「陛下!そのようなことを勝手に決められては困ります!」
「黙りなさいラッセル」
「しかし!」
「黙りなさいと言っているのです」
異世界の人間が来てから、ラッセルは陛下に怒られることが多くなった。
それまでは、自分の助言をよく聞いてくれ、それを政治・経済・軍事に
活用してくれたのだが、今では陛下自身が勝手に決めてしまい、
自分が文句を言うと、
「黙りなさいラッセル」
というキツイお言葉が速攻返ってくる。
「なぜ今まで陛下に尽くしてきた私が、ないがしろにされなければならんのだ!」
ラッセルは、謁見の間をあとにすると、愚痴をこぼした。
自負心の強いラッセルにとって、自分の意見を無視されるのは、
自分の存在を無視されるものと同じであった。
今日も、異世界の技術者が星の船の撃退作戦を行うため、それの一端を担う、
休戦状態の敵国アーリグリフの疾風の残存勢力に、食料と水の援助を要請され、
自分の反対に構わず、二つ返事でそれを了承してしまった。
ヅカヅカと、明らかに怒っている態度で、廊下を早足で歩くラッセル。
すれ違う人も、もともと口うるさいラッセルが、機嫌が悪いので、
なにを言われるのかわからない、とそそくさと彼から離れようとする。
自分が避けられてるとわかり、ますます怒りがこみ上げてくるラッセルであった。
「ま〜たっく、またラッセルちゃんたら、カリカリしてるわね〜」
施術兵器開発室にいたエレナは、開けっ放しだったドアから彼の姿を見かけると、
また陛下と喧嘩でもしたのかしら、と笑っていた。
「くそ!面白くない!」
ラッセルが自分の部屋のドアを乱暴に開けると、
「おお!ラッセルではないか!」
部屋には、杖をついた老人がいた。
なんだこのじじいは?とラッセルは思ったが、その姿に見覚えがあった。
「ほほほ、まさかわしを忘れたのではあるまいな?」
老人が長いしろひげをなでながら笑う。
(ん、この癖はまさか!)
自分は先ほど、この老人を心の中でとはいえ、ジジイ呼ばわりしたことを悔いた。
「アンサラー先生!!」
「おお!覚えてくれたか!」
その老人と再会を祝うように抱き合う。
「先生、お元気そうで」
「ほほほ・・・おぬしもずいぶん偉くなったものだな。
3ヶ月通い続けて、ようやく会えたわい・・・」
それを聞いて、ラッセルは思い出した。執務室で仕事をしているとき、
毎日のように自分を訪問する老人がいたことを。
「先生・・・せめて名前を出してくれれば、予約なしで会いに行きましたのに」
「ほほほ・・・わしは隠居の身。自分の名前の力なぞ残っておらんよ」
アンサラーは笑って言ったが、彼の名前の力がないのはうそである。
伝説の施術士アンサラー。シーハーツの歴史でも、類稀な知識と能力を持ち、
現在のトップクラスである、クリムゾンブレイドの双剣、クレアやネルでさえも
なれない、『マスター』の称号を持っている。
当然、そんな偉大な彼の名前に力がないはずないのだ。
彼は自分の名前の力を使うという行為が嫌いだったので、そう答えたのだった。
「しかし、お主も偉くなったものだ・・・今ではこの国の最高職に就いているとは
思わなんだ。」
「は、これも先生のおかげです」
ラッセルは10年前のことを思い出した。
10年前、前女王シーハート26世の御存命のときであった。
城仕えを始めた彼は、主に書類整理などの雑用が主な仕事だった。
しかし、仕事をする一方、彼は図書室で自らの知識を磨き、
その才は、城の中でもひときわ目立っていた。
しかし、名家の出身ではない彼は、たとえ才能があっても重用されず、
もともと出世欲の強いラッセルは内心、不満だった。
しかし、彼の才能を見出し、自分にさらに深い学問を教えてくださったのが、
シランドにたまたま様子を見に来た、アンサラーであった。そして、彼の才能を認め、
彼を政治部門の最高職である、アドミニストリーの就任の手助けをした。
当時の人から考えれば、まだ若く、無名の家の彼のここまでの昇進は、
にわかに信じられないものであった。
「そういえば、あのときじゃったかのう・・・」
アンサラーが上を向いて、ひげを弄りながら、考えごとをしている。
「先生、何のことです?」
「いやいや、お主とロメリア様の出会いじゃよ」
アドミニストリーに任ぜられ、大いに喜んだ彼は、その任を着実にこなした。
ある日、彼が自室で予算案の編成を組んでいると、部屋の扉が開いた。
だれだ!人の部屋にはいるときはノックぐらいしろ!」
仕事をしたまま、ドアを開けた人物に怒鳴ると、
「ごめんなさい・・・」
予想外に、返ってきた声は、若い女の声であった。
振り返ると、見たところ20代かその前後の女性であった。
年齢にそぐわず、その顔立ちや立ち方からは、神秘的なものがあった。
「あの、ラッセルという人がここにいるって聞いたものですから、それで・・・」
政治最高職であり、さらに年齢も自分の方が年上なのにもかかわらず、
丁寧語は使うものの、敬語を使わない彼女に腹が立った。
「キミ!!」
「は、はい。なんでしょう」
突然呼ばれて、びっくりする彼女。
「仮にも私はこの国の政治最高職、それに年齢もキミより上。言葉に気をつけたまえ!」
ラッセルはしかりつけたが、その女性はくすくす笑っていた。
「うふふ、エレナの言ったとおり、細かいことにうるさい人ですね」
彼女から出た「エレナ」という名前を聞いて、あの女め!余計なことを!と
その場にいない女性に怒りを現すラッセル。
「それに、わたしのほうが偉いのですから、あなたのほうが敬語を使うはずですよ?」
はぁ?という表情をするラッセル。この娘は電波でも飛んでいるのか?
「ほぉ・・・わたしよりも偉いというなら、お前は何様だ?」
「王女のロメリアですよ、ラッセル」
にこにこしながら即答する彼女。
なにをほざいているんだと思ったが、ふと思い出す。
現女王には一人娘がいて、次期後継者となるその娘の名がたしか______
「し、失礼いたしました!」
慌てて敬礼をするラッセル。それを見て、またロメリアは笑った。
「うふふ・・・あなたって面白いのですね」
「そ、そんなからかわないでください・・・」
顔を赤くするラッセル。すると、またその清らかな女性は笑い出した。
その件以来、ロメリアはなにかにつけて彼の部屋に遊びに来た。
そして、エレナに仕込まれたのか、彼の生真面目さをからかっては、
二人でよく笑っていたものだ。普段厳しいラッセルも、
彼女と過ごしている時間は不思議と楽しかった。
「そうです、先生。そしてその一年後・・・」
顔を下に向け、唇をかみ締めるラッセル。
アンサラーも少し表情を暗くさせ、ゆっくりうなずいた。
「うむ・・・前女王エミーナ様がお亡くなりになられた」
今でもはっきり覚えている。
エミーナは突如病に冒され、生死をさ迷っていた。
宮殿の施術士はもちろんのこと、施術の権威であるアンサラーも、弟子である
ラッセルの頼みを受けて治療にあたったが、そのかいなく、エミーナはこの世を去った。
宗教国家であるシーハーツの人間は、城内にある祭壇で行われる葬儀に駆けつけ、
偉大なる女王陛下の死に涙をくれた。
しかし、国家の元首が不在のままでは国は乱れる。
葬儀の直後、すぐに王位継承の儀式を始めようとした。
しかし、肝心の王女が自室にも、祭壇にもおられなかった。
「ロメリア様・・・こちらにおられましたか」
ロメリアの姿が見えないと、重臣達から聞かされたラッセルは、城内を探し回り、
城の一番上にあるベランダで、外を眺めている彼女を見つけた。
「ラッセル・・・」
指で、目元を拭くロメリア。彼女の目は赤く、おそらくここで泣いていたのだろう。
「ごめんなさい・・・心配をかけましたね」
「いや・・・私のことなら構わないでください。それよりも皆が心配しております。
いっしょに、謁見の間へいらしてください。悲しいのは重々承知ですが、
王位継承の儀式を行い、人々に新女王の姿をお見せしないと、人心が落ち着きません。」
ラッセルがこの男には珍しく、優しい口調で彼女に話した。
しかし、彼の優しい言葉を受けても、ロメリアは外を眺めたまま、首を横に振った。
風にたなびく彼女の髪が美しかった。
「私には女王の資格などないのです・・・」
「なにをおっしゃります。あなた以外、だれがこの国を治められましょう?」
「力がなくなったのです・・・」
この国の法律第4条、『王位継承にあたり、直系を証明するため、
継承者は儀式の際、己の力を見せなければならない』を思い出す。
儀式の際、彼女が自分の力を見せなければ、彼女は直系と偽った反逆者として、
処刑されてしまう。
「そんな・・・うそですよね?」
ラッセルがおそるおそる尋ねる。しかし、彼女は顔を横に振った。
「見えないのです。昨日まで救いを求めてきた霊達が、母が死んでから見えないのです」
ロメリアが振り返る。目からは大粒の涙が溢れていた。
「ロメリア様・・・」
ロメリアの力が出なくなった理由。それは母の死による、寂しさであろう。
彼女に及ばないものの、前女王エミーナは、癒しの力とその慈愛から、
人々から拝められ、ロメリアも自慢の母のことを嬉しそうに自分に語っていた。
自分はまだ大切なことをなくしたことがないのでいまいち実感はないが、
なんとなくそんな彼女の気持ちがわかると、目の前の女性がいとおしくなった。
ラッセルは彼女に歩み寄った。
「ラッセル、どうかしたのですか?」
返事をする代わりに、ラッセルは彼女の唇を奪った。
そして、濡れている彼女の頬をやさしく撫でた。
「!!うむぅ!!」
突然された行為にロメリアは目を丸くした。
そして、お互いの顔が離れると、自分の口を押さえながら言った。
「ラッセル、これはどういうことです?」
彼女の口調にはやや困惑の色が伺えた。
「出すぎたまねなのはわかっています。でも、陛下が悲しみに暮れているとわかると
放っておけなくて・・・」
ラッセルも自分がどうしてこんなことをしてしまったのか、あせっている。
自分の主君に無理やりキスをした、そんなことが誰かに知れれば、
法によって、彼は今の地位を追われるであろう。
だが、いつもは自分の地位に誇示する彼は、このときばかりはそんなことは忘れ、
まだうろたえているロメリアにこう言った。
「陛下。そんなに悲しまないでください。陛下は・・・陛下は・・・
たとえ力がなかろうと、私にとっては大事な君主なのです・・・。
そんなあなた様を見るのが私も辛いのです・・・」
今度は力説するラッセルの目から、涙がこぼれた。
それを見ると、ロメリアはそんな自分を『陛下』と呼んでくれ、
さらには涙を流してまで心配してくれる不器用な人間の精一杯の優しさが
他のなによりもうれしくなり、いままでとは違う涙を流す。
「!!お母様!!」
彼女の目の前に、死んだはずの母の姿がはっきりと現れた。
『ロメリア・・・みなのもとへ戻りなさい。
あなたを待っている民衆のため・・・
あなたを待っている重臣のため・・・
そして、あなたを心から思ってくれる忠臣のため・・・』
そして、再び母親は姿を消した。
「ラッセル!お母様が・・・」
うれしそうにラッセルに話すロメリア。
ラッセルは笑顔で頷いた。
「あ・・・見えます。今まで私に話しかけてくれた霊たちが見えます・・・」
彼女の周りに霊たちがあつまり、いままでの様子をみていたのか、
彼女が元気になったとわかると、みな、自分のことのように喜んでいた。
「ラッセル!力が戻りました!」
「ええ!おめでとうございます」
喜びに、二人はお互いの体を抱きしめあった。
「ほほほ・・・あのときはよく彼女を儀式の席へ連れて来れたな」
アンサラーが昨日のことのように、思い出し、ラッセルのほうを向くと
うんうんと頷いた。
ラッセルにとって、さすがにあのベランダで起きたことを話すのは照れくさかった。
「ただ必死に説得しただけです。正論を通せば、相手に真意は伝わるものです」
「ほほほ・・・お主も相変わらず、素直でないのぉ」
ラッセルは精一杯の嘘をついたが、老人はそれに気づき、笑みを浮かべた。
「しかし、お前さんがその後、女王の補佐役として執政官になるとは・・・」
執政官は女王のもっとも信頼の置ける人物ではならない。
たしかに、彼は女王と仲がよかったが、城内に彼以上に、名誉も、そして
王家に使える年数も上で、人物のできた人材がいた。
そのなかで、彼が選ばれたのは、この老人もにわかには信じられないようだ。
「それは・・・」
ラッセルの頭の中で記憶が蘇る。
ロメリア様が就任してすぐのことである。
今日もしごとをきちんとこなすラッセル。
そんなときだった。故郷から手紙が届いたと、自分の秘書からそれを渡されたのだ。
封をあけて、ラッセルは愕然とした。
無名な家庭で城仕えができたのは、
ひとえに彼の父が自分のために体に鞭を打ってまで働き、採用試験の費用を
稼いでくれたからである。
そんな父が無理がたたったのか、過労で倒れ、そのまま息を引き取ったと
その手紙には書かれていた。
「父上・・・嘘だ・・・」
手紙にぽたっと水滴が落ちる。
「父上・・・父上ぇぇぇぇぇぇ!!」
彼の悲痛な叫びが響き渡った。
「ぶはぁ・・・もう、仕事なんてどうでもいい・・・出世なんてもういいや・・・」
この日4本目の酒を空けると、それを一気に飲み干す。
机の前には、手付かずに山積みとなった書類の山がある。
「ふん・・・この国の政治がどうなろうと、知ったことではないな・・・」
ふぅ・・・とため息をつき、机に伏し、目を閉じようとした。
そのときである。バタン!と勢いよく扉が開いた。
「起きなさいラッセル!」
大声で、自分の名前を呼ぶ声がする。
「だれだぁ〜こんな時間にぃ〜俺は眠いんだ・・・」
「まったくこんなに酔って。私を忘れましたか?」
声の主はラッセルの顔をぐいっと自分の方に向けた。
「なんだ・・・陛下かぁ〜」
ロメリアは、女王の仕事を終え、私服姿で立っていた。
湯浴みをしてきたのか、ほのかにせっけんのいいにおいがした。
「なんだ、ではありません!一体どうしたのですか?
最近、仕事がまったく進んでいないと、ジェイガン執政官もお怒りですよ?」
もともと、彼は上の人間であろうと、間違ったことがあると、
それにしつこく抗議をする人間であり、また、口うるさい性格から、
度量の狭い人間だ、と大体の人間から疎まれていたため、
彼がこのように落ちぶれていると、すぐさま執政官に報告していたのである。
「・・・もう、仕事なんてどうでもいぃ・・・」
ロメリアじきじきの説得にも関わらず、ラッセルは再び酒を開けようとする。
しかし、彼の手からロメリアが無理やり奪った。
「だめです!これ以上は体をこわします!」
「陛下・・・どうせ酒なんて飲めないんだから返してくださいよぉ〜」
その言葉にロメリアはむっときたのか、ふたを開け、それをぐいっと飲み干す。
「けふっ・・・私だってこれくらいは飲めるのですよ?」
宗教国家の君主であるロメリアは酒なんて飲んだこともないし、
飲ませてもらえるわけがないので、酒の免疫はなかったのだが、
酒がついた口元を手で拭うと、キッと彼のほうを向いた。
「なぜです?なぜ・・・こんな馬鹿な真似を・・・」
『馬鹿な真似』、そう言われると無性にラッセルは頭にきた。
「・・・馬鹿な真似?・・・」
彼が立ち上がった。そして、ロメリアの肩をつかむと、ベッドに押し倒す。
もちろん、こんなことは許されないが、酔っていた彼に立場の違いなど、
彼女を大切にし、守っていきたいという思いも関係なかった。
「父が亡くなったんだ。その死に目に会えなくて、こんなに悔しいことがあるものか!」
押さえつけている主君に怒鳴りつける。
「お父様が?」
ロメリアは苦しそうな表情を浮かべながら彼に尋ねた。
「そうだ!俺がこうしてここにいられるのは父のおかげなんだ!」
そう答えると、ロメリアの胸を服の上から乱暴に鷲掴みにした。
「あう!痛い!!」
いきなり強く胸を掴まれ、ロメリアから悲痛な声が漏れる。
「これが痛いだと?俺の心の痛みとくらべたらこんなもの!」
ラッセルは彼女の私服を左右にひっぱる。
ビリビリビリィ!!
強度に限界が来て、服が裂け、ロメリアの形のよい白い乳房が外に現れた。
そして、今度は直にそれを揉みしだく。
ロメリアは痛さの中の気持ちいい感覚を感じたが、それを表に出さないようこらえた。
しかし、体は嘘がつけない。ラッセルの刺激を受けて、清楚な先端が尖った。
「陛下ぁ、なんだかんだいって感じてるんじゃないですか?」
ラッセルが不敵な笑みを浮かべる。
言葉で辱められ、ロメリアは顔を真っ赤にした。
「そんなこと、ありません!」
「そうですか、では直接身体に聞いてみるしかありませんな」
そう言うと、彼女の先端を口に含む。吸ったり、舌でこね回したり・・・
初めて受ける異常なまでの刺激に、ロメリアは困惑するばかりだった。
それでも身体をくねらせて、なんとか耐えようとしたが、
なにかが身体の奥から湧き上がり、全身に痺れが走った。
「ああぁぁぁぁぁああ!!」
ロメリアの身体が跳ねると、愛液で、
彼女のロングスカートがぐっしょりと濡れてしまった。
「陛下、やっぱり気持ちよかったんじゃないですか?こんなに濡らしちゃって・・・」
ラッセルは意地悪く言うと、彼女のスカートの濡れた部分をさわり、
さわった指を鼻に近づけた。
「陛下・・・さすが、いいにおいですね・・・」
そして、そのまま自分の口に指を持ってくる。
「うーん、酸っぱくて、それでいてクセのない甘さ。上質のワインにも匹敵しますな」
自分の出したものが褒められ、うれしいんだか、恥ずかしいんだか。
ロメリアの心中は複雑であった。
「これを産出した工房を見てみたいものですなぁ」
ラッセルはそう言うと、彼女のスカートを剥ぎ取るように脱がし、
白いこれまた清楚な下着を破り捨てた。
おぉ、ラッセルから思わずため息が漏れる。
ついに現れた、穢れをしらないロメリアのアソコは、薄く黒色の毛が生え、
愛液でてかり、神秘的でそれでいて男をそそるものがあった。
「おぉ・・・なんと美しい・・・どおりで美酒が生産できるわけだ・・・」
「だ、黙りなさい、ラッセル!!」
自分のものを美術品のようにゆっくりと観察するラッセルに、ロメリアは叱咤の声を
上げたが、直接な行動だけでなく、間接的に言葉で責められていたため、
その声もうわずってしまい、逆にラッセルを喜ばせる結果となった。
「ははは、陛下も年頃の女ですな。かわいらしいですよ?」
ラッセルはいとおしい主君の頭を撫でた。
「あ・・・」
母が亡くなって以来、頭を撫でられるという行為をされなかったロメリアは
なんだか懐かしくて、うれしくなった。
しかし次の瞬間、彼女の身体に電流が流れ、思わず喘ぎ声をあげてしまう。
「あぁぁぁぁ!」
ラッセルが指を彼女の中に進入させたのだ。
「陛下、ちょっと工房の見学に来ただけなのにうれしそうに声をだして・・・
実は、今までこんなことしたことなくて、淫乱になってるのではないのですか?」
その言葉にギクリとした。
聖女アペリスの代わりでもあるシーハーツ女王は、当然、位に就くまでは、
潔白を保たなくてはならない。
そのため、国の教育係も性的な知識や情報を一切与えず、城内でそういった話を
したものは、禁固1年の罰が与えられるほどであった。
シーハート27世として即位した彼女は、ようやくそういった知識を知ることができ、
実は内心、どういったものなのか、興味が沸いていたことも事実であった。
そして、心の奥では、ラッセルになされるままに弄られ、
そこから得られる刺激に酔いしれる自分の姿が見え隠れしていた。
「どうやら図星のようですな、陛下?」
「だ、黙りなさいと言っているのです!」
必死の叫びも無駄に終わり、ラッセルは顔を秘所に近づけると、その匂いをかいだ。
「う〜ん。さすが、生産元とあって流れでるワインよりもずっといい香りだ・・・」
そう感想を述べると、そこへ舌を這わせる。
「ひぃやぁぁぁあああ!!
自分の大事な部分に生暖かい舌がはいり、ロメリアがなんともいえない快感に
身体が跳ね上がる。
ぴちゃ・・・ちゅぱ・・・ぴちゃ・・・
「うむ・・・やはり・・・陛下のふぁ・・・美味しいです・・・」
舌でかき回し、反応して出てくる愛液を飲むという行為を繰り返すラッセル。
コップ1杯分程度、彼女の愛液を飲むと、一旦顔を離した。
「ふむ・・・ワインといえば、葡萄。ロメリア様の葡萄のお味はどうですかな?」
そうして、再び顔をアソコにつけ、膨れ上がったクリトリスを舌でこする。
「あ・・・!だめ・・・・!そこは!!」
自分の一番敏感なところを味見され、ロメリアは思わず目をつむり、
顔を仰け反らせると、彼の頭をどかそうと、両手で彼の頭を押す。
しかし、すでに脱力しきっていて、防ぐ術を失っていた。
そして、もう一度身体のそこから湧き上がってくるものを感じると、
「だめぇ!また・・・!また・・・来てる!!」
イクのが恥ずかしいのか、身体をくねらせ、脱出を試みるが、イク寸前の彼女が
逃れられるわけがない。
「ああ・・・ふわあぁぁぁぁぁ!」
再び、身体が痙攣し、舐め続ける彼の口に大量の愛液を提供し、さらには
ぷしゃぁぁぁぁぁ・・・
黄色い噴水が別のところが湧き出し、ラッセルの顔にかかった。
「ふふふ、またイッたようですね。しかも、別なものまで出してしまって」
彼が笑みをうかべながらそう言うと、ロメリアの身体が、かぁ・・・となる。
「いやいや、陛下のセフィラの噴水、お見事でした」
ラッセルはそういうと、顔にかかった彼女の恥ずかしい聖水を手で拭い、それを舐めた。
ラッセルになされるままにされ、失禁までしてしまい、恥ずかしさが限界になり、
ロメリアは両手で顔を隠すと、泣き出してしまった。
「へ、陛下?」
さすがにこれにはラッセルも戸惑いを隠せなかった。
「どうしてです?・・・どうしてこんなことを・・・」
悲痛な訴えが聞こえ、ラッセルの心が締め付けられる。
そして、徐々に酔いがさめ、自分の行った行為を思うと血の気が引いた。
「へ、陛下!申し訳ありません、私としたことが!!」
彼女から身体を離し、ベッドの上で土下座して謝るラッセル。
「父を亡くし、自暴自棄になっていて・・・それで・・・」
なにを言っても無駄だろうが、自分が守ろうとした存在に事情を話す。
「さきほど申してた、死に目に会えなかった、ということでしょうか?」
ロメリアはまだ、ひくひくと嘔吐をあげていたが、怒ろうともせず、
彼の話を真剣に聞こうとした。
「はい・・・自分の家は、貴族の家でもなく、無名の家庭でした。
私は、学問に興味を持ち、知識を磨きました。
そんな私の知識を知った私の父は、私がその才能を発揮できるよう、
城仕えをするように勧めました。」
「父上!私は父上のように、立派な商人になりたいのです!」
少年ラッセルは、父の勧めを断りつづけていた。
本当は、向上心の強い彼は自分も城仕えすることにあこがれていたが、
当時の採用試験の費用は家一個購入できることを知り、負担をかけまいと、
わざと固辞したのである。
「しかし、お前には才能がある。こんな1商人で終わるような人間ではない」
「ふん!あんな偉そうな貴族連中といっしょなんかになりたくないですよ!」
しかし、父はどうしても息子を立派な道に進めたいらしく、毎日彼を説いたが、
それを半分生意気な態度で、ラッセルはその話を拒否し続けていた。
素直になれないが、彼はそんな度量の狭い人間ではないとわかっている親は、
おそらく自分達の資産を心配しているのだろうとわかると、
それ以来、何も言わなくなった。
そして、時がたち、
ラッセルを居間に呼んだ両親は、彼の目の前に袋を置いた。
ジャラ・・・
袋の中から、金属でできたものが重なり合う音がする。
「父上、これは?」
少年ラッセルは、あえてこの中身を尋ねてみた。
両親はお互いの顔を見合わせ、頷くと、ラッセルのほうを向き、こう言った。
「ここに10000フォルある。このお金で採用試験を受けてきなさい」
「そうよ。お前なら、すぐに採用されるわ」
ラッセルは驚き、袋を開ける。そこには二人の言ったとおり、
いままで見たことのないくらいのお金が入っていた。
「父上・・・これは?」
「うむ・・・私たちはお前ほど賢くもなく、
お前にほしい物を満足に買ってやれなかった。
だから、お前の人生だけは幸せにしてやろうと、母さんと一緒に貯めたんだ」
ラッセルは思い出す。父が城仕えのことを言わなくなってから、
今まで危険だということで、配送していなかった地域まで配達するようになったり、
どんなに酷い依頼人の仕事にも耐えていたことを。
「父上・・・母上・・・」
両親の気持ちを知ってか、涙が溢れるラッセル。
「何も言わず、受け取ってくれ」
父親は笑って、自慢の息子の頭を撫でた。
「はい・・・ありがとうございます・・・」
そして、ラッセルの家に後日、ラッセルから、採用試験を受けて、
無事に採用されたことが書かれている手紙が届いた。
「あなた、ラッセルが!」
「うむ・・・さすが私の子だな・・・」
父親はそう言うとひざをカクンと落としてしまう。
「あなた!!」
慌てて身体を起こし、支える、その妻。
「だ、大丈夫だ・・・それよりも仕事をやらねばな・・・」
ラッセルの父は支える手を払うと、ふらふらしながら仕事場へ向かった。
数年後、過労がたたり、倒れてしまったラッセルの父。
「あなた!だいじょうぶですか?」
父親はすっからやせこけ、顔面は蒼白であった。
「・・・ラッセルは帰ってきたのか?」
父は自分のことよりも、息子の心配をした。
母は手をつかみ、涙を流しながら、
「いえ、今手紙を書くところです」
と言うと、父は、ふふふと力のない笑いを浮かべた。
「いや・・・あいつに連絡するな・・・ただでさえ、無名の家の出身で
苦労しているだろう・・・」
「しかし!!」
「もういい、何も言うな・・・結局、私はあいつにもおまえにも苦労かけるな・・・」
「あなた・・・」
母親は彼の胸に伏し、声をあげて泣いた。
父もやさしい表情をうかべ、愛する人の頭を撫でた。
「父が亡くなったのはそのすぐあとでした。自分も葬儀に駆けつけ、
母にこのことを聞いて、なんともいえない後悔に教われました。
ああ、どうしてあのとき断って、父のそばにいてやらなかったのだろうと・・・」
血を吐き出すように言葉を探し、過去をかたる彼の目からは、抑えきれない感情が
溢れていた。
「ラッセル・・・」
素直になれなく、悲しみもすべて一人で抱え込んでしまう、かわいそうなほど不器用な
人間・・・。ロメリアはかつてその人間に自分が救われた事を思い出す。
彼もまた、あのときの自分と同じなのだろう。
そう考え、顔を近づけ、彼の頬を両手で撫で、唇を重ねた。
「陛下・・・」
口が離れると、ロメリアは優しい慈愛あふれる笑顔を浮かべた。
「母が亡くなった時、ラッセルは私にこうしてくれました。
だから、今度は私があなたを救いたい・・・」
そして、もう一度口付けを交わす。
「ラッセルは私とセックスしたい?」
ロメリアは習いたての単語を恥ずかしながらも声に出し、尋ねる。
「え?」
いきなりの質問に驚いたラッセル。
今まで散々あんな酷いことをしたというのに、このお方は・・・。
しかし、ラッセルの股間は、行為を考え、自己主張を始めた。
彼の股が膨らむのを見て、教育係に習ったことを思い出す。
『男性は、好きな女性を求めたいと思うと、自分の生殖器を大きくし、
その気持ちを女性にアピールするのです』
「ラッセルは私が好きなのね?」
突然言われ、また驚くラッセル。
たしかに、彼女は嫌いではないが、主君に恋愛感情とは・・・
しかし、彼女にただならぬ思いを抱いているのは確かだ。
でなければ、酒のいきおいがあっても、彼女を押し倒すことなどなかったであろう。
恥ずかしさのあまり、顔を紅潮させた、素直になれない青年の顔を見て、
ロメリアはこの人間の不器用さをあらためて確認すると、思わず噴出した。
でも、自分を好いてくれるのだと彼女は思うと、それに対する礼の仕方を思い出す。
『男性の大きくなったペニスを口に入れ、気持ちよくさせてあげること』
ロメリアは頷くと、緊張しながらも彼のファスナーをこじ開け、トランクスから、
張り詰めたものを開放する。ペニスが開放をよろこぶように震え、天を仰いだ。
「へ、陛下!一体なにを」
ロメリアのやろうとしたことに気づき、静止を図るラッセル。
「ラッセルだって、さんざん私をいじったではないですか。
これくらいされても文句は言えないと思いますけど?」
正論を言われ、立場が逆になり、今度は自分が彼女に責められるとわかり、
ますます顔を赤くした。べつに自分はマゾではないが、女性が男性を
責めるというのは、逆のことよりもいやらしいものを感じていた。
「それじゃ、ラッセル・・・行きますよ」
大きく口をあけ、ぱくっとラッセルのものを咥える。
生暖かい感触に包まれ、思わず目を閉じてしまうラッセル。
教育係に教えられたとおり、まずは口を動かし、全体を優しく濡らし、
裏側を丁寧に何度もなぞる。そして、その根元にぶらさがる袋を口のなかで転がし、
先端を指先で刺激する。
実戦ははじめてだが、熱心に学んでいたロメリアのフェラチオは、
それはさながら天に昇る気持ちになる。
ラッセルの口からは、快感を受け、ため息が漏れる。
「う・・あぁ・・・陛下・・・」
「気持ちいいのね、ラッセル?」
初めてのフェラチオで感じてくれているのがわかると、
左手で彼のモノを握り、それを激しく前後に動かし、自分は先端を咥え、
割れ目や亀頭の裏側を丁寧に舐める。
「へ、陛下!出ます!!」
ビュクっ!ビュクっ!と彼のペニスが収縮し、彼女の口を汚す。
しかし、ロメリアはそれを苦にせず、ごくんと飲み干した。
「はぁ・・・濃いミルクみたいでおいしい・・・」
彼女は本当にそう感じたのであろうが、『濃いミルク』という表現は
なんともいえない恥ずかしい表現である。思わず、ラッセルは顔をまた赤くし、
清楚な彼女がだした淫語に反応してか、また自身を膨らませた。
もう、自分を抑えなくてもよいだろう。そう思ったラッセルは、
彼女をもう一度、しかし優しく押し倒す。
彼が自分を愛しく思っているのに気づいたのか、ロメリアも頬を染め、
うずいている股間をすり合わせる。
すでに2回イっているのだが、彼と一つになると考えると、再び股間が熱くなり、
愛液が染み出したのである。
「陛下・・・」
「いいわよ・・・ラッセル・・・」
ゆっくり、彼女を味わうように腰を進めるラッセル。
進むたびに、いやみを感じ、顔をゆがめるが、声を我慢するロメリア。
やがて、進入を妨げるところにぶつかり、ラッセルは愛する姫を見たが、
姫はだまって頷いた。そして、意を決したように、腰の力を強めた。
「つぅぅうぅぅぅ!!」
激痛が走り、唇をかんでいた彼女の口から、息が漏れ、涙がこぼれる。
「陛下・・・」
「大丈夫、続けて・・・」
ロメリアが心配するラッセルに優しく微笑むと、ラッセルも同じ顔になり、
彼女の涙をすくってやると、腰を前後に動かした。
「あぅ・・・くぅ・・・」
しかし、痛いのはたしかで、それを証明するかのように、赤い処女の証が流れ、
ラッセルのシーツに落ちると、まわりに広がっていった。
ラッセルはゆっくり腰を動かし、なるべく負担をかけないように進めたが、
締め付ける彼女の中が気持ちよく、昂ぶり、徐々に腰の速度をあげていった。
「はぁうん・・・あはぁ・・・」
そして、彼女の声も悲鳴とは違う甘ったるいものに変わり、
快楽に目を潤ませている。
腰を動かすラッセルの眼前には、清らかな女性が快楽に溺れ、喘ぎ、
形の良い乳房が自分の腰の動きに合わせてリズムカルに揺れるという、
なんとも官能的な世界が広がっていた。
獣のように、彼女をもとめ、腰を叩きつけるラッセル。
「あぁ・・・ラッセル・・・また・・・イッちゃいそう・・・」
彼女の甘い悲鳴が部屋に響く。
「陛下・・・そろそろ・・・」
ラッセルの言葉を理解したロメリアはいよいよ自分の中に精が出されると思うと、
ますます昂ぶる。
「ああ・・はやく・・・はやく・・・わたしのなかにぃ・・・!」
清らかな聖女の姿はなく、欲情し、理性を失いつつあるロメリア。
しかし、やはりこんな姿もなんともいえず、そそるものがある。
そして、まずロメリアの身体が跳ね上がった。
「ああ!イクゥゥゥゥウッゥウ!!!」
うれしそうな顔で絶頂を迎え、射精を要求するかのごとく、彼のペニスを締め付ける。
「う!陛下ぁ!!」
そして、ラッセルも限界に達し、彼女の中に最後の一滴まで放出した。
「・・・しちゃいましたね」
ラッセルのものがささったまま、ロメリアは息を切らせながらもクスクスと笑った。
「陛下・・・本当によかったのでしょうか?」
最初は自分の欲望、後半は彼女の誘惑に負けたラッセルは、やや不安げな顔をしていた。
「ラッセルは私のことがすきなんでしょう?」
再び同じコトを聞かれ、ラッセルはまた真っ赤になる。
でも、もう気持ちは抑えられず、頷いてしまう。
そんな少年のようにかわいらしい行動を見て、またクスクスとロメリアが笑うと、
「私も、あの母の死のことから、あなたのことが好きでしたよ」
そう言うと、彼の口に自分の口を寄せた。
熱い口付けを交わす二人の両手はしっかりと握られていた。
あの夜以来、彼は再びいつもの調子で仕事をこなし、細かいことにも
口うるさく注意を促していた。
心底、彼を疎ましがっていた連中も彼が立ち直ると、なぜか安心してしまったため、
頭を壁にぶつけていたという。
そして、ジェイガンが職を退くと、ラッセルが執政官になり、今に至る。
自分が彼女の恋人であるから、この職につけた、などとたとえ師匠であろうといえない。
「まあ、これもひとえに自分の力でして・・・」
「嘘をつけ馬鹿もの!顔がにやけて、理由がバレバじゃ!」
やはり師匠には適わなかった。
第1部 「喪失」 終