一面降り積もる雪。
吐く息まで凍りつきそうな寒さ。
銀世界に閉ざされたここ、アーリグリフの城下町で、
マリアは空を見上げて佇んでいた。
「マリア、どうしたんだい?」
そんな彼女の姿を見かけてか、フェイトがマリアに声をかける。
マリアは一旦彼の方に目をやったが、再び視線を灰色の空に向けた。
「ここはあいかわらず雪がふっているのね・・・」
「まあ、雪国だからね。僕もネルさんが服を渡してくれなかったら、
ここで氷漬けになっていたかも・・・」
フェイトが最初にこの町に来たことを思い出し、苦笑する。
しかし、マリアは表情も変えずに、何かを見つめるように顔を上に向けている。
「でも、やっぱり寒いよね。もうここには来れないと思っていたけど、まさか、ね。
この寒さはいつ来ても耐え難いよ」
少し気まずくなったフェイトが身体を震わすリアクションをし、なんとか
話を続けようとする。
「そう、ここは寒いわよね・・・」
マリアは、下を向くと、はぁ〜っと息を吐く。
それが白い雲のように現れ、そして消えた。
「本当に寒い・・・」
マリアの様子はどことなく変であったが、フェイトはそれを口に出せないでいた。
マリアは右手のグローブを外すと、その手で積もった雪を掴んだ。
「冷たい・・・」
当たり前のことを口にするマリア。マリアの体温で、雪が溶け出し、
水となってマリアの手からこぼれおちはじめている。
「マリア・・・」
マリアは何も答えず、自分の中で解けて流れていく儚い存在をただただ眺めている。
そして、銀色だったものが、すべてマリアの手の中で透明な水へと帰した。
「これが作られた感覚とはね・・・」
マリアが呟く。
FD世界で知ったこと。自分達がFD人のゲームの中のキャラでしかないこと。
つまり、この世界はプログラムでしかないこと。
「やめろ、マリア!」
フェイトは叫ぶ。
「この身も凍るような寒さ・・・。手の中で感じた雪の冷たさ・・・。
すべて偽者だというの?」
マリアの肩が震えている。
「ねえ、教えてフェイト・・・本当にこれが作られた世界なの・・・?」
「マリア!!」
フェイトはマリアを抱きしめた。
今のまるで本当に雪のように儚い存在に見える彼女を、
自分のもっとも愛する人を抱きしめずにはいられなかった。
彼の服を掴み、胸の中で泣きじゃくるマリア。
腕の中の彼女から感じる体温、これも偽者なのだろうか?
「フェイト・・・なぜ私は生まれたのかしら・・・
生まれてこなければ、こんな・・・辛い思いはしないのに・・・」
「もう何も言うな、マリア」
マリアは生まれてすぐ、この世界の危機のためとはいえ、望まぬ人間兵器へとされ、
辛い人生を送りながらも、『自分は人間である』ということが彼女を支えてきた。
ところが、FD空間で知った事実、そしてそれを転送装置で再びエリクールに
来れたことで確認をし、彼女の中は絶望感に溢れていた。
「いっそのこと・・・この雪と一体となってしまえば、どんなに救われることか」
顔を上げ、泣き笑いの表情をフェイトに見せるマリア。
「マリア!」
フェイトがマリアの口に自分の口を重ねる。
そして、舌をもぐりこませると互いに絡ませる。
「フェイト・・・」
「マリア、僕はこれが偽者だとは思わない。
今、僕が感じているマリアの、もっとも愛している人の温かさが嘘だなんて
僕は絶対に信じない。愛しているよ、マリア」
フェイトが優しく微笑み、自分の想いを伝えると、彼女の頭を抱き寄せる。
「フェイトぉ〜・・・」
彼の優しさが他の何よりも暖かい。彼女を閉ざしていた心の雪が解け始め、
マリアの目から流れていった。
「私もフェイトが好き・・・だけど・・今は・・・お願い」
「ああ・・・」
もう他の何もいらない。自分の傍にこの人がいさえすればいい。
想いが通じ合った二人は、そのまま長いときを過ごした。
宿のフェイトの部屋に入る二人。
従業員がやってくれたのか、暖炉が煌々と燃えていて、暖かかったが、
自分に連れ添う人の方が暖かいな、とマリアは思った。
「マリア・・・」
「フェイト・・・」
ドアに鍵を閉めるなり、抱き合い、唇を重ねる二人。
「本当にいいのかい?」
マリアの肩をつかみ、フェイトは最後の確認をする。
「お願い。今はあなたのぬくもりだけが私の全てなの」
マリアが目を潤ませ、頬を朱に染めて答える。
二人は、お互いの服を脱がしあい、下着姿となると、ベッドにもぐった。
フェイトがマリアの上に体を重ね、白いブラジャーをめくりあげる。
小さいが、白く美しい。ピンク色の先端がその白の美しさをさらに引き立てていた。
「綺麗だよ、マリア」
「小さいのに?」
マリアは恥ずかしそうに言った。やはり気にしていたのだろう。
しかし、フェイトは返事の代わりに、彼女の突起にキスをした。
「ひゃっ・・・」
短いけど強烈な刺激を受けて、マリアが声を出す。
「綺麗なのに大きいも小さいもないよ。僕はマリアを愛していると言ったろ?」
マリアがその言葉を聞くと顔を赤くする。
「私だって・・・フェイトが好きよ」
フェイトはくすっと笑うと、彼女の片方の先端を口に含み、
もう片方を手で優しく揉んでやる。
「あ・・・はぁ・・・ああ」
マリアは目を閉じ、愛する人から受ける刺激を受け入れる。
フェイトは次第に膨らんでいく先端を舌で転がす。
「はぁああ・・・フェイト・・・気持ち・・いぃ」
マリアがフェイトの愛撫を受け、甘い声を彼に聞かせる。
気をよくしたフェイトは、舌で先端を転がしながら、もう片方の先端を指で摘む。
「っはああ!!」
マリアから大きなため息がもれた。
フェイトはそれを聞くと、空いている手で彼女のからだをつーっと走らせ、
彼女のはいている下着にたどり着くと、
マリアの大事な場所をその上から触ってみる。
案の定、湿っていた。
濡れていることを確認すると、マリアの胸から顔を離すと、その下着に手をかけた。
「脱がすよ」
「いいわよ・・・フェイトには全てを見てもらいたいから」
マリアの許可をもらうと、フェイトはそれをゆっくり脱がしていく。
青く生えそろっていることが、彼女の身体が大人になっている証明をしていた。
写真やビデオではない、生の女性のその部分を見て、フェイトはつばを飲み込み、
そこに心を奪われる。
「やぁ・・・あまり・・・見ないでちょうだい・・・」
自分の普段隠している場所を見つめられ、恥ずかしくなったマリアが
両手でそこを隠してしまう。
「ごめん・・・でも、マリアだから見たかったんだ」
フェイトはマリアの太ももにキスをし、手をどかすと、顔をそこへ近づけた。
初めて嗅ぐ、女性の香り。割れている部分からはマリアがフェイトのものを
受け入れるための液が流れているのがわかる。
フェイトはマリアの愛液を舐めてみたくなり、彼女の秘所を手で広げる。
ピンク色したマリアのそこは美しい。
フェイトはすかさず舌をそこへ入れた。
甘く、それでいてしょっぱいという複雑な味がした。
「あ・・・フェイト・・・あん・・・」
マリアが快感に喘ぐと、舌を入れているところから、さらに愛液が流れてくる。
その行為が続き、マリアの秘所から聞こえる音とマリアから漏れる声だけが、
部屋の中でしていた。
マリアの身体を十分に堪能したフェイトは、マリアとひとつになりたいと
いう、自身の性欲の表れのものの願いを聞き入れることにした。
ベッドの上でトランクスを脱ぎ、マリアの前にそれをさらけ出す。
「あぁ・・・」
フェイトのモノを見て、うれしいのか、それともこれが自分の中に入りきるのか、
マリアは複雑な心境であった。
フェイトはそんな彼女の様子を察してか、彼女の頭を撫でてあげた。
「なるべく優しくするから・・・痛かったら言って」
マリアも撫でられたおかげで、目を閉じ、安らかな顔をしていた。
フェイトは途中まで脱がしてた彼女の下着を脱がし、
お互いなにも身体につけていない状態になった。
「いくよ」
フェイトが自分のモノを支え、彼女の中を分け入っていく。
そして、進入を拒む膜に到達する。
マリアがフェイトに目を閉じたまま頷き、合図を送った。
「あああああ!」
それが破れるのと同時に、マリアが痛みを堪えきれず、悲鳴をあげる。
結合部からは純潔をささげた証が流れ、二人を結ぶものと、シーツを染めた。
「やはり痛いよね。今日はここまでにしようか?」
マリアの目に涙が浮かんでいるのを見て、フェイトが腰の動きを止める。
「痛いのもたしかにいやだけど、ここまできて中断されるのはもっといや・・・
お願い、私の心をフェイトだけのものにして」
「・・・マリアの気持ちはわかった。でも、我慢できなくなったら言うんだよ?
僕のせいでキミを泣かせたくない」
「馬鹿・・・あなたの優しさで泣いちゃうじゃない」
繋がったまま、二人は口付けを交わし、再びフェイトは腰を動かした。
マリアは純潔を破られて痛いだけなのだが、彼のために必死に耐える。
フェイトは、そんな彼女のため最初から激しく動いた。
貫通したばかりのマリアの膣内がフェイトを締め付け、
腰を激しく動かしているせいもあって、フェイトはこの上ない快感を得ていた。
そして、その快感を受けて、フェイトの絶頂が近づいてきた。
「マリア・・・イクよ」
「うう・・・お願い・・・中にだして・・・あなたの全てが欲しいの」
痛みに堪え、フェイトに自分の願いを聞かせるマリア。
「わかった・・・出すよ!」
フェイトが快感に負け、彼女の希望通り、彼女の中に熱くて白いものを注いだ。
「ああ・・・熱い。フェイトのが身体を昇ってくる・・・」
今、愛するものとの気持ちを確かめあう行為の結果、彼から受け取ったものを
感じ、マリアは自分が人間であることを確かめた。
「よかったのかい、中に出しても」
繋がったまま、フェイトがマリアに尋ねた。
「さあ、安全かどうかはわからないわ。勢いでやったことだし」
普段のマリアからは想像できない無責任な台詞だった。
「出来たらどうする?」
「そうね・・・産むわ。自分の存在を確かめるためにも。
・・・もちろん、あなたのためにも」
「そうだね。創造主をやっつけたら、そうしたら・・・」
「ええ・・・私もよ、フェイト」
正式ではないが、夫婦になった二人は抱き合い、大人のキスを交わす。
「フェイト・・・おねがい。今日はずっと私を抱いて。
あなたのぬくもりをもっと感じたいの」
「わかった・・・こんどは二人一緒に・・・」
「馬鹿・・・」
もう迷わない。たとえ、私がプログラムであろうと、
あなたのぬくもり、あなたの優しさはだれのものでもない、私だけのものなのだ。
あなたがいるかぎり、私もこの世に存在することができるのだ。
〜終わり〜