染も彼らに捕らわれているのです。
それを救出するという目的に、今日までがんばったこともすべて無駄に
なるんですよ?」
ミラージュに怒られ、フェイトは自分がとんでもないことを平気で
言っていたことを後悔した。
「ごめん・・・僕が間違っていた。ミラージュさんの言うとおり、
僕は自分のために犠牲になった人の分まで、がんばらなきゃいかないとね」
フェイトのその言葉を聞くと、ミラージュは優しい笑みをうかべ、
ゆっくり頷いた。しかし、
「でも、やはり、ディオン達のことはまだやりきれないんだ・・・
今もこうしている間に、彼らになにをされているかわからないし・・・」
フェイトは再びうつむいてしまった。さっき、がんばろうと誓ったばかりなのに、
やはり少年が背負うには悲しい出来事が重なりすぎた。
「フェイトさん・・・」
ミラージュは歩み寄り、そんな彼を自分の胸に抱き寄せた
「ミ、ミラージュさん!!」
フェイトは顔が真っ赤になった。
彼女からは、大人の香りがした。
「わかってます。
私だってあなたの立場だったら、なかなか立ち直れないでしょう」
そういうと、フェイトの頭を優しくなでた。
「あなたのその悲しみを、私が少しでも軽くできるといいのですが・・・」
フェイトは、彼女の胸の中で、気持ちが安らいでいった。
はじめて彼女に会ったとき、ミラージュの大人の魅力にフェイトは憧れ、
それをクリフに気づかれ、冷やかされたことを思い出す。
(やはり、ミラージュさんって素敵な人だな・・・)
フェイトがそう考えると、いまこうされている状況がものすごく恥ずかしいものに
感じ、ますます顔が赤くなった。
「あ、フェイトさん・・・」
ミラージュがやや困惑した顔で、下を向いた。
「あ・・・!」
フェイトは、自分の股間が興奮で大きくなり、
自分を抱きしめていた、彼女の足にあたっていたことに気づいた。
「す、すみません。あの・・・そんなつもりじゃないんですが、その・・・」
フェイトが慌てて、彼女から体を離そうとすると、
ミラージュはそんなフェイトを、さらに自分に抱き寄せた。
「いいんですよ・・・無理して自分の感情を抑えなくても」
「それって・・・」
フェイトが顔をあげると、ミラージュはにっこり微笑んだ。
「フェイトさんが、私を抱きたいのであれば、私は構いません」
「しかし・・・」
フェイトが反対する前に、ミラージュがその口をふさいだ。
ミラージュの顔も、やや朱色に染まっていて、
恋人と過ごすときのように穏やかな優しい表情をしていた。
「ミラージュさん・・・本当にいいんですね?」
フェイトが改めて確認を取ると、ミラージュは頷いた。
「ええ。フェイトさん、それでフェイトさんの悲しみが拭えるのなら・・・」
二人はもう一度、熱い口付けを交わした。
ミラージュをベッドに寝かせると、フェイトは彼女の全身を
ゆっくり眺めた。整った顔立ち・・・成熟した女性の体つき・・・
そして、その体の美しさを引きたたせるような、きめ細かいブロンドの長い髪・・・
ソフィアはもちろんのこと、ネルやクレアとも違う、
大人の魅力が全身からあふれ出ていた。
「それじゃ、脱がしますね?」
フェイトが確認をとると、ゆっくり彼女の服を脱がしていく。
すべてを脱がし終わると、服に中に隠れていた彼女の生まれたままの姿が
露わになった。
フェイトが思わず、ため息を漏らす。
服を着ていたときも、彼女のプロポーションは、自分が持っている
写真集のアイドル並み、いやそれ以上のものだったのだが、
改めてこうしてみると、まさに天が与えし至宝のごとし、である。
「そんなに見つめないでください・・・さすがに恥ずかしいです」
ミラージュが頬を染めて、顔を背けるように言うと、フェイトは頭を掻いた。
その恥らった表情もフェイトにとって、いや、どんな男達にとっても、
痺れるくらい魅力的だった。
「いや、その・・・想像以上に綺麗だったから・・・」
フェイトが照れながら、そう言うと、彼女のきれいな胸を手で壊れ物を扱うように、
優しく揉み始めた。
「あ・・・」
「気持ちいい?ミラージュさん・・・」
「ええ・・・フェイトさんって・・・うまいんですね・・・」
ミラージュから甘いため息が漏れる。それにそそられたフェイトは、
褒められたこともあり、気分をよくして片方の乳首に口をつけた。
「ああ・・・あん・・・いい・・わ・・・」
すでに、大きくなっている突起を舌でこね回し、口で吸ったりしていると、
ミラージュからうれしそうな悲鳴が漏れる。
フェイトさらに胸への刺激を強めた。
「ああん、あ、あ、フェイトさぁん?」
ミラージュが与えられる刺激に酔いしれていたが、
自分はフェイトを慰めるために抱かれていることを思い出し、
自分を抱いている男性に呼びかけた。
「なに?ミラージュさん」
それを聞き、胸から口を離し、フェイトが尋ねると、
「私ばかり、気持ちいいのでは申し訳ないので、フェイトさんのほうを
気持ちよくしてあげたいのですが・・・」
フェイトはミラージュの言葉を理解すると、つばを飲んだ。
憧れのミラージュが、自分のものを口にいれる、そう考えただけでも、
自身が暴走しそうになる。フェイトは喜んでその言葉をうけいれた。
今度はミラージュが上になり、フェイトとは逆の方向を向いた。
ミラージュがフェイトの肥大化したそれを軽く手に取り、
先端から付け根まで、観察するようにゆっくりと眺めた。
「フェイトさんのって、意外と大きいんですね」
嬉しそうにため息を漏らすと、それを口に咥えた。
「あっ!」
フェイトは、始めて感じる女性の口から受ける刺激に、
いきなり射精をしてしまいそうになった。
ミラージュのフェラはとてもうまかった。手の使い方や舌の使い方も、
フェイトが感じやすいようにやってくれる。
さらに、彼女のたてる音がフェイトを淫らな気分にさせる。
じゅく・・・ちゅぱ・・じゅぱ・・・
「ああ、ミラージュさん・・・すごくいいです・・・」
フェイトが、快感に身を委ねていると、眼前に金色の毛に覆われた
彼女の秘所があることにきづいた。
(これが、ミラージュさんの・・・)
そう認識すると、いてもたってもいられず、そこを指で広げ、舌を割り込ませた。
「あ!フェ、フェイトさん!!」
股間にいきなり刺激を受け、思わずフェイトのペニスから口を離し、
彼のほうに振り返るミラージュ。
そんなことを気にもせず、目の前の秘所をむさぼるフェイト。
(ああ、なんていいにおい。それでいて、なんておいしいんだ・・・)
フェイトはミラージュの味をさらに求めるように、舌を激しく動かした。
「ふふ・・・あん・・・初々しいですね・・・あぁ・・・
じゃあ、口で・・・イカせてあげますね・・・」
ミラージュは、子供のように自分のアソコをしゃぶるフェイトの刺激を受けて、
目をトロンとさせ、欲情に満ちた顔になると、再びフェイトのものを咥えた。
69の体勢でお互いを刺激しあう二人。
やがて、フェイトは刺激に耐え切れず、自身に何かがせりあがってくる感じがした。
そして、
「うっ!」
フェイトの顔がミラージュの秘所から離れ、自身のモノに全神経が集中し、、
ミラージュの口に、子種を放った。
ミラージュは口に出されたものをすべて飲み干すと、
再び、フェイトと同じ向きに戻り、フェイトの頬をなでて、
「溜まっていたのですね・・・結構すごかったです。
でも、とてもおいしかった・・・」
優しく語りかけると、フェイトは眼前の憧れの人の魅惑の体と、
その誘惑するような口調に欲情し、自身のモノをまた大きくさせた。
「やはり、若いのですね・・・またこんなになるなんて・・・」
ミラージュが後ろ目でそれを確認すると、
フェイトのものを優しく手でなでた。
「では、こんどはこちらに・・」
そして、フェイトのものを手で固定し、自ら上から体を沈ませていった。
「!!」
フェイトは、徐々に入っていくたびに、ミラージュの中が締め付けてくるので、
思わず、顔をこわばらせた。最奥まで入りきったあと
「フェイトさん・・・わたしが気持ちよくさせてあげますから・・・」
ミラージュがそう言うと、両手をフェイトの腹に乗せ、バランスをとりながら、
体を上下に動かしだした。
じゅぷ・・・じゅぷ・・・じゅぷ・・・
先ほどの69で、ミラージュのあそこも十分に濡れ、
擦りあうたびに、いやらしい水音が部屋に響く。
「あく・・・ミラージュさん・・・すごく気持ちいい・・・」
「私もです・・・あ・・・こんなに・・・あん・・・気持ちいいだなんて」
お互い、行為に激しい快感を得、目を潤ませながら、甘く切ない声を出していた。
「ああ、こんなんじゃあ、すぐまたイッちゃうよ」
フェイトがあまりの気持ちよさに弱音を吐くと、
「フェイトさん、だめですよ。あはぁ・・・いっしょに・・・うぅん・・・
イキましょ?」
ミラージュがフェイトの手をつかみ、自分の胸に添えた。
フェイトはその意味を解すると、ミラージュの胸を激しく揉んだ。
「ああ、すごく・・・いい!すごく・・・気持ちいいです!」
ミラージュから歓喜の声があがる。
ミラージュは体を上下に動かしながら、左手で肥大した自分の敏感な豆も
刺激する。
「ああ・・・フェイトさん・・・はぁはぁ・・・わたしもそろそろ・・・」
「ミラージュさん!ミラージュさーん!!」
胸から彼女の腰に手を移し、フェイトも叩きつけるように腰を動かした。
「あ、あ、あ、あ、あ」
「ミラージュさん!出る!」
「いいですよ・・・中に・・・中にぃぃ!!」
「うくっ!!」
フェイトの先端から、再び熱い塊が出される。
「あああああああああ!!」
ミラージュもそれを受け、体を大きくのけぞらせ、快楽の終焉の叫びをあげた。
「ミラージュさん、本当によかったんですか?」
行為を終え、はだかのまま、なかよく同じ布団に入っている二人。
「ええ。フェイトさんが相手なら、わたしは構いません。
それに、あなたの姉の代わりになれるのなら、それでいいのです」
(姉か・・・)
フェイトは、想像してみた。
こんな姉がいたら、自分の欲情が収まらなく、毎日大変だろうなと、
思わず笑った。
「ありがとう。ミラージュさんのおかげですこし楽になったよ」
「特に何もしていない私が、お役に立てて、うれしいです。
これからも、つらいことがあったら、また慰めてあげますから」
とミラージュがフェイトに口付けをすると、やや照れた表情で、フェイトが
「できれば・・・つらいことがないときでも、またしたいな・・・」
そうつぶやくと、
「ほんと、えっちなんですね?フェイトさんは」
ミラージュはふふふと笑った。
その夜、ミラージュはクリフに呼び出され、彼の部屋へと向かった。
「珍しいですね。こんな時間に呼び出すなんて」
ミラージュが近くにあったイスに座る。
「ああ、昨日頼んだフェイトのことなんだが・・・」
持っていた酒を一口含むと、クリフが真剣な表情で切り出す。
仲間思いなクリフは、ミラージュに彼のメンタルケアを依頼していた。
「ええ、なんとか。これで少しは立ち直れたはずです」
クリフはミラージュの報告に、ふーんと頷くと、
なにか普段と違う彼女の様子に気づいた。
「・・・あいつと寝たな」
「!!」
ミラージュは驚いた。できれば、彼、恋人に近い関係であったクリフに、
このことは伏せて起きたかったが、彼のおそろしいほどの鋭い勘が、
それを探り当ててしまった。下手に隠してもかえって火に油を注ぐだけ、
と悟ったミラージュは、黙って頷いた。
「ごめんなさい・・・でも、あのときはこうするしかなかったの」
ミラージュが謝ると、
クリフはふーっと息をつき、また酒を飲み、頭を掻くと、
「わかった・・・仕事ごくろうさん。じゃあな」
とやや冷たい口調で彼女を追い出そうとした。
「クリフ!待って!」
慌ててクリフの腕をつかむミラージュ。
「慰めろ、とは言ったが、そこまでしろとは言っていない。
おまえ自身、フェイトに抱かれたかったんじゃないのか?」
やや怒気をこめて、クリフがミラージュに怒鳴る。
「ごめんなさい・・・でも、あれしかなかったのよ・・・」
ミラージュの目から一筋の涙が頬を伝う。
滅多に見せないミラージュの涙に、クリフもさすがに
自分がやや感情的になって、言い過ぎたことを反省したが、
「すまない・・・お前が一生懸命やってくれて、それでおもわず、
アイツの境遇に同情して、なんとか悲しみを取り払ってやろうとしたことは
わかっている。それで、フェイトが自分を抱くことで、再び前に進めるだろうと
思ったこともな。わかっている。わかっているんだが・・・。
すまない。気持ちの整理がつかないんだ・・・悪いが今日は引き取ってくれ」
頭を手で押さえながら首を横に振り、唇を震わせながら言うと、
クリフはそのまま下を向いてしまった。
クリフは、人間一人の力の無さを知っている。それゆえ、今回の件は、
ミラージュが純粋にフェイトの力になりたいと思った結果だとも気づいていた。
しかし、彼女がフェイトに抱かれるのだけは、どうしてもやりきれなかった。
ミラージュは、そんな彼の心情を知ってか、うつむいたまま、
だまって彼の部屋を後にした。
「すまない、ミラージュ。俺は・・・わかっているんだが・・・俺は・・・」
彼女が立ち去った部屋で、クリフは置いてあった酒を一気に飲み干すと、
机に伏し、涙を流した。