「あぁ…フェイトぉ〜…」
「マリア…気持ちいいよ…」
ここは宇宙船ディプロの中。
マリア・トレイターとフェイト・ラインゴッドはこの世界を巡る戦いの中で、
自他共に認める熱々のカップルになった。
そして今夜も、二人は仲良く愛の契りを交わしていたのだが…。
「マ、マリア、ごめん!!もう…出る!!」
「え!?ちょ、ちょっと、私はまだ…」
しかし、マリアの言葉も及ばず、フェイトは限界に達し、
マリアの膣内に熱いものを注ぎだす。
「ば、バカァ!!なんでイクのよ!!私はまだ全然イケないのに…」
フェイトのあまりの情けなさに、マリアはかなりのお怒りだった。
「ご、ごめん…マリアが気持ちよすぎて…その…」
「あのね。そう言うけど、あなた。
私たちがこういう関係になって、一緒にイケたのってあったかしら?」
「ぎくっ!!」
フェイトの身体から冷や汗が流れ、マリアの表情もどんどん険しくなっていく。
「あ〜!!もう、最低よ!!なんでこんなに早漏なのよ?
あきれてものが言えないわ!」
マリアがセックスのときに頭を乗せていた枕をフェイトに投げつける。
「わっ!!た、頼むよ…ホント…許してよぉ〜!!」
「いやよ!セックスのときに一緒にイキたいというのは、女のとって、
想っている男性と身も心も一つになりたいという願望なのよ!?」
マリアは枕に続き、シーツ、自分の着ていた服に下着…そして灰皿?
「ちょ、ちょっと待って!!そんなのに当たったら…」
「問答無用!!」
鈍い音がマリアの部屋から外に漏れる。
「ふん!!もう知らない!!」
マリアはそのまま、ふてくれされて寝てしまった。
ベッドの下には、頭から血を流している男の姿があった。
「フェイト…ごめんなさい」
翌日、頭を冷やしたマリアが、フェイトの傷口の手当てをしながら彼に謝った。
「いや、僕こそ…男のクセに情けないよな…」
フェイトはズボン越しに、すぐに放出してしまう情けない自分の分身を見ていた。
「ごめんなさい…でも、一緒にイキたいのは本当なのよ?」
やや恥ずかしそうに顔を赤らめながら、マリアが横目使いでフェイトを見る。
彼女の愛らしい姿に、朝からさっそくオアツイことを始めたくなったフェイトだが、
再び情けない自分を思い出すと、一気にそれが覚め、落ち込んでしまった。
「フェイト…そんなに気にしないで…。そのうちにフェイトのが慣れて、
一緒にイケるようになるわよ…」
マリアはフェイトの手をとり、優しく慰める。
しかし、フェイトの心は不安でいっぱいだった。
自分の早漏は天性的なものではないだろうか、と…。
そして、ある考えが浮かび、立ち上がった。
「よし、マリア!」
「え?え?何かしら?」
いきなり立ち上がったフェイトを見て、困惑しているマリア。
「いまから、アドバイスをもらいにいこう!」
「アドバイスって誰に?」
「クリフとミラージュさん」
クリフとミラージュ。このカップルもこの戦いがきっかけで、
もともとそれに近かったものが、本当のものになってしまった。
しかも、フェイトとマリアと同じく?男が女に尻にしかれていた。
「ちょ、ちょっと待ってよ!私たちの夜の生活を教えるんでしょ?
恥ずかしいわよ…」
マリアの顔が真っ赤になる。
それもそのはず。他人の前では、凛とした気の強い女性としているが、
フェイトと過ごしている夜では、昨日こそ暴れたりはしたが、
普段は、想像も出来ないくらい、快楽にあえいでいたのである。
「いいからいいから。知ってる?夜の生活がうまくいかないために別れる夫婦もあるんだよ?」
マリアの頭の中に、フェイトと部屋で見ていた放送の中で、
そんなことを言っていたものがあったような気がした。
「うう〜ん…そうね…。たしかにそれは怖いわね。でも、私たちは別れたりなんか___」
「決まりだ!行こう!!」
「ええ!?ちょ、ちょっと!最後まで話を聞きなさいよ!!」
マリアが少し悩んでいた様子を、同意の合図と見なし、後半の部分も聞かずに、
フェイトはマリアの手を引っ張っていった。
「ほう、事情はよくわかったぜ」
クリフは、顎に手をのせながら、フェイトの話を聞くと、頷いた。
「ええ、若いうちにしか、悩めないことかもしれませんね」
ミラージュは、くすくすと笑っていた。
(やっぱり話すべきではなかったかな?)
フェイトは、まさかこんなに恥ずかしい思いをするとは思わなく、
勢いに任せて、彼を訪ねたことを悔いた。
(それに…)
フェイトがクリフとミラージュを交互に見た。
「まったく、いきなり人の部屋に乗り込んできたと思えば…」
そんなフェイトの視線に気づいたのか、
クリフがややあきれた口調で話した。
そう、フェイトが、マリアの持っているマスターキーを使って乗り込んだ彼の部屋では、
まさにクリフとミラージュが"お楽しみ"の最中だったのである。
とりあえず、クリフは腰にタオルを、ミラージュは布団に潜り込むことで、
自分の裸を隠していたのであった。
「ごめんなさいね、二人とも…」
マリアもややあきれ気味で、ため息を漏らした。
「気にしないでください、マリア。よくあるトラブルです」
ミラージュは本当に気にしてなさそうで、相変わらず美しい笑みを見せていた。
「本当によくあるトラブルかよ…」
しかし、クリフのほうはやはり不満な様子だった。
「ご、ごめん…みんなには迷惑をかけたね…」
この事件の発端者が巻き込まれた3人に詫び、肩をすくめていた。
「…まぁ、しゃあないわな。たしかに、やってる時に同時にイケないのは、
不満だわな…」
フェイトが気の毒になったのか、頭を掻きながら、クリフが言った。
「まぁ、クリフったら…言っている事がオヤジですよ?」
そんなクリフをミラージュが冷やかす。
「うるせえ…。で、だ。お前ら、原因とかはわかっているのか?」
フェイトとマリアは顔を見合す。
前戯がいけないのか?はたまた、"入れたり出したり"の仕方が悪いのか?
二人は照れ笑いを浮かべたが、原因がいまいち浮かんでこなかった。
「…そうなると、やはりコイツの息子が早いということか?」
「う!!」
クリフの言葉にフェイトが固まる。
たしかに、そういう可能性が高いが、改めて第3者に言われるとショックである。
「もう、クリフ…フェイトさんがかわいそうですよ?」
ミラージュはそんなクリフを諌めたが、フェイトは逆に同情されているようで、
悲しかった。
「ごめん、マリア…僕が早いせいで…」
フェイトは自分が情けなくなり、愛しい人に、詫びの言葉を述べると泣きついてしまった。
「ちょ、ちょっとフェイト!!…クリフ!!フェイトを泣かせないでよね!!」
マリアは自分の大事な人が傷つけられたと思い、
懐に忍ばせておいたフェイズガンを取り出し、その原因に突きつけた。
「あらあら。クリフ、自業自得ですよ?」
ミラージュはそんな状況を楽しんでいるようであった。
「ば、馬鹿!!やめろ!物騒だからしまってくれ!!俺が悪かったからさ!!」
しかし、それどころではないクリフは、必死にマリアに許しを請いていた。
「……」
マリアの銃が再びホルスターの中に収納される。
(ふぅ…まったく、今日はついていないぜ…)
クリフは己の不運を呪い、男として、情けなすぎる男を見る。
(しかし、フェイトが早漏とは…。)
クリフの視線が、フェイトを腕に抱いている女性のほうへ移動する。
(それに…マリアもフェイトに抱かれまくってるせいか、随分と大人になってきてるな…)
そのとき、ふと、クリフの頭の中にあるナイスな?アイデアが浮かんだ。
「よし!ここは俺達が一肌脱ぐか、なあ、ミラージュ?」
「え?何がですか?クリフ」
「俺達が、この二人の夜の生活を手助けするために、いっちょ教育してやろうじゃねえか」
「教育って…まさかクリフ!!」
ミラージュの言葉にクリフがパシンと手を打つ。
「そうだ。"セックスのいろは"を、人生経験豊富な俺達が叩き込んでやるのよ!」
「えええええ!?」
クリフの意見に驚く3人。
「クリフ!本気なんですか?」
「ああ。本気さ!!」
ミラージュの質問に、クリフが、なぜだかわからないが、妙に自信満々に頷く。
「で、でも…教育ってどうするんだよ?」
続いて出てきたフェイトの疑問に、ため息をつくクリフ。
「まったく…わかってねえな。俺がマリアを仕込んで、ミラージュがお前を仕込むんだよ」
(なに!?)
(なんですって!?)
クリフの意見に思わず固まる、フェイトとミラージュ。
(ミ、ミラージュさんとやれるなら…いいかもしれない…)
(フェイトさんってかわいいから、一度味見したかったのよね…)
「よし!それに賛成!!」
「私も賛成します」
同時に、クリフに賛同する二人。
「え!?ちょっと…フェイト!浮気をする気?」
取り残されているマリアが、とりあえず分かったこと、つまり、
フェイトがミラージュと寝るということを理解し、
フェイトに殺気を込めた、鋭い視線を送る。
「い、いや…そんなわけじゃないんだけど…ほら、これからの二人の未来のため…」
「未来のためにわざわざ他の女を抱くこともないんじゃないのかしら?」
「あ…う…」
マリアに押され、たじろぐフェイト。
「おいおい。そんなにコイツを責めるな。第一、原因はお前にあるかもしれないんだぜ?」
それに見かねたクリフが助け舟に入った。
「…どういうこと?」
「お前、オナニーとかぜんぜんしたことないだろ?」
「な、なんでそれを!!」
クリフの言葉があっていることを証明するかのように、マリアの顔が赤くなった。
「匂いだ。オナった女からは愛液のにおいがかすかにするんだが、
お前はその匂いが、むかしから全然しなかったからな」
(に、匂いっておいおい…)
変態に近いようなセリフを、堂々と話すクリフを見て、フェイトが苦笑する。
「それが何の関係があるのよ!!」
マリアが再び銃を取り出し、クリフに突きつける。
しかし、今度のクリフは動揺せず、マリアのとった行動を見て、ため息を漏らす。
「つまりだ。お前の身体が未開発の可能性がある」
「未開発?」
クリフから出た言葉に怪訝な表情を浮かべるマリア。
「そう。あんまりエッチに身体が慣れていないんだよ。
それだから、フェイトがイケても、お前がイケないことだって十分にあるわけだ」
クリフの言葉に真剣にマリアが考え込んでしまう。
「…あなた達なら、私も、フェイトも、エッチが楽しめるようになるの?」
クリフとミラージュが顔を見合わせ、頷く。
「当たり前だ!この俺を誰だと思ってる!」
「安心してください。フェイトさんを虜にしようとはしませんから…」
再びマリアが考え込み、しばらくして、顔をあげた。
「…わかったわ。二人に協力してもらうわ」
(よし!!)
3人が心の中でガッツポーズをしていた。
「よっしゃ!善は急げ。さっき中断されたこともあって、したくてたまらねえんだ。
さっそくやるぞ!」
クリフがマリアを担ぎ上げた。
「ちょ、ちょっと!いきなりだなんて…」
「じゃあ、俺はお前の部屋でさせてもらうぜ?」
マリアの声が聞こえてないらしく、クリフが彼女の恋人にそう告げた。
「フェ、フェイトも〜!!」
マリアが恋人に止めてくれるよう頼んだが、
「わかった。あまりマリアをいじめないでくれよ?」
「任せろよ。俺の手に掛かれば、ちょちょいのちょいだ!!」
やはりこちらも耳に入っておらず、部屋を出て行くクリフに手を振っていた。
スーッ…ガチャン。
部屋の扉が閉まり、マリアの騒ぐ声も聞こえなくなった。
フェイトは、二人きりになったミラージュの手を握り、彼女の顔を見つめる。
やはり、初めて会ったときと同じように美しいミラージュ…
「ミラージュさん…」
「ええ…いいですよ」
ミラージュも頬を少し朱に染めていた。
「ミラージュさぁん!!」
ミラージュの返事を合図に、フェイトがミラージュの布団を剥ぎ取り、
彼女の胸の中に、飛び込んでいった。